荒ぶる魂に魅入られし者達   作:天羽々矢

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OP:Unknown Actor(feat.伊舎堂さくら〉/来兎


第5話 再会せし友 後

可奈美達が原宿を満喫していた一方、別れた灰斗は少々レトロは佇まいの喫茶店に入っていった。

 

「たしかここで待ってるって・・・」

 

灰斗が店内を見回すと奥のテーブル席で美濃関の制服を着た1人の少女が灰斗を見つけるとはにかむように微笑み軽く手を振ってきた。

灰斗はその少女に軽く手を挙げ、その少女と相席する。

 

「今朝は助かったぜ“御影”さん、刀使が向かってる事知らせてくれて。おかげで早く動けたぜ」

 

「ううん、師匠が先に教えてくれたの。間に合ってよかった・・・」

 

灰斗の言葉に安心したような表情を浮かべる少女。

長い黒髪でモデルのようにスタイルが良い女子にしては長身の体系の彼女は“御月 五恵(みかげ ごえ)”。

彼女も命と楓と同じ組織のメンバーであり、朝灰斗達が舞依に発見される前に行動できたのは灰斗が彼女から連絡を受けたからなのだ。

 

だが安心した表情からすぐに真剣な表情に戻る。

 

「それと“半蔵”と師匠から情報があるの。鎌府が出てこようとしてるみたい」

 

注文した紅茶を飲みながら真剣に話す五恵に灰斗も自然と表情が引き締まる。

 

「鎌府の誰かは分かるか?」

 

「師匠の予想は、中等部1年の糸見 沙耶香ちゃんじゃないかって・・・」

 

「・・・確かその子って、高津のオバサンの1番のお気に入りだったよな?」

 

「うん、“あの実験”の成功例だからかな・・・」

 

自分が言った事にも関わらず五恵は不安そうな顔になる。

そんな五恵に灰斗は五恵の左肩に自分の右手を添え不適な笑みを浮かべる。

 

「心配すんなよ、不安がないって言ったら嘘になるけど、俺だけならまだしも御影さんや命たちもついてくれてんだ。何とかなるって」

 

楽観的とも言えるが今までそうして切り抜けてきた灰斗はの言葉だからか五恵には不思議と心強く感じられた。

 

「・・・そうだね、暁君が言うと不思議とそんな風に思えるよ」

 

「そいじゃ、引き続き管理局の調査を・・・」

 

「あぁ待って!実は別にお願いされてる事があって」を

 

「お願いされてる事?」

 

立ち上がろうとした灰斗を五恵が引き留め、更に言葉を続ける。

 

「実は・・・暁君たちに合流して一緒に行動して欲しいって言われてて・・・」

 

本人の性格か灰斗という男子の前だから恥ずかしいのか段々と声が小さくなっていく。

その事で何かを察した灰斗は苦笑いし頭をかく。

 

「成程な・・・じゃ、頼むぜ御影さん」

 

「!・・・うん!それと師匠から・・・」

 

 

 


 

 

 

用事が済んだと灰斗からメールを受け、可奈美達は彼と合流へと行動する一行。

だがその行く手を遮るかのように天候が悪化し雨が降り出してきた。

 

「雨・・・」

 

「うそ~、さっきまであんなに天気よかったのに~・・・」

 

「早いとこ別の宿を探さないとアタシたち全員ずぶ濡れになっちゃうわよ」

 

「そうだな、普通の宿でなくても漫画喫茶とか・・・」

 

今後の行動を4人で話し合っていた時、

 

 

 

———キィィィィ———

 

 

 

突然、甲高い共鳴のような音が響き出す。

 

「何よこの音!?」

 

「もしかして、十条さん!」

 

「分かっている!」

 

命に指摘され姫和は上着のポケットからスペクトラム計を取り出す。

その中のノロは北西に反応していた。

 

「スペクトラム計が・・・これって!」

 

「うん(ああ/ええ)・・・」

 

『荒魂!』

 

4人が同じタイミングで同じ結論に至った。

 

「いるな、しかも近い」

 

「反応は・・・1つ?」

 

