幻想仮面闘争~二人の英雄の闘い   作:紋章

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 久しぶりの投稿ですが……微鬱が入っているので視聴には最新の注意をお願いします。


第肆拾伍話

「それにしてもだ、結構歩いたと思うんだがまだ静香の所にはつかないのかねー」

「少なくともここまでは一本道だったし道を間違えたって事は無いわよ」

 

 霊夢と魔理沙の二人はカードを復活させる為に一度変身を解除し、道なりに進んでいた。

 

「そう言えば……霊夢。お前はこの世界の真実についてはもう知ったのか?」

「何よ藪から棒に。まあ、最近知ったわよ」

「そっか……」

 

 霊夢の答えに少し考えた後で魔理沙は質問した。

 

「それでもお前はこの世界を守るのか……?」

「……ていっ」

 

 そんな質問をしてきた魔理沙に霊夢は特に考えるでも無く、霊力で強化した拳を頭目掛けて振り下ろした。

 

「いったっ!?いきなり何するんだぜ!?」

 

 その痛みに頭を抑えながら魔理沙は霊夢に掴みかかった。霊夢はそんな魔理沙を見てため息をつくと掴みかかられた手を退けながら言った。

 

「情けないから殴らせて貰ったわ。謝るつもりは無いわよ、少なくとも今のあんたにはね」

「何だとッ!?」

「世界を守るとかそんな事は当たり前の事でしょうが。私達がすべき事はその後で幻想郷に帰る事でしょ?第一、世界を壊してまで幻想郷に戻ろうとするなら……博麗の巫女としても仮面ライダーとしても許す訳には行かないわよ?」

 

 そう言った霊夢の瞳は以前魔理沙と戦った時の様な迷いは無く、かつて博麗の巫女として幻想郷で異変を解決していた時と同じ迷いの無い色をしていた。

 それを見た魔理沙は気付くと後ろに下がってしまっていた。

 

「っ!!……それでも私は幻想郷に戻る。それを邪魔するなら例え霊夢だろうと……殺す」

「あんたに出来るとは思えないわよ。……私何かよりも人の良いあんたには、ね。取り敢えずは静香を止めるのが先決だけどね」

 

 自分を鼓舞する為に言った魔理沙の言葉を霊夢は否定すると再度歩き出した。魔理沙もそんな霊夢を軽く睨みながらも置いてかれるのは嫌なのか後ろからついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして二人が歩いているとやがて道の先から光が溢れている場所につき、二人はその先に進んで行った。

 

「ここは……」

「この建物の頂上、みたいだな」

 

 二人が出たのは巨木の屋上で周りの景色を見ると高層ビルの屋上よりも高い事が分かった。

 

「ここからならこの町の最後が良く見えるわよ」

 

 二人の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「そう……そんな物を見ても面白くも何も無さそうね」

 

 その声に向かって霊夢はあえて背を向けたまま返事をした。

 

「そう?今まで私達が住んでいた町の最後を見れるなんて中々無い経験だと思うけど」

「そんな経験したく無いっての」

「……静香、今なら冗談だと思って許してやる。だから、今すぐ世界を元に戻せ」

 

 魔理沙は声を掛けてきた静香の方に振り向いてそう言った。

 

「ここまで来たら私の意思でも止められないわ。止めたかったら……」

「お前を殺すしかないってことか」

「正解♪」

 

 魔理沙の解答に静香は笑みを浮かべながら言った。それを聞いた霊夢は静香の方を振り向いて片方の目を閉じながら言った。

 

「そんな事だろうとは予想が着いてたけど……嫌に楽しそうに振る舞うのね」

「……楽しいよ」

 

 霊夢の言葉を聞いた静香は口調を元に戻すと穏やかな雰囲気と共に話し出した。

 

「あの頃の私じゃ霊夢ちゃんや魔理沙ちゃんの今居る場所には来れなかった。……ううん、それだけじゃない。ここまで私が生きているのだって"あの人"が色々教えてくれたから、だからこそ今此処に居れるんだよ。それを考えたら楽しくもなっちゃうよ」

