艦これ世界の艦娘化テイトク達   作:しが

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シリアスは投げ捨てるもの


拗らせた結果

テイトクは始め、自分の気持ちに大きく戸惑うことになる。そうだろう、男だった人物が男へと明確な好意を抱いているということだけでも大変な困惑を封じ込めている。そこから二つに発展する、気持ちを受け入れ艦娘としての運命を受け入れるか、往生際悪く認めたがらないか、そのどちらかである。

 

 

だがまれにそのどちらでもなく、深く思い悩みその結果を拗らせてしまったものもいる。稀によくあることで厄介なことに彼女たちは惹かれ合うのだった…

 

 

 

さてその前にここで一つ確認しておかねばならないことがある。ジュウコンという意味は確認するまでもないが皆が周知の事実だろう。複数の女と婚姻を結ぶことである。ケッコンカッコカリを複数する場合はジュウコンカッコカリとなる。確かにジュウコンは戦術的優位性を見出せる。ケッコンカッコカリはそもそもすることでの恩恵が…だが、提督は知ることとなる。その愛というものを…愛の重さを…

 

 

 

 

 

意識が朦朧としているのを提督は自覚した。酩酊状態にも似たような感じで、ふらふらと視界が定まらない。まるで世界が百八十度回転しているようで地面が安定しているとは思えなかった。やがて、少しずつ視界がはっきりとしていく。そして漸く自分が椅子に座っていて、部屋は真っ暗で、そして縛り付けられていたことに気が付いた。少しばかり頭痛を覚えるのを抑えて彼は混乱状態の頭を落ち着かせようとする。

 

 

 

何とか、記憶を遡っていく。

 

 

そうだ、自分はみんなと呑んでいたはずだ。…頭が痛いのは二日酔いのせいか…だが何故縛られている…誰が。

 

 

それに股間が熱い。今にも突き破りそうなほど単装砲が燃えかけている。そんな彼に声がかけれらる。

 

 

 

「やあ、提督。目が覚めたかな。」

 

 

 

彼はその声の主に心当たりがあった。いつも自分の傍で自分の補佐をしてくれている最も身近な艦娘の一人だった。

 

 

 

「…時雨?」

 

 

 

「うん?どうしたんだい、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をして。」

 

 

彼女の気さくに接してくる様子に変化は見られない。けれども、全くもって目に光がないのを彼は見てしまった。まるで時雨は縛られているのが当然の様子でぐるぐると彼の周りを周っている。

 

 

 

「…時雨、何故オレは縛られているんだ?」

 

 

「ああ、ここに運ぶときに無自覚なのかは分からないけれど少し暴れられてね、悪いとは思ったけれども拘束させてもらったよ。大丈夫、すぐに解くから。」

 

 

そして彼女は言葉通りに彼の腕と足を縛っていた縄を普通に解いた。そして、提督の手を引きながら歩く。そんな彼女の様子に一抹の不安を覚えたのか提督は恐る恐る尋ねた。

 

 

「し、時雨…どこに行こうとしてるんだ?」

 

 

「どこ?…ああ、そうだ。その前に一つだけ、僕の頼みを聞いてほしいんだ。」

 

 

「頼み?」

 

 

「いつぞやに僕がMVPを取った時に提督は僕に望みの物はないかって聞いたとき、保留にしたことがあったよね。」

 

 

「ん?…ああ、確かにあったけれどもそれがどうかしたのか。」

 

 

提督は冷や汗を流す。この雰囲気から何となくその先を察してしまうのだった。けれども万が一にでもの可能性がある。彼はその一縷の望みにかけて天に祈った。どうか自分の思い違いであってくれますようにと、そんな彼の様子をつゆ知らず話している。

 

 

「あれから考えてみたけれども、うん…漸く決まったんだ。褒章とかも考えてみたけれども持ってても大した意味がないからね、だからしっかりと形の残るものが欲しいんだ。」

 

 

 

「…か、形の残るもの?なんだ、一体…」

 

 

 

そして恐怖は現実のものとなる…

 

