「静香!!」
「うっ……」
「ご苦労様、静香。お陰でボクの欲しい物が手に入ったよ」
赤い炎がそのまま鎧の形になったような姿で胸の真ん中に不死鳥を禍々しくしたような形の宝石をつけた存在は先が不死鳥の頭部をモチーフになっている炎に包まれた槍を静香から抜きながら地面に落ちていたカードデッキを拾った。
倒れそうな静香を支えた霊夢だけはそのライダーに見覚えがあった。
「炎凰!!何であんたがこんな所にいるのよッ!!!??」
霊夢は今にも襲い掛かりそうな勢いで炎凰を睨みつけた。当の炎凰は何処行く風と言った風で口笛を吹いていた。
「そんな事よりも静香を治療したら?無駄だとは思うけどね」
「ぐっ……!!」
霊夢は血が出るほどに拳を握り締めながらも霊力で静香の応急処置をしようとした。が、その手を他でもない静香が遮った。
「静香?」
「霊夢……ちゃん。もういいの。それよりも……あれの声、私に色々教えてくれた人とそっくり」
「なっ!?」
霊夢達が驚いていると炎凰は馬鹿にするような声音で言ってきた。
「ピンポーン!そう、このボクが静香に色々教えてあげたのさ!自分の正体と寿命も、このカードデッキを使えば圧倒的な力が手に入る事も、この世界を救うには一度世界を破壊して再生させることも、消えた人々を戻せる事も、全部ボクの教えさ!!!!アハハハハ!!!!!!!!!!」
炎凰は心底可笑しいのか高笑いをしながらカードデッキをヒラヒラさせていた。
「静香、そいつの話は本当なのか?」
「うん……ケホケホ」
「静香!?無理に喋らないで!!」
魔理沙の質問に答えた静香は直後に吐血をして霊夢が心配そうに声を挙げた。
「補足してあげると静香に言った内で嘘をついたのは破壊と再生だけだよ。そう考えるとボクって凄く正直者だよねー!!!」
「そんで静香を騙してだ、お前は何がしたかったんだ?……後、そのヘラヘラするのは止めろ。見ていてむかつく」
魔理沙は八卦炉を構えて二人を庇う様に立った。
「……あ?」
「がっ!!!」
炎凰が不機嫌そうな声で言った瞬間、魔理沙の右肩に炎の槍が突き刺さっていた。
「魔理沙!!」
「し、心配すんな霊夢。この程度でやられる魔理沙様じゃないんだぜ(くそ、魔力が足りなさ過ぎる)」
魔理沙はそう言ったが内心では魔力を消費しすぎて残量が少ししか無い事で冷や汗をかいていた。
「ボクの目的だっけ?簡単だよ。この世界をボクの王国にするのさ!!!!」
「「……は?」」
傷でまともに反応できない静香以外の二人は今の言葉に理解が追いつかずにいた。
「ボクのミラーモンスターは不死鳥でね、不死ってのをボクなりに考えてみたのさ。そしたら死んでいる人間が生きていて、生きている人間が死んでいるっていうあべこべなのも不死だと思うんだよ!!!!其処でこの世界のミラーモンスター達の魂をかき集めて特殊な儀式をしようとしたんだよ!でも、ここで問題が生じたんだよ!!それは儀式をするには圧倒的に霊力が足りなかったんだよ!そこでボクは考えたさ、そしたらいい案が浮かんだのさ!!!!」
炎凰は饒舌に、それでいて楽しげに語り続けていた。そんな炎凰の狂気じみた行動に霊夢と魔理沙の二人は寒気を覚えた。
「神崎士郎が大事にしていたこのカードデッキを利用する事が一番の近道だったんだよ!!」
「……そう言えばそうだ。そのカードデッキ、一体何なんだ?とてもこの世の物体とは思えないんだぜ」
「これは神の作った兵器、その動力源に成るカードデッキだよ。これ以上は教えてあげないー!!」
「……(魔力さえあればこいつの顔面にマスパを叩き込んでるな確実に)」
魔理沙と炎凰の会話の様なものが終わると静香がまた吐血をした。
「静香!」
「ケホッケホッ。霊夢ちゃん……私の命はもう長くないよね?」
「っ!……ええ」
「……そっか」
静香はそう言って地面に横になった状態で空を見上げた。
「死ぬなら青空の下が良かったかな?」
「静香……!!」
「霊夢ちゃん、私の最後のお願い聞いてくれる?」
静香は唇を血で濡らしながら弱弱しい声で聞いた。霊夢も泣きそうになる気持ちを必死で堪えて返事をする。
「ええ……勿論よ」
「……ふふ、ありがと霊夢ちゃん。じゃあ言うね」