「……あの人?」

「それは……霊夢ちゃんにも言えないよ」

 

 静香はそう言うとカードデッキを取り出しながら二人に質問をした。

 

「二人とも私を殺せる?」

「それしかないんだったらな。少なくとも私はもう覚悟が決まってるぜ?」

 

 そう言いながら魔理沙は横の霊夢を横目でチラッと見た。

 

「静香は……殺さない。その上でこの世界も救う、それが私の答えよ」

「やっぱり霊夢ならそう言うよな」

「……ふざけないで」

 

 霊夢の言葉に魔理沙は何となく分かっていたのか肩をすくめた。そして静香はと言えば霊夢の発言を聞くと凄まじい殺気を放ちながら霊夢を睨んだ。

 

「ふざけてないわよ」

「そんな事が出来るのなら世界はこんなに残酷に出来てなんかいない!!」

「そうね。それなら……そんな世界を管理している連中を殴り飛ばす」

「……もういい。そんな戯言しか言えないなら此処で死んで逝け!!!!変身!!!!」

 

 霊夢の返した言葉を聞き届けた静香は激昂しながらムラサキに変身した。

 

「死なないわよ。あんたも私もね。変身」

「それじゃあ私も変身っと」

 

 霊夢と魔理沙も龍騎とナイトに変身をした。

 

『SWORDVENT』『SWORDVENT』

 

「行くわよ魔理沙!」

「おうよ!」

 

 龍騎はドラグセイバーをナイトはウィングランサーを装備し、左と右から攻撃を仕掛けた。

 

「甘いのよっ!!」

 

 

『FANVENT1』

 

 二人の攻撃に対してムラサキは速度の恩恵で青白い輝きを纏ったパピヨンバイザーで押し返すとその勢いで二人に掌底を叩き込んだ。

 

「くっ!まだまだよ!!」

「霊夢!今のそいつの攻撃は後からもくるから気をつけるんだぜ!!」

「ご忠告どうも!!」

 

 龍騎はナイトの言葉を元に普通の直感で危ないなと感じた所をかわしながらムラサキに肉薄した。

 

「接近できた所で結果は変わらない!!」

「それはどうかしらね!」

 

 ムラサキは接近してきた龍騎に扇を振るう……と見せかけて回し蹴りを放った。しかし霊夢も直感と幻想郷で培った経験でそれを事前に察するとドラグバイザーで攻撃を防御してムラサキのパピヨンバイザーを切り上げた。

 

「小賢しいわ!!」

 

 ムラサキは瞬時に体制を立て直し、上空に切り上げられたパピヨンバイザーの元まで跳んだ。

 

「その行動は読んでたぜ!!」

 

『STRIKEVENT』

 

 その手にファンタジアハッケロを持った魔理沙はその言葉と共にムラサキに向かって魔砲を放った。

 

「無駄無駄無駄!!!!」

 

 しかしムラサキはその攻撃に向かって未だに青白く輝いているパピヨンバイザーで何度も斬り付けて升目状になるまで切り裂いた。

 

「おいおい、いくら何でも化け物すぎるだろ」

「当たり前じゃない私は化け物よ」

 

 地面に降りたムラサキは冷静になったのか落ち着いた声でそう言った。そしてパピヨンバイザーを周囲に向かって振るった。

 

「これで私の四方にはたとえ霊夢ちゃんだろうと近づけない。逆に私はここからでも斬撃を飛ばせるわよ」

 

 そう言いながらパピヨンバイザーを閉じていつでも斬撃を放てる体制に入った。

 

「……(魔理沙、一つ提案があるのだけど)」

 

 龍騎は長い付き合いだからこそ出来るアイコンタクトで魔理沙に語りかけた。

 

「……(何だぜ?)」

「……(私が少しの間だけど時間を稼ぐわ。その隙にあんたには上空から静香にファイナルベントをして欲しいのだけど……行けるかしら)」

 

