幻想仮面闘争~二人の英雄の闘い   作:紋章

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第肆拾話

「……静香の奴、宣戦布告のつもりかしらね」

 

 静香の宣言に対し霊夢はため息混じりに言った。

 

「宣戦布告だったのなら貴女は如何するのかしら?」

「そう言うあんたはどうする気よ」

「勿論、礼儀のなってない後輩にはお仕置きするつもりよ」

 

 優花はそう答えると巨木の方に向かって歩いて行こうとした

 

「待ちなさいよ」

 

 が、霊夢に呼び止められてその足を止めて振り返った。

 

「何かしら?」

「どうせ私もあっちに行く予定なのよね。だったら一緒に行かないかしら?こんな時なんだからライダー同士で争っても仕方ないでしょ」

「……それもそうね。でも、どうやって行くのかしら?」

「そりゃバイクで行くわよ」

 

 霊夢は優花にそう言うと懐からカードデッキを取り出した。すると何故か霊夢の腰にベルトが装着されていた。

 

「……まだ鏡には向けてないのにベルトが巻かれてるって、カズキ達の世界と同じになったのかしら」

「カズキ?……誰かは知らないけどそう言う訳じゃなさそうよ」

 

 霊夢が優花の方を見ると何故か其方も腰にベルトが巻かれていた。

 

「これは……どういうことかしらね」

「恐らく全ての仮面ライダーに同じ現象が起きてるんじゃないかしらね」

「まあ、その内分かるか。取り合えず今は変身、と」

 

 霊夢が龍騎に変身したのを見ると優花は怪訝そうな顔をした。

 

「まさかライドシューターで行くとか言わないわよね?」

「言う訳ないでしょうが。大体あれを私はバイクと認めたことは無いわよ」

 

 龍騎は素早くサバイブになるとドラグバイザーツヴァイにカードを入れた。

 

『FINALVENT』

 

 上空からドラグランザーがやって来るとその姿が変形していきドラグランザーバイクモード(BM)に変形した。

 

「さあ行くわよ」

「……待ちなさい。まさか貴女はこれをバイクだと言うつもりかしら?」

「……?どこからどう見てもバイクでしょ」

「……もう何も言わないわ」

 

 何を言っても無駄と悟ったのか優花はドラグランザーBMに腰掛けた。

 

『霊夢、この状態なら変身を解いても俺の姿はそのままだから変身を解除したらどうだ』

「それもそうね……あんたその状態でも喋れたのね」

 

 霊夢は変身を解いてからバイクモードのままで喋っているドラグランザーに変な目を向けた。

 

『まあ、自分でもビックリだがな。それにこの状態はユナイトベントよりはまだ楽だ』

「そう言えばずっと気になってたけどあれってそんなに辛いの?」

「例えるなら人間の手足を強引に接着剤でつけるような痛みだ」

 

 霊夢はランザーの言葉からどんな感じか想像してしまったのか顔色を悪くしながら言った。

 

「……今後は使用を控えるわ」

『そうしてくれ』

「貴方達、いい加減運転してくれないかしら?」

「ああ、そうだったわね。それじゃあ行きましょうか」

 

 霊夢はそう言うとドラグランザーを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

「魔理沙ー、ちょっと早すぎるよー」

「ん?ああ、すまん。ちょっと考え事をしてたんだぜ」

「ふーん」

 

 霊夢達とは反対方向から魔理沙と水華がダークレイダーBMを走らせていた。

 

 

 

 今より少し前に時間は巻き戻る。

 

「今の地震は一体?」

 

 突然の揺れに対して英行がそう呟くとタイミングよく水華と勇儀が慌てて部屋に入ってきた。

 

「ひ、英行!外のあれはなんなんだ!?」

「それにこの大学に居た他の人達も消えてるんだけどどういうことなんだい!?」

「ちょっと待ちたまえ二人とも」

 

 英行はそう二人を待たせるとカーテンの一つを開けて外の様子を確認した。

 町の中心点に巨木が出現してるのを見た英行はカーテンを閉めると神妙な面持ちで三人に話し出す。

 

「……三人とも落ち着いて聞いてくれ」

 

 その表情から三人は大事な話なんだと思い黙って聞いていた。

 

「まずこの大学から人が消えた……いや恐らくは全世界規模でライダー以外の人間が消えた件だが、静香と名乗っていた彼女の元にいる可能性が高い」

「どうしてそう思うんだぜ?」

「彼女の目的の一つだからだよ」

「目的って静香が言った世界を破壊するってやつか」

 

 魔理沙の言葉に頷いてから言葉を続けた。

 

「その通り。だが、彼女が言う破壊は僕達の物とは本質が違う」

「どういうことだい?」

「僕達はこの世界を破壊し、元々自分達が居た世界に帰ることが目的だ。しかし彼女の場合はこの世界を一度破壊したのちに再度世界を作り直すことだ」

「それの何が駄目なんだぜ?むしろ私達の計画よりも良いと私は思うんだけどな」

「それだけだったらね。……これを見てくれ」

 

 英行はそう言ってあるグラフを三人に見せた。

 

