くるみちゃんてぃーえす!   作:カモシカ

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ごめんなさい、短めです。


第一夜

 夜になったら自然に『かれら』が引いて行った。何故だろうか?単に諦めたのか、他の獲物を見つけたのか、それとも───下校した、とか。

 

 分からない。

 分からない。

 

 なんでこんな事が起きたのか。

 壮大なドッキリだったらいいな。映画の撮影かな。それとも俺の夢なのかな。

 

 分からない。

 分からない。

 

 田中と大野(あいつら)が生きてるのか、あるいは、死んで、いるのか。

 本当に屋上は安全なのか。どうすればあいつらの侵入を防げるのか。

 

 分からない。

 分からない。

 

 分からない、けど。

 

「みんな、ちょっといいかしら」

 

 まずは、先生の言う通り、

 

「動ける人は手伝って欲しいの。どこか一つ部屋の安全を確保したいわ」

 

 動かなければ。

 

 

 

 ****

 

 

 

 俺はゴム手袋を着けて、シャベルを握った。

 高橋もゴム手袋を着けて、けど何かを振り回すのは無理だからと、作物用の支柱を数本束ねて持った。それで『かれら』を押しのけるという。腕を、少し怪我しているらしい。取り敢えず若狭さんが持っていた絆創膏を貼った。

 先生はゴム手袋を着けて、スマホのライトと手鏡を持った。

 

 最後まで先生は自分がやるといって聞かなかったけれど、力比べで圧倒して無理矢理シャベルを奪い取った。俺が殺るのが、一番いいからだ。

 先生の悲しそうな、悔しそうな顔が印象的だった。

 

 表情の抜けた丈槍さんと、自分は戦力にならないから丈槍を見ていると言った若狭さんを屋上に残して、俺たち三人は物理実験室を目指した。トイレが隣にあって、しかも理系の高橋が何か良いものを作れるかもしれないからだ。

 

 予想に反して、『かれら』はほとんど居なかった。廊下に二体、女子トイレに一体、物理実験室に一体。男子トイレと物理準備室には居なかった。

 

 高橋が『かれら』の足を払い、俺が踏みつけて、シャベルを突き刺す。首を狙うのが一番いいみたいだ。他のところを突き刺しても────っ!

 

 やめよう。

 

 俺が職員室側を、高橋が教室側を見張っている間に、先生が物理実験室の机を押して運ぶ。バリケードだ。長くて重い机なので、どうにか二つ重ねれば良い壁になる。隙間を椅子で埋めて、固結びで固定した。簡易的なので、明日補強する必要があるだろう。教室側も同じように封鎖した。

 

 階段はもっと簡易的だ。踊り場に机を下ろすのは、音を立てられない現状難しかった。結局は俺が見張っている間に先生と高橋で物理実験室の椅子を並べ、固定。大挙してきたら足止めにもならないだろうが、その間に俺達が屋上に逃げ込めればいい。

 

 最後にもう一度範囲内を隈無く探し、『かれら』が居ないことを確認して、丈槍さんと若狭さんを呼んだ。とは言え何をしたのか見せるだけだ。女性陣には屋上で寝てもらう。現状、屋上が最も安全だから。

 

 丈槍さんはバリケードを見て泣いた。叫ばなかっただけマシだと言うべきなのか、どうか。案の定職員室側から一体寄ってきたが、バリケードを乗り越えてくることは無かった。暫くすると離れていったので、もしかすると『かれら』は夜中は動きが鈍いのかもしれない。

 

 敷布団はカーテンで、掛け布団は新聞紙。それが今夜の寝床だ。どこのホームレスだよ、まったく。

 

 だが、そんなことは言ってられない。床に直に寝なくていいだけマシだろう。

 夕食は無し。確認するまでもなく、誰もそんな気力は無かった。

 

 

 

 ****

 

 

 

「高橋、なんか武器になりそうなのあるか?」

「いや、投げつけるくらいしか使えそうにないな。化学実験室ならともかく物理実験室じゃ、な」

「そうか・・・・・・ま、今の装備でも十分だろ」

 

 俺達は実験室を探索しながら話し合いをしていた。言うまでもなく、この非現実的な状況を生き抜くために。

 

「なあ、これ、何なんだろうな」

「さあ、な。多分感染症だってことしか分からない」

 

 分からないことだらけだった。分かるのは、何も分からないってことだけ。

 

「俺、階段見張ってるからさ、お前は先に休んでくれ」

「おいおい俺も見張るぞ。お前だって疲れてんだろ」

 

 高橋が馬鹿なことを言い出した。こんなことになって単独行動なんてやっていい訳が無い。

 

「大丈夫だよ。一時間したら交代してもらうから」

「でも・・・・・・」

「いいから寝とけ。お前が居なきゃ誰が『かれら』を倒すんだよ」

「・・・・・・一時間したら起こせよ」

 

 高橋の説得に頷かされ、結局高橋と交互に見張りをすることになった。『かれら』は階段が苦手らしいから、椅子を崩して登ってくる音が聞こえてから屋上に逃げ込んでも間に合うだろう。

 今思えば、この時から様子はおかしかったんだ。それに気づいていれば、何処で腕を怪我したのか問いただしていれば、あんな別れをせずに済んだかもしれない。

 

 寝る直前、ちらりと見えた高橋の右手首は、何故かロープで繋がれていた。





高橋晃希・・・・・・インフルエンザの潜伏期間が1週間になるくらい免疫力が強い。傷が治りやすい体質。『人類の希望』になり得るかは不明。


ここおかしいだろ、ってことろがあればご指摘ください。


次話もおそらく二日後になります。
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