 龍騎の言葉にナイトは少し考えてから不適に答えた。

 

「……(お前が私を信じるならな)」

「……(それなら大丈夫ね。任せたわよ相棒)」

「……(お前こそしくじるなよ相棒?)」

 

 アイコンタクトを終えると龍騎はデッキからカードを取り出し読み込んだ。

 

『SWORDVENT』

 

 龍騎は両手にドラグセイバーとドラグソードの二本を持ち構えた。

 

「早い攻撃には手数で相手してあげるわよ」

 

 龍騎はその二本を交差させた状態で突っ込んだ。そしてムラサキが放った時間差の斬撃を直感で読み取り大雑把に剣を振るいながら突撃して行った。

 

「っ。諦めが悪いわよ!!!」

 

 ムラサキは徐々に迫ってくる龍騎を牽制するために飛ぶ斬撃を放った。龍騎はその斬撃をかわしたり、二本で防御したりしてムラサキと一定の距離を保っていた。

 

「……(可笑しい。霊夢ちゃんならもっと距離を詰められる筈なのにこれ以上進もうとして来ない、これじゃあまるで時間稼ぎのよう……そう言えば魔理沙ちゃんは?)」

 

 ムラサキがふと周囲を見回したがいつの間にかナイトの姿が消えていた。

 

「何処に……」

 

 ムラサキがそう呟いた瞬間、

 

『FINALVENT』

 

 上空から音声と蝙蝠の鳴き声が聞こえてきた。

 

「っ!!?」

「静香!こいつで少しは頭を冷やせ!!!!」

 

 ムラサキが空に眼を向けるとナイトが飛翔斬の準備に入るのが見えた。

 

「くっ!!」

 

『FANVENT3』

 

 ムラサキは即座に力の恩恵で赤く輝き出したパピヨンバイザーを飛翔斬に向かって振り上げた。

 

「この程度で私に届くと思ったのかしら魔理沙ちゃん?」

「は、一人で無理でも……二人ならどうだ?」

 

 ナイトはムラサキとのぶつかり合いを続けながら仮面の下で不適に笑った。

 

「何ですって?」

「ナイスよ魔理沙!」

 

『FINALVENT』

 

 龍騎はムラサキがナイトとぶつかっている隙に距離を取りドラグバイザーにカードを読み込ませた。

 

「しまっ!?」

「たぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 龍騎はナイトの攻撃を防御しているので手が塞がっているムラサキに向かってドラゴンライダーキックを放った。流石のムラサキもこれには防御が間に合わず直撃をくらい、その際にナイトへの防御が緩みダメ押し気味に飛翔斬をくらって屋上の端の方まで吹き飛ばされた。

 

「霊夢、言っちゃなんだが外道過ぎないか?」

「……やってから言わないで欲しいわね。まあ、静香がこの程度で倒れるとは思えないけど」

 

 そう言い、油断無く二人が見ている前でムラサキは扇を軸にして立ち上がる。

 

「言ってくれるわね。これでも防御はそこまで化け物じみて無いわよ」

「よく言うわ。ファイナルベントを二つもくらって立ってこれる癖に(あれでも駄目とかほんと化け物過ぎるわね)」

 

 そう平然と言った龍騎だったが内心ではそれなりに焦っていた。そしてムラサキはと言うと一つため息をついてから扇を開いた。

 

「やっぱり、これを使わないと駄目そうね」

 

 そう言ってムラサキはカードをデッキから取り出した。

 

「っ。静香それは一体……何だぜ?」

「少なくとも良さそうな物には見えないわね」

 

 静香が取り出したカードを見た二人は本能的に危険だと感じる事が出来た。

 

「皆の持つサバイブ、あれは仮面ライダーの力を高める事を前提に作られた物。そしてこれはそのサバイブとは違う方法で力を得るために私が見つけた外法よ」

 

 そう言いムラサキはパピヨンバイザーにカードを読み込ませた。

 

『VARIANT』

 

 バリアント、異形と言う意味の音声が流れるとムラサキの体を紫色の風が包んだ。

 

