転生してみませんか?   作:RyuRyu(元sonicover)

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初めまして。RyuRyuです。

バンドリのssを見てたら書きたくなったのでやってみます。

駄文でも構わない人のみ、先に進む事を推奨します。割とガチで。


序章という名のエピローグ
1話 酒井斗真、死にました。


 人生何が起こるか分からないものである。

 

 

 

 小学校時代の初恋の人と高校で再会したり。

 

 学校からの帰り道で万札拾ったり。

 

 いつの間にか地元の不良の元締めになってたり。

 

 道端で助けた外人が実はアラブの石油王だったり。

 

 空から鉄骨が落ちてきても無傷だったり。

 

 ──通り魔に土手っ腹ぶち抜かれたり。

 

 

 ……ああ、めっちゃ痛てぇ。死んだんじゃねーの、俺。

 

 

 

 

 

 △▼▲▽

 

 

 

 

 人生何が起こるか分からないものである。

 

 事の大小はあれども、因果応報という言葉がある様に自らの行いが巡り巡ってまた自分に返ってくるのなら、一体俺はどこで選択をミスったのか。

 

 確かに生前の俺はどこか運が良かった。

 家族で行った遊園地でジャスト一千万人の来場者となってその遊園地が顔パスで入園できるようになった事もあった。

 街中を十歩歩けば「あ、兄貴! こんちわっす!」と元気のいい挨拶をされるし、ある日突然見知らぬ外人が家に来たと思えば「あの時助けて頂いた石油王です」と言って二トントラック一杯に諭吉を連れてきたりと自分自身が怖くなったりする位には何かと幸運に恵まれすぎていた。

 つか、どこの鶴の恩返しだよ石油王。贈与税で半分持ってかれたぞちくしょう。

 

 まあ、だからだろうか。というよりそれとしか考えられない。

 

 要は、ツケが回っただけだ。

 

 

 ……でもなぁ。

 

 通り魔にショットガン撃たれて死ぬってプラマイゼロどころかマイナスじゃない? いくら何でもショットガンはアウトローすぎでしょ。ワンチャン俺の身体原型留めてない説あるよ? 

 

 

 閑話休題(それはそれとして)

 

 

 確かに俺は死んだハズだ。それなのに、それなのに、だ。

 

 

 

 目を覚ますと目の前に閻魔大王が立っていた。

 

 もう一度言う。

 

 目を覚ますと目の前に閻魔大王が立っていた。

 

 ちなみに俺は床に正座している。どうやって寝てたんだ。

 

 

「……は?」

 

「おお、目覚めたか若者よ」

 

「……え」

 

「若者よ、貴様は今死んだ。その短い人生に幕を閉じたのだ」

 

「え、あ……」

 

「悲しいだろう。悔しいだろう。まだ現世に残した未練などもあるだろう」

 

「あ、あの……」

 

「だがしかし! 貴様はもう死んだのだ。現世に帰れるなどできんのだ」

 

「あ、あのぉ!」

 

「む、なんだ若者よ」

 

「お、俺って死んだんですよね?」

 

「何度も同じ事を言わせるな。貴様は死んだのだ」

 

 若干半ギレ気味の閻魔大王。理不尽この上ない。

 

「こ、ここってどこですか?」

 

 辺りをチラチラと見渡して、聞く。俺は似たような場所を知っている。

 

「無論、我が城。閻魔城だが」

 

「え、ここってどこかの会議室なんじゃ──」

 

 もっと言えば、駅前の貸会議室感が……。

 

「閻魔城だ」

 

「え、でも床カーペット──」

 

 お陰で脚の痛みが軽減されてます。

 

「閻魔城だ」

 

「後ろにホワイトボー──」

 

「閻魔城だ」

 

 がっつり今日の予定が書かれていますがそれは。

 

「……やっぱり会議──」

「閻魔城だ」

 

「……」

 

「……」

 

「……あなたって閻魔大王様ですよね?」

 

「いかにも。私が閻魔大王だが」

 

「え、でもジャージ着て──」

 

「私が閻魔大王だが」

 

「……名札──」

「閻魔大王だ」

 

 

「……」

「……」

 

「……分かりました。閻魔大王様」

 

「うむ」

 

 解せぬ。

 

「して、貴様の名をなんと申す」

 

 椅子に座る閻魔大王様が偉そうに聞いてくる。

 上下ジャージに名札ぶら下げているのを見ると小学校の先生にしか見えてこない。

 

「あー、酒井斗真です」

 

「うむ。では貴様の──え?」

 

「?」

 

 素っ頓狂な声を出して閻魔大王様が固まった。渋い声が台無しだよ。

 

「……」

 

「……どうかしたんですか」

 

 額に汗をかき始めた閻魔大王様に違和感が拭いきれずに思わず尋ねる。

 ハッとした様に俺を見た後、誤魔化したかったのか派手に咳払いして却って噎せる閻魔大王様。俺の中で威厳のあるイメージがガラガラと崩れつつある。

 

「……もう一回、名前言ってもらっていい?」

 

