バンドリ!のヤンデレ物を書くよ!   作:大塚ガキ男

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どうも、大塚ガキ男です。ツインテールに惹かれた訳ではないのですが、この二人が好きです。


市町内を捜索する日々。谷底に落とされたような毎日。有りし日の思い出ばかりが蘇り、必死の捜索に花は咲かない。

 

 

 

 

「い、家出……ですか?」

 

いつもの通り、香澄と一緒にアイツを起こしに行こうと家のチャイムを押して。

いつもの通り、アイツのお母さんが出てきて「上がってちょうだい」と言われると思っていたら、お母さんの口から出たのは思いも寄らない一言だった。

 

「な、何で、そんな」

「いや、なあに?あの子ったら、ロクに勉強もしないでギターばっかりいじってるから、そんな事して何になるのって怒ったの。そしたら逆に怒鳴られちゃって。もう良いって家出しちゃったのよ」

 

今日の夜にでもなれば帰ってくるかしらね。

お母さんの言葉は最後まで耳には入らず、チャイムを押すまでの胸の高鳴りはどこへ行ったのやら、蚊の鳴くような声で「失礼、します」とアイツの家を後にした。

 

「なー君、大変だね」

 

自分なりにアイツの身を案じているのか、香澄がそんな事を言う。しかし、私の心中は穏やかではない。どうしよう、アイツに何かあったらと嵐のように騒ついていた。

それは、学校に行っても変わらなかった。授業中の板書も手に付かず、先生に当てられてもロクな答えも返せない。休み時間に香澄やおたえに話しかけられても、自分でも生返事と分かるくらい適当な言葉しか返す事が出来なかった。

 

「有咲、元気無いね。なー君がいなくなっちゃったから?」

「そ、そんな訳……いや、あんのか」

 

(まず)い。このままじゃいけない。そうは思うのだが、改心を決意してはみるのだが、やはり心というモノは私の思い通りにはいかず、アイツに会えない事への満たされなさと、アイツの身を案じる気持ちで、テンションは地に落ちてしまうのだった。

 

「……有咲、大丈夫?」

 

終いには、香澄に心配される始末。大丈夫だって。そう返してはみるが、自分でも分かるくらい、その返事は落ち込んでいた。アイツを想っているのは自覚していたのだが、私の中でアイツの存在が()()()()()大きくなっている事に内心とても驚く。

許せない、と歯噛み。

アイツを傷付けたお母さんの一言に苛立っているのも確かだが、それよりも、私に何も言わずに去ってしまったアイツが許せない。

何とかして見つけ出して、一言言ってやらないと。もう二度と私の前から居なくならないように、キツく言って聞かせないと。

それは幼馴染故の使命感なのか、それとも依存なのか。

私には分からない。と言うか、この感情の正体なんて分からないままで全然構わない。

アイツには私が居ないと駄目なのだから。

アイツは私が居ないと朝も起きれないし、身だしなみだってろくすっぽ整えられない。料理も出来ないし掃除も出来ない。香澄と一緒に勉強を見てやった事なんて両手指の本数じゃ足りないくらいだ。

アイツには、私が居ないと駄目なんだ。

私が居なくて、アイツは今もどこかで苦しんでいるかも知れない。空腹で行き倒れているかも知れない。

そんな事を改めて考えてみると、居ても立ってもいられなくなって。

 

「ごめん香澄、私これから、放課後集まれない」

「へ?」

「アイツ、探さなくちゃ」

 

蔵は、勝手に使って大丈夫だから。

交互に動き出した両脚に従い、段々と後方に遠ざかって行く香澄にそう言う。

アイツが居なくなったのは、昨日の夜。夜中に使える交通機関は殆ど無く、ましてや年中金欠のアイツが移動にお金を掛けるとは思えない。だから、アイツの移動手段は徒歩。もしかしたら走っているかも知れないので、頭の中で街中の地図を描き出し、アイツの走る速さを時速で換算して、事態を重く見積もり、アイツが休まずに走り続けた場合の移動範囲をアイツの自宅から円形に広げてみる。

 

「……街から出てるかも知れないじゃねーか」

 

これは、正直骨が折れる。今日だけじゃ終わらないなと肩を落とし、更なる案を出すために、道行く人からの情報提供をメモに書き留め、アイツが居る場所へと一歩ずつ着実に近付けるのだった。

 

 

 

