転生してみませんか? 作:RyuRyu(元sonicover)
課金したい。どうもRyuRyuです。
課金したいです。ロリサ&ロリゆき欲しいです。もうロリってだけで作者的市場価値がストップ高になるのは一重に作者がロリコン予備軍という事なのでしょうか。
なんだかそれでもいい気がしてきました。
ロリサって有咲に似てるよね。本編です。
20話 ハルハアケボノ
ついさっき、中学の入学式が終わった。
去年末につぐみに告げた通り、羽丘に進学した。
感想を一言で、と問われれば、「眠かった」としか出てこない。
いや、マジで。ホントに眠かった。明け方までアニメ見てたのがいけなかったのかなぁ。うん、絶対それだな。
式も終わって、各クラスでの自己紹介も済ませてその帰り道。毎年やってくる花粉症と闘いながら一人河川敷を歩いていた。当たり前のように同じ中学に進学した夕弦はバスケ部を見に行くと言って体育館に行ってしまった為別行動だ。
⋯⋯さてさてさーて。この後はどうしようか。積みゲーの消費か、大人しく店の手伝いか、はたまたこころん家にジンベイザメを見にいくか。
うーん⋯⋯。
⋯⋯そうだ、あそこ行こう。
△▼△▼△
「こんちわーっす」
「なんだ、また来たのか」
「え、酷くね?」
「知らん。お前に貸すスタジオなんか無いよ」
「それが客に向かって言うセリフかよ⋯⋯」
「誰がいつお前を客だと言ったんだよ」
「んじゃあ俺は何なんだよ」
「なんだ、言わなきゃわかんないのかい?」
「何その勝ち誇ったような笑みは……んで、何だよ」
「ウチの大事なミュージシャンさ」
「お、オーナー……」
「さ、茶番はこのくらいにして。ほら、スタジオの鍵だ。今日は時間守りな」
「こんのアマァ……!」
「ま、まあまあ。落ち着いてよ斗真君」
「これが落ち着いていられますか真次さん! 今日という今日こそは許さねぇんだからな!」
「ふっ、セリフが三下だよ阿呆が。一昨日出直して来な」
──都内某所のライブハウス。女性向けに作られたその建物に、何の遠慮も無しに入り込み、あまつさえそこのオーナーとの口喧嘩に挑んでは負け、誰がどこからどう見ても傍迷惑な茶番を演じているようにしか見えない男子中学生がいた。
というか俺だった。
俺はぶつくさ文句を言いながらも、オーナーから受け取った鍵を手にスタジオへ向かった。スタジオの分厚い扉に手をかけた時、真次さんがやって来て缶コーヒーをサービスしてくれた。真次さんマジ女神。MMM。
ライブハウス『SPACE』。小五の夏に立ち寄ったこけら落としライブで俺は音楽に魅せられ、ギターに魅せられた。あれから二年近く経った今でもステージで輝く純白のギターとそれを弾く女性ギタリストが瞼の裏に焼き付いて離れようとしない。名前も知らないバンドの名前を知らない彼女が、俺にとっての憧れであり目標でもある。既にスクールの中でもトップの腕前と言われるようになった俺だけれど、彼女の領域に到達するのはまだまだ遠い道のりだと
そんな訳で、今日みたいにふと思い立った時やギターの技術面で行き詰まった時はここに訪れてはひたすらにギターを掻き鳴らしたり、気分転換で別の楽器を引いてみたりしている。この前なんかカウベル鳴らしてコサックダンスしていたらオーナーに冷たい目で見られていて、鼻で笑われた。オーナーマジムカつく。OMM。
何曲かぶっ通しで弾いて、暫しの休憩。ストラップを首から外して五十万のストラトギターをスタンドに立てかける。このギター使って一年以上は経つけれど未だに扱いに細心の注意を払ってるお陰で演奏中より神経を使っている気がする。買って貰った手前、とやかくは言えないけれど、強いて言うならもっと安いの買って欲しかったっす、こころパパ。今更だけど。
明日にでもこころパパには内緒で死神さんにおねだりしようと決めて、真次さんから貰った缶コーヒーのプルタブを開けた。
このSPACEの内部構造は、受付兼ラウンジスペースから奥にライブスタジオ。キャパシティおよそ百五十人の小規模なスタジオだ。そしてライブスタジオの扉の前を左に伸びる通路を進めば、主に練習に使われるようなスタジオがカラオケボックスのようにいくつかある。
ライブスタジオは通常時は鍵がかかり、ライブが行われる際も年齢制限が存在する。だから俺とつぐみと沙綾はこけら落としライブの時に門前払いをされたのだ。
一方、練習スタジオの方は鍵の所有者しか中には入れないが、裏を返せば、その前の廊下までは老若男女誰でも入る事ができる。いや、このライブハウス自体が女性向けだから
そして、練習スタジオの扉にははめ殺しの丸窓があって、そこからはスタジオ全体ではないものの、スタジオ内の様子が外から伺えるようになっている。
とまあ、ここまで長々とSPACEについて述べたのだが、つまりだ、何が言いたいのかと言うとだ。
『………………』
──見られてる。誰かにずっと見られてる。もっと言うなら弾き始めて少ししてからずっと窓越しに見られてる。しかも二つ。