「見た感じ、まだ動きはなさそうね」

 

可奈美と楓が反応の示す方角を向き、そこに向かおうとし更に命と楓も続こうとする中、姫和だけはその場を動かなかった。

 

「行こうよ姫和ちゃん?」

 

「・・・いや、放っておこう、今は()()()()をしている場合じゃない」

 

「えぇっ!?だ、ダメだよ!すぐ退治しなきゃ被害が!」

 

「管轄の刀使たちがもう捕捉しているかもしれん、鉢合わせたら面倒だ」

 

発言から本気で姫和は荒魂退治へは向かわない事が伺える。

だがその言葉に反応した者がいた事には気づいていない。

 

「彼女たちにはスペクトラムファインダーがある。発見にはそう時間もかかるまい。そもそも私たちだけでは退治できてもノロを回収できない。周囲に散らすだけだ」

 

「でも・・・」

 

 

 

 

「本気で言ってるの、アンタ?」

 

 

 

 

『!?』

 

突如第3者からの発言に、かつ怒気の込められた言葉に2人がビクッとする。

その言葉の主は、なんと命だった。心なしか前で待っている楓も憤っているように見える。

 

「荒魂退治を()()()()の一言で済ますつもりかって聞いてるんだけど?」

 

「っ・・・!」

 

姫和は何も答えない、否、答えられなかった。

これまでの飄々とした態度とはまるで別人のようなプレッシャーに呑まれてしまっている。

 

「アンタたち刀使は荒魂を払うのがどういう事か分かってるでしょ?荒魂は人を襲う。刀使なら御刀で斬り払えるよ、でもそうじゃない他の人たちはどうすればいいの?見殺しにする気?」

 

『・・・』

 

命の性格の変貌ぶりに可奈美も言葉が出せなかった。

 

「ハイドだったら真っ先に荒魂のとこに行くよ。何でならハイドは“自分の持ってる力の意味を考えてる”。けどアンタは考えてない、いや、考える気もない」

 

「な、私はちゃんと・・・!」

 

「だったら何で今ここで手を拱くのさ?それに昨日も言ってたよね?“折神 紫から逃げおおせるなんて思ってなかった”って。本当に死を覚悟したのなら何であの時残ってまで折神 紫を討たなかったの?」

 

「・・・!」

 

「ちょ、ちょっと命ちゃん!」

 

「可奈美ちゃんは黙ってて」

 

異を申したてようとした可奈美であったが、命の気迫に一蹴されてしまう。

 

「結局アンタは自分の都合の良いようにしか考えられない。そんなんじゃ折神 紫を討つ以前の問題だよ」

 

「・・・何だと」

 

ここで姫和からようやく言葉が放たれた。

恐らく侮辱されたと思い、その事が遺憾だったのだろう。

 

「言ったはずだ、私には成し遂げなければならない事があると!」

 

「だったら荒魂はその為のハードルの1つでしょ?倒さないと進めないよ」

 

「・・・だが・・・」

 

「それに」

 

自身を奮い立たせ言葉を口にする姫和と命の冷徹な言葉の間に楓が入り込む。

 

「アタシと師匠、ついでにアイツはアンタらを守るように言われてるの。簡単に捕まえさせる訳ないでしょ?」

 

楓の言葉に姫和はハッとなり顔を俯けるが、すぐに顔を上げる。その表情は何かを決めたように引き締まっていた。

 

「フッ、そうだったな」

 

「姫和ちゃん!」

 

「ああ・・・

 

 

 

行くぞ!」

 

 

 


 

 

 

同じ頃、親友の可奈美を探していた舞依にもスペクトラムファインダーにより荒魂の出現が知らされる。

 

「(こんな時に・・・)すみません、近くに荒魂を発見しました。私は現場に向かいます!」

 

捜索に協力してくれた運転手に事態を伝え、舞依は車を降り走って現場に向かう。

 

 

 


 

 

 

そしてそれはも一方も同じだった。

 

「チッ、こんな時にかよ!」

 

アラームが鳴った携帯の表示を見て毒づく灰斗。

彼の運転するバイクの後ろには五恵も同乗している。

 

