騎士王、異世界での目覚め   作:ドードー

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一応説明しておこうかと思いまして、
アルトリアの容姿ですが、目や髪、肌の色はセイバーオルタですが、
服や鎧、聖剣などは青セイバーと一緒です。
面倒くさい設定ですみません。


接触

 ーバハルス帝国首都ー

 

「ここが首都か…」

 

  あれから数日かけてようやく首都にたどり着いた。

  すでに門を通り首都内に入ったが、その景色は何処かで見たようで見たことのないそんな景色だった。

 

  街の通りには昼時という事もあり人が溢れている。

  ここ一ヶ月ほど人とは全く関わらない生活をしていたため新鮮な感覚で人々を眺める。

  勿論街並み自体も自分にとっては珍しい物ばかりだ、あまりキョロキョロとしないように目的の場所に歩く、目的地は冒険者ギルドまずはある程度の資金が無ければ行動するにしても不便だ。

 

  別に冒険者登録出来ずともモンスターの素材を売ることが出来るだけで随分助かるのだが登録出来るかまだ分からない、もし登録時に魔道具に手をかざしたり、血を垂らしたりでステータス確認などするシステムだったらオートマターでは誤魔化しきれない、なので最悪素材だけでも売れればいいと考えている。

 

  そのようなことを思いながら冒険者ギルドに入り受付に向かう、

 そこの受付嬢が自然な笑顔で挨拶をしてくる。

 

「冒険者ギルドへようこそ、本日はどのようなご用件でしょうか」

 

 顔をフードと口元の布でほとんど隠していても問題なく対応してくれる。

 

「冒険者登録をどうするか考えているのだが、登録する場合どのような手続きが必要になるのだろうか?」

 

「はい、もし登録となりますとまず必要書類料として5銀貨頂きます。それからこのような書類にご自身の冒険者としての能力、つまりスキルなどを書いていただきます。そして最後に講習を受けていただき登録完了となります。これが登録する際の大まかな流れとなっていますが何か質問はありますか?」

 

  どうやら心配していたことは取り越し苦労だったようだ 。

 

「いや、登録については特にない、それとは別なのだが登録していなくてもモンスターの素材などは買い取ってもらえるのだろうか」

 

「はい、それについては問題なく買い取らせていただきます。ですが登録していないと買い取り額が安くなってしまうのでご注意ください」

 

「了解した、だが登録に関してはまだ保留にしておく、先に買い取りをお願いしたいのだが、素材はここで確認してもらえるのか?」

 

「はい、こちらで確認させていただきます。素材はその袋の中でしょうか?」

 

  受付嬢が指したのは私が担いでいる袋だ、この世界ではアイテムボックスがどのような位置付けなのか分からないためこちらに移しておいたのだ。

 

「狼のようなモンスターの素材なのだが」

 

  袋の淵を少し開き中を見せる、中にはくる途中に狩った狼の足と頭そして皮が一匹分入っている。

 

「えぇと…あっこれはっ、…あの、こちらはお一人で狩られたのでしょうか?」

 

「そうだが?…ああ、なにぶん一人旅なのでな、それなりの腕はある」

 

  どうやらこの狼は駆け出しで狩れるほど優しいモンスターではないらしい、取り敢えず適当な理由を付ける。

 

「なるほど冒険者登録はしていないですが、戦闘自体は初心者ではないのですね。魔狼をお一人で狩れるのであれば是非登録をお勧めします。では素材を確認しますので少々お待ちください」

 

  受付から離れ査定を待ちながら状況を整理する。

 

(さて、取り敢えず資金のあてはできた、となればこれからどうする?、まずこの国と周りの国の情勢、この国の人種や職業での階級や立場、キャメロットの扱い、これが分かるととても助かるんだが、……しばらく酒場を回り続けるか、だがその前に…)

 

  査定が終わったのかさっきの受付嬢が受付に戻ってきた。

 

「査定が終わりました。先程の素材のですとこれぐらいになります、よろしいですか」

 

「ああ、それで構わない、それと少し聞きたいんだが」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「ああいや、ギルドの事ではないんだがさっき言った通り旅をしているからこの辺りはあまり詳しくない、この国のことを軽く聞いておきたくてな」

 

  そう聞くと受付嬢は少し悩みながら。

 

「ん〜…この国こと…ですか〜、私はずっとこの国に住んでるんで周りの国と比べてとかはあまり分からないですね〜、ただ住みやすい国だと思いますよ、数年前に貴族が次々処刑されてしまったりと不安な時期もありましたけど、何だかんだ今の皇帝陛下は優秀という噂ですし、何より平民でも貴族でも実力で評価して下さるらしくて、四騎士の……あー、四騎士というのは帝国でもかなり位の高い騎士達なんですけど、その中にも確か平民出の方もいらっしゃった筈です。あと変な貴族が出しゃばらないので平民としては安心できますね。その辺は王国は大変と聞きましたが」

