「神埼克也?確か……行方不明中の……」
「そう、その行方不明中の神埼克也だよ」
黒いコートを着た成人男性ぐらいの背丈に赤い眼、黒髪をした男性……克也がそう答えた。
「そんな人が私に……何のようですか?」
「俺の協力者に君達を見張るように言われていてね……それで今の君が死にそうだったから手助けをね」
「見張る?それに……君達?」
克也の言ったことで分からない部分を文が口に出すと克也はそれらについて軽く説明をした。
「そうさ。龍騎、ナイト、ベルデ、シザース、ゾルダ、ガイ、炎凰の今行方が分かってる七人のライダーをね。まあ、ベルデに関しては既にリタイアしてるけどね」
「ガイ、それに炎凰……また新しいライダーですか。それと手助けなんて……余計なお世話です」
そう言うと文は不意討ちで克也の顔面を殴ろうとするが。
「危ないなっと」
克也はその不意討ちの筈の手を自分の手で掴み取った。
「……!?」
「それなりに鍛えてるみたいだけど……まだまだだね」
文が無言で驚いていると克也はボルキャンサーのカードを取り出した。
「それは……」
「そっ、君の契約モンスターだよ」
それを克也は掴んでいる文の手に強引に握らせた。その行動に文は驚きの声をあげる。
「え?」
「モンスターは大事にしないとね……まあうちのモンスターとは仲良くしたくないけど」
克也は苦々しげな顔でそう言った後、本来の目的を思い出したのか文に質問した。
「さて、君の願いはなんだったかな?」
「私の……願い?それは……死ぬk……」
「違うだろ」
文が死ぬこと、と言おうとするのを遮って克也が喋りだす。
「君の願いはそれじゃないだろう」
「……え?」
「よく思い出してみろ……君はベルデを殺した後何を望んだ?それこそが、君の希望だろう」
「私は……そうだ。私は両親を、両親を復活させたい!!」
文の目に狂信的な光が灯る。それを見た克也は何処かやりきれない顔を一瞬するがすぐにその表情を隠して文に言った。
「そう、それでいいんだよ。うん、ついてくるといいよ。君に新しい力をプレゼントしよう」
「はい!!あっ……その前に」
文はそう言うと生徒手帳。それから紅葉、はたてと一緒に撮った写真を投げ捨てる。
投げられた写真はは風に飛ばされて何処かに行き、生徒手帳は草むらの中に消えてしまった。
「……捨ててもよかったのかい?」
「はい!それよりも早く行きましょう克也さん!!」
「……はいはい」
二人はそう言いあうと何処かに歩いて行った。
それから数日後の幻想学園
「魔理沙、あれから文のやつ見かけた?」
部長や部員がいなくなったため、廃部となった新聞部の元部室の机に座りながら霊夢と魔理沙の二人が状況を報告し合っていた。
「全然見かけてないのぜ。静香とか先生も聞き回ってくれてるらしいけどそれらしい情報はないらしいのぜ」
「私のほうも似た感じよ。レッダー達の話じゃ契約モンスターも行方不明らしいし」
「まさか、誰かに殺されとかは……」
霊夢が座っていた机から立ち上がって言った。
「そんなわけないでしょ。……あの馬鹿はそんな簡単にくたばらないわよ」
「そうだな」
二人が文の安否を心配している頃、ある刑務所に詠姫と古町は来ていた。
「これは……どういうことですか?」
詠姫は刑務所に入ると自分をここに呼び出した知り合いの女性弁護士に会ってそう呟いた。その弁護士の姿が異様だったからだ。
女性は車椅子に座って両足を包帯などで巻き、右手を包帯でくるんでいるが爪の部分から血が滲んでおり、更には顔も若干だがはれていた。
「……八雲ですよ。八雲威」
「あの超極悪犯罪者ですか?最近漸く捕まえたと聞きましたが」
八雲威とは15歳にして殺人、恐喝、ゆすり、誘拐、強姦などなど、あげていてはきりがないほどの犯罪を行なった凶悪犯だ。
「そいつにやられたんですよ。……それで貴女を呼べと言われて貴女を呼びました」
女性は申し訳なさそうにそう言った。
「そうですか。……分かりました。後は任せて下さい」
「はい」
女性と別れると詠姫は八雲威が待っている部屋に古町を連れて向かっていた。そして部屋の前につくと古町に言った。
「古町、万が一に備えておきなさい」
「はい」
そう言うと詠姫は部屋のドアを開けて中に入る。