 

 

「うん、僕は提督に感謝しているんだ。お世辞にも僕は普通の時雨とは言えないね。」

 

 

提督にはそれだけの心当たりがあった。以前はちょっとしたことで癇癪を起こしたり、他者へ八つ当たりしたり、自分は人間で男なんだと、叫んでいたこともあった。提督は彼女に厳しく叱りながらも決して見捨てず最近では漸く落ち着くようになったと安心していたところだった。

 

 

 

「長い目で見て接してくれたのはありがたかったよ。おかげで僕は落ち着いて自分を整理できる時間が得られたからね。さて、提督…僕が君に欲しいものはあんまり難しいことじゃない。」

 

 

 

「お、おい…時雨?目が怖いぞ…」

 

 

そして辿り着いた部屋のドアに彼女は手をかけた。そこは提督もよくお世話になっている仮眠室だった。

 

 

 

「ははは、そう警戒しないでよ。僕の望みは単純明快だから。僕たちは兵器だからね、いつ死んでもおかしくないししっかりと形を残せるものが欲しいんだ。」

 

 

そして時雨は部屋のベッドに提督を座らせると、シュルシュルと自分の服を脱ぎ捨てあっという間に下着姿を晒した。

 

 

 

「お、おい…時雨さん?」

 

 

 

「提督、目を逸らさずに。」

 

 

何か強制力さえ感じる彼女の言葉に逆らえず彼はおそるおそる時雨を見た。それは実に勝負下着と呼べるものだった。

 

 

 

「僕が望むことはね、提督との赤ちゃんだよ。提督の主砲で僕に直撃弾を撃って欲しいんだ。」

 

 

超が付くほどド直球な言葉に提督は何となく予感していたからこそ質が悪いというような表情をした。けれども時雨の顔は歓喜にまみれていた。

 

 

 

「それに提督のソコだってもう我慢できないでしょ?…ああ、夢みたいだよ。提督の子供を産めるなんて…」

 

 

「おま…じゃあ、これおかしいと思ったのはお前のせいか。」

 

 

時雨はテントを張ったズボンを指している。この異常も彼女の仕業らしい。

 

 

「うん、一服盛らせてもらったよ。何せ、妊娠するまで出してほしいからね。少しでも回数は多い方がいい。」

 

 

 

時雨の言葉通り、彼は苦しそうだ。すぐに楽にしてあげるよと言い、提督に密着した時雨。

 

 

 

「僕はもう我慢するつもりはないよ。本気の子作りをしようか。」

 

 

 

彼も我慢の限界に達したのか、その甘言に乗ろうとしていた。これで合意が出来た、と笑った時雨は今にでも孕ませられていることを期待しているようだった。

 

 

 

「ほら、僕を欲望のままに孕ませて。」

 

 

「しぐ…」

 

 

 

「そのセックス!少し待ってもらいましょうか!!」

 

 

バーンと扉を蹴破って入って来たのは意外な人物だった。

 

 

 

「は、榛名!?」

 

 

提督は驚愕するとともに時雨は超が付くほど不機嫌そうな顔で舌打ちをした。邪魔をするなと言わんばかりの顔だった。ただ、それで提督は理性を取り戻したのかある意味救いの手だった。つかつかといつもの御淑やかな彼女からは想像もつかないほど力強く勇ましい歩みで榛名は詰め寄って来た。

 

 

 

「そのような不逞、カミが許してもこの榛名が許しません!!」

 

 

おお、さすが委員長気質…この状況では頼もしい限りだ、と提督は内心歓喜する。背徳に手を染めそうになったが何とか踏みとどまったのだ、彼は。そして目の前の榛名こそがこの場を脱する鍵であると確信したのだった。

 

 

 

「なに、僕の邪魔をしようって言うの?いくら榛名でもそれはさせないけど。」

 

 

「時雨、あなたとは同志だと思っていました。同じくカミに対抗するための同志と思っていて油断しました…まさか、貴方が提督に迫るとは。」

 

 

 

