転生してみませんか?   作:RyuRyu(元sonicover)

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こんにちは。

ポピパの『Light Delight』を聴くと高確率で涙腺が緩むどうもRyuRyuです。

まず先に謝っておきます。ごめんなさい。

この話、中身があるようであまり無い話です。というよりだいぶスカスカですのでポピパのアルバムでも聴きながら見てください。


では、祝10話。これでいいのか作者よ。本編です。


10話 中身があるようであまり無い話。

「いらっしゃいませ」

 

「あら、こんにちは斗真ちゃん」

 

「こんにちは上原さん、奥の席にどうぞ。飲み物はいつものでいいですか?」

 

「ありがとうね。お願い出来るかしら?」

 

「分かりました」

 

 残暑もようやく和らいで来た九月の終わりの土曜日。この日、俺は着慣れたエプロンを見に纏い父さんの手伝いをしていた。

 

 店の手伝いを始めて半年弱。前世の時に居酒屋でバイトしていたから接客やフードメニューについてはすぐに仕事を覚える事ができた。

 今は父さんからコーヒーの淹れ方を教わっている。これがなかなか難しい。

 

 豆の種類とか蒸らす時間とかいろいろ覚えるのが多くて大変。サイフォンとか何?理科の実験みたいで楽しいんだけれど。

 

「お待たせしました。今日は俺が淹れてみました」

 父さんに見てもらいながらじっくりと淹れたコーヒーを上原さんのテーブルに持っていく。

 

 と、同時に、

「これ、今日のおすすめのベイクドチーズケーキです。キリマンジャロを使ったので口に合うと思いますよ」

 

「どれどれ………あら、ホント美味しいわねこれ!」

 

「そうですか。ありがとうございます」

 どうやらお口に召したみたいでよかった。

 

「では、ごゆっく―」

 

「あ、ちょっと待って斗真ちゃん。一つ聞いていい?」

 

「え、あ、はい。なんですか」

 こうやって上原さんに呼び止められる事なんて無かったから、咄嗟の事で言葉が詰まる。

 特に何も悪い事をやってないのになんかやらかしたような気持ちになる。

 

「斗真ちゃんは、夕弦の事どう思っているのかしら」

 

「は、はぁ。どうって…」

 

「今の正直な気持ちを教えてちょうだい」

 それまでのニコニコ顔から真剣味を帯びた表情になって聞いてくる上原さん。

 

 俺は少しの間考えて、言う。

「……夕弦は、なんだか放っておけない双子の妹みたいな感じですかね。ちょっと前までほとんど俺と一緒にいたので、性格とかはつぐみと違うんですけれど」

 

 黙って俺の話を聞いている上原さん。その表情はポーカーフェイスな上原さんのせいでよく読み取れない。

 

「でもまあ、最近は夕弦もバスケ始めて俺もここを手伝うようになって、一緒にいる時間が前より減ったのは少しだけ物足りない感じがしますね。なんだか兄離れする妹を見ている感じで」

 つぐみが兄離れしたら生きていけない自信があるけれど。「お兄ちゃん、キモい」とか言い出すのかな……。

 あ、ヤバい、泣けてきた。

 

 

 話を聞き終えた上原さんは満足気な感じで「そう、ありがとう」と言うと、残りのケーキに手をつけ始めた。

 

 俺も、他のテーブルにオーダーを取りにその場を離れた。

 

 

 

 

 ▽▲▽▲

 

 

 

 

「ありがとうございました」

 

 会計を終え、退店する上原さんと入れ替わりで一人の男の人が店内に入ってくる。着物を着た、三十代くらい。

 

「いらっしゃいませ…こんにちは、美竹さん」

 

「やあ、こんにちは斗真君」

 

 気さくにそう言う蘭のお父さんは、さっきまで上原さんが座っていた奥の席に向かった。

 

 蘭のお父さん…蘭パパでいいか。蘭パパは俺が産まれる前からのこの店の常連で、華道の名門の本家としてこの地域界隈では結構な有名人。華道の教室を終えた休日のこの時間帯によく来る。

 

 いつものカフェラテをガトーショコラと一緒に持っていく。

 

「では、ごゆっくり…」

 

「ああ、斗真君。ちょっといいかね?」

 

 厨房に戻ろうとした所を呼び止められた。今日二度目である。俺ホントになんかやらかしたの?

 

「?」

 

「一つ、お願いがあるんだが」

 

「はあ…」

 

「今日の夜から華道の方で集まりがあって、明日の夕方まで家を開けなければならないんだ。けれど、蘭はまだ小さいから連れていくのは少し酷だと思って。だから…後でうちに来て蘭を預かってくれないか?」

 

 なるほど、蘭を預かれと。

 

 ……どうしようか。今日はぶっちゃけ蘭を預かるとマズい気がする。

 

「…わかりました。いいですよ」

 

 まあいいか。なんとかしよう。

 

「ありがとう。それじゃあ、六時頃にうちに来てくれないか」

 

「わかりました」

 俺がそう答えると満足したように代金を机に置いて店を出ていった。つかこの人いつの間に食べ終わったの?