「暁君・・・」

 

「分かってるよ御影さん、行くぞ!」

 

灰斗は携帯をしまうとバイクのハンドルを握り五恵は灰斗の腰に手を回す。

その際彼女の女性の証が背中に当たり嫌でも意識してしまうが、その煩悩を振り払いアクセルを回しその場でUターン。荒魂発生の現場に急行する。

 

 

 


 

 

 

緑道公園で人々が逃げ惑う中、空で鳥の翼を持った虫のような荒魂が咆哮を上げる。

 

「キィィィィ―――!」

 

その咆哮は生物の物より、機械のそれに近かった。

 

「ほら、死にたくなかったら早く逃げなさい!そこのアンタ大丈夫?」

 

「あ、ありがとうございます・・・!」

 

楓が人々を誘導し避難を促す中、可奈美と姫和と命が御刀を抜き荒魂と対峙する。

 

「私が追い込むから姫和ちゃんは後方から支援、命ちゃんは遊撃をお願い!」

 

「了解!」

 

「オッケー!」

 

可奈美が前衛で迅移を使い荒魂との距離を詰め斬りかかるが荒魂はすぐさま上空に逃げ、急降下して姫和に向かっていくが、

 

「おっと!」

 

石田正宗を抜いていた命が割り込んではじき返して荒魂の速度を殺し、既に構えていた姫和が脚の1本を切り落とした。

 

「キィィィィ―――ッ!!」

 

分が悪いと思ったのか荒魂が逃げようとするが、脚を一本斬られているためその飛び方はふらついて速度も出ていない。

 

「可奈美!」

 

「うんっ!」

 

よろめく荒魂に可奈美が御刀を振り上げる―――――

 

 

 

「ギャアァァァッ!」

 

 

 

「えっ!?」

 

―――――直前に地面が盛り上がりもう1体の荒魂が飛び出してきた。

 

「地面から荒魂!?」

 

地面から姿を見せた荒魂はオケラに酷似した姿をしているが、前脚のかぎ爪はより鋭く長くなっている。

飛び出してきた勢いで空中に吹っ飛ばされてしまう可奈美。そこを逃がさんと鋭利なかぎ爪で引き裂かんと振り上げる。

 

『可奈美(ちゃん)っ!!』

 

姫和と命が助けに向かおうとするが虫型の荒魂が行く手を遮り、その間にもオケラ型荒魂のかぎ爪が可奈美に振り下ろされる。

 

「あっ・・・」

 

可奈美の脳裏によぎるは同じ美濃関の仲間達の笑顔。

父、兄、母と大好きな家族、そして・・・

 

何処かで見た事のあるかもしれなかった灰斗の姿。

 

 

 

ドンッ!!

 

『っ!?』

 

だがかぎ爪が可奈美に振り下ろされる事はなく、何か思い発射音が聞こえるとオケラ型荒魂がよろめき出し背中から地面に落下する。

 

「何だ・・・何が起きた!?」

 

 

 

「悪ぃ、遅くなっちまった!」

 

「お待たせ!」

 

そこに聞こえるは少年の声。

全員が声のする方を向く。

 

「ハイド!ごえちゃんも一緒だ!」

 

鳥居の真下、

そこにいたのはライフル銃を左手で荒魂に向ける灰斗と同じくスナイパーライフルを荒魂に向ける五恵。

 

「ったく、遅いわよバカ!」

 

いつの間にか姫和の隣に二振りの貞宗を抜いている楓がいた。

 

「ったく相神、これでも俺はお前より年上だぞ?そう言うなら埋め合わせは目の前の荒魂を潰すのでいいか?」

 

「何を言っている!刀使でないお前に・・・!」

 

「アイツに心配なんて必要ないわよ。

 

 

 

・・・少なくともアンタより強いから」

 

楓は姫和にそう言うと写シを張り荒魂に突撃しもう一方の脚を斬り落とす。

荒魂はたまらず上空に逃げるが楓はそれよりも高く跳躍し

 

「せやあぁぁっ!!」

 

