それでは
『どうぞ!!』
夜道、比較的街灯のない道を一人の男が走っていた、いや逃げていると言った方が的確か、何かに怯えるように男はひた走る、息が切れたのか立ち止まり膝に手を置きながら息を整え背後を確認する男、その背後には何者の姿もなく安心したが次の瞬間安堵の表情は絶望へと変わる、笑い声がするのだ、それも到底人のそれとは思えないような笑い、男の顔から血の気が引け慌てて周囲を見渡すそして見つける、つい先程まで何者も居なかったな筈の背後にフードを被り鎌を持ち顔がある部分から赤い光が見え隠れしていた、その何者かが明るい場所に来るとその顔は骸骨そのものだった、男はその姿を見るや前を向き逃げ去ろうとするが前にもその何者かが居た。男は前後を塞がれ、困惑しているなか、その者達は少しずつ不気味は笑い声を上げながら近付いてくる、男は意を決して前方の怪物に向かって己の個性で腕を刃物に変え切りかかる、しかし恐怖に支配された攻撃は安易に避けられる、その隙をつき男は走り去ろうとするが鎌の先で襟元を捕えられ元の位置に吹き飛ばされる、男はそれなりに体格がよく体重もあった、しかしそんな男を簡単に投げ飛ばす怪物に勝ち目が無いと悟り諦めた、その姿を見て怪物は獲物を狩るべく鎌を振り上げ飛び上がり男を引き裂こうとした、何時になっても襲ってこない痛みに疑問を感じ上を向くと赤いコートを着た何者かが巨大な剣で怪物の鎌を押さえ込んでいた
???「ちっ、クズ共の反応があるからきてみれば下級かよ…萎えるが、ここでこいつ殺されるのも迷惑だ…特別だ相手してやるよ」
声からして女だろうか、その女が男の方へ一瞬目を向けると大剣を背中にしまい2丁の拳銃を取り出し交差させるように構える、すると空間が割れるようにその中から怪物が姿を現す
???「さぁ、LET'S DANCE!」
そこからは凄まじいの一言だった、男の個性は断じて弱い訳では無い、寧ろ実力で言えば強い部類の男が歯がただなかった怪物相手にまるで踊るように戦い圧倒したのだ、その戦いは男にとって永遠とも一瞬とも言える出来事だった、気が付けば周りの怪物達は居なくなり女は男の前に立っていた、座り込んでいたこともあり見誤っていたが背丈は自分よりも低く体格や背丈からして中学生ほどの少女だった
???「よォおっさん、怪我ねぇか?運がなかったな、クズ共に目ェつけられるなんてよ」
男「お、お前は何者だよ!アイツらは!?そもそもこの国には銃刀法ってのが…」
そこまで聞いて少女はやれやれと言った風に肩をすくめる
???「おいおい、犯罪犯してるってならお互い様だろ?そもそも俺のはちゃんと国から許可もらってんの、分かるか?敵さんよ」
男「な、なんの事だよ!人をいきなり敵呼ばわりなんて!」
???「個性無断使用に強盗殺人、オマケに若い女何人も強姦した挙句口封じに殺すようなサイコ野郎がなーに言ってんだか」
そうこの男は世間に知られる様になったのはつい最近だが認知される前から強盗殺人や強姦等様々な犯罪を繰り返していた敵(ヴィラン)なのだ
???「さ、大人しく往生しな、これ以上罪重ねn…」
そこまで言って男は少女を抑え込む
???「おいおい、俺の話聞いてたか?それとも俺の話が聞こえないくらい俺はいい体してっか?それなら嬉しいね」
男「うるせぇ!どうせもうサツにチクってんだろ?なら最後にいい思いしてもバチは当たんねぇだろ!?」
少し錯乱しているのか訳の分からない理屈を述べる男、少女は呆れたような声を出し忠告する
???「それも然りだな、言っとくが俺はお前より強いからここで俺をヤろうってんなら死ぬ覚悟しとけよ?」
男「へへへ、お前こそ立場理解してんのかよ、今優位なのは誰かわかってねぇのか?」
???「あぁ分かってるよ…俺が優位なのさ」
男「なっ!グハッ…」
組み抑えていたはずの少女が消え背後から声がし鈍器で殴られたような感覚とともに男は意識を失う
???「やれやれ、とりあえず警察にコイツ届けるか、あぁめんどくせぇ」
男を肩で担ぎ少女は姿を消した
後日朝のニュースで強盗殺人等の容疑で指名手配されていた男が何者かの手によって警察へと身柄を届けられ逮捕されたと言う話で持ちきりだった、捕まえられた男は「悪魔が殺しにくる」等とよく分からない事を呟きそれ以外は口を割ろうとしなかったとの事、その話は中学生等も話題となっていた
少年「しっかし誰だろうな捕まえたの!夜に活動するヒーローなんて数すくねぇけどよこの辺で活動してるって話聞いてねぇしよ」
少女「そもそもヒーローなら何者かだなんて言わないんじゃない?もしかしたら『アイツ』かも」
少女「アイツって最近噂のヴィジランテ?赤いフード付きのコートを来てるって言うあの?」
