IS x W Rebirth of the White Demon   作:i-pod男

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お待たせしました。今日からこちらでは学校の行事が始まって準備に勤しむあまり更新が疎かになってしまいました。Mナスカとの戦闘です。どうぞ。


N、乱入/悪魔との会談

生身とは言え、一夏はMナスカと互角に渡り合っていた。ISスーツの所々が破けて乾いた血が滲んでいる。

 

(コイツ、速い・・・・しかもレベル4って園崎冴子よりも更に化け物じゃねーかよ。ここじゃ変身も出来ないし)

 

「お前、ファントム・タスクだろ?俺の拉致が目的か?」

 

「持ち帰るのが生きている貴様だろうが、只の屍だろうが、貴様の首一つだろうが、関係無い。超高速。」

 

だが幸いMナスカが出したスピードはギリギリ一夏が目で追える速度だった為、再び紙一重で回避する事に成功した。

 

「どうした?その程度か?」

 

Mナスカは剣先を一夏に向けた。今この場で変身すれば恐らく勝つ事は出来る。だが自分が仮面ライダーである事がバレれば風都にいるライダー達が間違い無く何らかの側杖を食らう事は火を見るより明らかだ。

 

「来ないのならばこちらから」

 

だが、言い終わる前に爆発に包まれた。間髪入れず再び爆発が幾つも巻き起こり、爆風で砂煙が舞った。思わず一夏は顔を覆った。キーンと耳障りな耳鳴りも続いている。

 

(ちっ・・・・直後だから見えねえし聞こえん。鼻も燃えカスの臭いが強過ぎて役に立たないな)

 

「一夏君、大丈夫!?遅れてごめん!!」

 

「一夏・・・・・怪我、無い・・・・?!

 

爆発を起こしたのは楯無と簪だった。その証拠に、簪の打鉄弐式のミサイルポッドは全てが空になっていた。

 

楯無の右手には西洋の騎馬隊が使う様なランスが握られている。彼女の専用機『ミステリアス・レイディ』は、正に深窓の令嬢を彷彿させる様な幻想的なフォルムをしていた。装甲は他のISに比べると薄い上に極端に少なく、代わりに両肩に搭載されている結晶『アクアクリスタル』が水を操ってドレスの様に彼女を包んでいた。

 

「俺は大丈夫だ。簪、刀奈、出て来て早々悪いけど下がっててくれ。こいつはドーパントだ、ISでは倒せない。それにここじゃ人の目がある。迂闊に変身も出来ない。時間を稼がなきゃならない。」

 

「それなら大丈夫。防護シャッターは上げたし、管制室には織斑先生しかいなかったから。」

 

「相談は終わったか?」

 

剣の一振りでMナスカの周りに立ちこめる砂煙が吹き飛んだ。ダメージを受けた様子は全く無い。代わりに左手を前に突き出して、そこからボウリング球サイズの光球を撃ち出した。それは凄まじいスピードで二人に迫って行く。

 

「一k」

 

「クソッ!!離れろ!」

 

二人を突き飛ばし、一夏は飛んで来る光球を薙ぎ払った。その瞬間、彼の左腕は肩から下がごっそりと消し飛び、跡形も無くなった。

 

「い、一夏!?」

 

「大丈夫だ。腕の一本で二人守れたなら安いもんだ。それに、ほれ。」

 

焼き切れた痕はしばらくするとトカゲの尻尾の様に再びニョキニョキと腕が形成されて行き、二十秒経過した後は何事も無かったかの様に左腕が元通りになっていた。

 

「貴様・・・・・化け物か?」

 

「良く言われたよ。だが、お前もそうだろ?だからやろうぜ。お前がお望みの化け物(フリークス)同士の戦いをよ。」

 

管制室には自分の正体を知る人物のみ。防護シャッターで政府や企業の人間も、生徒達も自分のもう一つの姿を知る由は無い。ようやく一夏は懐からエターナルメモリとロストドライバーを取り出して装着した。

 

「そのドライバー・・・・貴様、風都の都市伝説の仮面ライダーとか言う奴か。」

 

「そうなるな。変身!」

 

『Eternal!』

 

「さあ、贖罪の前奏曲(プレリュード)を奏でろ。」

 

エターナルはローブの中から刃が伸びたエターナルエッジ・カリバーモードを引き抜き、構えた。そして次の瞬間エターナルローブを引き剥がしてMナスカに投げつけた。

 

「ふざけた真似を・・・・」

 

再び光球でローブを消し去ろうとしたが、光球がローブに当たった瞬間ローブだけがその場に残った。

 

「何だと!?」

 

「ダァアアッラアアアアアアアアアア!!!!」

 

動揺が走って一瞬だけ対応が遅れたMナスカだが、エターナルの渾身の大上段を受け止めた。

 

「調子に、乗るなぁ!!!」

 

「っち・・・・やっぱ駄目か。」

 

一夏は内心冷や汗をかいていた。Mナスカの高速剣技は目で追い切れない事は無いが、兎も角恐ろしいのは手数の凄まじさだ。少しでも防御を緩めれば一気に突き崩される程高密度の多種多様な攻撃。下手をすればメモリごとドライバーも破壊される可能性だってあるのだ。ナノマシンの有無に関係無く、一夏は間違い無く殺されてしまうとすら思い始める。