「よお、待っていたぜ。詠姫さんよぉ」
そう言ったのは手錠をかけられた赤いボサボサの髪の毛に黒いつり目、囚人服を着た男性……八雲威だ。
「私としては……貴方とはもう会いたくなかったのですがね」
「悲しいこと言うなよ。昔はよく世話をしてくれたじゃないか」
威は口角を上げながら昔を懐かしみ様な表情でそう言った。
「ええ、そうですね。……貴女が自らの両親を殺すまでは、ね」
「ああ、あの二人か。あの二人はいい両親だった……が、つまらん。だから殺した」
そう言った時の威の顔は何の感情もない平坦な顔つきだった。
「……っ!!!貴方はどうしてそんなに人の命を軽々しく扱うのですか!!」
「事実軽いからだ」
威は自らの爪で心臓付近を傷つけた。そこから少しずつ血が流れてきた。
「何をしてるんですかっ!?」
「人ってのはこんな傷でも深ければ死ぬ。それぐらい柔な存在を軽々しくしなくてどうする?ええ?」
「貴方はっ!貴方は自分の命すら軽く扱うのですか!!」
「ああ」
即座に威は何の感情も無い目でそう答えた。
「他人と自分、どちらの方が命が軽いかなんて考えるまでもないだろう?」
「……もう、何を言っても無駄ですか。……でっ、私を呼んだ理由は?」
意味が無いと分かったのか、説教を止めると、呼んだ理由を威に聞いた。
「何、こいつがお前を呼べと言って煩くてな」
『シャァァァ!!!』
犯罪者と面会などをする人を分けている所に蛇の姿をしたモンスター……ベノスネーカーが写りこんだ。
「なっ!?」
「詠姫様!?」
それを見ると古町は即座に詠姫の前に立ちベノスネーカーを警戒した。
「まさか……貴方もライダー!?」
「ライダー?何だそれは?」
威は本当に始めて聞いたのか年相応な表情で詠姫に再度聞いた。
「ライダーのことを知らない?」
『……謎』
「あぁ?何だそのデカイ奴は?大体聞いてるのはこっちだ」
ライダーになっていたとしても聞こえるわけのない他人の契約モンスターの声が聞こえたのか威は苛立った声をあげる。
「なっ、まさかマグナギガの声が聞こえた?」
「マグナギガ?……ああ、そこのデカブツのことか。ああ、確かに聞こえたなぁ」
『……危険。詠姫、逃げる』
「っ!そう……ですね」
「おい!!何処に行く!!」
八雲のその発言を無視して詠姫は古町を連れて部屋を出ていった。
「どうするんですか……詠姫様?」
部屋から出てきた古町は詠姫にそう聞いた。詠姫はよく考えてから答える。
「……様子を、見ましょう」
「分かりました」
とある場所にて克也が誰かと話していた。
「……気に入らないね」
「何がですか、克也君」
その誰かは声からして男性で椅子に座ったまま言った。
「確かに俺は願いを叶えるために貴方に従うと言った。しかし……何も絶望していた女の子を騙す必要は無いんじゃないか」
「騙してなどいませんよ」
椅子に座っている男性はそう答えた。
「私がしたのは正しい希望を与えたに過ぎませんよ」
「……それが俺にやらせたあの行為だとでも?」
「ええ。人というのは多くを望んではいけません。そうすればいずれ、人は自らを滅ぼし大切な物を失う。彼女はそうなる前に真実を知った。……良いことです」
「それは……友達を捨ててまですることなのか?」
それを聞いた男性は克也を一瞥すると不思議そうに言った。
「今回はやけに歯向かいますね。彼女が妹さんと同じ年だからですか?」
「それとこれとは関係ない!!」
男性にそう指摘された克也は一度叫ぶと口を閉じた。
「ふむ、まあいいでしょう。彼女なら私の期待にも答えてくれるでしょうし」
深夜のミラーワールドの何処かで士郎が思案していた。
「ふむ……龍騎とナイトは協力関係だが、未だにライダーバトルの本質を理解してない。ゾルダは戦っているが消極的。ガイは……そろそろ動くか。炎凰は……動かぬか。ライアはそろそろ行動しそうだな。そして……」
一拍置くと確認するかの様に言った。
「蒼雷、シザース、黄竜麟はほぼ同盟関係。その上現在の勢力では頂点に立っているか。……このままではまずいかもしれんな」
そう言って懐から残っていた王蛇のデッキを取り出した。
「オーディンも働く気がないようだからな……私も動くとするか」
士郎はそう言うとミラーワールドから消えた。