幻想仮面闘争~二人の英雄の闘い   作:紋章

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 今回の話は前編となっております。


第肆拾參話

「行くぞ!!」

 

『SWORDVENT』

 

 ナイトは変身すると即座にダークバイザーにカードを読み込ませ、ウィングランサーを装備すると蒼雷に肉薄した。

 

「出来れば帰って欲しいんだけど……そうも行かないか」

 

『SWORDVENT』

 

 蒼雷もジンオウバイザーにカードを読み込ませレイピアの様なジンオウエストックを二本装備し、肉薄してきたナイトの振るったウィングランサーを弾いた。

 

「よっと!」

「うをっ!?」

 

 蒼雷はそのままナイトの手を掴むと一本背負いの様に投げ飛ばしそれとは反対の方向にジンオウエストックを振るった。

 

「ちっ、読まれていたみたいね」

「流石に一筋縄、とは行きませんか」

「まあ、当然警戒はしているからね!」

 

 蒼雷が攻撃を振るった方向からは龍騎とシザースの二人がそれぞれドラグセイバー、シザースバイザーを振るって来ていた。蒼雷はそれをジンオウエストックで防ぐと同時にドラグセイバーを弾き飛ばして龍騎に向かって蹴りを放った。

 

「当たらないわよ!!文!!」

 

 龍騎はそれを後ろにジャンプしてかわすと弾き飛ばされて落ちていたドラグセイバーを文に向かって蹴り飛ばした。

 

「何っ!?」

「了解しましたよ霊夢さん!!」

 

 蒼雷が驚いてる隙にシザースは飛んできたドラグセイバーを掴み取ると飛んでくる勢いを殺さずにそのまま蒼雷に向かって突いた。

 

「驚いたけどまだまだ甘い!!」

「くっ!!」

 

 だが、蒼雷はそれを上半身を捻ってかわすとシザースに掌底を叩き込んで後方に吹き飛ばした。

 

「ふぅ……」

「一息つくにはまだ早いぜ?」

「っ!!そう言えばまだ君がいたねっ!!」

 

 投げ飛ばされていたナイトだったが龍騎達が戦ってる隙に蒼雷の背後に立っていたナイトがファンタジアハッケロから魔砲を放った。

 蒼雷も回避行動を行ったが左腕に攻撃が少し掠ってしまった。

 

「やれやれ、流石に三人を相手にするのは厳しいね」

「文句は言っても聞かないわよ。先に変な事をしたのはあんたらなんだから」

「じゃあついでにもう一つ変な事を聞こうかな」

「……何よ」

「何故、君達はサバイブを使わないのかな?」

「あんた如きにサバイブは勿体無いからよ(……ま、実際はカードの温存だけどね。いつ静香が来るか分からないのにカードの無駄遣いなんて出来る訳ないっての)」

 

 霊夢が内心そんな事を思っていると蒼雷は一瞬頭上を見るとデッキからカードを取り出した。

 

「そう言う事なら使わざるを得なくしようかな」

 

『LIGHTNINGVENT』

 

 蒼雷はサブジンオウバイザーにそのカードを入れるとジンオウエストックを再度三人に向けて構えた。

 

「……何をするつもりよ?」

「それはくらってみれば分かるさ!!」

 

 蒼雷がそう言うと、突然姿が消えてしまった。

 

「なっ!?」

「一体何処に……」

「がっ!!」

「魔理沙!?」

 

 次の瞬間、気付けばナイトが殴り飛ばされていてその場所には代わりに蒼雷が立っていた。

 

「龍騎に関しては前にも似た様な物を見せたと思うけど、思い出せたかな?」

「そう言えば確かにしてたわね……」

「どうだい?サバイブを使う気になったかな……っ!?」

「なっ、文?」

 

 蒼雷が話していると、不意に後ろに向かってエストックを振るった。その先にはシザースがシザースバイザーで防御している姿があった。

 

「克也さんこそ忘れたんですか?私の能力が何なのか」

「……そう言えば文の能力は速さに関わる物だったね」

「ええ♪……まあ、出来れば克也さん相手に使うのは嫌だったんですけどね」

 

 シザースは一通り言うと、ライトニングベントのカードを取り出そうとしている龍騎に向かって言った。

 

「霊夢さん。此処は私に任せて先に行っておいてくれませんか?」

「理由次第かしらね。あんたとそいつは元々仲間だった訳だし、あんたには前科もあるわけだからね」

 

 龍騎はカードを取り出すのを止めると疑った様な声でシザースに聞いた。

 

「あんまり霊夢さんや魔理沙さんに言いたくない事もあるんですけど……答えないと駄目ですか?」

「ええ。答えないって言うなら私達はこのまま神崎克也を倒させて貰うわよ。それでも良いのかしら?」

「そ、それは……分かりました。話しますよ」

 

 覚悟を決める必要があるのか文は少し黙った後に小さい声で言った。

 

「……将来、結婚する人だから間違いを正させたいと」

「…………はあっ!!?」

「どう言う事なんだぜ!?」

「……嫌、待ってくれ。俺はそんな事了承してないし、文が勝手に言ってただけだろ!?」

 

 文のカミングアウトを聞いた三人は各々の反応を見せた。それを言った文は満足したような顔をしていた。それを見た龍騎は呆れながら言った。

 

「全く……分かったわよ。そういうことならちゃんと手綱を握ってやりなさい」

 

 龍騎はそう言うとまだ倒れているナイトの首根っこを掴んで引きずって行った。

 

「お、おい霊夢引っ張るな!!ていうか今回の私の扱いが酷くはしないか!?」

「いいから行くわよ。……文」

「何でしょうか?」

 