 何故か急に下手に回ってきた閻魔大王様に驚きながら、生前からもう何度も繰り返してきたこのやり取りに辟易しながら言う。

 

酒井(しすい)斗真です。酒に井戸の井でシスイです」

 

「…………あー」

 

 何かを悟った閻魔大王。冷や汗を垂らして慌てる姿を見て、幼い頃から思い描く閻魔大王の姿が完全に砕かれた。完全にそこら辺にいるおっさんになってしまった。

 

「えーと、ごめん。ちょっとそこに座って貰ってていいかな?」

 

 それまでずっと正座していた状態から会議室……じゃなかった閻魔城に並んだ椅子に座るように勧めると、閻魔大王様はやっぱり慌てて閻魔城を出ていった。ちなみに椅子はキャスター付きの肘掛け椅子です。もう会議室でいいよね。閻魔大王ドア開けて出てったもん。

 

 なんの事か大体予想は着いていたので特に何が起こったのか考えもせずクルクル回って遊んでいたら、閻魔大王が何人か引き連れて戻ってきた。

 

「ごめんごめん。待たせたね」

 

 ……もう気さくなおっちゃんである。

 

「まず、私共に謝らせて下さい」

 

 そう言うと、閻魔大王とその他従者達が一斉に頭を下げた。見事な百二十度だ。

 

「この度は、私共の手違いで酒井斗真様の命を奪ってしまい、大変申し訳ございませんでした」

 

「い、いや。別に大丈夫ですよ? 気にしないで下さいよ閻魔大王様」

 

「……ほ、本当ですか?」

 

「ええ。決して来週のイベントに出れなくなったとか、そのイベントで意中の人とデートしてあわよくば告白しようとか思ってた訳じゃないので……」

 

「本っ当に申し訳ございませんでしたぁぁ!!」

 

 百二十度の礼からの華麗なシャンピング土下座。技術点、演技点含めてパーフェクトである。土下座というより寧ろ五体投地に近い所がポイント高い。

 

「冗談ですよ。よく酒井(さかい)と間違えられましたからね。その点に関しては慣れてますよ」

 

「は、ははぁ〜」

 

 もう一度深く頭を垂れる閻魔大王様とその従者達。なんだか時代劇みたいだ。

 まあ、ぶっちゃけ言えば、未練とかも無かったし、死んだ事に対して自分でも不思議なくらい受け入れている節はあったりする。

 

「まあ、苗字の件はいいとして、その台帳って名前にフリガナふってないんですか?」

 

 頑なに頭を上げようとしなかった閻魔大王様を無理矢理椅子に座らせるのに十分かかって、漸く話題を切り出せた。……いや、マジで疲れた。

 

「いや、いつもはふってるんだけどね。最近ちょっと忙しくってあんまりこっちに時間が割けられなかったんだよね」

 

 そう言って閻魔大王様はその台帳、いや閻魔帳をペラペラと捲ってくれる。確かにフリガナがふられてる。どうやら本当に手違いだったみたいだ。

 

 それから、閻魔大王は俺に人が死ぬまでのプロセスを教えてくれた。

 なんでも、人の寿命は予め決まっているものであって、寿命が来たら、死神がその人の魂を刈り取りに行くらしい。

 俺が生まれた時にフリガナを忘れた結果、酒井(さかい)酒井(しすい)がごっちゃになり今日死ぬはずではなかった俺が死神に魂を刈り取られたんだとか。

 ちなみに今日死ぬはずだった酒井斗真(さかいとうま)さんは、このスキャンダルが発覚したすぐ後にちゃっかりと魂を刈り取った様だ。齢百二。大往生だとさ。

 

 言わずもがな。正真正銘、完全にとばっちりである。

 

 ……でもまあ、死んでしまった事には変わりがないし、今更どうこう言う筋合いも無いし。呆れこそすれ怒りはしない。変な所で開き直る。生前からの変な癖だ。

 

「──とまあ、こんなところなんだけど、その後は酒井様がご存知の通り、死んだ人はこの場で生前の行いを評価して、私が天国か地獄を決めるんだけど……」

 

「じゃあ、俺はどっちなんですか」

 

「えーとね、特にこれと言って大きな罪を犯した訳でもないし……一応天国行き、なんだけどね……」

 

 未だ歯切れが悪い様子の閻魔大王様。もうキャラ変した事にはツッこまない。

 

「どうしたんすか」

 

「……いや、酒井様に一つ提案がありまして……」

 

「提案、ですか?」

 

「はい。実はウチの技術部が開発したものなんだけど……」

 

 なんだろう。物凄い気になる。もう技術部とかにツッコむ気とかしない。てかもう場が場だから死んだ感じが全くしないんですがそれは。

 すると優しそうなおじちゃん改め閻魔大王様が背筋を正して俺に向き合う。つられて俺も居住まいを正す。

 

「-酒井斗真様」

 

「……はい」

 

 

「──『転生』してみませんか」




作者も道端で困っている石油王を助けたいです。
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