「何だこりゃ?少しずつ下がって行ってるけど……」

「それはこの世界のエネルギー分配率の表だよ。ところで魔理沙、君ならそのグラフで急激に数値が下がってる日に何が合ったか分かるんじゃないかな」

「はあ?……うーん」

 

 英行の発言に仕方なく魔理沙はその日の記憶を思い出しているとある共通点を思い出した。

 

「……仮面ライダーがこの世界から消えた事か」

「その通り。どうやら神埼士郎はこの世界を維持するのに僕達仮面ライダーを利用しているみたいなんだよ」

「それと静香に何の関係があるんだぜ?」

「……あー、そういうことか」

 

 英行以外で唯一水華だけは理由が分かったのかそんな声をあげた。

 

「水華、何か分かったのかい?」

「まあね。取り合えず魔理沙に質問だよ」

「何だぜ?」

「静香は世界を破壊した後にどうやって世界を作り直すと思う?」

「どうやって?……あーそう言う事かだぜ」

「……私は全然分からん」

 

 割と直ぐに分かった魔理沙と違って勇儀は全然理解できていないようで水華はいつもの事なのか特に呆れた様子も無く勇儀に詳しい説明を始める。

 

「勇儀、私達の目的の場合だとこの世界は破壊して行くんだから直す必要が無いのは分かるよね?」

「そこはまあ一応分かってる」

「よろしい。で、静香の場合は世界を破壊した後にもう一度作り直す作業が入るわけ何だ。それじゃあそれに必要な資源、エネルギーはどうすると思う?因みに現在は私達仮面ライダーのエネルギーを利用しているけどね」

「だったらそのまま私達を使えばいいだろ。……ああ!そういうことか!!」

 

 勇儀も納得したのを確認すると英行は再び話し出す。

 

「しかし、世界を構築する程のエネルギーを賄うとすればかなりのエネルギーが要る。それこそ僕達仮面ライダーが干からびる程度にはね。だからこそ彼女は早々に仮面ライダーに見切りをつけて人間……他のミラーモンスターの命を優先したんだろうね」

「成る程な……。それだけの事をした後静香はどうする気なんだろうな」

「僕にもそれは分からない。だからこそ君と水華でその真意を確かめて欲しい」

 

 英行がそう言った直後、魔理沙達にも霊夢達と同じ現象が起きた。

 

「森近、これもお前の仕業か?」

「知らないね」

「「ベルトの性で動きづらい」」

 

 ベルトに対して魔理沙は英行の仕業かと其方を見たが英行も不思議そうにしていた。尚、2名ほどはある意味呑気な意見を言っていた。

 

 

 

 

 

 

 この後直ぐに魔理沙と水華は外に出て霊夢と同じような過程でダークイレイダーBMを走らせていた。

 

「で、考え事って何を考えていたんだい?」

「いやな、他の仮面ライダーも向かって来てるのかなと思ってな」

「そんな事かい。別に来てても私達のする事に変わりはないだろ?」

「……それもそうだな。よし、じゃあ景気づけにアクセル全開で行こうか!!」

 

魔理沙はそう言うとダークレイダーBMの速度を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「近くで見ると本当に大きいわねこの木」

「そうね(何処となくあの亡霊の所の木に似ているわね……。と言う事はこれの製作者は神崎士郎か)」

 

 巨木の所まで来た二人は近くでその大きさを改めて実感していた。霊夢だけは別の事を考えていたが。

 

「そんでもってご丁寧に入り口まで用意されてるわね」

 

 霊夢が見た先には木の幹の部分が開いていて其処の上に北入り口と書かれていた。

 

「……罠ね」

「やっぱあんたもそう思う?でもこっちの方に入り口は此処だけだし他の場所を壊しても中に入れるかは分からない……だったら入るしか無さそうね」

「そうね。……そもそも罠が合っても私達なら何とかできるでしょ」

 

 二人は巨木の中に入って行った。中に入ると入り口は塞がってしまい……そして五秒で中に入った事を後悔した。

 

「……何よこのキモイモンスター達は」

「……確かバイゴーストって名前のモンスターよ」

 

 中には大量のバイゴーストが徘徊しており一斉に霊夢達の方に振り向いて来た。何体かのバイゴーストは何か顔を真っ赤にしてフガフガ!!言っていたが。

 

「優花、とっとと突破して静香の所に行くわよ」

「ええ。こいつらじゃ私の相手には役不足よ」

「「変身!!」」

 

 二人は腰のベルトに各々のデッキをセットし変身するとバイゴーストに突撃して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、魔理沙達は霊夢達とは反対方向の南入り口から入ると中には反対側と同じくバイゴーストが徘徊しており二人は既に変身を終えて応戦していた。

 

「おりゃっ!!たくっ……きりが綯いのぜ」

 

 ナイトはダークバイザーの一閃でバイゴーストの一体を倒しながら呟いた。

 

「まあまあ、一応少しずつ進んでるんだから文句は言わないようにー」

「へいへい」

 