 

 

 

 

 

 ▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 時間が過ぎ、六時前。閉店準備をする父さんに訳を話すと快諾してくれたので、早速蘭の家へと向かう。

「おじゃましまーす」

 

「あ、斗真」

 

「よう蘭。迎えに来たぞ」

 最初に会った時とは違って、すっかり警戒心も取れた蘭はすっかり俺に懐いてくれている。Afterglow組の中で一番懐いているのも蘭だったりする。もちろんつぐみは別な。なんなら俺がつぐみに一番懐いてるから。

 

「やあ、よく来てくれたね。斗真君」

 

「どうも。それじゃ、蘭を預かります」

 

 結構な大荷物の蘭の両親。蘭も、着替えやらなんやらをリュックに詰め込んで背負っている。

 

「蘭、いい子にしてるんだぞ」

 

「……わかってる」

 

 蘭パパに頭を撫でられて、若干ムスッとしたようなニュアンスで蘭が応えた。

 それを聞いた両親は俺に「じゃあ任せたよ」と言い残して車に乗っていった。

 

「んじゃ、行くか」

 

「うん」

 

 蘭の両親が乗った車が見えなくなるまで見送ってから、蘭に言う。蘭も、お泊まりが楽しみなのか、うずうずしているのを隠せていなかった。

 

 家に着くと、母さんとつぐみがリビングで出迎えてくれた。

 

「こんばんは、よく来たね蘭ちゃん」

 

「こ、こんばんは。よろしくおねが-うわっ」

 

 蘭大好きな母さんは言い終わらないうちに蘭をギューッとしている。ほっぺた潰れてわたわたしてる蘭きゃわわ。

 

 仲良く戯れている三人を置いて俺は自室へ向かう。アイツの相手をしなくてはいけない。正直めんどくさい。

 

「ただいまーっとおうっ!?」

 

 ドアを開けた瞬間、つぐみのとは比べ物にならないくらいの重さで何かが突進してきた。

 

「……おかえり。遅い。何やってたの?」

 俺の腹の所で何かがくぐもった声で咎めるように言ってきた。

 

「悪かったって。ちょっと急用でな、蘭を迎えに行ってたんだよ。だから離れてくれ」

 

「……()

 

 あー……どうしたものか。

 

 今日は午前中からかまちょ状態の夕弦が家に来ていた。

 

 でも俺は店の手伝いがあるからと待ってもらっていた。それを蘭を迎えに行ったことでさらに夕弦のかまちょ指数が上がって、今に至る。本当は店の方を早めに切り上げて夕弦の相手をすればよかったんだけれど、今日は俺の淹れるコーヒーの出来がいつもより良くてこの感覚を忘れないように何回も作ってたらいつの間にか夕方になっていた。まあ、言い訳ですよねごめんなさい。

 

 夕弦に話してどうにか離れてもらってからベットに座り込んでスマホの電源を入れる。今日は店がいつもより少し忙しくて疲れた。

 

 気付けば夕弦がいつの間にか後ろに回っている。別に背後を取って俺にヘッドロック決めようとかそういうのじゃなくて、なんでもこの体勢が落ち着くらしい。

 

 さっきよりも腕の力を強めている夕弦。これは当分離れそうもないし、若干俺の首も締まってきている。…はっ!まさか貴様本当に俺を〆るのか……!?

 

 どうしたものかと考えていると、

「お兄ちゃん、ご飯だよ……」

 つぐみがやって来た。頬をプクーって膨らませた。この先何が起こるかが読める。

 

「あー!夕弦ちゃんずるいー。わたしもお兄ちゃんにだっこしてもらう!」

 という高らかな宣言と共にボフッと効果音が付くかのように俺の胸に文字通り飛び込んできた。一瞬息が止まりかけた。

 

 そんな事もお構いなしに俺の胸元でほっぺたすりすりするつぐみ。

 堪らずに頭に手を乗せると、二ヘラとだらしなく笑うつぐみ。

 

 

 ……はうぅっ!(尊死)

 

 

 

 

 ▲▽▲▽

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 あの後なんとか二人を引き離して蘭と両親が待つリビングへと降りて、全員で夕食を食べた。

 

 俺の両隣に座るつぐみと夕弦が陣取っていて、向かいでムスッとほっぺた膨らませる蘭が可愛いかったです、まる。

 

 食後の団欒(だんらん)後、蘭とつぐみと、何故か泊まっていくという夕弦が風呂に入っている間、俺は母さんの皿洗いの手伝いをしている。

 

「…ねえ、斗真」

 

「…何さ、母さん」

 