「静香!?」

「こいつは……やばいかもな」

 

 龍騎は突然の事態に驚き、ナイトは何故だか分からないが中にいる何か(・・)に警戒していた。

 

「……………………」

 

 紫色の風が止むと其処には仮面ライダームラサキでは無く黒い髪をショートにして着物を着た静香の姿があった。ただ、普段と違う所が二つ合った。一つは腰にまだベルトとカードデッキがついている事、そしてもう一つは……

 

「「翅?」」

 

 その背中に蝶の様な紫色の翅が四枚生えている事だった。

 

「……」

 

 静香はそんな二人を静香が見た、

 

「「ッッ!!?」」

 

 次の瞬間、二人の脳裏には自分達が血まみれで倒れている姿が幻視された。

 

『『SURVIVE』』

 

 二人は頭に浮かんだその光景に思わず背後に跳びサバイブのカードを各々の召喚機に読み込ませた。

 

「サバイブかー……無駄だよ」

「へ……?」

「魔理沙!?」

 

 静香がそう言った次の瞬間、二人の隙間に一歩で近づきナイトSが驚いている隙に悲鳴を上げる間も与えずに地面に叩き伏せた。

 

「次は霊夢ちゃんだよ」

「っ!!!」

 

 続けて静香は隣の龍騎Sを頂上から落とす勢いで蹴り飛ばした。

 

「くっ、落ちるわけにはいかないわよ!!」

 

『SHOTVENT』

 

 飛ばされている途中で龍騎Sは自身の能力で宙に浮き、反対側にドラグバイザーツヴァイを向けて霊力と炎が混じった球体を放って自身の体を減速させた。

 

「はぁぁぁ!!!」

「くらいなさい!!」

 

 そして体制を立て直したナイトSはダークブレードを静香に向かって振るい、龍騎Sも静香に向かって球体を放った。

 

「駄目だよ二人とも、そんな攻撃じゃ蝶すら殺せないよ?攻撃ってのはこうするんだよ」

 

 静香はその二つの攻撃に対し、最初にナイトSのダークブレードを二本の指で挟み防御し勢いをつけて龍騎Sと反対方向に投げ飛ばした。そして、自身の翅の一部を毟るとその翅が少しずつ変化して行き、芭焦扇の様な形の扇へと変化した。

 

「なっ!?」

「ぐぅぅ!!」

 

 静香が二人に向けてそれを振るうと暴風が吹き上げ、二人を飲み込んだ。

 

「分かってくれた?」

 

 静香がそう言って地面を扇で叩くと暴風が止み、二人は地面に墜落してきた。

 

「ぐっ!」

「くっ。一体……その姿は何なのよ静香?」

 

 ナイトSは受身も取れずに地面に叩きつけられたが龍騎Sは何とか受身を取って着地すると息を整えながら聞いた。

 

「霊夢ちゃん、サバイブは仮面ライダーの力を高めるってのは言ったよね。このバリアントはそれとは別でミラーモンスターの力を高めるんだよ」

「モンスターの力を高める……それにしたってサバイブの状態の私達、しかも二人がかりでも勝てないのはどう言う訳かしらね?」

「そうだなー二人がバリアントを使っても今のと強さは変わらないけど私が使うとここまで変わるんだよ」

 

 静香は龍騎Sを指差しながら言った。

 

「私達とあんたの違い?……そう言う事。要は種族が違うからってことね」

 

 龍騎Sの回答に静香は満足そうな笑みを浮かべた。

 

「そう言う事だよ。種族が仮面ライダーの人がサバイブを使えば私と同じ領域に来れるんじゃ無いかな」

「そんな種族は居ないわよ、多分」

「わ、私も同意するぜ」

 

 二人が会話している間、ずっと倒れていたナイトSが起き上がって霊夢に同意してきた。

 

「魔理沙、大丈夫?」

「さっきまでの記憶が無いけど大丈夫だろ。そんな事より静香、さっきの暴風は何なんだよ!」

「……記憶が無いって大丈夫じゃないでしょ」

 