まず入ってこないって時点で俺の顔見知りではない。先日もドヴォルザークの『新世界より』に合わせてタンバリン芸やってたら花園が「私もやるっ!」って言って乱入してきたし。その後オーナーに「真面目にやれ」と拳骨飛ばされた。俺だけに。
解せぬ。
ともかく、誰かがずっと俺の演奏を見ている。そういう視線を感じる。
……これで誰もいなかったら疲れてる。そういう事にしておこう。
バッ、とドアの方を向く。
『っ!』
──誰かいた。一瞬だけだったけれど、確かに二つの頭が上半分だけ見えた。すぐ引っ込んだけれど。というか、誰かわかっちゃった。
試しに気がついていないフリをして前に向き直ってコーヒーを飲む。すると、しばらくしてまた後ろから二つの視線を感じるようになった。
バッ、とドアの方を向く。
『っ!』
また引っ込んだ。赤茶色とシルバーの頭が引っ込んだ。なんだか面白くなってきた。もう少しお付き合い下さいな。
「あー、誰か外にいたような気がしたんだけどなー!」
外に聞こえるくらい大きな声で言った。というか叫んだ。防音室だったのを忘れてた。
恐らく扉の外で交わされている会話は、
『あちゃー、気づかれちゃったっぽいね……』
『そうね……』
『でも……あの男の人カッコいいね!』
『そうね……』
『アタシ少しタイプかも〜』
『そうね……』
『ねね、も一回だけ、も一回だけ覗いてみない?』
『そうね……』
だろう。え、話盛りすぎ? 雑? お前がタイプとかんな訳ねぇだろ? 当たり前だろんなもん俺の脳内補完に決まってんじゃん。
と、くだらない事を考えている間も俺はずっと丸窓を見ている。もう一押しかな。
「そんな気がしたんだけど、気のせいだったかもなー! さー! 練習に戻ろうかなー!」
とか言ってる間も俺は丸窓を凝視する。
と、恐る恐るといった感じに二つの頭がニョキっと出てくる……手でも降っておくか。
赤茶とシルバーの頭頂部から額、眉毛と見えていき、バッチリ目が会った瞬間に目にも止まらぬ速さで引っ込んだ。フヒッ、可愛いなぁ。
──都内某所のライブハウス。名前も知らない幼女二人を遊び道具に気持ちの悪い笑みを浮かべる男子中学生がそこにはいた。
というかそれも俺だった。
いい加減学べっつーの。
流石にこれ以上は彼女達にも俺の社会的立場的にもマズいと思って、ドアを開けた。
案の定、そこには小学六年生の今井リサと湊友希那が床にへたり込んでいた。
けれど、俺がここで「ようリサ」とか「よう友希那」だとか言ってしまうものなら事案が発生してしまうので、初対面の心優しいギターのお兄さんを演じる事にした。
「どうした? さっきから俺の事見てたみたいだけど……なんか用か?」
「えっ、あ、あの……その……」
いきなり俺が出てきた事にびっくりしたのか、リサがあたふたしながらも答えようとしている。と、隣で友希那が、
「そ、そうよ。悪かったかしら」
と、強がっていた。リサの前に出て両手を広げる辺り一個下なのに可愛いじゃんかよ。でもそんなに俺怖かったのかなぁ。お兄さんショックだよ。
「その、なんだ……聞いてくか?」
「……え、ええ。そうさせてもらうわ」
逡巡して、友希那はリサを連れてスタジオの中に入っていった。
俺は二人に中で待っているよう告げてからフロントに戻ると、ちょうど真次さんがいたので二人を預かった事を話すと、恐らく今ライブに来ている人の連れかもしれないと言う。言われてみれば、ライブスタジオの方からくぐもった音楽と歓声が聞こえてくる。真次さんにライブが終わったら教えてもらうように頼んで、二人に飲み物を持ってスタジオに戻った。
「……何してんの」
部屋に戻ってまず目に入ったのはギターを前に目を輝かせる二人だった。
リサが触ろうとして手を引っ込めるのを繰り返している。
「あ、あなた。このギターどうしたの?」
「んあ? ああ、えーと……知り合いに買ってもらった」
いくら小学生でも果たして弦巻の名前を出した方がいいのか迷った俺は結局そこをぼかして答えた。
「買ってもらったって……」
「……え?」
俺はリサの言葉に驚いた。驚いたなんかじゃなく驚愕のち唖然とした。
なんでもこのギター、とある世界的有名ロックバンドのギタリストの数本限定のレプリカ版最上位モデルらしく、オークションに出すのなら三百万は下らないという。数
「ね、ねえ。これ幾らで買ったとか聞きました?」
リサがそう聞いてくる。
「ご、五十万……」
『五十万!?』
二人がずいと顔を寄せてくる。俺だって声を出して驚きたい。心の中では「ええぇぇえ!!??」って絶叫なう。
「……あなたの知り合いって何者なのよ」
「分からん。俺だって知りたい」
とか言っておきながら、こころパパならやりかねないとどこか納得する俺がいたりする。
「ま、まあ。今からそのギターでなんか弾くわけなんだが……その前にほれ、オレンジでいいか」
「あ、ありがとう」
