可奈美と灰斗が外に出た後、残った姫和達は先にコインシャワーでシャワーを浴びに行っていた。
シャワーから出てタオルで頭を拭く姫和、そして次にタオルを頭に乗せた命が戻ってきた。
「いや~気持ちよかった~!」
「緊張感持ってください師匠・・・」
楓は命の緊張感の無さに呆れつつも交代でコインシャワーに向かう。
「うっす、今戻ったぜ」
「ただいまー!お待たせ、ご飯買って来たよ~!」
そこに入れ替わるかのように灰斗と可奈美がコンビニ弁当を持って帰ってきた。
そして楓もコインシャワーから戻り、夕食後に灰斗と可奈美もコインシャワーに入る。
「コインシャワーって初めて使ったよ!時間内に洗えるかドキドキした~!」
「緊張感のない奴だな」
コインシャワーから戻りタオルで頭を拭く可奈美の発言に姫和は軽く呆れている。
そして今度は命と楓、灰斗の方を向く。
「そろそろお前達の事を教えてもらってもいいんじゃないか?私たちだけ事情を知られるのも不公平だろう」
姫和の言葉に3人は顔を見合わせた後に頷き合った。
「今はまだ詳しくは言えないけど、メイたちはある有志組織のメンバーでね。でも味方だから安心してよ」
「それより十条、アンタ体力の方はどうなのよ?」
命が姫和の質問に答えた後に楓が姫和に自分の状態を問う。
それに対し姫和は御刀を構え精神を集中させる。
「・・・写シくらいは張れると思う」
その時、可奈美が姫和の御刀を見て言葉を出す。
「その御刀、切っ先の棟側にも刃があるね」
「あぁ、切先両刃っつー造りだな、別名“小鳥丸造り”だろ?」
「・・・そうだが」
可奈美の言葉に灰斗が簡単な解説を入れ姫和はそれに相槌を打つ。
「それで姫和ちゃん、
「あの時?」
可奈美の言葉に姫和が問いかける。
「ほら、御当主様に止められた時の・・・」
「っ!?お前、あの突きが見えていたのか!?」
可奈美の言葉に姫和は驚きを隠せない。
あの刹那、自身の全身全霊をかけた必殺の一撃を目で捉えていたのだという。
「確かに、メイもあんな迅移は初めて見たよ!」
「うん!あの技もすごかったけど新當流の技ももっと見たいなぁ!」
「イイね!メイの剣術って我流だから何か参考になるかも♪」
「命ちゃん我流なんだ!じゃあ今度私と立ち合いしてよ!命ちゃんの剣見てみたい!」
目を輝かせながら剣術の話を続けていく可奈美。命も何かスイッチが入ったのか楽しそうに会話している。
その様子に完全に蚊帳の外に追いやられた灰斗はげんなりとし、楓と姫和は軽く引いていた。
「手荒な事せんといてくれたらええんやけど」
管理局エントランスを不安そうな様子で歩く2人の女性。
平城学館学長“五條 いろは”、美濃関学院学長“羽島 江麻”。
2人は今回の件で折神 紫に招集され協力するよう命令えたのだが正直乗り気ではなかった。
「鎌府が協力を申し出ているようですね」
「ますますややこしくなるわねぇ」
「学長!」
2人が入口を出ると、そこには舞依が立っていた。
恐らく学長である江麻を待っていたのだろう。
「柳瀬さん?どうしたの?皆の所に戻って・・・」
「お願いがあります」
舞依は江麻に頭を下げた後に更に言葉を続ける。
「私に、衛藤さんの捜索許可を下さい!」
「師匠!」
「来たわね、モモ」
御前試合会場から管理局の人気の無い場所、
そこで2人の女性が密会をしていた。
1人はピンクのショートヘアで美濃関の制服の上にフード付のマントのようなマフラーを着けた“モモ”と呼ばれた少女。
もう1人は露出度の高い服装、ピンクのショートヘアの少女と同じマフラーを着けた青いダウンツインテールの“師匠”と呼ばれた女性。
2人もある目的でここに残っている。
「ごめんなさい、情報を集めるのに手間取って・・・」
「別に気にしていないわ。現時点で判明している情報は?」
「はい、刀剣類管理局が本格的に衛藤 可奈美さんと十条 姫和さんの確保に動き出すみたいで、メイちゃんと楓ちゃん、ハイド君も
「やはり一緒に捕まえる方針で来たか、あの一瞬で正体をあまり悟られていないのは流石
あの一瞬、命は姫和を、楓は可奈美を確保しすぐに会場から逃走、“ジョーカー”と呼ばれた灰斗もその後スタングレネードを使いその隙に逃走した。インパクトこそ与えたものの顔はそこまで割られていない。
「あ、それともう1つ。その捜索と逮捕に鎌府の“高津 雪那”学長が協力を申し出てます」
“鎌府の高津 雪那”。その言葉を聞いた瞬間、師匠の目付きが鋭くなった。
「予想通りと言うか、やはり出て来たわね、自分の
「師匠、私が命ちゃんたちに・・・」
