「え!?竜華、お前彼氏居ったんか!?」
千里山女子高校の麻雀部に一人の少女の声が響いた。声の発信源の少女は、およそ少女らしくない恰好をしていた。
男でも今時そのような着方はしないような前方を完全に開けた学ラン姿だ。というのも彼女、江口セーラはスカートを履かなくて良いを条件に推薦枠で入学を果たしている。更に、本人の好みも相まって学ランを着ているということだ。
「あれ?うち言った事なかったっけ?」
「ねーよ。初めて聞いたわ」
セーラの声に返答したのは清水谷竜華という少女。彼女は学校指定の制服をきっちりと着こなしており、セーラと比べると不良と学級委員みたいな関係に見える。
「あの子が彼氏になってもう1年半ぐらいかなぁ……付き合い自体はもっと前やけど」
「おっ、りゅーか。京の話してるん?」
「せやでーって、怜起きたんか?」
竜華に話しかけたのは部室に設置されているソファーで横になっていた少女。彼女の名前は園城寺怜という。今年の夏大会ではエース—先鋒として起用すると監督が決めている程の人物だ。しかし、ソファーで横になっていたように、体が生まれつき弱い。今日も練習を程ほどで終えるとソファーで横になっていた。
「その呼び方的に怜も親しくしている男なのか……どんな奴や」
「その、えっと……」
「どうしたんや竜華。そんな言いづらそうにして」
「竜華が言いづらいのはうちもよう分かるわ。京は見た目がアレやから誤解多いもんなぁ」
「うちの彼氏のきょーくん……京太郎っていうんやけど、彼見た目がもろに不良なんや」
「ふ、不良!?はぁー、まさか竜華がそんな奴と付き合うてるとは思えんわ」
「あ、あはは」
竜華も怜も気まずそうに笑うしかない。竜華が言った京太郎という男は染めてるとしか思えない金髪に長身、その上コンタクトレンズを付けるのが怖いとの事で授業以外では眼鏡を付けていない。そのせいで普段から、相手がにらまれてるように思ってしまう。そんな男なのだ。
本人からすると、不良なつもりはないとの事だ。
「今日これから会う予定やけど、セーラも来るか?」
「そうだな。一目見てみたいわ」
そういう事で江口セーラは京太郎なる男と出会う事になった。
☆☆☆☆☆
部活動を終え、街へと繰り出した三人。
待ち合わせ場所に付くと既に京太郎という男が居たようで、竜華の足が速くなった。
「きょーくん!」
「竜華さん。こんにちわ」
竜華が近づいた男は挨拶に気が付くと、挨拶を返してきた。