幻想仮面闘争~二人の英雄の闘い   作:紋章

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 グロ注意&鬱注意です


第伍拾壱話

「そうか。魔理沙はまだ見つからないんだね。すまない、引き続き捜索を頼むよ」

 

 森近英行は勇儀や水華からの連絡に対してそう答えると電話をきり机の中から連絡先の書かれた紙を取り出し、ある番号にかけた。

 

「……ああ、君かい?魔理沙が行方不明なんだがどこに行ったか知らないかな?」

 

 電話の相手の返答を聞くと英行は苦笑いを浮かべた。

 

「それはすまなかったね。水華と勇儀の二人にはこの件について教えていないんだ。でも、そちらにも問題があると思うんだよ笛木。……わかった、わかった。この話題はもうやめだ。取り合えず魔理沙については置いておくよ。今は元凶の神崎士郎を倒すことだけを考えよう」

 

 そういって英行はポケットに入っているカードデッキを強く握り締めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔理沙の奴はどこに行ったんだか。水華、ほんとに知らないのか?」

 

「あのさー、流石にそんなことで私も嘘はつかないって。大体、私もお前と同じで嘘が嫌いなのは知ってるだろ?」

 

 勇儀と水華は商店街を歩きながら軽口を言い合っていた。周囲に人がいないためか二人の声はその場によく響いていた。

 

「しっかし、人がいなくなると寂しいもんだねえ。本当はモンスターでも居てくれた方が良かったってもんだな」

 

「最終的には出て行くんだから別にいいだろ。それよりも……」

 

 二人の足がある露店の前に止まった。その露店の入り口には何故か巨大な鏡があり太陽の光を反射していた。

 

「こそこそ隠れてないで出てきたらどうだい魔理沙?」

 

「そうそう。別に迷子になっていたのを怒ったりはしないぞー」

 

 二人の発言から暫くして魔梨沙が鏡から出てきた。

 

「いやー、すまんすまん。私も色々あってな」

 

「別にいいさー。英行も待ってるしとっとと帰ろうなー」

 

「おう。ああ二人とも」

 

 歩き出した二人の後ろから魔梨沙が声をかけた。

 

「何だい?」

 

「一つ死んでくれや」

 

 言葉と同時に魔梨沙の手から黒い星型の弾幕が二人に向かって放たれた。弾幕によって発生した煙が晴れると二人の姿は何処にもなかった。

 

「……ふん!」

 

 魔梨沙の両隣の露店の商品が吹っ飛びそこから水華と勇儀の二人が飛び出し拳を放ってきた。魔梨沙は後ろに跳び服についた埃をはたいた。

 

「ま、そう簡単に殺せないか」

 

「魔理沙……今なら冗談だったとしても許してやるぞ」

 

 勇儀の言葉を魔理沙は鼻で笑うと懐からカードデッキを取り出した。

 

「今更冗談なんて言うとか覚悟がたりないんじゃないか?」

 

「……そうか。残念だよ魔理沙。お前は久しぶりに水華の奴が気に入った奴だったんだけどな」

 

 勇儀と水華も懐からカードデッキを取りだし魔梨沙を睨んだ。

 

「あいつの計画に逆らう奴は誰であっても排除することになってるからな。変身」

 

「はっ!奇遇だな、私も計画の邪魔になる奴を消しに来たんだからな、変身!」

 

 ナイトはインペラーとタイガの蹴りをダークバイザーで防ぎ、インペラーの足を掴むとタイガのいる場所と反対方向に投げ飛ばした。

 

「おっと!」

 

「とっとと片付けさせてもらうぞ」

 

『SURVIVE』

 

 すぐにサバイブを使ったナイトSの姿を見たタイガは呆れるように肩をすくめた。

 

「おいおい、そんなすぐにサバイブを使うかい?」

 

「ハッ、これでいいんだよ」

 

『SHOOTVENT』

 

 ナイトSは地面に向けて光弾を放った。

 

「眼くらましのつもりかい、こんなもん!」

 

『SPINVENT』『STRIKEVENT』

 

 インペラーはガゼルスタッブを構えて一歩下がったがタイガはデストクローを装備してナイトSに肉薄した。

 

「やれやれ脳筋はこれだから面倒くさいな!」

 

