騎士王、異世界での目覚め   作:ドードー

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正直満足なできとは言えない

やりたいこととかも書くとなるとこれほど難しいとは
会話の内容がなんか薄い


対話

 ーキャメロット最上層入り口ー

 

「陛下っあれはっ」

 

  バジウッドが指を指しながら叫ぶ、その方向からはワイバーンが一体飛んでくる。

  そしてそれは我々から少し離れたところに着地し、ゆっくり歩いてこちらに近づいてくる、これは外に出るためでなく明らかにこちらに用があるようだ、目の前まで近づくと慌てて騎士達が私の前に出ようとするか手で制す。

  ワイバーンは私の目の前で止まり何かを待っている、いや待っているのは私の反応だろう。

 

「私はバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスである。この洞窟の主である者と対話を望みたい、案内して貰えないだろうか」

 

 

 

 

 

 

 ーキャメロット最下層ー

 

  まさかの皇帝直々である、流石のアルトリアも僅かに固まる、がすぐに思考を巡らし対応を考える。

 

(皇帝直々とは、そこまでキャメロットを重要視しているのか?いや幾ら何でも皇帝自身を危険に晒す必要性はどこにも無い、使者を送れば事足りる。

 皇帝自身が動くほどキャメロットを危険視しているのか、国を潰せる存在が多く居るのはあながち間違いでは無いがそこまで情報は晒していない筈だ。

 対応があまりに早すぎる、私という存在が居ると確信を得るにはまだ時間掛かるはずだ、この洞窟が客観的に見て特異なのは認めるがそれでも特殊な洞窟が出来ただけだ。

 国が動くほどの規模があるかも分からない状態で……プレイヤー…まさかプレイヤーか?皇帝…いや、皇帝の背後にプレイヤーがいるのか?確認するべきか?そのためには接触するしかない…リスクが高いな、しかしあちらは既に見当がついているのだろう。

 どちらにしろ時間の問題だな、ならば早々に手を打った方がいい)

 

「会うとするか」

 

 

 

 

 

 

 

 ーキャメロット最上層入り口ー

 

  ジルクニフの言葉を聞いたようにワイバーンが二、三歩下がり踵を返す、するとワイバーンの少し前に魔法陣が浮かび上がる、ワイバーンはその魔法陣までゆっくりと歩くと魔法陣に乗る、魔法陣が一瞬輝きを増しワイバーンは姿を消す。

 

「恐らく、転移魔法だと思われます」

 

  レイナースが答える。

 

「なるほど、歓迎して貰えるらしいな、ならば行くしかあるまい」

 

「正直もうあの恐怖は味わいたくないですがね」

 

「何だ?バジウッド?今度はお前が馬車の番をするか?」

 

「いえっ、俺は陛下について行きますよ、お守り出来るかは怪しいですが」

 

「相手が相手だ、そこまでは求めん、さて余り無駄話するわけにはいくまい、行くとしよう」

 

  ジルクニフが先頭に立ち四騎士の二人と騎士と魔法使い数人が後に続く、そして魔法陣に乗り数秒後にはそこに居た全員が消える。

 

 

 

 

 

 

 

 ーキャメロット最下層ー

 

  ジルクニフ一行は最下層の入り口付近に転移される。

  そこに映し出されるのは広大な湖、そしてそこから突き出た立方体の結晶が連なる大きな一本道、そして道の先にある巨大な城。

 その幻想的な光景はまさに絶景である。

 

「「「…っ……」」」

 

  誰しも息をのむ、この光景は果たして人類で作り出せるのか?無理だろう、だがここにある、広大でありながら幻想と神秘が混ざり合い調和したこの場所、人間ではない何かが住む場所、そうそれは竜の住む秘境である。

 

  ワイバーンの群れと上位種の竜が飛び交い、湖には大型の水竜、そして城の前には最上位と思われる一際巨大な竜が陣取っている。

 

(何だここは、私はどこの世界に迷い込んだのだ、なんとも残酷な光景だ、幻想的で神秘的だからこそその残酷さがよくわかる。

 城の前のあの竜がただ歩くだけで国の首都など簡単に落とせそうだ。まったくアインズの時ので慣れたつもりだったのだがな、いや慣れたからこそこの程度の動揺で済んでいるのか?)