仕込んでいた金具で右足のローファーに伏見貞宗を固定しそのまま脚を振り下ろして荒魂の左翼を斬り落とした。

翼を失った荒魂はそのまま落下していく。

 

「十条!」

 

「あ、ああ!」

 

つい見入ってしまった姫和はボーっとしていたが楓の呼びかけにハッとし落下してきた荒魂の首を切り落とした。

 

 

 

「おい、俺の仲間が随分世話になったな。・・・今からその礼をしてやるよ!」

 

可奈美の前に立ち鞘から黒い御刀を抜いた灰斗がその切っ先を荒魂に向ける。

驚くべきことに荒魂が後退りしている。

 

「俺が怖ぇか?当然だよな、俺ぁ今テメェにすげぇ腹立ててんだからな!」

 

荒魂が人間に恐怖する、そんなあり得ない事が目の前で起きていて可奈美は戸惑いを隠せない。

 

「灰斗君・・・」

 

「衛藤、お前は下がってろ」

 

灰斗の言葉にハッとし頭を振って足についた砂を払う。

 

「何言ってるの・・・まだまだこれからだよ!」

 

払い終えた可奈美は灰斗の左隣へ歩き再び御刀を構える。

そして右隣にスナイパーライフルを後ろ腰にマウントし自分の御刀である“黒漆大刀(くろうるしのたち)”を構えた五恵が立つ。

 

「オーケイ。スリーマンセルだ、行くぜ!」

 

『はい!』

 

可奈美と五恵が同時に駆け出し、灰斗は左手に箱型弾倉が付けられた鞘を取り掌で回転させる。

すると鞘がその姿を変えソードオフ型のライフル銃になった。

 

 

 

 

事は灰斗が合流を試みる前まで遡る。

 

「それと師匠から、暁君に渡したい物があるって」

 

「ハツ姉から?」

 

行動を起こそうとした灰斗を五恵が引き留め、テーブルの下に置いてあったバッグから箱型弾倉が取り付けられた黒塗りの少し大振りの刀の鞘を取り出した。

 

「・・・刀の鞘にしちゃデカくねぇか?」

 

「私も最初はそう思ったよ。これが説明書だって」

 

五恵は更にメモ用紙を1枚灰斗に渡しその内容を見る。

 

“灰斗君用にメイドイン私の特製鞘です♪変形して片手で撃てるライフル銃になりますよ♪”

 

「・・・相変わらずぱねぇな、ホント頭が上がんねぇよ」

 

「あはは・・・」

 

 

 

 

荒魂が2人に向け両手のかぎ爪を振り下ろすが、

 

ドンッ!ドンッ!

 

灰斗からの援護射撃でかぎ爪の軌道がずれて空振りに終わる。

両手を地面に叩きつけ傷ついたところを可奈美と五恵が同時に斬りつける。

 

「ギ、ギャアァァァ―――ッ!!」

 

斬りつけられ怒った荒魂が今度は可奈美に標的を絞り攻撃してくるが、

 

「待たせたなお前ら、出番だぜ!」

 

フィー!

 

自分の御刀を地面に差し灰斗が右手の親指と人差し指を咥え指笛を鳴らす。

すると灰斗のすぐ隣を2つの何かが高速で通過していく。

そして荒魂に取り付いた瞬間、

 

カジッ!

 

「ギャアァァァッ!!」

 

何かが荒魂に噛みついて。

それはよく見るとライオンの鬣を付けた緑色のオオカミのような生物と、額に角のような突起が生えた赤い鳥のような生物が荒魂を攻撃していた。

 

「え、な、何!?」

 

「止まらないで!」

 

五恵に促され戸惑いつつも痛みに苦しんでいる荒魂に2人が同時に荒魂の頭を切り上げる。

それにより頭が持ち上がりふらつく荒魂。

 

「暁君!」

 

「おう!」

 

そこに灰斗が駆け出し、左手でライフルを荒魂の頭に向け撃ちながら接近。

頭に弾丸が直撃し荒魂が怯んでいる間に灰斗が跳躍し荒魂の頭頂部に御刀を刺しそのまま背中を走って切り裂いていく。

そして腰まで達し御刀を荒魂の身体から抜いて飛び降り、左手のライフルを鞘の形態に戻し御刀を収める。

すると同時に荒魂が頭から腰にかけ真っ二つに切り裂かれそのまま左右に開きながら倒れていく。

 