 

「いい加減小細工をやめる気になったか?化け物。」

 

「ああ、化け物。こっからだぜ。うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

両腕のブルーフレアが光り始め、青い炎が刀身へと燃え移った。Mナスカも紫色の翼を背中に生やして競り合った。剣が振るわれる度にアリーナは地面に抉れた後を残し、アリーナの壁も両者がそこに激突する度にまるで踏み潰された空き缶の様に拉げて行く。

 

「これが・・・・ドーパントと、仮面ライダーの力、なの?」

 

どちらにも、絶対勝てない。ISの絶対防御などあの攻撃の前では紙の楯に等しい。最大出力の攻撃を受けたらどうなるか想像すると身震いがした。

 

そして、

 

『Zone Maximum Drive!』

 

突如二人の姿はアリーナから掻き消えた。

 

「え・・・?ええええええ?!」

 

「一夏!一夏、どこ・・・・!?」

 

簪と楯無が辺りを見回したが、無駄だった。二人の姿はゾーンメモリのマキシマムドライブによる瞬間移動で最初から存在しなかったかの様にその場から消えていたのだ。そしてその直後、アリ—ナ上空から島の一角で煙が上がっているのが見えた。

 

 

 

 

「成る程、場所を変えたか。」

 

Mナスカはふんと鼻を鳴らして木々が生い茂る森の中をを見回した。

 

「ここなら、心置き無く暴れられる。あそこじゃ巻き添え食らう奴がいるからな。」

 

「無駄な足掻きを。場所を変えた所で貴様が死ぬ事に変わりは無い。」

 

「それはどうかな?」

 

両者は再びぶつかり合った。ぶつかり合う刃とその摩擦によって現れる幾つもの火花は巨大な唐松の線香花火の様だ。

 

(長引くとこっちの剣が折れちまいそうだ・・・・起死回生の一手は・・・?あれをやるか・・・・)

 

『Eternal Maximum Drive!』

 

(メモリを無効化させれば・・・!!!)

 

だが、一夏の考えは空しくも潰えた。エターナル・レクイエムが発動したにも拘らずMナスカの変身は強制解除されなかったのだ。

 

「嘘だろ!?」

 

「こけおどしか。」

 

Mナスカドーパントは怪人体のまま再び超高速で刃を振り翳す。エターナルエッジで受け止めはしたがもんどりうって後ろに倒れ込んでしまう。Mナスカは凄まじい力で上から押さえ込んで来る。

 

「これで、私が『本物』だ!!」

 

どんどんMナスカの剣がエターナルの喉元に迫って来る。

 

「離れろよ、ゥオオオラアア!!!」

 

力で押さえ込まれた所をまたそれを上回る力で押し返し、メビュームマグナムの銃撃を至近距離から浴びせた。

 

『Bullet!』

 

『Shell!』

 

少し距離が出来た所で立ち上がり、大股で前進しながら散弾を発砲した。だがMナスカは超高速で大部分を完全に躱し、エターナルの後ろに回り込んだ。

 

『Zone Maximum Drive!』

 

「何をする気かは知らないが、もう遅い!!」

 

「ああ・・・・確かに、もう遅いぜ。俺は勿論・・・・お前もな。」

 

エターナルの腹が貫かれると同時に体中に巻かれたコンバットベルトの様に連なるマキシマムスロットに更に三本のメモリが吸い込まれて行った。

 

『Accel Maximum Drive!』

 

『Cyclone Maximum Drive!』

 

『Heat Maximum Drive!』

 

三つのマキシマムが同時に発動する。それに気付いた時にはもう遅かった。

 

「貴様ぁああああああああああ!!!」

 

Mナスカは一夏が何をしようとしているかに気付くと剣を捻って内蔵を抉り始めた。悟ったのだ。今この場でコイツを殺さなければ確実に自分も只では済まない。エターナルはあまりの痛みに気絶しそうになり、仮面の奥で口から血が零れた。白いボディーも赤く染まり始める。

 

「ニトロ・バーン・アウト・・・・・!!!」

 

最後の気力で自分の体を貫通した刃を手刀で叩き折った。真っ赤に燃え盛る左腕に纏った炎の渦が加速し、振り向き様にMナスカに渾身の左ストレートを叩き込んだ。その直後、巨大な炎の渦が広範囲に熱風を撒き散らし、爆発と共に熱が木々に伝わり燃え始めた。辺りを見回したが、Mナスカの姿は無い。

 

「・・・・・糞・・・・・逃げられたか。」

 

メモリを抜き取って変身を解除すると、背中から折れた剣を引き抜いた。剣で塞がれていた血管が再び開き、更に吹き出る鮮血を見て一夏は溜め息をついた。再び下を見下ろすと、腹に開いた穴は塞がっている。だが、マキシマムドライブの乱発によって蓄積した疲労感は消えない。

 