 ナイトSはダークアローで攻撃を防ぎタイガの腹部に蹴りを放った。しかし、タイガは防がれたのとは反対のデストクローでその蹴りを防御し、逆にナイトSを蹴り飛ばした。

 

「ぐっ!」

 

「させないよ!」

 

「がっ!」

 

 ナイトSは受身を取りながらタイガを一瞥しデッキにカードを延ばすがいつの間にか接近していたインペラーが振るったガゼルスタッブに阻まれた。

 

「くそっ、流石に二対一はきつかったかね(戦ってればこいつも覚醒すると思ったがそう簡単でもないか)」

 

 ナイトSは肩で息をする振りをしながらデッキの入れておいた真っ白のカードの感触を確かめていた。純粋なタイガとインペラーはそんなナイトSの様子に騙され子供を諭すかのように話し出した。

 

「魔理沙、お前はもう少し利口な奴だと思ってたんだけどな。ことがことだけにここで許す訳にはいかないんだ」

 

「……なあ、勇儀。何とか魔理沙を許す事はできないか?」

 

「はぁ?」

 

 そんなことを言い出したインペラーにタイガは呆れた声で反応した。

 

「おいおい、水華。何言い出してんのさ」

 

「いや、まあ、あれだよ。私としては気に入った奴を殺すのも殺されるのを見るのも嫌なんだよ。さっきは私も殺そうと思ったけどこれだけ引け腰になられると、な?」

 

「はあー。仕方ない奴だなぁ」

 

 タイガは頭をかきながらナイトSとインペラーに背を向けて歩き出した。インペラーもその後に続くように動き出した。それを見ていたナイトSは

 

『FINALVENT』

 

 その背中に向かって疾風断を放っていた。

 

『FREEZEVENT』『ADVENT』

 

「本当に仕方ない奴だなお前さんは」

 

 そういってタイガが振り向くと凍結されたダークレイダーとギガゼールを筆頭とした無数のレイヨウ型モンスターに襲われるナイトSの姿があった。

 

「あのまま戦いを辞めたら見逃してやるつもりだったんだけどな」

 

「それには私も同感だよ。魔理沙、何を生き急いでいるのか知らないけど情報分析はしっかりしないと駄目だぞ」

 

「ちっ!!」

 

『SWINGVENT』

 

 ナイトSは新たに召還したエビルウィップでギガゼール達を牽制するがほとんど意味をなさず追い込まれて行った。

 

「あれって確か八雲の武器じゃなかったっけ?」

 

「何で魔理沙が持ってんるのかは知らんが……焼け石に水だな」

 

 二人はその光景を警戒心をほとんど無くした状態で見ていた。

 

「(くそっ、死にかけるってのも覚醒には関係なさそうだな。……こうなってくると一旦引くのも手か?)」

 

 ナイトSは周囲の攻撃をくらいながらこの後の行動を考えていた。そもそも現在のナイトSは吸血鬼としての膂力は使っておらず自前の能力で戦っていたのであり現状を覆すのは容易だった。あえてそれをしないのは自分の持つ白紙のカードを覚醒させるためだった。だが、条件が違うのか白紙のカードには全く変化が起こってこなかった。

 

「(流石にここで吸血鬼の力を見せるのは早いだろ。こいつらのバックには英行の野郎がいるわけだしな……)」

 

「ああ、どうせならここであれを試したらどうだ水華?」

 

「サバイブのことか?まあ、確かに魔理沙なら適任かもな」

 

「(ッ!サバイブのカードは流石にまずいか?)」

 

 二人の会話を聞いた魔理沙は逃げるために吸血鬼の力を解放しようとしたが……

 

 それを遮るかの様に巨大な獣に似た雄たけびが響いた。

 

「今のは……?」

 

「おい、ギガ!!どうしたんだよ!?」

 

 タイガが今の声をいぶかしんでいると横にいるインペラーが自分の契約モンスターに向かって叫んでいた。それにつられてタイガがそちらの方を見るとギガゼールを含めた全てのレイヨウ型モンスターが震えながら後退していた。

 

「何かが……来る!」

 