「あ、お金……」
「いいよ。気にすんな。俺が誘ったんだから」
ドリンクを受け取ったリサが律儀に財布を取り出すのを止めて、準備を始める。と言っても、ストラップを首にかけて、軽くチューニングを済ませれだけなんだけれど。
「さてと、なんかリクエストとかあるか? J-popからロック、歌謡曲からアニソンまでなんでもごされ」
二人にアンケートを取ると、二人は互いに目を合わせて頷くと、声を合わせて告げた。
「『今宵の月のように』」
「……それって、エレカシのか?」
「うん」
「そうか……割と予想外の所から来て正直驚いてるぞ。ちなみに、なんでそのチョイスか聞いてもいいか?」
「お父さんがエレカシ好きで家で聞いてるから」
「あぁ、なるほど……」
そういえば、友希那の父親はロックバンドのボーカルだったっけ。世代的にもドンピシャか。もしかしたら今ライブやってんの友希那の父親だったりして。
「弾ける?」
「あ、ああ。問題ない」
ぶっちゃけ俺も世代だし。九十年代ロック最高。
「さて、んじゃやりますか」
△▼△▼△
翌日、俺は死神さんを呼び出した。店舗の奥の席に男二人が向かい合う。周りの席からは、「あの二人はホントに仲が良いわね〜」とか聞こえる。和んでやがる。
互いに口を開かない重苦しい雰囲気(俺だけ)の中、コーヒーを一口啜った死神さんが切り出した。
「どうかした? 中学は上手くやれそう?」
「あ、はい。まあなんとかやっていけそうです」
「そう。それは良かった。あ、ところで、斗真君は部活には入るの?」
「え、部活ですか? 考えて無かったな……」
「夕弦ちゃんは入学前から決まってたみたいだけど」
「まあ、アイツはバスケバカですし、推薦蹴ったのでちょっとだけ有名人になったっぽいっすしね」
「ああ、それは聞いたよ。バスケ部期待の新人って持て囃される予定だって夕弦ちゃん言ってたよ」
「なんすかその妙な上から目線……でも、まあ実際そうなると思いますよ。なんせバスケ推薦までされるくらいですから」
「でもその推薦を君の為に蹴ったんだよねあの子」
「俺の為って……そう言われれば、そうなのかもしんないっすけど」
「あの時は笑ったなぁ。逆プロポーズかと思ったらまさかの親友宣言だなんてね」
「やめてくださいよ……つか、いつも思うんですけど、なんで死神さん俺が話しても無い事知ってるんすか」
「ねえ、僕一応……一応というかれっきとした死神なんだけど。斗真君の事はほとんど僕に筒抜けだってこの前言わなかったっけ?」
「……あ、そっか。そうでしたね。体のいいストーカーでしたね」
「曲解しすぎだよ!?」
コーヒーを飲んで一息。目の前でなんだかストーカーさんが言っているけれど、そんな話がしたくて呼んだのではない。
「そんな事より、今日は死神さんにお願いがあって呼んだんです」
「そんな事って……うん、何。話だけなら聞いてあげるよ」
「新しいギター買ってください」
「え、あのギターじゃ不服だった?」
「不服とか、そういうのじゃなくて、なんてもんをこころパパは買ってくれたんだと思いまして」
「なんだ、不服なんじゃん」
「いやだから違くて。ただでさえ五十万って聞かされておっかなびっくり使ってたのに、いきなりその六倍のものだって知らされたらおちおち使う事もできなくなっちゃったじゃないですか!」
「あー……そっか。そっちね」
「そっちもどっちも無いですよ! 三百万ですよ三百万! そんなマニア垂涎ものをポンて買い与えますか普通? いくら金持ち補正付けたってそこまで亡者たらしめる事はしないですよ」
「まあまあ落ち着いて。僕だって調べてみて驚いたよ。だから流石にこれはやりすぎなんじゃないかって旦那様に聞いてみたさ。そしたら、『羽沢君にはこころにとっての大切な友人だし、娘がこうやって元気に暮らせてるのは彼のお陰。彼には返しても返せない恩がある。このくらいは当然だ』って言うもんだからさ、僕も何も言えなくなっちゃって」
「そ、それは……」
「それと、機嫌良くした旦那様が、『もちろんこれだけで彼に対する恩を返したとは思っていない。私にできる事はなんでもする。以後、羽沢君のする事には我が弦巻財閥が全面的にバックアップする事を約束する』って。やったね斗真君。最強のパトロンをゲットしたね!」
「あああぁーーーー……」
なんだかもう。もう……。
いや、確かに弦巻家が味方になってくれたのは凄く嬉しい。誰が敵で俺が何をするのか全く知らないけれど。けどさぁ……。金銭感覚が違いすぎるんだよなぁ……これって俺が「サッカー観たい」ってボヤいたらクラシコの時のカンプ・ノウの一番高い席貸し切った挙句に選手全員のサイン入りユニフォーム貰ったら次はウェンブリーでのマンチェスターダービーでも選手全員のサイン入りボール貰った帰りに地中海ナンバーワンホテルのスイートルームでバカンスして、ファーストクラスで帰るって事だよね。
…………さ、最高かよ……ッ!