「ダメよ、私と貴女はもう少しここに残るわ。代わりに“五右衛門”に応援をお願いする」
そう言うと師匠が懐から携帯を取り出し五右衛門と言った人物に連絡を入れる。
そして連絡を入れた後に2人はその場を移動。当然ながらそれに気づく者などいるはずもなかった。
可奈美と命との対談を強制終了させ明日に備え寝る事にした一行
電気の光が無い部屋で灰斗、命、楓は既に眠っているようで、姫和と可奈美は眠れないでいた。
『・・・』
沈黙が続き姫和が口を開く。
「おかしな奴だ。何も聞かないんだな、私が折神 紫の命を狙った理由」
姫和が言う通り、可奈美は姫和の目的はおろか灰斗や命、楓の本当の目的についても一切触れていない。
「・・・姫和ちゃんが話したくなったら聞く。その時が来るまで灰斗君や命ちゃん、楓ちゃんにも何も聞かないから」
「・・・本当に、おかしな奴だ・・・」
それから数分後、2人もようやく眠りについた。
「・・・藤、おい衛藤!」
「・・・あれ、灰斗君・・・?」
目覚めると目の前に灰斗がいた。それも何やら急いでいる様子だ。
しかし、
「ん~・・・あと5分・・・」
「ベタな台詞ありがとよ、ってそんな事言ってる場合か!」
「可奈美ちゃんっ!!」
可奈美達が宿泊している部屋のドアが突然開き、奥から姿を見せたのは舞依だった。
あの時、可奈美との通話の時に聞こえた放送の詳しい地域を特定しその近くにある安いホテルを手当たり次第に当たっていったのだ。
しかし部屋に可奈美達の姿は無く、あったのは敷かれたままの布団と全開の窓だけであった。
「思った以上に場所が割れるの早かったわね・・・」
路地裏に潜んでいる楓が静かに呟く。
「・・・ごめんみんな・・・私のせいかも・・・」
可奈美は昨日の事について話した。
夕食を買いに行った時に公衆電話から友達に電話した事を。
「・・・まぁ、どうせそんな事だろうと思った」
「本当にごめん・・・」
姫和の言葉に落ち込む可奈美。
「まぁ本人も反省してるみたいだし、まずはこれからの事を考えましょ」
「・・・そうだな、私も少し回復できた」
「オッケー!そうと決まったらまずは人気の多いとこに行こっか!」
どうやら誰も可奈美を責めたりはしないようだ。
そして次は人の多い場所へ移動すべく灰斗は今度もバイクで、それ以外はバスに乗り東京の中を移動する事に。
『・・・だからって・・・』
『何でここなんだ(なのよ)っ!!』
姫和と楓が同時に可奈美が先導して着いた場所にツッコミを入れる。
そこは原宿。日曜である事も相まってかかなりの人込みだ。
「観光に来た訳じゃないんだぞ!」
「だって人が多いとこってここしか知らないもん!」
「フーも固い事言わないで、メイたちと同じくらいの子もいっぱいいるしね!」
『・・・確かにそうだが(ですけど)・・・』
「お前ら、あんまし騒ぐとかえって目立つぞ?」
灰斗が仲裁に入り一先ずはここで過ごす事に。
半ば強引に決定され姫和と楓も諦めたようだ。
「そいじゃ、俺は先約があっからここで」
「先約って・・・「了~解っ!ほら十条さん!いつまでも突っ立ってたら逆に目立つよ!」お、おいっ!?」
「そうだよ!それに普通に楽しそうにしてた方がいいよ!楓ちゃんも!」
「ちょ、ちょっと!?」
命と可奈美がそれぞれ姫和、楓の手を引き商店街の奥へ消えていく中、灰斗は別の用事の為の場所へ移動する。
そして4人で原宿の街を回っていた時、姫和の提案でアイスを食べながら今後の対策等について話し合おうという事になった。
可奈美はオレンジ、命と楓はバニラ、そして姫和は、
「姫和ちゃん、チョコミント好きなの?」
「そ、そうだな、アイスの中では比較的口に合う方だな」
可奈美に指摘され少し恥ずかしがる姫和はチョコミントを食べている。
「よくそんなの食べられるわね・・・」
「メイ、チョコミントは少し苦手かな~・・・」
「そうだよね、苦いしなんかスーッとして歯磨き粉みたいで・・・」
「ばかっ!」
『ばか!?』
姫和に 責され可奈美と命は思わずアイスを落としそうになる。
「チョコミントのあるかないかで、その例えはもう言い尽くされているぞ!禁句と言っていい!」
「へ、へぇ~・・・」
「・・・なんかごめん・・・」
姫和の気迫に押され思わず謝罪する可奈美と命。
ちなみにこの時、楓は3人に対し無視を決め込み1人黙々とバニラアイスを食していた。
ED:心のメモリア/衛藤 可奈美(CV:本渡 楓)、十条 姫和(CV:大西 沙織)、柳瀬 舞依(和氣 あず未)、糸見 沙耶香(木野 日菜)、益子 薫(松田 利冴)、古波蔵 エレン(鈴木 絵理)