 

「惚けるのはここまで、進むぞ」

 

  歩き出すジルクニフの言葉に我に返った騎士達は慌てて後を追う。

 

「ナザリックも凄かったですけど、こっちもやばいですね、こう言ってはなんですが警戒しようという気が起きません」

 

  結晶の道を歩きながらバジウッドはジルクニフに話しかける。

 

「確かに警戒しても無意味だろう、……凄いとしか言いようがない、ここまでくると逆に単純な言葉しか出てこないものだな」

 

「ははっ、確かにそうですね、」

 

  結局喋る事もなくなり無言で道を歩く、それは喋るために口を動かすよりこの景色を目に焼き付ける為かもしれない、巨竜の前に着く前に巨竜は羽ばたき道を開ける。

  そのまま進み城の前まで来ると自動的に門が開く。

 

「入れということか、いよいよだ行くぞ」

 

  城に入ると中もとても豪華である、豪華でありながらどこか気品を感じる作りであり外の景色に勝るとも劣らない美しさがある。

  まるで芸術品であるかのような城内を歩いていくと、行く先でいくつかある扉の中から一つが開き道を示す。

 

  そうして何度か扉に案内されるままに進むと一つの大きな部屋に着くその部屋には円卓が置かれている。

  その席はどれも空席であるがその一つに座っている人物がいる。

  けして幼いわけではないが大人というには若い、金髪で雪のように白い肌、青を基調としたドレスのような鎧を着ている、そして存在自体が神聖なものであるかのような雰囲気があり彼女の身体からは僅かに黄金に輝く細かい粒子が飛び交っている。

 

「我が城にようこそ、私と対話を望む者よ」

 

  凛とした声で少女はたしかにそう言った、そう、この少女こそここの主なのである。

  失敗は出来ないここが正念場である、ジルクニフは気を引き締め口を開く。

 

「私はバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスという、初めに望み聞き入れこの場を設けてくれたこと、感謝する。宜しければ名を聞かせてほしいのだが」

 

「私の名か?……アーサー・ペンドラゴンだ」

 

(聞いた事のない名だ、突発的現れたのはアインズと同じ、やはり関係者か?)

 

「ではアーサーと呼んでいいだろうか、私の事はジルクニフと呼んでもらって構わない」

 

「好きにするといい」

 

  出だしは上々会話もしっかり成立する、圧倒的上位にいながらこちらにへり下ることを強要しないあたり人格にも好感が持てる。

 

(これはかなり運がいいかもしれん)

 

「ではそう呼ばせてもらおう、ところでアーサーはここの洞窟が我が帝国領にあるのはご存知かな?」

 

「ああ、知っているとも、なんだ?勝手に領内を使われては困ると言いたいのか?」

 

「いや、そうではない、確かに帝国領内に出られてはいろいろとこちらも動かなければいけなかったのは事実だが、それでも出現してしまった以上仕方のない事、無理に争う必要はないと思うんだがどうだろう?」

 

「同盟でも組みたいと?」

 

 アルトリアの問いにジルクニフは僅かに沈黙し思考を巡らす。

 

(食いつきはあまり良くないな)

 

「その通りだ争うより手を取り合った方が有意義だと考えている。

 アーサーも争う事は好まないのではないかな?、ワイバーンに外の人間を襲わないようにしていてくれたのだろう?」

 

「確かに、争う事自体嫌いではないが、今のところはそういった予定はない。」

 

「なら尚のこと同盟はお互いに悪くないと思うんだが、そうすれば帝国としていろいろと便宜を図ることも出来る」

 

「便宜?」

 

「ああ、無闇に侵入者を入れないようにそちらの基準で制限をかけたりなど管理もできる、勿論何か要望があれば言ってくれれば最大限配慮しよう」

 

「対価は竜達の戦力か?」

 

「そうだな、だがそこら辺はもっと友好を深めてからいろいろ聞くとしよう。

 お互いにとって有意義な同盟となるように考えていきたい、まずはそうだな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ジルクニフの言葉を聞きながらアルトリアは思考を巡らす。

 

(どういうことだ?背後にプレイヤーがいるにしては随分と話が遠回りだな、慎重なのか、いやここまで押しかけておいて慎重になる意味はない、皇帝には何も教えていないように感じる、さっさとプレイヤー同士の核心に触れた方が良くも悪くも話がまとまりやすい、プレイヤーがただの馬鹿という可能性があるにはあるが、それなら皇帝を使う事は出来ないだろう、だが皇帝はプレイヤーを知っているはずだでなければ私の存在を感知できない。

