ストーカ任務を達成してから数日が経った。
今日も今日とて強襲科での訓練だ。今日は既に教養科目の授業を終えているので残るは訓練だけだ。
基本的には自由に訓練場で訓練が出来るのだが、時たま強襲科の訓練長である蘭豹先生が特別訓練を生徒に付けるときがある。それが今日だ。
「よし、今日はおめぇらに私が訓練付けてやる。喜びな」
訓練場に近いグラウンドに先生は生徒を集めると叫ぶように喋った。
「今回の訓練は、強襲科にお似合いの近距離戦闘だ。おめぇらは各々の獲物を持って来な。私はこれで十分だからよ」
そう言って自身の右腕を掲げる先生。自信過剰と言えればどれほど良いだろうか。強襲科初日の訓練で先生は所属生徒全員を同じ様に拳一つで沈めている。その中には武偵上(例外を除いて)トップの実力を誇るSランクの生徒もいたのだ。
集合時にランク順に並んだので、高ランクから順に訓練という名の地獄が始まる。何故、低ランクからじゃないかというと高ランクの戦いを見て参考にさせるのと、発破を掛ける意味合いがあるらしい。
探偵科にいた時からそのような光景を見てきたのでおよその予想は付いている。
「次の奴こいやぁ!」
「いきます!」
自分の番が回ってきたので、返事をしながら突っ込む。
俺の獲物は小型ナイフだ。探偵科に所属していたこともあって、俺の相手はもっぱらストーカーか、猫や犬などの動物ばかりだった。
故に、市街地での行動が多く、狭い路地でも取り回しの効くナイフを選んだのだ。
「せいっ!」
「はっ、その程度じゃあ不意を突けねぇぞ!攻撃ってのはこうやるん……だよっ!」
俺の右腕によるナイフでの攻撃を囮に左での攻撃で不意を突いたのだが、直ぐに看破されてしまい、そのまま先生の攻撃がやって来た。
腕の振りが良く何とかナイフを持っていない左腕でいなそうとするが、あまりの強い攻撃に左腕にまともに食らってしまう。
予想以上の痛みによろけている俺に先生は追い打ちをかけてきた。
「おらおらおら、どうした?お前の力はこんなもんか?」
「ぐっ……まだまだぁ!」
ステップでギリギリ回避すると一度距離を取る。さっきは攻撃を回避されたことに動揺してしまったが、よくよく考えると相手は教師。自分よりも強いのは当たり前だ。ならば、
「これでっ……どうだ!」
グラウンドの土を手に取り先生の顔めがけて投げる。先生がそれを振り払っている間に死角となる位置に移動する。
市外戦だと狭い故にその場にあるもので戦う必要がある。今回はグラウンドの為、土を戦略に組み込んだ。
卑怯だという生徒もいるだろう。だけど、俺は一般市民の命を守る武偵だ。
それぐらいの避難など喜んで浴びよう。
死角からナイフを用いた攻撃ではなく、格闘術を用いた攻撃へ移る。これほど至近距離でナイフを振り回すと隙の方が大きく、先生に再び押されてしまうだろう。
☆☆☆☆☆
あれから戦略を変えて先生に攻撃をしたが全て満足にダメージを与えることが出来ず、俺の体力が切れて終わりとなった。これでも体力には自信があったのだが……
更衣室で着替えると、ゆかりを待つ。
今日はゆかりも同じように通信科で指導を受けている。
ここまで書いたところで力尽きました。