静香は残った命を全部吸う位の気持ちで息を吸ってから話し出した。
「私達皆の復讐をしてもいいし、それで暴虐の限りを尽くしても私は怒らないよ。だから……私やお兄ちゃんみたいな後悔だらけの人生を送らないで。……お願いされてくれる?」
「……分かったわ。その願い、博麗の巫女で仮面ライダーの博麗霊夢が引き受けたわ」
「……それなら安心だ、ね」
静香と霊夢が会話をしている横で炎凰は「ふーん」と口笛を吹きながら先程の槍、フェネクスバイザーの先端を下に倒し、開いた空間にカードを読み込ませた。
『STRIKEVENT』
「役目の終わった役者は早急に死んでよ」
「なっ、お前やめろ!!」
「やめろと言われると余計にやりたくなるねっ!!」
炎凰は自身の契約モンスターの翼を模した弓、フェニックスアローを構え自動生成された矢をたがえると会話をしている二人に弓を向けた。それに気付いた魔理沙が静止の声を出したが逆効果で炎凰は二人に向かってその矢を放った。
「っ!!」
「霊夢ちゃん○○○」
その矢は静香が血を吐きながらも出した一枚の翅によって防がれた。だが……
「……静香?」
矢を防ぎ終わるとその翅は消滅しまい静香もその瞳を静かに閉じていた。
「はい!これでまた一人ボクの世界から消滅してくれたよっ!!」
「………………!!?」
炎凰の発言に自分の状態を理解しながらも強襲しようとした魔理沙だったが背後から感じる異質な気配を感じ取り其方に意識が行った。
「……………………」
「霊夢……なのか?」
その気配を放っているのは霊夢だった。その表情は俯いてる為分からない、しかし、魔理沙はその気配が博麗の巫女が成ると言われている鬼巫女に似ていると感じたがすぐに違うと首を振った。
「……(鬼巫女にしては殺気が無さ過ぎる……いや、殺気が無いんじゃなくて気配が薄いのか?)」
魔理沙はその考えに至ると一つのスペルカードを思い出した。
「……(夢想天生に似ているけどこれは……何かが異質すぎる)」
魔理沙が思考を巡らす中、霊夢だけは俯いたままゆっくりと炎凰に近づいて行った。
「先程までとは違う感じ……ああ!これが、鬼巫女って奴なのかな!?だったらその強さを試してあげ……「ピーチク、ピーチク煩いわよ。たかが不死鳥の分際で」……」
炎凰の気の狂ったとしか思えない言葉は最後まで続かなかった。なぜならば喋るべき口のある頭部が霊夢の蹴りを受けただけで爆ぜたかの様に消し飛んだからだ。
「…………死んだ!!?」
「死んでないのは分かってるからさっさと蘇りなさいよ」
魔理沙の驚きを無視して眼が金色に成っている霊夢は炎凰の胴体を蹴りながら言い放つ。
「ハハハ、よく分かったね!流石は博麗の「煩い」みぎょっ!?」
炎が頭部が合った場所を包むと頭部が復活してすぐに喋ろうとしたが、霊夢はそれを一蹴して再度首なしを作り出した。
「……霊夢、何でそいつは死なないんだよ?」
「は?ああ、魔理沙か。生憎と
霊夢が意味深い事を行っているとまた頭部を再生させた炎凰は霊夢から距離を取ってからまた話し出した。
「アハハハ、分かってくれたかな!君達じゃ不死身は殺せなーい!」
「……言った筈よ。不死鳥ごときが頭に乗るな」
『SURVIVE』
流れるような動きで腰のVバックルにデッキを差込、そのままサバイブにまでなると一人でにカードデッキからカードが一枚飛び出して来た。
「よく見てなさい霊夢。これが……変身よ」
そのカードを掴み取るとカードに陰陽球の絵が現れドラグバイザーツヴァイの姿がドラグバイザーやドラグバイザーツヴァイの様に龍の頭部を模したカバーのついていないガントレットタイプの召喚機へと変化した。それが左腕に装着されたのを確認すると手に取ったカードを召喚機に読み込ませた。
『LUNATIC PHANTASM』
召喚機からルナティックファンタズム、狂気の幻想の意味を持つ音声が流れると龍騎Sのサバイブが崩れるように落ち、その下に居た霊夢の姿に変化が発生していた。
巫女服の白い部分は赤く染まり、元々赤かった部分は血色の様な赤へと変化していた。そして、霊夢の髪を縛っていた赤いリボンは髪飾りの様に髪の横についていて長い黒髪が風に揺られていた。
「なっ、サバイブ……いや、それよりも先の変身!?」