少女「そうそいつ!今じゃここいらのヒーローより敵の捕獲人数が多くて警察も追跡できないっていうあの!」
少年「まぁ確かにそいつって線は濃いけどよ、なんであいつは捕まらねぇんだろうな?」
少女「知らない…でもカッコイイよね!声聞いたことあるって敵が言うには女の子って話だし!私憧れちゃうな!」
少年「いやヴィジランテに憧れてどうすんだよ…なぁ『藍莉(アイリ)』もそう思うだろ?」
藍莉「知らねぇよ、俺は眠いんだ話降んな殴るぞ」
少年「相変わらずどぎついな!?」
先生「おい剣崎は居るか?」
少女「藍莉呼ばれてるよ」
藍莉「ちっ、あいよ」
先生に呼ばれ藍莉、剣崎藍莉は先生について行った
藍莉「んで先生、俺になんの用?」
先生「あぁ、お前そろそろ進路希望出したらどうだ?」
藍莉「進路?あぁ中卒でいいよめんどくせぇ」
先生「駄目だ、ちゃんと考えろ、お前は頭も運動神経もいいんだここはパッと雄英のヒーロー科とか言ってみろよ」
藍莉「じゃぁ雄英もうそこでいいよ」
面倒くさげにそう答えると先生は顔を引き攣らせる
先生「あのなぁ…」
藍莉「俺はヒーローなんて興味ないんだよ、自由に生きて好きなタイミングで死ぬ、それが俺の生き方なんだよ」
先生「そうは言うが今時職に就くのはかなり大変だぞ?ヒーローは免許とやる気さえあればサイドキックにだってなれるしお前の個性ならサイドキックどころかプロヒーローとしてだってやってけるぞ?」
藍莉「…はぁ今日1日時間くれ、それで答え出すから」
先生「わかった、ちゃんと考えてくれよ」
その後すぐ解散となり藍莉は進路相談室から出て頭を掻きながら廊下を進んだ
藍莉「おい店長、やってるか」
店長「おぉ誰かと思えばお得意様の藍莉じゃねぇか、今日はどうした?」
藍莉「進路の事で教師にあれこれ言われて腹たったから弾きに来た、何時もの使えるか?」
店長「おうよ!何ならついでに飯食ってくか?ピザ頼んであるんだが」
藍莉「おう助かる…オリーブ抜きな」
店長「わーてるよ、ほらそこに置いてるから好きに弾きな」
店長に断りを入れエレキギターに手をかけチューンを済ませ、ピックを掴み一気に奏でる、その音は店の外にも聞こえる程のボリュームだった、しかし誰も咎めない、その音はお世辞にもリズミカルとは言えるようなものでは無かったが、その音はまるで彼女の叫びのようにも聞こえ、その音に魅入られているからだ、店長もその1人であった、デタラメな弾き方に最初は眉をひそめていたがそのうちにその音が何を表しているのかに気付き耳を傾けるようになったのだ、そしてそんな音に魅入られたものがもう1人店に入ってくる、彼女が弾き終え一息つくと拍手が送られる
???「へぇなかなかロックじゃんアンタの音」
藍莉「俺のこんなのでロックとかお前耳イカれたか?」
???「ウチ耳はいい方だよ?まぁ確かにリズムも何もあったもんじゃなかったけどさ、なんかグッときたんだよね、なんて言うかこう現状に不満を抱いてますってそう叫んでるようでさ」
藍莉「へぇ、俺の音聞いてそう判断したのは店長入れて2人目だな、気に入ったあんた名前は?」
耳郎「ウチは耳郎響香、アンタは?」
藍莉「剣崎藍莉だ藍莉って呼んでくれ」
耳郎「オッケー藍莉、ウチのことも響香って呼んでくれて構わないよ?」
2人は会ってすぐなのにも関わらず仲良くなり談笑していた
店長「ホレ、ピザオリーブ抜き持ってきたぜ」
藍莉「助かる、お前も食うか?」
響香「いいの?ならお言葉に甘えて」
2人は店長の差し出したピザをつまみながら話を続ける
藍莉「となると響香は雄英のヒーロー科目指すのか、たいしたもんだな」
響香「藍莉はどうなの?やっぱ雄英?」
藍莉「それが決めかねててね、何せヒーローになんて興味無いもんでさ、でも響香が行くなら俺も行こかな?なんて」
響香「いいじゃん一緒に行こうよ、先生から行けるって太鼓判押されてるんでしょ?」
藍莉「しかしなぁ…いや待てよ?ヒーローになったらアイツに近づけるか?…よし俺も行く」
響香「なんか決める要因があったようで何より、でも倍率凄いよ今年大丈夫?」
藍莉「筆記と実技だろ?余裕だ」
響香「その自身は何処から…」
響香に呆れられるも藍莉は雄英に行く事を決めた
翌日
先生「要するに新しく出来た友達に背中押されたから行くと?」
藍莉「それもあるが何より目的ができたんでね」
先生「どんな目的かは聞かんが敵になるなんてオチはやめろよ?」
藍莉「わーてるよ」
後頭部を掻きながら面倒くさげにそう答える藍莉、この瞬間から彼女は大きな渦へと巻き込まれることとなる
という訳で今回はここまで!ちょっと今後どうなるかわかりませんが最優先事項は真弥くんなのでこれは箸休めか気分転換に書いていきます
それではまた次回お会いしましょう!
『待て次回!!』