「やったね灰斗君!」

 

「お疲れ様」

 

「ああ、衛藤と御影さんの功労だぜ」

 

ナデナデ・・・

 

『あっ・・・』

 

「あ・・・」

 

ご褒美のつもりかはたまた自然か可奈美と五恵の頭を撫でる灰斗。

それに気づき声を漏らした後にパッと手を離す。

 

「わ、悪ぃ!嫌だったか!?」

 

「い、良いよ別に!その、気持ちよかったし・・・」

 

「わ、私も・・・嬉しかったかな・・・」

 

「そ、そう・・・?」

 

「あ~っ、可奈美ちゃんもごえちゃんもズルい!ハイド!メイもなでてよ~!!」

 

「ばっ、ちょ、待てって!!」

 

命までも騒ぎだし収束がつかなくなってきた時だ。

 

「おい」

 

灰斗の背に御刀の切っ先が突き付けられる。

その犯人は、姫和だった。

 

「ちょ、姫和ちゃん!?」

 

「・・・俺、何かしたか?」

 

御刀を向けられるような事に覚えの無い灰斗が姫和に問う。

 

「何か、だと?そこにあるだろう!何故人間が荒魂を使役している!?」

 

どうやら姫和は荒魂を攻撃した2匹の生物が荒魂だと分かったようだ。

2匹を見れば倒した荒魂のノロを少量だが食して体内に取り込んでいる。

 

「あ~あいつらか、確かにあいつらは・・・」

 

 

 

 

「可奈美ちゃんっ!!」

 

『っ!?』

 

するとそこに突然聞こえた可奈美達の中ではない第3者の声。

その声の主は、

 

「舞依ちゃん!」

 

「美濃関の追手か!」

 

舞依の登場に姫和はすぐに御刀を構える。

灰斗も御刀を舞依に向け警戒する。

 

「ま、待って!舞依ちゃんは私の親友で・・・。舞依ちゃん、どうしてここに・・・?」

 

「スペクトラムファインダーに荒魂の反応があったから。もう退治してくれたみたいだけど、お陰で会えた・・・」

 

ちらりと舞依は可奈美達の後ろにある荒魂の死体を見る。

 

「親友なら何故御刀を向けている?」

 

「聞いて可奈美ちゃん!羽島学長が約束してくれたの、私と一緒に帰ってきれくれれば罪が軽くなるように全力で助けてくれるって!でも、それには条件が。十条さん、そしてそこにいる皆さんも折神家に投降してもらいます」

 

「悪いが、それに協力はできない」

 

「ああ、悪ぃけど実力行使だ」

 

「協力しなくていいです。私が力尽くでねじ伏せますから」

 

舞依が写シを張り、姫和と灰斗が刀を構えるのに合わせ、楓と命と五恵も御刀を鞘から抜き構える。

既に場は一触即発の空気だ。

 

「待って皆!ここは一旦御刀を収めて・・・」

 

可奈美が何とか仲裁に入ろうとするが灰斗を除いた全員が写シを張り臨戦態勢を整えている。

 

「・・・親友だから、可奈美ちゃんは私が助けます!!」

 

そして舞依が迅移で仕掛けそれに合わせ姫和と灰斗達も仕掛ける―――――

 

 

「ダメ―――ッ!!」

 

 

―――直前に可奈美が舞依と姫和の間に割り込み、抜いていた御刀を振り舞依の御刀を弾く。

 

「可奈美ちゃん!?」

 

「ごめん舞依ちゃん、私も姫和ちゃんも皆も、まだ捕まる訳にはいかないの!」

 

「どうして・・・っ」

 

「私見たの!御当主様が姫和ちゃんの技を受けた時、何もない場所から御刀を取り出した時に後ろによくない物が・・・」

 

「やはり、お前には見えていたのだな」

 

姫和の言葉に可奈美は頷く。

 

「一瞬だったし見間違いだったかもしれないけど、今なら言える。あれは・・・()()だった!」

 