 

「なるほど、ではしばらくこの国にいるとしよう、また世話になるだろうがよろしく頼む」

 

 これ以上話を聞いていると仕事の邪魔になってしまいそうなので話を切る

 

「いえいえ、こちらこそ」

 

  その言葉を聞き、私はギルドを出る。

 

(さて、酒場を探すとしようせめて酒場の場所ぐらいは聞いておくべきだったな。まあいい時間はあるゆっくり探すとしよう)

 

  少し歩き出してふと止まる。

 

(まて、そもそもオートマターで酒を飲めるのか?不味いな流石に酒も飲まずに酒場にいるのは不自然以前に軽く営業妨害だぞ、くっ、こんなところで問題が出てくるとは、仕方ないな最後に使いたかったんだが別な方法でいくか)

 

  そうしてまた歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーバハルス帝国ー

 

  そこに走っているのは6台の馬車、ただの馬車ではないのはその豪華さからよく分かる、さらにその周りを飛ぶヒポグリフにまたがる騎士達、これだけでこの馬車には重要な人物が乗っているのが分かる、そしてこの馬車はトブの大森林から帝国首都に帰る途中である。

  馬車の中にはバハルス帝国皇帝が乗っているが行きの時に一緒に居た秘書官と帝国最強の魔法使いの姿がない。

 

(くそがっ、あの化け物め!先に諸国との同盟の可能性を潰してくるとは)

 

  ジルクニフは苦虫を噛み潰したような顔をしながら心の中で悪態を吐く、だがそれでも歴代最高の皇帝、文句もほどほどに今後行動をどうするかに切り替える、そこへバジウッドが話しかける。

 

「この後、どうするのですか陛下?というかあんな化け物どうにかする方法なんてあるんですか?」

 

  そんな言葉を聞いてジルクニフは皮肉げに返す。

 

「ないことはない…と思いたいな。少なくとも今考えてる策が無駄ではないとありがたい、なにせあの化け物は力だけでなく知略にも長けているおまけにじいまであのざまだ」

 

  ジルクニフがいつもの調子で話すので若干の安心感が戻ってくる

 

「確かにこんな一大事なのに頼りになる帝国最強の魔法使いの席が空席になるのは大分痛いですね。それはそうと策とは?」

 

「北部の洞窟だ」

 

「うん〜、確かにあそこの竜どもは他とは格が違いましたが戦わせるにしても、さすがにゴウン辺境侯を相手にするのは流石にきついのでは?」

 

「他より少し強いだけのモンスターに用は無い、用があるのはその主だ」

 

「…っ、あの洞窟にもあんなのがいるんですかっ?」

 

「元々怪しかったが現実味のない話だったからな、だがアインズのようなのが居たんだ同じような奴が居てもおかしくない、それにアインズと同じ時期に出てきたからな関連性があるにしても無いにしても確認しないわけにはいかない、同じ様な奴がいればもしかしたら潰し合わせることが出来るかもしれないしな」

 

(問題なのはそいつがアインズの配下だったりすると最悪という事だ)

 

「そういう事だ、帝都に戻ったら今度は北部の洞窟に行く準備をしておけ」

 

「わかりました、出来ればもう心臓が潰れる様な思いはしたく無いですが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーバハルス帝国首都ー

 

  既に日が暮れ昼間の賑わいが嘘のように街の中には静けさが漂う、そこで一人の人影が歩いていく、大きさは比較的小柄で女性だろう、その黒髪黒目の外見、アルトリアが操作するオートマターである。

 

  そしてそのまま路地裏に入る、ただ入る訳では無い背後をつけている連中をしっかりと引っ張り入れ、ゆっくり歩いて追いつかせる。

 

「何か用か?」

 

  付いてくる三人に向かって問う

 

「アンタ、こんな夜に不用心だぜ、狙って下さいって言ってるようなもんだ」

 

  三人ともナイフをちらつかせながら近づいてくる

 

「悪く思わないでくれ、アンタはたまたま不運だった。そういう事だ」

 

 アルトリアも呟く

 

「ああ、確かに不運だな」

 

「何だ潔いな、まぁこっちとしては助か『ゴハッ』

 

  アルトリアは一瞬で距離を詰め片手で首を絞め上げる

 

「ぐがっががぎぃっはぁっかっ」

 

  首を絞められた一人は必死に手を解こうとするが外れず、慌てて残りの二人か助けようとアルトリアに襲い掛かる。

 