 

 

 

「有咲、本当に大丈夫?」

 

二日に一度くらいのペースで、香澄が心配そうな顔で問い掛けてくる。大丈夫だって。そう返すと納得してくれるのだが、一日置くとやはり不安になるのか、二日に一度は問うてくるようになった。そんなに、私は大丈夫じゃなさそうに見えるのだろうか。

アイツの捜索を始めてから、今日で一週間を迎えた。依然手掛かりは無く、私はただただふくらはぎを鍛えているだけの人になっている。

私がこんなに疲れているのも、アイツの所為だ。どこに行っているんだ。ムカつく。見付けたら、もう二度とほっつき歩けないように足の骨を蹴り折ってやろうか。

つい、そんな野蛮な事を頭の隅で思い付いてしまうくらいには、私は正常ではないのかも──

 

「ぼーっとしてるけど、本当に大丈夫?」

「……だから、大丈夫だって」

 

普段ならば無い、二度目の問い掛け。恐らく、この後始まるCiRCLEでの対バンライブを案じてのソレだろう。

対バンライブ。

相手は、Pastel*Palettes。バンドを通じての関係はもう慣れた物だが、それでもやはり緊張はする。むしろ、緊張しなくなったらバンドとしては終わりかも知れない。

だから、私はもう終わりかも知れない。

私の頭の中は、対バンの事など欠片も心配していないのだから。

 

「……だから、大丈夫だって。それよりも、そろそろ時間だぞ」

 

控え室。テーブルの上に置かれたペットボトルに口を付けて喉を潤しながら、来たるライブへと呼吸を整えるのだった。

 

 

 

 

 

 

終わった。

私にとってはとても長く感じた、今回の対バンライブ。ライブをやる分、いつもよりアイツを捜索する時間が減ってしまうので、心のどこかで焦りがあるのだろう。

しかし、私だってPoppin'Partyのメンバーだ。私だけ気を抜いていて、皆に迷惑をかけているようでは目も当てられない。そんな気の持ちようと、練習の成果があってか、ライブ事態は大成功と言っても過言ではない出来で終える事が出来た。

控え室で背もたれに背中を預けながら、一息。それから、ようやく周囲の音が耳に入ってきた。

Poppin'PartyとPastel*Palettesの控え室は違うのだが、対バンライブ大成功を祝して、今は同じ控え室で楽しそうに会話をしている。気が付けば、こうして椅子に一人で座っているのは私だけだ。我ながら何だか感じが悪いような気がして、慌てて立ち上がって近くのグループに混ざらせてもらう。

 

「お疲れ様です」

「あ、有咲だ。やっと元気になった?」

 

会話のグループの中の一人、おたえが私に手を振る。私もそれに応え、近くに寄っていった。

 

「今ね、彩先輩の彼氏見せてもらってたんだ」

「か、彼氏?」

 

確か、Pastel*Palettesはアイドルバンドだった筈だが。え、恋愛って大丈夫なのか?アウト?セーフ?ここだけの話?話を逸らさせるべきか、流れに溶け込むべきかで狼狽(うろた)えていると、彩先輩が照れ笑いながら否定した。

 

「もう、たえちゃん!彼氏じゃないって」

「じゃあ、何なんですかー?」

「……友達、かな?」

「絶対嘘じゃないですか」

「有咲ちゃんまで!もう!」

 

彩先輩は私達よりも先輩の筈なのに、どうしこうも親しみやすいのだとか、彩先輩がバラエティ番組に出て(いじられて)いる姿がありありと浮かぶだとか、色々考えながらも話は進み、長きに渡る交渉の末に彩先輩の彼氏とのツーショット写真を、他言無用という絶対条件を前提に見せてもらえる事になった。

 

「絶対、絶対誰にも言っちゃ駄目だよ?」

「振りですか?」

「振りじゃないよ!絶対に言わないでね!」

「分かりました──って、え?」

 

彩先輩のスマホに移る、二人の人物。

笑顔の彩先輩とその隣。よく知る髪型。よく知る瞳。よく知る鼻の形ととよく知る口元。よく知る服装に身を包んだ男は、先輩との距離に照れながらも満更でもなさそうな、私が知らない表情で写真に収まるその男は。

私がよく知るアイツだった。

 

 

 

 




バンドリ!にわか勢なので、口調とか呼び方とか間違ってたら教えて下さい。
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