俺にはちょっと変わった友人たちが複数いる。
一人は先輩にあたるのだが、やってることが余りにも幼稚な感じが否めないので俺の中ではタメみたいなものだ。
隣で珍しく共に昼食を食っている芳乃清隆。こいつがその友人1だ。
なんでも最近、昔の事を思い出したらしい。電話で聞いた。コイツの話を聞いた限りだとコイツの前世?に当たる世界には俺もいたらしいが、生憎と俺にはそんな記憶は戻ってきていない。
なので半分ぐらいは冗談として受け止めている。勿論こいつが嘘つくような奴ではないとしっているので本当の事としても受け入れている。
「久々に学食に来たけどやっぱり美味いな」
ラーメンを啜りながら一言呟く清隆。普段は弁当作ってきているのでめったに食堂には顔を出さない彼。今日は寝坊したから顔を出したようだ。
俺も今日の日替わり定食であるチキン南蛮を飲み込んでから同じように美味いと呟く。
風見学園の食堂は思わず美味いと言ってしまうレベルの料理を出す。それがこの学園に通うようになってからの俺の持論だ。
まぁ、多くの人が思ってそうだが……
昼食を終え、食後の一休みをしたくなったので教室に帰る清隆と別れ自販機の置いてある体育館への通路へ歩く。
自販機に俺の好きなカルピスソーダがあるのを確認して小銭を入れる。
出てきたペットボトルを取り出して歩きながら口を開ける。
一口飲んでホッとしたところに後ろから声を掛けられた。
「あら?佐々木くん」
「ん?……あぁ、雪村か。奇遇だなこんな所で会うのは」
「そうね。でも、学内唯一の自販機の近くだし、良くある事じゃないかしら」
俺に声を掛けたのはクラスメイトの雪村すももだった。綺麗な銀色の髪を肩まで伸ばしている少女だ。
「それもそうだな」
俺は肩をすぼめながら同意する。
彼女の言う通り自販機は此処にしかない為、そこを訪れる生徒は多くいる。
時間も時間の為、彼女と共に教室まで歩く。彼女は手にミルクティーの小型ペットボトルを持っていた。季節はそろそろ夏へと動いているので暑くはないのだろうか。
そんなことを考えながら彼女の手元を見ていたので、流石に彼女も気になったようだ。
「どうしたの?私の手元なんて見て」
「あぁ、悪い。ただこの時期にホットのミルクティーを飲むのを意外だと思って」
「好きだからよ。佐々木くんもあるでしょ?好きなものなら時期とか気にしない物とか」
「あー、俺にとってのカルピスソーダみたいなものか。冬でも確かに飲むし」
「そういことよ」
彼女ととめどない会話をしていると教室に着いた。
自分の席に座ると、清隆とは別のもう一人の変な友人が声を掛けてきた。
「よぉ、正之」
「おう、耕助」
江戸川耕助。俺に声を掛けてきた男の名前だ。一つ上の学年に姉を持っており、中々に苦労している奴だ。まぁ、大半が自業自得感が否めないけど。
「それでどうした?」
「いや、飯食って暇だからよ。暇になったらダチに声を掛ける。それに限るぜ」
妙にキメ顔で喋る耕助。ていうか、
「おい耕助。確か次の授業って……小テストあった気がするが大丈夫か?」
「は?……は?」
「俺は普段から復習してるから大丈夫だが。お前、次赤点取るとたしか……」
「あー、聞こえない。聞こえないー」
耳をふさぎ嫌々と頭を左右に振る。なんで野郎のキモイ行動を見なければいけないのだろうか。
額に青筋が浮かんだのが分かるが、なるべく優しめの声で自分の席に戻ることを促す。
「ほら席に戻って勉強したらどうだ。俺も勉強するからさ」
「うっ……お、覚えてろよー!」
最後には三下キャラみたいなことを口にして自分の席に戻っていった。
はぁ、俺も勉強するか。
☆☆☆☆☆
放課後になると、仲のいい同士に集まって帰ろうとしているクラスメイトを尻目に俺は急いで教室を出る。
今日は俺のアルバイト先である保育園から掃除の依頼をされたので、急いで帰宅する。家に帰ると制服を脱ぎ、私服に着替えると簡単にバッグに荷物を入れる。
俺の借りているアパートの自転車置き場に行き、自転車にまたがる。初音島にやってきてからの相棒だ。
初音島は本土からは車でしか来れない。一応本土では初音島を観光地としてバスが通っている。その為、この島に来る多くの人たちは観光客だ。俺みたいに住む人は少ないらしい。
