艦これ世界の艦娘化テイトク達   作:しが

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お久しぶりーふ


とあるテイトクの日記

2048年 3月7日 晴れ

 

 今、俺は正気ではない。故に支離滅裂な文を書くかもしれない。けれどもこの全身から溢れる困惑を何かしらで吐き出さなければ気が狂ってしまいそうだ。いや、もう狂っているかもしれない。しかしそんなことはどうでもいい。俺は果たしていつの間にかラリってしまったのだろうか。訳が分からない。どうしてこんな状況になった、頭の理解が追い付かない。脳が理解を拒んでいる。今の現状を認識することに拒否反応を示している。何故、なんで、どうして、疑問が尽きない。果たして俺はいつからこの夢から覚めるのか。悪夢にも程がある、悪い冗談だ、夢なら一秒でも早く覚めて欲しい。

 

何をどうしたら俺が艦娘として建造されるのだろう。このまま寝てしまえば明日にはまたいつもの社畜生活に戻っているはずだ。そうに違いない。よしもう寝よう、これ以上は考えても仕方ない。

 

 

 

 

3月8日 曇りのち雨

 

 

夢ではなかった。昨日は全力で現実逃避したがそれは許されない相談だったらしい。現状を纏めればここは呉からそこまで遠くない場所にある警備府の一つらしい。ここの提督は20歳を迎えたばかりの若造で、中々どうしてかイケメンだった。滅べ。俺は何故か艦これの世界に艦娘として建造されてしまったらしい。神様には出会ってない。ただ日課のデイリーをこなしていたら緊急任務なんてものがあってクリックしたら今この場所にいた。訳が分からない、俺はいつの間にか死んでしまったのだろうか。正直今でも頭がイカれた俺が見ている白昼夢としか思えない。だが、空気は味がするし、身体にも重みはある。さらに痛覚もちゃんと存在する。間違いなく俺は正気でここは現実空間らしい。試しに明石に俺が転生者なんだと言ってみたら医務室へ行くか?と聞かれた。ああ、そりゃ分かってたよチクショウ。今の精神状況はやはりまともじゃないかもしれない。

 

 

 

3月15日 雪

 

 

建造されてから一週間と一日が経った。だいぶ冷静に今の状況が見えるようになってきた。まず俺が艦娘になりこの警備府に存在しているということはもう間違いない。とはいえ人格はちゃんと俺のままだし注意されるが言葉遣いもまず間違いなく粗暴な俺のまま。俺という自我は失われてないことはまず間違いない証明と言えるだろう。そしてこれもまたゆるぎない事実でここは艦隊これくしょんの世界観なのは違いないようだ。深海棲艦もいるし、艦娘もいる。というよりこの体には間違いなく艦娘の能力があった。水の上に浮けるし、艤装を使い砲撃も可能だ。というよりもこの一週間は演習漬けだった。まだ力に慣れていない俺への配慮だろうか。しかしそれが余計なお世話という事が何故あの提督は理解が出来ないのか。俺は戦うこともなく引きこもっていたい。いやそれは無理な話だろう。俺は艦娘で深海棲艦と戦う兵士だ。サボれるわけがない。鬼のような海軍、そこの軍規はそれはもう滅茶苦茶に厳しい。日本人の俺は大義に反することはできないようだ。やだなぁ、訓練したくない。

 

 

 

 

3月21日 快晴

 

 

初めて出撃した。今までさんざんと砲撃訓練はしてきたが動く的に当てるというのは難しい話だった。補助の艦娘達のおかげで特に大事はなかったが結局敵艦に攻撃が当たることはなかった。周りは初めてだからと慰めの言葉をくれたが正直言えば悔しいにも程がある。早くも自分がこの世界になじんできているのか真剣に考えてしまう事案だったが俺は今はそんなことを気にする余裕はなく、悔しさと怒りを燃やしていた。ああ、我ながら身勝手だ。でもちんけなプライドくらいなら俺にもある。そのチンケなプライドが叫ぶ。お前はこんなところで終わるなとまだ食らいつけと、いまいち生きている実感が湧かなかったが俺は今日からある目的を持った。この世界で成り上がるという今ではまだ難しい目的を、だ。我ながら単純だ、悔しさがここまでのバネになるとは。兎にも角にもこれ以上好き放題なんてさせない、俺を笑うやつを全員黙らせるまで強くなってやる。

 

 

 

3月23日 曇り

 

 

初めて深海棲艦を倒した。個人的な成果として上出来だ。…まあ駆逐艦だが。だが初めて相手を討ち取ったという事実には変わりない。やっとだ、やっと一つ明確な目標へとたどり着いた。大したことがないようにも見えるが大間違いでこれは飛躍的な一歩だ。今まで何かの不安に魘されてきたが今夜ばかりはよく眠れそうだ。

 

 

3月31日 霧

 

改めて自分の異常性を再確認した。俺は何のために生まれたんだ?何のためにこの世界にいたんだ…?全てが謎で今の俺には理解できない。

 

 

 

4月7日 雨

 

ああ、畜生。俺は1ヶ月振りに困惑している。すれ違った同僚からも酷い顔色だと言われた。多分そんな酷い顔を俺はしてるんだろう。自覚はある、顔がクシャッと歪んでる自覚がある。まず始めに前提から間違えていた。俺は最初から間違えていた。俺の境遇を俺一人のものと思い込んでいた。それはとんだ思い上がりだった。何故考えなかった、この境遇が他の誰かにもあったのではないのかと、ああ、俺は大馬鹿だ。良い成果なのかもしれないが俺は自分を責めている。端的に言えばこの世界に転移したというのは俺だけじゃなかったんだ。呉鎮守府の艦娘……鳳翔さんが、言うにはこの世界には沢山の転移した艦娘が、いるらしい。

