『直さん、そこを右に曲がると先回りできます』
「了解!」
道路を走りながら彼女の言葉を耳にする。右に曲がれば良いと言われたので急いで曲がる。
そのまま走ると一人の男性が俺に向かって走ってきたところだった。
「強盗の容疑で現行犯逮捕させてもらうぞ」
男に向かって告げると走る。相手は走っているのでそれに合わせて相手を無力化する。
「そこをどけや!」
「はん、強盗した相手に退く道はねえよ」
俺に向かってきた男―強盗犯は右腕を振りながら叫ぶ。右腕を左腕でうまく往なすと同時に俺も右腕を振る。上手く相手の腹に拳が当たり強盗犯が蹲る。
その隙を逃さずにポケットから手錠を取り出すと両腕にはめた。
「11時31分 現行犯で逮捕!ゆかり任務達成だ」
『お疲れ様でした直さん。今警察を呼びましたので合流したら犯人を引き渡してください』
「了解」
通信を終了してから数分後に警察がやってきて、引き渡しを済ませた。
♦
「これで俺たちの1年の依頼は終わりだな」
「そうですね。2年からは直さんは強襲科に転科するんでしたっけ?」
「ああ、以前から蘭豹先生に誘われててな」
俺は今は探偵科に所属しているが、新学年が始まると強襲科へと移る事となっている。
俺の戦い方は基本的に銃で牽制、すきを狙って接近戦という中距離を主としたものだが、それでも強襲科に来たら磨けると先生に言われたので、折角なので転科することにしたのだ。
誰でも転科することは可能だが、教師の推薦で転科すると武偵ランクは最低でもBは保障される。つまり、それほどの実力者でなければ教師は推薦しないという事だ。
「ゆかりは2年でも通信科か?」
「はい。それに私は直君の専属オペレーターですし」
俺の対面でサンドイッチを頬張る彼女の名前は結月ゆかり。紫色の髪とウサギの耳を長くしたようなものが付いているフード付きのパーカーが特徴で身長が低いことが悩みな少女だ。
そんなゆかりだが、入学して間もないころに行われたオペレーターを使った任務のオリエンテーリング以来の付き合いだ。彼女と組んだ時にこれ以上ないぐらいに息があったため専属オペレーターとして俺に付いてきてもらっている。
「この1年もあっという間だったなぁ……」
ラーメンを食べ終わり、コップに入っていた水をあおってしみじみと呟く。
いや、本当に1年はあっという間だった。
俺の所属する東京武偵高校―通称武偵高は一般教養のほか武偵として必要な技術を磨くための訓練。実際に現場に出て実力を試す任務など日々やる事がぎっしりと詰まっているのだ。
「ごちそうさまでした」
「ああ、おそまつさま」
二人して食事を終える慣習を終えテーブルを離れる。
食堂の食事を終えた食器置き場にどんぶりを返すとゆかりに声を掛ける。
「あのさ、明日からの春休み暇か?」
「ええ、予定は空いてますが?」
「なら俺の戦姉妹組みに行くやつのところに行くんだけど一緒に行かない?今年新しく入学してくるんだ」
最近彼女から合格したと連絡を受けていたので春休みに用紙でも持って契約しちゃおうという魂胆だ。
「分かりました。じゃあ、行く日が決まったら連絡ください」
「了解」
♦
武装探偵ー通称武偵。警察だけでは近年増えてきた犯罪に対応が出来ないためにとられた緊急措置な職業。武力を有した探偵が犯罪へと立ち向かう。その響きだけで入学したという生徒が増えているという噂も聞く。武偵を教育する機関として有名なのが東京武偵高校だ。武偵は複数の種類で分けられる。
と14種類もの学部が存在する。
俺こと桐生直樹は今日まで探偵科に所属しておりランクはBだった。普段取り扱っていた任務は浮気調査などの簡単なものばかりだった。新学期からは強襲科に転科するため今以上に忙しい毎日を送ることになるだろう。
書いていた当時は今以上にゆかりさんの実況を聞いていました。
なので、割と本気で使い道のないボイロを買おうかと思ってました。名残としてアマゾンのカゴの中にまだある。