「我慢は体に毒と言ったのは君じゃないか。その助言に従ったまでだよ。だからこうやって提督に赤ちゃんをおねだりしに来たんだから。」

 

 

 

「そのようなこと、榛名は断じて認めません。」

 

 

白熱する口論、提督はこっそり戦略的撤退をしようとしていた。

 

 

 

「ねぇ、提督」

 

 

「お待ちください、提督。」

 

 

言い争っていたはずの榛名と時雨がぴったりとタイミングを合わせて提督を呼び止めた。まるで打ち合わせたかのように。その声に反応して提督の動きが止まった。錆びた機械のようにギギギと首を動かして後ろを見た。

 

 

 

 

 

「時雨、一つ言っておきます。提督との子を一番最初に孕むのは榛名です。提督の童貞を貰うのも榛名なんです。一番初めての人になるのは榛名なんです!!」

 

 

あるぇー?あるぇー? 提督は変な声が出た。まともな筈の榛名さんから漏れ出た言葉は時雨と大差なかった。

 

 

 

「一番は譲れないかなー、提督の子を一番最初に産むのは僕だよ、一番であることに意味があるんだよ。君だって分かるだろう?」

 

 

「ええ、分かります。分かるからこそ譲りはしないのです。時雨、私が提督を治めます。退いてください、友を撃ちたくはありません。」

 

 

「思いあがるな、アマが。オレはお前を殺すことに躊躇いなんてない。甘い覚悟で臨んでると死ぬよ。」

 

 

 

一転、ドスの聞いた声が時雨から漏れた。提督もその声を聴くだけでもう震えあがりそうだった。

 

 

 

「そうですか、そうですか…じゃあこっちも手段は選んでる暇はねぇな。ああ、損害を出すのは本意でもないから、とりあえず半殺しで良いか。身の程を弁えろよ、駆逐艦が。」

 

 

 

「ほざけ、図体ばかりの戦艦が。」

 

 

 

そこはシュラバヤ海戦。殺気が普通の人間である提督を殺しそうになっているのだった。

 

 

 

 

 

 

「司令官、司令官。」

 

 

そんな彼に真の救いの手が。出口から手招きするのは私の母になってくれたかもしれない雷だった。

 

 

「い、雷…!」

 

 

「もっと私を頼ってくれてもいいのよ。」

 

 

静かに抱擁してくる雷。ああ、ダメになる~ 

 

 

 

 

そして雷はそんな彼を笑顔のまま、縄で縛った。

 

 

 

「あ、あの雷さん?」

 

 

 

「ふふっ…この時を待ってたのよ。ようやく私が司令官を孕めるわ…司令官司令官司令官司令官…」

 

 

 

なんということでしょう、目に光がありません。そしてそのまま彼はお持ち帰りされそうになります。ですが

 

 

 

 

「何を、やってるのかな。」

 

 

凍てつく波動が再び提督の身を襲った。眼光の主は間違いようもなく時雨である。

 

 

 

 

「…榛名、こうしよっか。僕たちの目的は不本意ながらも同じだ。だからどっちが先に孕むか競争しよう。」

 

 

「成程、それはいい提案です。提督に一緒に種付されればスタート地点は同じですからね。あとはおのずと一番が決まるでしょう。」

 

 

何かを結託したのか、ハイライトの消えた瞳で榛名と時雨は笑い合う。そして雷に向き直った。

 

 

 

「とりあえず、そこの泥棒を叩きのめそうか…」

 

 

「そうですね、話はそれからです。」

 

 

 

 

瞬間、雷は提督を小脇に抱えた。そして全力で走りだしたのだった!!

 

 

 

 

「待てや、ボケがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 

時雨の絶叫と共に提督の命が揺さぶられるチェイスゲームがスタートした。

 

 

 

一か月後 妊娠検査薬の陽性を嬉々として見せる、榛名と時雨がいた。ちなみに雷も次こそは司令官を孕むんだからと燃えていた。

 

 

 

 




バカっぽい話は書きやすい不思議
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