「あんた、夕弦ちゃんの事どう思ってんの?」

 母さんが皿を洗い、俺が皿を拭く。その単純な作業の最中、他愛もない世間話の一環でそんなことを聞いてきた。

 

「別に、どうと言われても」

 

 つい数時間前にも同じ質問をされた。実は裏で繋がってたり。ありそうすぎる。

 

「恋愛感情とか持ってないの?」

 

「どうだろ。そういうのよりかはなんか双子の妹を持った感じ。ほっとけないとか、そういう感じ」

 

 素直にそう答えると、溜息つかれた。上原さんと反応が全く違う。

 

「はぁ〜そうきたか〜」

 

「え、何。ダメだった?」

 

「いや、ダメじゃないんだけどさ…」

 その言い方、完全にダメだったやつじゃん。

 

「……長く一緒にいすぎたかしらねぇ」

 

「そりゃそうだろ幼馴染みなんだから」

 なんなら赤ん坊の時から一緒に遊んでたってこの前聞いたぞ。

 

 それでも、今日二回も同じ質問されたら少しは考えてしまう訳で。

 

 ふと思い出すのは去年の梅雨の公園での一幕。

 

 夕弦がただの幼馴染みから女の子の幼馴染みに認識が変わったあの日。

 

 

 俺は夕弦に恋愛感情を持っている……。

 

 

 ……やっぱり無いな。確かに夕弦は好きだが、良く言うようなLOVEではなくてLIKEの方。つか双子の妹のように思ってる辺り友達よりかは家族に近い感じ。

 

 

 翻って、夕弦はどうだろうか?

 夕弦が俺の事を好き……。

 

 ……多分無いと思う。なんだかんだいって夕弦と一緒にいる時間が長いのは夕弦の両親を除いたら俺だという自覚はある。だから、もしかしたら夕弦も俺と同じように思ってるはず。弟か兄かは知らないけれど。

 

 結論として、俺と夕弦の間に恋愛感情は芽生えていない。

 

 

 そこまで深く考える必要無かったかも。わざわざ部屋まで戻ってきた意味。

 

 でもまあ、夜もいい時間だし、寝るか。

 転生してから夜十時を過ぎると眠くなるこの体、健康すぎてワロエナイ。深夜アニメとか放送前にテレビの前で寝落ちしちゃう。

 

 横になって布団を被ると、ドアを開けて誰かが入ってきた。まあ誰かは知ってるけれど。俺は横になったまま、そっちの方をじっと見る。

 

「か、勘違いしないでよ。別に寝れなくなって来た訳じゃないんだから」

 

 誰も何も聞いてないのに勝手に喋りだした。

 

「さいで。ほら、来なよ」

 

 今日はずっとかまちょ状態なんだから、構ってあげなきゃずっとこうだ。

 いそいそと俺の隣に横になる夕弦。そんな夕弦の頭を軽く撫でてやる。

「悪かったな。今日は」

 

「ううん。別に」

 

「ならいいや。おやすみ」

 

 小さい頃からずっとこうやって一緒のベッドで寝たりしてたから今更どうって事ないし、今日は蘭と一緒に寝てるけれど、つぐみとだって一緒に寝たりする。一昨日はつぐみと一緒に寝た。寝顔を見てて翌日寝不足になるのもセットで。

 

 

 …だからなのかもな。俺が夕弦を恋愛対象として見られないのは。

 

 多分前世の俺だったら小四とはいえこのシチュ、女性免疫ほぼゼロの俺の神経パルスが逆流するくらいにはこのキャルゲー展開についていけなかったと思う。

 

 でも転生してからの俺の周りには最愛の妹に可愛い幼馴染みに年下の女の子がやたら多いおかげで、前世よりかは楽しい毎日を送れている。語弊があるようだから言っておくけれど、俺はロリコンではないぞ。

 

 そう思いながら、夕弦の明るいピンク色の髪を梳くように撫でていたら、気づいたら寝息をたてていた。

 

 そのあどけない寝顔はやっぱりずっと前から知っている、幼馴染みの寝顔だった。

 

 今日はなんだか気持ちよく眠れそうだ。

 そう思った俺はやって来た眠気に大人しく身を預ける事にした。

 




10話でした。

でしょ?中身あんまり詰まってなかったよね。

スカスカな割に文字数多めっていう隙を生ませぬ二段落としでお送り致しました。

なんならこれまで全話通して骨粗鬆症レベルの中身だった気がしないでもないですが、ノーコメで。

さて、ここで高評価を下さった読者様方に謝辞をば。

☆9:まろんた 様
☆9:ヤタガラス 様
☆9:artisan 様
☆8:ワッタン 様



その他にも、お気に入り登録してくださった読者の皆々様に世界の中心で感謝を叫べたらいいなと思います。

次回からは、しっかりカルシウムを摂って中身を詰めていきたいですけど、多分無理でしょう。

ではまた11話で。
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