 ……帝国と敵対関係、またはそれに近いプレイヤーがいるのか、それなら筋は通るな、この皇帝の事だ真っ向から敵対はしないだろうどちらかといえば自国に取り込もうとする筈、……まさか取り込み損ねたか?敵対はしていないが決して味方とも思っていないのだろう。

 皇帝はプレイヤーの情報を知らない、知っているのは恐ろしく強いというだけ、だから同じような存在の私を引き入れたいというわけか、そのプレイヤーに接触される前に)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そろそろ茶番はやめにしないか?それともそんなくだらん事の為にここに来たのか?人間」

 

  言葉に魔力が乗ったような威圧感が広がり空気が痺れる。

  いきなりアルトリアの様子が変わる身体に纏う黄金のオーラと粒子が赤黒く禍々しくなり、白銀の鎧にも血のように赤い血管のような線が入りそこから鎧を黒く侵食していく、その元の姿を反転したように禍々しくなるもその中にすら神聖を感じてしまうほどその高潔さはうしなわれていない、いや元よりこちらが本当の姿だったのだろう。

 

「なっ…」

 

(くっ、なんて禍々しさだ、これではアインズといい勝負だいや最初の印象が印象だっただけにこちらの方がより恐ろしく見える、ここまで来て交渉の機会を失うわけにはいかん、どうする?)

 

「なるほど、噂通り優秀らしいな、私の魔力の圧に当てられても思考を止めんとは、だがそれでも焦りは隠せていないな、何を焦っている?私の竜達を見たからその脅威に恐怖したのか、いや違うな貴様は洞窟に入ってきた時から焦っていた。

 そう私ではなく別な存在による脅威によって焦っていたのだろう。

 貴様はその存在と私が接触する前に私と会う必要があった。

 その存在に対抗するためには私との同盟が絶対条件だった、違うか?」

 

(この短時間でそこまでっ…誤魔化しはききそうにないな、ならば仕方あるまい)

 

「そこまで見抜かれるとは思っていなかったな、その通りだ、今帝国にとって脅威となる存在がいる」

 

「中か?それとも外か?」

 

(そこまで読んでいるのか、だが聞いてくるという事はまだ終わった訳ではない話し自体問題なく進んでいる)

 

「中にいる」

 

「成る程、つまり国としては動きにくいというわけか」

 

(この少女は雰囲気と魔力の質で禍々しくあるものの、その在り方は見た目通り騎士のそのもの、誠意を見せればあるいは)

 

「いまその脅威にによって帝国は窮地に立たされているといっても過言ではない。

 今の帝国にそれと戦えるだけの戦力が無いのだ、あれが力を示せば帝国は呆気なく崩れるだろう。

 帝国を守る為にはその力に対抗できる存在が必要不可欠だ。

 

 くだらん探り合いは無しだ、率直に言わせてもらう私と同盟を結んで欲しい」

 

 

「何を求める?」

 

 

「力だ」

 

 

「何を望む?」

 

 

「バハルス帝国の繁栄だ」

 

 

「何を差出せる?」

 

 

「私が差出せるもの全てだ」

 

 

 

 

「………………ふっ、面白い、いいだろう同盟を結んでやる、せいぜい足掻け」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーキャメロット城ー

 

  ここはキャメロット城の一室である。

  同盟が成ったという事で改めて話を詰めるため円卓の部屋から別の部屋に移り話を進める、せっかく円卓のがあるのだからそこでもいいと思ったのだが、アーサーは円卓には誰も座らせる気はないとのこと、

 何か意味があるらしい。

 

「ではアーサ「アルトリアだ」」

 

「は?」

 

「アルトリア・ペンドラゴン、私のもう一つの名だ、こちらの方が気に入っている。

 まあ、呼び方は貴様の自由だ好きに呼ぶといい、同盟者」

 

(気に入った名を教える程度には認められたという事か)

 

「ではアルトリア、こちらも改めて名乗ろうバハルス帝国皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス、気軽にジルクニフと呼んでくれて構わない」

 

「ああ、そう呼ばせてもらおう同盟者」

 

  全く呼ぶ気がないアルトリアに若干の溜息をしつつも、ジルクニフはこの状況まで持ってこれたことにとても満足している。

 

(一対一の対話ではかなりヒヤヒヤさせられたが一度同盟を結んでしまえばだいぶ態度が軟化したな)

 

  ようやくこれからである、帝国が未来に前進した気がした。

 

 

 

 

 

 

 


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