 ナイトSがそう呟くと近くの路地から出てきた手が壁を掴んだ。そこから出てきたのは全身を蛇に包まれた人型の何かだった。タイガとインペラーの二人はその異様さに驚き動きを止めていたがナイトSだけはその存在に覚えがあった。

 

「八雲……なのか?」

 

 そう言われた存在の口元の蛇が退いた。口であろう部分は三日月のように歪んでおり掠れた声で言った。

 

「変……身」

 

 そのまま人型は蛇ごと王蛇に変身してしまった。唖然としている三人をよそに王蛇はデッキから禍々しいカードを取り出した。するとベノバイザーが左手に巻きつきカード状の穴が開き王蛇はそこに躊躇無くカードを入れた。

 

『SURVIVE』

 

 変化は明らかだった。紫色の王蛇の装甲は何も反射しないほどの黒色となり口である部分が開きそこから毒々しい液体が垂れてきている。そして右腕が紫色のベノサーベルとなっていた。

 

「あれがサバイブ?ふざけるな、あんなものがサバイブなわけがあるか!!」

 

 タイガは内心感じた恐怖を払うかの様に王蛇Sに突撃して行った。

 

「デザートハ後ダ」

 

 そう言い王蛇Sはタイガを殴り飛ばした。その一撃で壁に叩きつけられたタイガの変身が解除され勇儀は血を吐いた。

 

「がはっ!!」

 

「勇儀!?」

 

 勇儀の元に駆け寄ろうとするインペラーを邪魔するかのように王蛇Sが間に立った。

 

「邪魔だ!どけっ!!」

 

『FINALVENT』

 

 インペラーは一刻も早く勇儀に駆け寄るためにドライブディバイザーを発動した。それを見た王蛇Sは一枚のカードを取り出し左手の穴にねじ込んだ。

 

『ADVENT』

 

「……え?」

 

 それは一瞬の出来事だった。王蛇Sに迫る数十対ものレイヨウ型モンスターが姿を消した。その中には自らのパートナーのギガゼールもおりその姿を探しているうちにインペラーは自分の背後に何かがいる事に気付き振り返った。

 

「な、なん、だよこれは……?」

 

 そこには全長10mもの大蛇が存在していた。そしてその大蛇はレイヨウ型モンスター達を食っていた。その残骸がインペラーの顔に降りかかった。

 

「ひぃ!?」

 

 幾ら鍛えているとはいえ、あくまで人間基準のインペラーはその光景に怯え後ろに下がってしまった。

 

「えっ……腕?」

 

 後ろに下がった直後衝撃が腹部に伝わった。そうしてインペラーが腹部を見るとベルトを突き破って王蛇Sの腕が出てきていた。

 

「前菜……ダ」

 

 そう言って王蛇Sは大蛇にインペラーを大蛇は王蛇Sにギガゼールを投げ渡した。そうして、そのまま一人と一体を捕食し始めた。その場には捕食の音と悲鳴が響き渡った。

 

 

 

「水……華?」

 

 勇儀はその光景を呆然とした状態で見ていた。動こうにも先のダメージで動けずにいた勇儀は気絶することもできずにその光景をただ見ていた。

 

「神埼の仕業……だろうがこいつはえげつないな」

 

 変身を解除した魔梨沙はそんなことを言いながらいつでも再変身できる様にしていた。

 そうして二人が見守る中、ついに捕食の音が止んだ。

 

「……キリサメマリサァ」

 

「何だよ、生憎と私はお前に食われる趣味はないぞ」

 

 そういった魔梨沙に対して王蛇Sは大蛇に乗りながら見下して言った。

 

「お前ハめいんディッシュだ。たのしみニしてろ」

 

 そういった後王蛇Sは大蛇に乗ったまま帰っていった。

 

「ふぅ、何とか乗り切ったか……」

 

 魔梨沙は呆然としている勇儀を見て言った。

 

「呆然とするのは勝手だけどな、そんなことしてもどうしようもないぞ?気力があるなら動くんだな」

 

 そういい残し魔梨沙も去って行った。後には勇儀と砕け散ったカードデッキだけが残された。




 久しぶりの投稿でこの内容……まあ龍騎だしこんなもんですよね
 取り合えず失踪とかはしないので気長に待って楽しんででくださると幸いでございます
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