やはり俺が正義の味方になるのはまちがっている。 作:Seli
〈八幡 Side〉
俺とアルは自己紹介を終えて、俺が桜の養子の件について話すとみんなは了承してくれた。
桜を養子として引き取ることが決まり、とんとん拍子で話が進み、一緒に暮らすことになった。
アルも俺の側から離れないと言い、俺、アル、桜の3人で生活をしていくことになり、あっという間に半年の月日がたった。
冬木の街に、俺達が住む場所の新しい一軒家も買った。
え? お金はどうしたかって?
俺の貯金がほとんど吹き飛んだよ、畜生め………
まあ、まだ生活していくには充分なお金はあるんだけどな。
そして、のんびりと桜とアルと俺の3人で暮らしていた訳だが、どうやらその平穏も崩れるらしい。
そう、『第四次聖杯戦争』がこの冬木の街で始まるのだ…………
時臣さんは参加することになっている。協力を申し入れされたが、断った。俺が聖杯戦争に参加することによって桜に危険が及ぶ可能性が高かったし、何より面倒くさかったからだ。
ただ、真っ当な聖杯戦争が行われないイレギュラーが起こったなら、間違いなく参加するけどな。あのクソジジイからの指示でもあるからな。非常に面倒くさくて働きたくないが仕方ない。
桜に幻滅されたくないし、そうなったら生きていけないから八幡頑張るよ!
イレギュラー事態起こる可能性は低いだろうから特に心配はしてないけどな!
桜「お兄ちゃん! 晩ご飯出来たよー
って何してたの?」
おっと、天使が俺を呼んでいたみたいだ。
「ああ、今行く! ちょっと桜やアルのこと考えてたんだよ。」
俺は桜の頭をワシャワシャと撫でながら言った。
桜「きゃはは! お兄ちゃん、くすぐったいよ~ 早く行こう! アルお姉ちゃんに怒られるよ。」
桜は嬉しそうに言った。
いや~桜は天使すぎて破壊力がやばい。
この笑顔を守るためならどんなことでもするし、桜は絶対に嫁に出さないぞ!
って親バカすぎて気持ち悪いな、俺が。
俺と桜は、一緒にリビングへと向かうとアルがテーブルに座っていた。
テーブルの上にはグラタン等美味しそうなものが並んでいた。
アルが美味しそうな料理を前にして待ちきれないのかソワソワしながら言った。
アル「むっ、遅いですよ、ハチマン! 私はお腹が空きましたので早く食べましょう。」
そうこのアルは、食事の時間が誰よりも大好きなのだ。出会ったばかりの頃は食べる専門だったが、俺がそんなことを許すはずもなく、料理等の家事をできるように鍛え上げた。
働かない者食うべからずって奴だ。
桜も小さいながらも家事を覚えようと頑張っている。包丁とかを持たせたくないんだが、桜が明らかに不機嫌になり口を聞いてくれなくなるので、俺が折れてアルか俺が見ている時なら料理OKというルールを作った。
そこから桜の上達ぶりは凄く、簡単な物なら作れるようになった。流石俺の妹だな!
将来良いお嫁さんになるだろう。誰にもやらないけどな! 桜がもし彼氏を連れて来たなら、俺と闘ってもらい俺より強かったら流石に認めるけどな!
貧弱な野郎には絶対にやらないぞ!
おっと、親バカを発揮しすぎたな。
桜もアルも家事が上達している為、俺のすることが減ってきているが、上手いこと分担して3人で家事をやっている。
何で俺が家事を率先してやるかだって?
それは、養ってくれる人を見つけて専業主婦を目指している為だ。だって、働きたく無いんだもん…………
まあ外に出てそんなお姉さんがいないかなと探していたりもしたのだが、桜とアルにバレてはめちゃくちゃ反対されてしまった。
あの時の桜とアルはめちゃくちゃ怖かったな~
私達がいるのに、そんなことしていたの?
とか、目に光が無くなった状態で言ってくるんだぜ? チビるかと思いました……………。
まあ、それ以来外に探しに行くのは辞めたわけだ。夢はまだ諦めて無いけどな!
アル「ハチマン! 何しているのですか?」
桜「お兄ちゃん?」
「あ、ああ、悪い。それじゃあ、食べようぜ。
いただきます。」
アル&桜「いただきます!」
俺はまずグラタンを食べ始めた。
このグラタンめちゃくちゃ上手いな!
グラタンが美味しく勢い良く食べていると、桜が嬉しそうにしており、その姿をアルが微笑ましそうに見ていた。
俺は気になり訪ねてみた。
「どうしたんだ?」
アル「ハチマンがとても美味しそうにグラタンを食べるなと思いまして。良かったですね、サクラ」
桜「うん! お兄ちゃん! そのグラタン、アルお姉ちゃんに教わりながら私が作ったんだよ! すごいでしょう!」
桜はえっへんと胸をはって言った。
マジか…………
ここまで出来るようになってるとは流石に驚いたぞ。
「そうなのか! 桜、このグラタンめちゃくちゃ旨いぞ! よくやったな」
俺は桜の頭を撫でながら、笑顔で言った。
桜「えへへ」
アル「むっ。こちらの料理は私が作ったので食べてみてください」
アルが他のおかずをすすめてきて、そちらも食べてみた。
うん、こっちも旨いな!
「これも美味しいぞ! 」
感想を言うと、アルは不満げにしていた。
アル「むー。私には無いのですか?」
無いって…………まさか、頭撫でろってことか?俺にはこんな綺麗な女性にそういうことするのはハードル高すぎなんですが、アルがはぶてたら非常に面倒くさいことになるな…………。
仕方ない。
「よくやったな、アル」
俺はアルの頭を撫でながら言った。
アル「はい!」
頭をなでられるとご機嫌になった。
桜「お姉ちゃんも良かったね! 冷めちゃうから、食べようよ」
アル「そ、そうですね」
「そうだな」
俺達3人は、楽しく食事をするのだった。
そして、この日を最後に更に賑やかな食卓になり、平和な日常が脅かされていることを俺は思ってもいなかった………………。