これまで人を馬鹿にする態度しか取っていなかった炎凰が初めて驚愕の声で叫んだ。
「れ、霊夢?その姿は一体……?」
「仮面ライダー龍騎、ルナティック。霊夢の最凶のフォームよ。さあ、炎凰。折角立ち直った霊夢にまた絶望を与えたあんたには同じ位の絶望をプレゼントするわよ」
「っ!!」
霊夢はそう言って籠手、ドラグバイザーエクストラの先から文字の彫られた剣を伸ばした。そして、一歩動いたと思えば既に炎凰の元に辿り着いていて剣を上段に向かって振り上げていた。炎凰は直撃する直前に気付き、フェニックスアローを捨ててフェネクスバイザーで防いだ。
「霊符「夢想封印・斬」」
「ぐわっ!!?」
しかし、それを読んでいた霊夢は右手に霊力を集中させるとそれを刃状にして炎凰の左半身を切り払った。
「さあ、素敵な素敵な時間よ」
霊夢は残った半身を霊力で作った結界と霊力を流して強化したお札で封じるとその肉体に絶対に死なない攻撃を放った。
夢想封印、夢想封印、夢想封印、時々刺突、また夢想封印と延々とループして攻撃していた。
「ハハハハ……ハハハ……ハハ……ハ……」
炎凰は途中から気が狂った様に笑っていたが遂にはそんな笑いすらあがらなくなっていた。
「れ、霊夢!やり過ぎだぜ!!」
「……ま、そうかしらね」
霊夢は渋々と炎凰の拘束を解除した。
「…………お前達絶対に殺す!!!!」
炎凰は拘束が解けるとすぐに体を修復し、自身の能力『熱を操る程度の能力』で背中に炎の翼を生やすと空まで飛んで行きフェネクスバイザーにカードを読み込ませた。
『FINALVENT』
両手にフェニックスアローとフェネクスバイザーを持った炎凰はその槍を弓にあてがった。
「シネェェェェェェェ!!!!!!」
そして、その槍を炎が包むと二人目掛けて力一杯放たれた。
「っ!!霊夢!!!」
見た目からでも分かる攻撃の威力に魔理沙は叫んだ。
「……浮きなさい」
だが、霊夢は至って冷静だった。そして霊夢が言葉を呟くと突然フェネクスバイザーは消えてしまった。
「え……?」
その光景に槍を放った炎凰は唖然としてしまった。
「そう言えば言ってなかったわね。私の能力は『浮かせる程度の能力』、あらゆる生物、物、事象に干渉する事が出来るのよ。因みに、今の攻撃はこの世から『浮いて』貰ったわ」
言ってから霊夢は炎凰にドラグバイザーエクストラの切っ先を向けて言った。
「分かるかしら?この能力を使えばあんたからは何も残らないわよ。空気から浮けば誰にも視認されず呼吸も出来ないし、能力から浮けば能力が効かないかわりにあんたの能力も消える、そもそも不死身から浮かせればあんたなんて簡単に殺せるのよ」
「ひっ!?」
霊夢の機械を思わせるような表情と声、そしてさっきの拷問に近い光景に炎凰の精神は砕けた。
「く、来るなぁぁぁ!!!??」
炎凰は突然叫び声をあげると一目散に逃げて行ってしまった。
「逃がさないわよ。あんたは取り合えず能力から浮いておきなさい」
だが、霊夢の無情な言葉と共に能力が発動。炎凰は背中の翼を失い地面に落下していった。
「ふう……魔理沙。飛べる程度の魔力は残ってる?」
「え……?あ、ああ残ってるけど」
今の圧倒的な戦闘を見ていた魔理沙は呆然としていて霊夢の質問に答えるのが遅れて緊張した声で返した。
「ならとっととこの建物から逃げるわよ。崩れそうだし」
「わ、分かった……(あの炎凰って奴は確かにウザイ奴ではあったけど実力はそれなりに合った筈だ。それだけの実力が合ったのにあの姿の霊夢には手も足も出ないのか……ちっ、これも才能の違いなのかね)」
魔理沙は今の霊夢の姿に恐怖を感じると共に憧れも感じていた。
「(私にも……力が必要だ。霊夢に……嫌、全てのライダーに勝てるほどの力がっ!!)」
霊夢と魔理沙は建物から降りてくる途中で倒れている詠姫と水華を回収してから外に脱出していた。
「ドラグレッダー、あの建物に残っている人は居なかったのね?」
『ああ。骸骨の残骸の様なものが落ちている部屋もあったが知った顔の人間は居なかったな』
「そう、簡単に死ぬ連中では無いとは思うけど……」
「それよりも霊夢。いつまで変身した状態でいるんだ?」
建物からそれなりに離れてから魔理沙はまだ変身をしたままの霊夢に聞いた。