 龍騎Sが言った小言は誰の耳にも届く事は無かった。

 

「バリアントで私とライトバタフライの能力が大幅に強化されたお陰だよ魔理沙ちゃん。ライの毒と私の風の力が合わさったのが今の私。そしてこの扇は……うん。デスハリケーンとでも名づけ様かな」

「そんなんありかよ……ん?強化って事はもしかして……」

 

 今の言葉から何かを思いついたのかナイトSはカードデッキの中を手探りで探し始めた。

 

「……あれ?」

「何を探してるのよ魔理沙」

「ふふ、魔理沙ちゃん。探し物はこれ?」

 

 静香はデスハリケーンの扇部分から二枚のカードを取り出して一枚をオープンした。

 

「んなっ!?」

 

 そこにあったのはある意味魔理沙を象徴したカード、ラーニングベントのカードだった。

 

「さっきの一撃の時に貰っておいたんだよ魔理沙ちゃん。流石にバリアントの力を取られるのは嫌だからね」

「は?そのカードってそんな事も出来るの?」

 

 静香の発言に思わず霊夢は聞いてしまっていた。

 

「そうだよ。本人のキャパシティ以下ならば例えサバイブでも奪えるのがこのカード。だからこれともう一つの不確定要素のストレンジベントも盗らせてもらったよ」

「……さっきから感じてた嫌な予感はそれかしらね」

 

 龍騎Sは仮面の下で苦々しそうな顔になっていた。

 

「じゃあ再開しようよ二人とも。勝たせる気は無いけどね」

 

 静香は中腰にデスハリケーンを構える。

 

「ちっ、魔理沙死ぬ気でやるしかなさそうよ!」

「そうするしかなさそうだな!」

 

『SWORDVENT』『SWORDVENT』

 

 二人は自分の武器を構えなおすと静香に接近する。

 

「はあ!」

「遅いよ魔理沙ちゃん」

 

 始めにナイトSがダークブレードで静香に連続して斬りかかった。が、静香はその攻撃の全てをデスハリケーンで器用に防御し、時々ナイトSの装甲に風の衝撃を叩き込んでいた。

 

「私もいるわよ!」

「忘れてないよ霊夢ちゃん」

 

 隣に居た龍騎Sもドラグブレードで攻撃をするも静香はそのドラグブレードの攻撃を生身の筈の左手で防御していた。

 

「暴風の舞」

 

 静香がそんな言葉と共にデスハリケーンを振るうと静香を中心に竜巻が発生した。

 

「ぐっ、させるもんか!!」

 

『BLUSTVENT』

 

 ナイトSも負けじとダークバイザーツヴァイにカードを読み込ませ暴風を起こし竜巻と相殺させた。

 

「邪魔しちゃ駄目だよ魔理沙ちゃん!」

「ぐがっ!!!」

 

 攻撃を止めたナイトSの方が危険と感じたのか静香はナイトSをデスハリケーンで叩き伏せた。その一撃の余波でナイトSが倒れ伏せた場所にはクレーターが出来ていた。倒れ伏せたナイトSはそのまま気を失ってしまった。

 

「魔理沙!?くっ、静香こっちよ!!」

 

『FLYVENT』

 

 その光景と地面の様子を見て此処で戦うと考えた龍騎Sはカードの力で空を飛ぶと静香を呼び寄せた。

 

「今度は空中戦?分かったよ霊夢ちゃん」

 

 静香は背中の翅を動かして空を飛ぶと龍騎Sの目線の高さまでやって来た。

 

「ええ、今度は空でよ!!(くっ、さっきから直感は攻撃の位置を知らせてくれるけど体の方がついていけて無さ過ぎる!!せめて静香の動きを少しでも止められれば何とかなるのだけどね!)」

 

 先程から龍騎Sは未来予知クラスの直感で攻撃の場所は分かっているが肉体のスペックが違い過ぎてついていけずに居た。

 