 その途中で振り返るとシザースに向かって言った。

 

「後でちゃんと追いつくのよ」

「……あやや、勿論追いつきますよ霊夢さん」

 

 龍騎はそれを聞くと「そう」と軽く返し先に進んで行った。

 

 

 

 

 

「それじゃあ克也さん。真面目な事を話しますよ」

「……何かな」

「貴方がライダーになって叶えたかった願いは何ですか?」

「そんな事か。簡単だよ、妹の、静香が幸せに生きるこt……「それは少し違いますよね」……何だって?」

 

 文は克也の話を遮る形で割り込んだ。

 

「私が何かを言う前に質問です。貴方が行方不明になる前の静香さんは幸せでは無かったんですか?」

「それは……」

「言い淀んだ時点で肯定と見させて貰いますよ。でも、それが本当なら可笑しな話ですよね」

「何がかな?」

 

 文は口元にまだ幼さが残るが人を魅了するかの様な笑みを浮かべて続けた。

 

「あやや、静香さんに幸せに生きて欲しいだけならずっと傍に居ればいい話でしたよね?例え何れは死んでしまう命でも貴方の願いを考えれば生きている間幸せならそれで良い筈です。むしろ傍を離れるなんて行為は彼女を悲しませるだけでしたよね?」

「…………」

「沈黙も肯定と取れますよ克也さん。その上で問わせて貰います。貴方が簿かした真の願いは何ですか?」

 

 文にそう言われた克也は暫し黙った後にゆっくりと口を開いた。

 

「……そんな事は今更どうでもいいんだよ文」 

「と言いますと?」

「確かに最初の願いとは違う形になったかもしれないけど……俺は静香が幸せになってくれればそれだけで良いんだよ。妹の幸せを祝福できない兄はいないからね」

「……そうですか。でも、貴方は一つだけ間違ってますよ」

「……何がかな」

 

 文のその言い方……まるで自分が今までしてきた事を全て否定するかの様な言い方に苛立ちを隠すことも無く言った。

 

「妹の幸せを素直に祝福できるのは素晴らしいと思いますよ。だからこそ貴方は選択を間違えた」

「別に俺は何も間違えてないよ」

「いえ、間違ってます。貴方が兄なら……何で間違った方向に行こうとしている妹を止めないんですか?」

「……え?」

 

 文にそう言われた克也は考えた事も無かったのかキョトンとした声を出した。

 

「あ、文。君は一体何を言ってるんだ?静香が間違ってる?そんな訳ある筈が……ある……筈……が?」

 

 その克也の言葉には明らかな動揺があった。まるでずっと隠していた秘密を一番見られたくない人物に見られたかのような反応に文は納得の意味を込めて一息ついた。

 

「やっぱり……見ないようにしていたんですよね?自分がしている事から」

「あ、文……」

「……自暴自棄になっていた私に優しくしてくれていた貴方が世界を破壊する事を是とするのは違和感があったんですよ。でも、最初から見ないように、自分の意見を捻じ曲げていたのなら話は別ですよね」

「…………」

 

 文に其処まで言われた克也は遂に無言になってしまった。

 そして文は仮面の下で顔を若干紅潮させながら更に言葉を続けた。

 

「大事なものを守る為なら自分の事なんか気にしない克也さんだからこそ私は貴方の事が好きで、守りたいと思ったんですよ?」

「…………遅いさ」

 

 最後まで話を聞いた克也は先程までの落ち着いた声色でなく感情をありのままに出した声色で呟きだした。

 

「今更俺にそっちの世界は似合わないよ文。もう戻るのには遅かったのさ。だから……これ以上俺を惑わさないでくれ!!!!」

「……私も最近まではずっとそう思ってましたよ」

 

 克也の本音を聞いた文は優しい声色で言った。

 

「そんな私に彼女は頼んでも居ないのにずっとずっと帰って来いと言ってくれてたんですよ。それでも私は断り続けましたよ、だってこんな人を裏切って、何度も友人を倒そうとした人間が戻っていいわけなんてありませんからね」

「その通りだよ。俺達は……もう光の当たる世界には戻れない」

「ええ。……でも、それは誰が決めたんですか?」

「どういうことかな?」

 

 文は克也のその問いに迷いの無い声で言った。

 

「それを決めるのは私達じゃない。決めるのは……あっちの世界の人達なんですよ。私が戻ったら皆に迷惑が掛かる、そう思ったから私は行方を隠しました。でも、それは逆だったんですよ」

「逆?」

「そう。私達が居なくなった事で迷惑が逆に掛かった……それに気付いたら私の悩みなんて馬鹿らしくなりましたよ。克也さんも覚えがあるんじゃありませんか?」

「……静香」

 

 克也の呟いた言葉に文は満足したのか手を鳴らした。

 

「それじゃあ話し合いは終わりですよ。克也さん……今後どうするか返事を」

「……ああ、決まったよ」

 

 蒼雷はそう言うとその拳をシザースに向けて構えた。

 

「この戦いに負けたら文に従う、ってのはどうかな?」

「その勝負受けて立ちますよ克也さん……いえ克也」

「ふふ、いいよ。好きに呼びなよ文」

 

 シザースは相手の呼び方を変えながらデッキからサバイブ-激流のカードを取り出し変化したシザースバイザーツヴァイに読み込ませた。

 シザースSは矛と盾ののシザースバイザーツヴァイを構えた。




 さて……次回は久しぶりの鬱展開です。行くぞ読者達、希望の貯蔵は十分か!!!!(やけくそ)
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