 インペラーはカードも使わずに襲ってきたバイゴーストを的確に捕縛するとその顎に膝蹴りをくらわして無力化しながら進んで行った。

 そんな感じで二人が進んでいると横から聞きなれた声が飛んできた。

 

「おや、魔理沙さんじゃないですか。こんな所でどうしたのですか?」

「ん?ああ、詠姫か。お前こそどうしてこんな所に居るんだぜ?」

 

 やって来たのは既に変身しているゾルダだった。

 

「いえ、こんな事になって黙っていたら仮面ライダーの名が泣きますよ」

「まあ、それもそうだよな。どうせなら一緒に行くか?」

「そうですね。こんな時ですし一緒に行きますか」

 

 そんなこんなでナイト達は新しくゾルダを加えて更に先に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何であんたが此処に居るのよ八雲」

「それはこっちの台詞だ。此処は一体何処だ」

 

 バイゴーストを文字通り蹴散らして進んでいると何故か威が地面に寝ていた。

 

「俺は何処かの路地で寝てたんだがな……これは何だ?」

 

 威は木の壁を叩きながら聞いてきた。

 

「確かこの木って地面から出てきたのよね」

「ええ。……まさか」

「それに巻き込まれたのかしらね」

「やれやれ最近は良い事が無いし……おい龍騎今度厄払いをしろ」

「ただいま私の所の神様は300年家出しているから無理よ」

「……使えんな」

 

 普通に会話していた龍騎だったが可笑しな点に気付いた。

 

「そう言えば珍しくテンション低いわね」

「ほっとけ。普段は兎も角こう言った状況じゃやる気も起きん……だがお前達について行けば多少はましか」

 

 威はそう言うと王蛇に変身して立ち上がった。

 龍騎はそれをめんどくさそうにしていたが、仕方ないと割り切ったのか無理に声を張り上げて言った。

 

「それじゃあ先に進んでいくわよ!!」

 

 

 

 

 龍騎達が少し進むと今までの通路の様な場所から広間の様な場所になっている部屋に出た。中央部分には転送装置の様な物が置かれていた。

 

「あれを使うみたいね」

「そう見たいね……っ!?霊夢避けなさい!!」

「っ!?」

 

 アビスの発言が聞こえた龍騎は横にずれて何かの攻撃をかわした。

 

「一体何よ!!……てっ、マジで何よこいつ」

 

 龍騎が振り向いた先には骸骨がマントを羽織った様な存在が宙に浮いていた。その手には鎌が握られておりそれを振り下ろしたようだ。

 

「こいつ……結構強そうね」

「そうね。……霊夢、一つ提案よ」

「何よ」

「こいつを私に任せて先に行かないかしら?」

「……死なない約束が出来るなら任せるわ」

「余裕よ」

 

 アビスのその言葉を聞くと龍騎は一度頭を下げてから転送装置に向かった。

 

「ほら、貴方もあっちに行きなさい。これは私の獲物よ」

「……黙れ同類。貴様一人にやらせるか」

 

 王蛇の言葉を聞いたアビスは仮面の下で一瞬ポカーンとしたが直ぐに笑みを浮かべた。

 

「……ふふ。同類に会えるなんて長く生きてみるものね。貴方名前は?私は風見優花よ」

「八雲、八雲威だ。さあ、馴れ合いは此処までだ、此処からは武器が言葉だ」

「ええ、昔の血が騒ぐわ」

 

『『SWORDVENT』』

 

 二人はそれぞれの得物を構えると獲物に向かって強襲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「此処が取り敢えずのゴール地点みたいだな」

 

 その頃ナイト達も同じく転送装置のある部屋にたどりついていた。

 

「それでは少し休憩しましょうか」

「そうだねー。……は!?」

 

 インペラーが休憩しようとした矢先、変な声を上げるとそのまま自分達が来た道に振り返った。

 

「どうしたんだぜ水華?……がっ!?」

「っ!?何ですかこの重圧は!?」

 

 少ししてナイト達もそれを感じ取った。それは明らかにこれまでの敵とは比較にならない重圧を放っていた。にも関わらずその姿はまだ三人が目視できる距離には居なかった。

 

「くっ、魔理沙さん!先に謝って起きますよ!!」

 

 そう言うとゾルダはナイトを蹴り飛ばして転送装置を作動させ転移させた。

 

「ありがとさん」

「礼はこの状況を乗り切ってからにしましょう」

 

 ゾルダが言うと同時にそれはやって来た。

 金色の竜が幾重も巻きついたかの様な上半身に麒麟の足を模した下半身、左手には麒麟の角を模したガントレットがつけられ右手にはドラグバイザーの赤い部分を金色にしたゴールドバイザーがつけられていた。仮面は龍騎に似ているが何処か神々しい雰囲気を出していた。その赤い瞳で二人を見ながら声を出した。

 

「仮面ライダー王竜麟。邪魔をするのでしたら貴女方にも終わりが訪れますよ」




 言っておきます、この王竜麟はマジで可笑しいです。この作品内でも強さがキチガイです。それこそ神崎士郎(神)が居なかったらラスボスでしょうね。……次回でその圧倒的な強さが出て来ると思います。
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