「まだまだ行くよ霊夢ちゃん?」

「……こうなったら私のスペル、全部余さずに見せてやろうじゃない」

 

 龍騎Sはそう言って新しいカードをドラグバイザーツヴァイに読み込ませた。

 

『TRICKVENT』

 

「今更トリックベント?」

 

 分身した龍騎S達を見て静香は不思議そうに呟いた。そんな静香には構わず龍騎S達は手に色のついたカードを取り出した。

 

「宝具「陰陽鬼神玉」!!」「妖怪バスター!!」「夢符「二重結界」!!」

 

 その内の三名がそれぞれスペルを宣言し、静香に霊力で練られた巨大な陰陽球、連なったお札、そしてそれらが放ったれてから静香の周囲を結界が囲んだ。

 

「数を多くしてもね、」

 

 静香はそう言うと周囲にデスハリケーンを振るって弾幕も結界も全てを薙ぎ払ってしまった。

 

「無駄なんだよ霊夢ちゃん……?」

 

 結界が崩れてから龍騎S達を見ると人数が三人しか居ない事に静香は気付いた。

 

「一体残りの二人は何処に……」

「「霊符「夢想封印」!!!!」」

「っ!?」

 

 ここよりも更に上空に移動していた残りの龍騎S達が其処から静香に夢想封印を放った。しかし、これまで手加減でもしていたのだろうか、凄まじい速度で夢想封印を回避するとその勢いのまま分身二体を消し去ってしまった。

 

「くっ!!」

「ふふ、騙されたよ霊夢ちゃん。全部のスペルを見せるっていいながら途中で決める算段だったんだね」

「……ばれちゃあ仕方ないわね」

 

 本体の龍騎Sは分身を消すとそう言った。

 

「潔いよね霊夢ちゃんって」

「そうでもないわよ静香?」

 

 龍騎Sは何故か楽しげに言ってきた。

 

「……?」

 

 その光景に静香は変なものを感じた。

 

「静香、今度があったら魔理沙の意識の確認はちゃんとすることね」

 

 その言葉に静香が反応するよりも早く、地上から一筋の魔法が放たれた。

 

「ぐっ!!?」

 

 ダメージはそこまで無いが攻撃がしたから来た事に静香は驚きを隠せずに居た。

 

「……!(ここよ!!)夢符「封魔陣」!!」

 

 その隙をついて龍騎Sは静香に呪いのお札を貼り付け動きを封じた。

 

「くっ!こんなもの!!」

「外される前に決めるわよ!!」

 

『FINALVENT』『FINALVENT』

 

 空中と地上の両方から同じ音声が鳴った。

 

「行くわよレッダー!!」

『おう!』

「レイダー……行くぜ!!」

『全く、お前は毎回無茶をするな。ま、付き合うがな!!』

 

 空中ではドラグランザーがバイクモードに地上では眼を覚ましたナイトSに呼ばれたダークレイダーがバイクモードに変化していた。

 

「「いっけぇぇぇぇ!!!!」」

 

 空中のドラゴンファイヤーストームと地上からの疾風断が静香に直撃し爆発が起きた。

 

「魔理沙、傷は大丈夫なの?」

「……ぶっちゃけ立ってるのも辛いのぜ」

 

 地上にバイクに乗ったまま降りた二人は雑談をしながらも静香が立っていた場所を見つめていた。

 

「……手ごたえはあったわよね?」

「少なくとも直撃はしたはずだぜ」

「流石は二人だよ」

 

 龍騎SとナイトSが最悪な想像をしていると爆風の中から翅にくるまれた静香の姿があった。

 

「私のこの翅で防御したのに二枚も持ってかれるとは思わなかったよ」

 

 静香が言うように背中の翅の二枚はボロボロで静香が言う頃には消滅してしまった。

 

「くそっ!あれだけの攻撃でこのダメージかよ」

「そうね……いえ、ちょっと待ちなさい静香。その背中の翅どうしたの?」

「え……!?」

 