可奈美の言葉に舞依は言葉を失った。

それ程までに可奈美の発言は衝撃的だったのだ。

 

「そんな事・・・だってあの方は折神家の当主様で、大荒魂討伐の大英雄で・・・」

 

「違うぜ」

 

舞依の言葉に今度は灰斗が異を唱える。

そして姫和と顔を合わせた時に姫和は何かを悟ったか頷いた。

 

『ヤツは・・・折神 紫の姿(皮)をした(被った)、大荒魂だ!』

 

姫和と灰斗が同時に言葉を発し、舞依は落雷に撃たれたようなショックを受けた。

 

「そんな・・・じゃあ、折神家も・・・刀剣類管理局も・・・五箇伝も・・・」

 

「その全てを荒魂が乗っ取っている」

 

姫和の止めの言葉にとうとう舞依はその場に佇んでしまう。

 

「・・・とにかく、私は姫和ちゃん灰斗君たちを放っておけない、だから舞依ちゃん、お願い!」

 

舞依からすれば十条姫和と他の4人の事は全くと言って良い程何も知らない。

そんな彼女達の言葉には信憑性が感じられない、否、()()()()()()の方が正しいだろう。

だが親友の可奈美からの言葉と覚悟に、舞依はどうすれば良いか分からなくなってしまった。

 

 

【迷うくらいなら自分の好きな事をしたらいいわ。その先の結果が貴女の答えなのだから】

 

 

「・・・本気、なんだよね?」

 

舞依の質問に可奈美は頷く。

そして暫し沈黙が流れ、やがて舞依が写シ解き御刀を収めた。

そして姫和と命達も写シを解き、刀を収める

 

「舞依ちゃん・・・」

 

「分かってるよ、可奈美ちゃんのやる事はいつも本気なんだって・・・それから・・・」

 

舞依は制服のポケットから小袋に包んだクッキーを取り出し可奈美に手渡す。

 

「他の荷物は押収されちゃって、返してもらえなかったんだ・・・」

 

「・・・ありがとう・・・」

 

可奈美は渡されたクッキーを静かに受け取る。

 

「十条さん、他の皆さんも、・・・可奈美ちゃんを、私の親友をよろしくお願いします!」

 

舞依は姫和と灰斗達に向け頭を下げる。

それに姫和は“私は自分のすべき事を果たすだけだ”と告げ去っていく。

 

「任しとけ!絶対守ってやるからよ!」

 

「うんうん!メイたちが付いてるからね!」

 

「2人共気楽な物ね、けど安心して、絶対に返すって約束するから」

 

灰斗は右手でサムズアップ、命は何度も頷きながら、楓はそんな2人に若干呆れつつも確かに返答し、五恵は舞依に向き合い丁寧に頭を下げ、4人はその後姫和と可奈美の後を追いその場を去った。

 

 

 


 

 

 

やがて雨も本降りになり、公園のドーム型遊具で雨を凌いでいる可奈美達。

 

サクッ モグモグ・・・

 

「美味しいよ、舞依ちゃん・・・」

 

「いい友達じゃん」

 

「大事にしないとだね?」

 

「うん・・・、あれ?」

 

小袋の中にクッキーと共に何かメモのような物が入っている。

可奈美はそっとその手紙を取り出し開く。

 

「何だろう・・・」

 

 

 

“困ったらここに連絡してください

  090-5553-89674    ”




ED:Strike my soul/望月 命(CV:洲崎 綾)、相神 楓(CV:藤田 茜)、御影 五恵(のぐち ゆり)

自分ってクォーターポイントやターニングとかの重要局面は手を抜きたくないといいますかどうも普通では納得できないようで、えらく長ったらしい回になってしまいました・・・。
それと今回から予告風の物を入れます、予告の元はすぐ分かると思いますので、では!



~次回予定~



「回し者!?」

「時間の無駄でしたわね」

「大っきい~っ!」

「ね~!」

「See you、マイマイ!」

「待ってたよ可奈美!」



「勝てねぇよ、お前じゃ」



~元美濃関の協力者~
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