「くそっこいつっ」

 

  振り下ろしたナイフを持つ手の手首を受け止め、そのまま親指に力を入れ手首を折る。

 

『ゴキッ』

 

「ぐあああぁぁぁっ」

 

  手首を抑えてふらついてる男の顔面を掴み壁に叩きつける。

 

『ガッ』『ググッドサッ』

 

  そのまま壁に血の跡を引きずりながら身体が崩れ倒れ込む、と同時に首を絞めて動かなくなった男も地面に落とす。

 

「ひっなんでっ」

 

  残った男が悲鳴を上げ後ずさる、勿論逃がすつもりもなく間合いを詰める。

 

「こっ殺さないでくれっ、まっ待って、頼むっ」

 

「死にたくなければ私の質問に答えろ」

 

「わっ分かった、なっなん、なんでも、言うからっ」

 

  こうして今日も情報を得る、何故わざわざこんな時間に出歩いているのかというと情報収入の為である。こうやって夜中に出歩き馬鹿が引っかかるのを待つ、引っかかった馬鹿から情報を強制的に引き出す。

  これをここ数日繰り返してある程度の情報は集まっている。

 

  この帝国という国は思いの外優秀である、皇帝の影響も大きいだろう何というか実力主義のような皇帝の思想ありながらそれでいて国自体は平民にとって過ごしやすく国として比較的高いの生活水準を保っている。王国とはいつ戦争なってもおかしくないらしい。

 

(なかなかいい国だ皇帝の考え方も嫌いではない、アルトリアになってから国や王のあり方に少し敏感になっている気がするな、まあいい、それ以外ではエルフの奴隷もいるようだな本物のエルフは見てみたいな奴隷を買うのもいいかもしれん、しばらくは冒険者として行動して様子を見るのも悪くないな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーキャメロット最上層入り口ー

 

「さて、ここが例の洞窟かナザリックに雰囲気が似ている気がするな」

 

  ナザリックに行った時と同様の豪華な馬車から降りてきた皇帝ジルクニフがキャメロット入り口から少し離れた所で感想をもらす。

 

「確かに、言われてみればそんな感じがしますね。ですが洞窟とか地下に行く道ってのは独特な雰囲気がありますけどね」

 

  ジルクニフの感想にバジウッドが答える。

 

「彼の言うことは間違いではありませんが、私はナザリックの所為で先入観があると言うのが大きいと思います。」

 

  と答えるのはバジウッドと同じ四騎士のレイナース・ロックブルズである。

  彼女は前回ナザリックの中までは入らなかった為アインズ自身には合っていないがフールーダが弟子入りしたなどの話を聞いて少し後悔していた。

  弟子入りが認められたのであればもしかしたら自分の顔にかかった呪いも頼めば解いてくれたかもしれない、いくら相手が人間では無く化け物でもフールーダ以上の魔法使いだ、話が通じる以上頼んで見るべきだった、そう考えている。

  よって今回は中までついていくと決めている。

 

「それで陛下どうやって中に入るんですか?」

 

  バジウッドがジルクニフに尋ねる、それもそのはず何故なら今回はメイド待っていて案内してくれる訳ではない、洞窟からはたまにワイバーンが出てくるだけである。

 

「今回は案内してくれるメイドも居ませんし、まさか俺たちだけで最下層まで行くとかじゃないですよね」

 

「案内なら出てくるではないか」

 

「出て来るってワイバーンですかっ?流石に陛下が言うことでもそれは…無茶では?」

 

「別に案内が出来なくとも良い、意思の疎通は出来るはずだ、そうでなければおかしい、ともかくワイバーンに襲われないところまで入るぞ、案内しろ」

 

「分かりました、まあ襲われないところまでであればどう転んでも問題ないでしょうし、こちらです」

 

 

 

 

 

 ーキャメロット最下層ー

 

「ん?」

 

  キャメロットに侵入した者がいることを感じオートマターから本体へと意識を戻す。

 

「久しぶりの侵入者だな」

 

  帝国が洞窟入り口を管理しているためここ一ヶ月誰も入って来ていない。

  そこへ来て豪華な馬車からの護衛を連れた人物の登場である、何かあると思うのも当たり前である、その人物もワイバーンが襲わない一歩手前まで来てずっと何かを待っている。

  恐らくこちらの対応を待っているのだろう、いくら護衛がいるからと言って随分と度胸があるな、対応を待っていると言うことは私の存在を知っていることでもある、どうやら頭も回るようだ。

 

「どれ、では挨拶と行こうか」

 

 ワイバーンを一体送り込む

 

 

 

 

 


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