「おっかしいな・・・・・エターナルだったら、Wと違って何重のマキシマムやってもへばらない筈なのに。馴れてない所為、なのか・・・・?」

 

『一夏!一夏、返事をしろ!!』

 

「ん・・・・?」

 

零式に目を落とすと、千冬の声が聞こえた。プライベートチャネルを開いている。

 

「ああ、ちー姉か。あいつには、逃げられた。後悪いけどちと迎えを寄越してくれねーか・・・・すげえ、体がだりぃんだ。後、念の為に、一年の代表候補全員と刀奈・・・・楯無さんを集めてくれ。思った以上に厳しい戦いになりそうだ。」

 

『どう言う事だ?』

 

「ファントム・タスク。フィリップさんが言ってた。近々俺を狙ってトーナメントが襲撃されるって。警戒を呼び掛けようとも思ったんだけど、何せ時代が時代じゃん?向こうは証拠も根拠も何も無いからって相手にされないと思って今まで黙ってたんだ。ごめん。」

 

『馬鹿者、私に言えばそれなりに都合する事は出来たんだぞ!?』

 

「・・・・ごめん。」

 

『いや、お前が無事ならそれで言い。待っていろ、更識の二人がお前を迎えに行く。』

 

「おっけ・・・・俺の、ブツ、回収頼む・・・・」

 

目の前が真っ白になった一夏はどさりと倒れ、千冬の声も壊れたラジオが発する音の様に不明瞭になって行き、遂には途切れた。

 

 

 

 

 

「く・・・・!!エターナル・・・・何なのだ、あれは?!」

 

完全に織斑一夏を見縊っていた。どうにか逃げる事に成功はしたが、所詮でいきなりメモリブレイクの数歩手前まで追い詰められるとは思わなかった。マドカの右半身、特に脇腹が焼けただれていた。

 

「次は殺す・・・・必ず殺す!!!!織斑一夏・・・・私が、本物になるまで貴様を・・・・!!」

 

溢れ出る殺意は、ドライバーとメモリを握り締める力がまるでそのまま握り潰してしまわんばかりに強まった。

 

『エム、大丈夫?』

 

マドカの耳にスコールの声が飛び込んで来た。ISのプライベートチャネルを使っているのだろう。

 

「問題無い。今から帰還する。」

 

『あらら、失敗しちゃったのね?まあ、良いわ。ちゃんと見れたし、対策も練れる。』

 

『Seven Sins!』

 

マドカの耳に、ガイアウィスパーが飛び込んで来た。

 

 

 

 

波の中を漂っているかの様な心地良い感覚で、声が聞こえた。

 

『ぃ・・・・おい・・・・おい!!』

 

「ん・・・・??」

 

一夏は起き上がって辺りを見回した。見渡す限りの透き通った水面は、磨き上げられた鏡の如く白い雲と青空を鮮明に写している。 自分の姿もハッキリと見える。そしてその場の中心である事を主張するかの様に、葉が無い一本の巨木が聳え立っていた。

 

『おい。何度も呼ばせるな。』

 

声がした方に目を向けると、一人の男が立っていた。赤いラインが入った黒いジャケットを羽織り、下はタクティカルパンツと踝まであるコンバットブーツを履いている。右腿には銃を収めたホルスター、そして右腰には大振りのセレーションがついたアーミーナイフも携行していた。

 

「お前は・・・・」

 

薄い小麦色に焼けた肌、一本だけ入ったおいメッシュ、そして悪魔を思わせる凶悪な目付き。

 

「大道、克己・・・・?!」

 

『ああ。地獄の奥の奥へと突き進んで行く内に、どうやら俺は地獄の底を突き抜けちまったらしくてなあ。気付いたらここにいた。しかし、お前にはがっかりしている。死人の俺にすら遅れを取るとはなあ。ククククッ・・・・』

 

「初見の相手だったんだ、当たり前だろう?」

 

一夏は顔を顰め、内心では憤慨しつつも克己の嘲りを受け流した。

 

『あの程度のドーパント、俺なら一分と掛からずにメモリごと使用者を砕ける。』

 

「俺はお前とは違う。死人でもなけりゃ二束三文の駄賃で人殺しに身を落とす様な奴でもない。」

 

それを聞いた克己は腹を抱えて笑い出した。

 

『ハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!甘いな、人は皆悪魔なんだよ。戦いとは人間が古来より持つ本能だ。何故この世から戦争が無くならないか、お前分かるか?人間は皆が皆、己が正しいと信じて疑わないからだ。自分が正義だと醜く思い上がっているからに過ぎない。そして保身の為ならば騙し、裏切り、手を汚す事を嫌う。』

 

「そうかもしれない。確かに人間は色々と問題がある。でも、その間違いから学べる事だってある筈だ。」

 

『フン・・・・下らんな。そこまで言うならば、納得させてみせろ。俺を力で捩じ伏せてみろよ。』

 

ナイフと銃を捨て、克己は拳を構えた。




克己の喋り方が今一つ分からない・・・・・思考回路はまあまあ分かるのに・・・・

他のA to Zのメモリは次回で二、三本位は一気に登場させようかと思います
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