 

 

4月8日 気分は雨

 

彼女から聞いた話によればこの世界には沢山の転移した艦娘いる。そしてそれの相互組合や何なら専用サイトもあるらしい。何てことだ、こんなに居たのか。転移者(便宜上テイトクと呼ばれている)はこんなに居たとは正直信じられん。けれどもそんな妄言を吐くのは間違いなくそれが転移者であるという、証左でらしい。ああ、畜生、まだ頭がこんがらがっている。

 

 

4月21日 晴れ

 

最近出撃を重ねている。順調に練度が上がっているようだ。忙しくこの筆すらまともに、取れていない。

 

 

 

5月6日 天気雨

 

おおよそ2ヶ月ほど過ぎた。かといって何かが大きく変わったわけではない。俺の所属する基地…というより警備府は呉の近くにあるためそこまで規模は多くない。せいぜい呉の面々が遠征の間近海警備をしているくらいだ。しかし深海棲艦の猛攻はそこそこのためやはり敵との接敵は多い。まあいいさ、最近は動く的にもよく当たるようになってきたため、人間は慣れるということだろう。この、状況に適応するのは何か大切なものを失ってしまった気がしなくもないが。

 

 

11月 7日 曇り

 

気がつけば前回の日記から半年以上経過していた。存在を忘れていたようだ。俺の記憶力はもうダメかもしれない。最近ではテイトク連中と会うことも多い。ただしこの世界が甘いことばかりではないということは鳳翔さんから聞いてる通り、ゾッとするようなことも沢山あった。例えば人格が上書きされる話、自分の記憶が吹き飛ぶ話。正直、おぞましい。自分が自分でなくなると俺は結局何に成るのだろうか。いや、考えるのはやめた。考えると絶望するだけだ。

 

 

12月24日 雪

 

ホワイトクリスマス、だった。提督主催のパーティーは楽しかった。

 

 

 

1月1日 晴れ

 

新年あけましておめでとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2051年 5月 3日 多分雨

 

 

ああ、どこまで書いたのだったか忘れてしまった。気がつけば()が建造されて三年の月日が流れていた。この日記の存在がそもそも忘れていた。以前も忘れていたようだから私は案外忘れっぽいようだ。まあ、そんなことはいい。私が建造されておおよそ三年。遂に私が改装された。これで更なる高みを目指せるということで私は気がついた。私は普通に、自然に、艦娘として振る舞っていた。どうやら、私は自分が思っているより、侵食されていた。私は恐怖した。

 

 

 

5月 31日 曇り

 

私はある法則に気がついてしまった。練度とは何か考えてしまった。そして知った、練度が上がれば上がるほど人間だった記憶が少しずつ削れていく。時間が経つと少しずつ忘れていく。それと同じように練度が上がると記憶が少しずつ喪われていく。私はこの誰にも打ち明けられない孤独感を今削れる恐怖と共に味わっている。

 

 

あと少しで………私の練度が上限へと行く。

 

 

 

 

 

 

6月1日

 

 

たすけて

こわい

おれをけさないで

 

 

 

ろくがつふつか

 

 

やめて

 

 

ろくがつみっか

 

 

やめろ

 

 

ろくがつよっか

 

 

じかんがない

 

 

ろくがついつか

 

 

もうほとんどおもい、だせない

 

 

 

ろくがつむいか

 

 

だれ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6月14日 晴れ

 

今日から日記を新調することにした。以前使っていたものが行方不明になり、捜したが見つからなかった。大人しく新しいものを用意した。提督が私の練度最大のお祝いに何かくれるらしい。………億が一にでも期待する私がいる。

 

 

────────

 

 

執務室をノックする。中から入ってくれという言葉が聞こえた。

 

 

「来たわよ、提督。それで渡したいものって?」

 

 

「………っ」

 

実に提督と呼ばれた彼は言い難い表情をしていた。しかし彼は勇気を振り絞り言い出した。

 

 

「三年、だ。君がここに来て、三年だ。……今だからね白状すると私はキミに一目惚れしたんだ。」

 

 

「…………えっ?」

 

 

「おっと、そのままの意味だ。見惚れていたのは違いない。けど、それでも私が恋したのは間違いなくキミだ。そこにお世辞も偽りもない。……こんなことでしか言い出せない私が情けないが………矢矧」

 

提督は目の前の彼女を見据える

 

 

「私と……僕と、付き合ってください。」

 

 

それは半ば義務のようになっているケッコンカッコカリではない。男女交際だった。この男はそこから始めようというのだった。

 

 

 

「つまり、提督は私が欲しいって、そういうことよね?」

 

 

「まあ、端的に言えば……」

 

 

 

いつの間にか提督は壁際に追い詰められていた。矢矧は舌舐りに似た何かをしていた。

 

 

「なら、私から仕掛けてもいいって、ことよね?」

 

 

 

ああ、彼女は実は肉食だったのか……と提督は心の隅で思った。奥手な自分が勝る相手ではなかったのだ、と。

 

 

 

 

──────

 

 

 

ろくがつじゅうごにち

 

 

 

おれを、わすれないで、おれ。

 

 

 

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