かつてこの島は一年中桜が咲き誇っていたらしく、その名残か多くの桜の木が彼方此方で見ることが出来る。
園長先生から聞いた話だが、その桜の木は何でも願いをかなえてくれる木だったそうだ。まぁ、真偽のほどは確かめようがないが。
そうこう考えているうちに保育園が見えてきた。職員用自転車置き場に自転車を置いて、挨拶をしながら中に入る。
平日は簡単な掃除しかしないので、結構ほこりなどがたまっているのが見える。これは中々に骨が折れそうだ。気を引き締めると俺は掃除に取り掛かった。
☆☆☆☆☆
今日のアルバイトが終わったのでスーパーで夕飯の総菜を買うことを決めた。本当は自炊をしようと思ったのが、思った以上に疲れてしまったので今日は総菜で済ませることに。
時間が遅めなので、値引きシールが貼られている物が多い。揚げ物が食べたい気分なので、唐揚げを手に持ったかごの中に。既にかごの中には明日の朝用にと確保された菓子パンが入っている。勿論、お菓子もある。
「後は、牛乳がないはずだから買って帰るか」
ポテトを更にかごの中に入れると、紙パック売り場へ足を運ぶ。そこで意外な自分を発見。思わず隠れようとしたが、隠れる必要がないことに気が付くと、売り場に近づいた。
「よぉ、雪村。昼といい奇遇だな」
「……あら?佐々木くん。本当ね、奇遇だわ」
俺が声を掛けると一瞬の間があってから彼女はゆっくりと返答をした。制服を着ているので、学園の帰りだろうか。彼女は特定の部活に入ってなかった覚えがあるが……
「ああ、制服の事を考えているのかしら。ちょっと図書室で本を読んでいたら、遅くなったのよ」
俺が見ていることにまたもや気付くと、理由を教えてくれた。小首をかしげたそのポーズに見とれてしまったが、頭を振る。
「なる程。しかし良く俺が見てると気づくな。昼も気付いていたし」
「あら、知らないのかしら。女の子は視線に敏感なのよ」
「……左様ですか」
女っ気がないせいか初めて聞いた言葉だ。そうか、女子は視線に敏感なのか。これからは気をつけなきゃな。
「佐々木くんはこんな時間にどうしたのかしら?」
「俺はアルバイトさ。一人暮らしをしていると何かと物入りだからな」
洗うため持ち帰った制服が入ったバックを叩く。
「佐々木くんって一人暮らしだったの?ご両親は?」
「母は幼いころに。父とは初音島に来る前までは一緒に住んでたけど、海外に転勤って事を切っ掛けに別居さ」
「言いにくいことを聞いてしまったみたいね。ごめんなさい」
「いや気にしなくていいさ。父と一緒に暮らしてた頃も、一人の時間が多かったからな。慣れたものさ」
父は会社ではそれなりの地位に付いているようで、朝早く会社に向かうと遅く帰ってくることばかりだった。
母がすでにいない為、家事は俺がやっていたのでかなりの腕前だ。まぁ、だからこそ保育園をバイト先に選んだのだが。
初音島に来たのだって、観光客たちと同じだ。桜が咲き誇っていた島ならば、桜の季節には楽しいだろうと思ったからだ。
「じゃあ、カゴの中身は夕飯かしら」
「おう。流石に今日は疲れたからな。帰って料理するのが面倒で」
「中身は……見事に揚げ物ばかりね。体に悪いわよ?」
「まだまだ若いから平気だろ。まぁ、流石に毎日こんな食事ってわけではないが」
「……ちょっと待ってて」
「ん?……あぁ、構わないが?」
雪村は携帯を取り出すと、少し離れて何処かに電話を掛けだした。
「ああ、杏姉さん。これから友達を連れて行くのだけど、大丈夫かしら」
「ええ、わかったわ。じゃあ、もう少ししたら帰るわ」
電話が終わったのか、鞄に携帯をしまってこちらに戻ってきた。
「じゃあ、佐々木くん。そのカゴの中身。夕飯は全部戻してきて」
「はい?話が読めないのだが」
「此処であったのも何かの縁。夕飯うちで食べて行きなさい。大丈夫うちの人に許可は貰ったわ」
確か、D.C.WithYouが出た頃にすももが可愛くて書いたやつですかね。個人的にはD.C.好きな癖に二年ぐらい触れていないので記憶薄れてきてるんですよね。やり直そうかな……でも、そうすると書きたくなるんだよね。
覚えてる人などいないと思うけど、この作品一度だけ挙げてた頃があるんだよね。