あ、つい本音が。じゃなくて。
…………に、荷が重すぎる……ッ!
「……もう何も聞きません。三百万するのをどうやったら五十万で買ったのかとか、そんな事して本当は俺を弦巻家に婿入りさせるんじゃないかとか聞こうと思いましたけどもう何も聞きません……とにかく、俺みたいな小市民にも手軽に扱えるような、具体的に言うなら十万そこそこのギターを買ってください。それとどうかこの件はこころパパにはご内密に……よろしくどうぞお願い致します」
頭を下げる。これが親バカで金銭感覚ガバガバなこころパパに知られたら……おおう、寒気が。どうやら金持ちチートは俺には荷が重すぎたようです。
「……分かったよ。ただし、これはツケだからね。僕の自腹なんだから」
「ははあ……有り難き幸せ」
「それじゃ、早速行ってみようか。あ、お金下ろさないとだし、光熱費とかもろもろ支払いたいから途中でコンビニ寄っていいかい?」
「えっ、あ、はい。もちろん」
死神さん……今更だけれど、庶民的だなぁ。死神なのに。
△▼△▼△
「それで? 斗真君の事だからもう一つくらいお願い事あるんでしょ」
所変わって俺の部屋。
立ち寄った楽器屋で俺の希望通り廉価版のギターと、弦やらピックやら消耗品も追加で買ってもらった。廉価版でも、手入れ次第で鳴る音はピンからキリまで変わる。個人的に好きなデザインのものを今時珍しい現金一括で買ってくれた死神さんには感謝の二文字しか浮かばない。そんなこんなでほくほく顔で帰ってきて、早速ギターを取り出した時に死神さんにそんな事を言われた。本当にこの人は俺の事を良く見ていて、良く知っている。あ、そっかストーカーだったっけ。
「一言余計ですよ……まあ、そうなんですけども」
「言ってごらんよ。なんてったって弦巻財閥が後ろにいるんだからね」
「うぐっ……やめてくださいよ。心臓に悪い」
「ははは、冗談だよ」
それが全くもって冗談ではないから恐ろしい。
「でもまあ……お願いするのは多分弦巻家の方になると思うんですけどね」
そう前置きして俺は話しだす。お願いの内容と、それに至る経緯、そしてその先の俺のある考え、計画を。
「えっとですね──」
△▼△▼△
「……なるほどね」
「はい。まあそんな感じです。あくまで俺の個人的な考えなんですけどね」
「……うん。わかったよ。旦那様に相談してみる」
「え、いいんですか? そんなあっさり」
「大丈夫だよ、旦那様ならなんとかしてくれるよ。それにぶっちゃけた話、旦那様にも君の事を見ているように言われたからね」
「“にも”、ね……なんなんですかその俺に対する歪な二重スパイみたいなやつは」
「そう言われてもね。現に今日だって休みじゃないんだよ? 斗真君に呼び出されたって言ったら『行ってこい』って旦那様が」
それでいいのか。
でもまあとにかく、これで俺の計画の半分以上は達成されたと言ってもいい。
あとは、それに必要な人員の確保なのだが……。
まあ、なんとかなるだろ。
20話でした。
今回から中学生編というのに突入する訳なんですが、作者は学びました。
これじゃあメインとなる高校生編まで長すぎる。
という事で、今回の中学生編は話数を抑え気味にやって行きたいと思います。その分、文字数がかさむかもしれません。そこら辺はあしからず。
ではまた21話で。