 しかし消滅したのは二枚だけでなくもう一枚、液体の様に溶けていってしまい静香の口から血がこぼれた。

 

「静香!?」

「どう言う事なんだぜ!?」

「くっ、副作用だよ二人とも……」

 

 静香はそう言いながら周囲にある風で似たような翅を作って代用した。

 

「副作用?」

「バリアント、あんな力がデメリット無しなら此処まで温存する必要も無かったでしょ?」

「確かに……なら何を代償にしてるのよ」

「私の命」

 

 静香は特に迷う事も無く言い放った。

 

「は?」

「それは……何のジョークだぜ?」

「ジョークじゃないよ。これが私の覚悟。自分の命を捨ててでも私は願いを叶える!」

 

 静香の目には確かに覚悟があり、その気迫に二人は黙ってしまった。

 

「……私の方もそろそろ限界だから次で決めよう?この戦いの決着を」

「……魔理沙、まだ魔力は残ってる?」

「魔力?いや、残ってはいるが……どうする気だぜ?」

「ファイナルベントを使い切った私達が出来るのは精精人間の全力を見せる事よ。……この姿になってからまだ使ってないスペル、ラストスペルに掛けてみましょう?」

 

 龍騎Sの発言にナイトSは呆気に取られたがすぐに笑みを浮かべて言葉を返した。

 

「その賭け、乗らせて貰うとするぜ!!」

「ええ。それじゃあ……決着の時よ静香!!」

「そうね!!」

 

『FINALVENT』

 

 静香は自らの翅にファイナルベントのカードを投げ入れ、デスハリケーンに紫色の風を纏わせる。ナイトSは魔力を限界まで練り上げる。龍騎Sも霊力を最大限まで搾り出していた。

 そして、その時は来た。

 

「死風の舞!!」

「魔砲「ファイナルウィングスパーク」!!!!」

「神霊「夢想封龍・瞬」!!」

 

 静香の放つ致死性の毒を持った暴風、魔理沙の放つ蝙蝠を模した超極太の魔砲、霊夢の放つ高速の夢想封印で出来た龍がぶつかり合い辺りを光が包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、はあ、はあ」

「くっ……もう動けそうにもないぜ」

 

 光が止むと其処には変身も解除され、息も絶え絶えな霊夢と魔理沙が地面に膝をついていた。

 

「…………私の負けだね」

「ええ、そうよ。静香……あんたの負け、よ」

 

 立っている静香に向かって霊夢が勝利宣言をした。静香には既に翅も無くなっており、地面には割れてないカードデッキが落ちていた。

 

「……ん」

「てっ静香!?」

 

 変身が解除された影響なのか倒れそうになった静香を霊夢が急いで支えた。

 

「霊夢ちゃん……本当に誰も犠牲を出さずに世界を救えるの?」

「救えるわよ。私は博麗の巫女よ?それぐらい出来なきゃとっくに止めさせられてるわよ」

「ふふ、博麗の巫女なんて初めて聞くのに何でか安心してるよ」

 

 静香は自然と出た柔らかい笑みのまま霊夢に問い続けた。

 

「霊夢ちゃん……」

「何よ?」

「この世界を守ってね。私との約束」

 

 そう言って静香は小指を差し出した。

 

「この年になってそれって……たまにはいいかしらね」

 

 霊夢はその静香の小指に自分の小指を絡めた。

 

「……指きりげんま、嘘ついたら……針千本、のーます、指きった」

 

 静香は弱弱しい声で精一杯に言葉を言い続けた。

 

「静香……あんたも一緒に帰るんだからこんな所で死なせないわよ?」

「うん、そうだね…………ッ!!霊夢ちゃん!!」

「痛ッ。いきなり何するのよしず……か?」

 

 突然自分を突き飛ばした静香に文句を言おうとして霊夢は静香を見た。其処には炎に包まれた槍に貫かれて血を吐いている静香の姿があった。

 




 今年中には中篇を終わらせるつもりです。後、最後の奴の正体が分かった人は心の内に閉まっておいて下さい。
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