「そうね。ここまで来ればいいか」
霊夢はすんなりと変身を解除し、倒れた。
『霊夢!?』
「レッダー、安心しな。多分、疲れて寝てるだけだぜ」
地面にぶつかる直前で受け止めた魔理沙がそう言うとレッダーは詠姫を地面にそっと置いてミラーワールドに帰還した。
「全く……ん?ちょっと待て」
魔理沙は自分の背中に背負った一人と地面に倒れている二人を見て呟いた。
「まさか私一人でこいつらを全員運ぶのかよ。はぁ、疲れているのに不幸だぜ」
「はぁ、はぁ、はぁ」
暗い路地を赤い髪の青年が走っていた。
「くそっ!くそっ!くそっ!!」
青年は辺りの物を蹴り飛ばしながら必死な形相で逃げて偶然合った空き地に逃げ込んだ。
「ハハ、まだだ。このカードデッキさえあればまだボクにはやりようがある!!」
青年は懐から炎凰のカードデッキと静香が死んだ事で再び黒い渦の描かれたカードデッキを狂気の孕んだ眼で見ていた。そんな油断だらけの青年の背後から声が掛けられた。
「ふむ、此処に居たか炎凰」
「っ!!誰だ……!てっ、あんたは……」
其処に立っていたのは神崎士郎だった。神崎士郎はポケットに入れた手を出して青年に向けた。
「さあ、私の私物を返して貰おうか。わざわざリュウガやファム、オーディンに行かせなかった意味、お前なら分かるだろう」
神崎士郎はそう言うと黙り込んだ。
「ハハ、そんな事知らないよ!!変身!!」
青年はまだ腰に合ったVバックルに炎凰のカードデッキを差込炎凰へと変身するとフェネクスバイザーを構えた。
「仕方ないか……変身」
士郎はため息をつき腰に漆黒のVバックルを出現させると赤黒い蠍を模したマークのカードデッキを差し込んだ。
士郎が変身したのは仮面ライダーライアとサソードを合わせた様な姿に、全身赤紫色で胴体には左右三本ずつの節足を鎖のように模した装甲が付けられ、肩部はそれぞれ鋏を模した装甲が、そして頭部はサソードの仮面を赤紫にし複眼を黄色にした物に蠍の尻尾を模したシルクハットを被った様な形の仮面の仮面ライダーカルネージだった。
「これを複製するのには苦労してな。どれぐらい複製出来たかは貴様で試すとしよう」
「ほざけっ!!」
五分後、其処には変身を解除されカルネージの両肩から延びた巨大な腕に捕らえられた炎凰の姿があった。
「そんな、ボクが負けるなんてありえない!!」
「ふむ……スコルピオアームは中々良いが他の武装は直ぐに壊れてしまったか……まあ、私が使う分には問題の無い事か」
そう言ってカルネージはスコルピオアームで炎凰の頭部を掴んだ。
「ぐっ、ボクを殺すのかい?でも無駄さ!ボクは死なないからね!!」
「……私が製作したライダーの事を知らないと思うか?」
そう言ってからカルネージは足元に合った炎凰のカードデッキを躊躇無く砕いた。
「あっ!!」
「お前の不死は契約モンスターによる物だ。つまりこうすれば貴様は……死ぬ」
カルネージはスコルピオアームに力を込める。
「ま、待ってよ!!ボクはまだ死にたくないよ!!!!お願い!!止めて!!!」
「……見苦しいな。所詮はターニングポイントとして選んだ男だったということか」
炎凰の言葉をカルネージが聞くはずもなく、その頭部はスコルピオアームによって握りつぶされた。
「これでミラーモンスター達も解放されるか……私もそろそろこの姿は捨てるか」
カルネージの変身を解き炎凰の死体から例のカードデッキを奪うと先程まで合った建造物が崩れて行った。そして、士郎が言った直後その姿が変化していった。
その姿は龍神とよく似ていたが着ている着物の色が白ではなく黒で、その眼には怒りが見られた。
「待っていてくれ私の子孫達。必ず世界の全てをお前達に送るからな」
士郎は崩れ落ちる建物をバックに闇に消えて行った。
因みに今回のカルネージは元々は放仮ごSAの東方ウィザード×スマブラⅩ 大乱闘!仮面幻想郷に出た仮面ライダーですが許可を頂いてこちらでも出す事になりました!
次話からはついに終章、東方で言うなら六面にまで来ました。次々とライダーが倒れていく中で霊夢と魔理沙がどうなっていくのかをお楽しみに下さい!!
では、良いお年を!そして、来年もよろしくお願いします!!