なんだかんだで授業が終わり放課後になった、光はチャイムと同時に姿を消した。
自宅に向かうわけではなく、ある家に向かっていた。
ピーンポーン
「あら、いらっしゃい」
「どうも」
「随分早かったわね、てっきり誰かに捕まって遅くなるかと思ってたわ」
「めんどくさかったのですぐ抜けてきました」
「みんなと交流してきてよかったのに」
理事長はこれを機に光に若々しさを取り戻してもらいたいと思っているがまだまだ難しい様子。対して光はとっとと用件を聞いて家に帰りたい気持ちでいっぱいであった
「で、用件はなんでしょうか?」
「せっかちね〜ほんと。まぁいいわ、とりあえずあなたのアルバイト先決めちゃったわ☆」
「…は?」
デシャヴのようなというかまさにデシャヴのようで開いた口が塞がらない。そして流れるような事後報告
「今すぐは体も慣れないと思ったから来週からお願いね☆」
「いやちょっと待ってください、昼の時もだったんですけどなんでそんな唐突なんですか?当事者の意見も聞いてくださいよ!」
「だって、聞いたところでやらないでしょ」
ごもっともである
「…それはなんともいえないです」
「でしょ?じゃあ私の意見に身を任せてみなさい!せっかくなんだから!」
「はぁ…納得はできないですけどもう決まってることなんですよね?」
「えぇ!もちろん!!」
胸を張って自信満々に答える理事長に呆れ返っている光。バイトなんてしなくても当分は衣食住に困らないほど蓄えはあり、極力人との関わりをしたくないと思っていたのだがそうもいかないらしい。まぁ転校生という時点でそれは不可能に近い、というか無理だ
「はぁ、そうだと思いました。でバイト先はどこですか?」
「ライブハウスよ」
「…っ、なぜそこなんですか」
「知り合いがそこで働いてるっていうのもあるんだけどね、一番は貴方に楽器を弾いてもらいたいから」
先程までのお茶目な雰囲気はどこへ、というように光を真剣な目で見つめる
「…今でも弾いていますよ」
「それとは違うわ、音楽を楽しむと書いて音楽なのよ」
「あの頃の貴方は「私は!!生きる価値のない人間なんです!楽しむなんてことしてはいけないんです!!」
「……そう。それでも私は、あの頃の貴方が奏でる音が好きだったわ」
「ごめんね、今日はもう大丈夫よ」
「……いえ、こちらこそ」
「また連絡するわ、あとこれだけは覚えておいて。困ったことがあったらいつでも頼りなさい、私は貴方の味方よ」
「…ありがとうございます、失礼します」
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「はぁ…やってしまった」
声を荒げてしまったことを後悔しているようだ。いくら突かれたくない内容だったといえ人の好意をあんな形で否定してしまったことに反省をしている様子だ
だかやってしまったことは仕方ないと思い、自宅周辺の地理を把握するために寄り道をすることにした光
「しかし、あの人も強引だよなぁ」
先程試験生のことを話していないと言っていたが、理事長は全ての説明を省いていたのだ。一昨日、突然アメリカの自宅に現れたと思ったら「日本に住むから荷物をまとめろ」と言われ、あれよあれよと進み昨日日本に来たばかりというびっくりスケジュールなのである。高校に通う云々は用意されていた自宅のクローゼットに制服があり、それで気づいたのであった、もし気づかなかった場合はどうなっていたのだろうか、という部分は置いておこう
「ここは、公園か」
ブランコにすべり台、砂場と一般的な公園で子供達が遊んでいる
「楽しそうだな…」
悲しいのか虚しいのか、よくわからない気持ちを抱えながら通り過ぎた
他には最寄りのコンビニや病院などを確認し、商店街まで足を運ぼうとしたのだが疲れが勝ってしまったため今度にしようとした。自宅に戻りそのままベットにダイブしたのであった