Fang of No Face〜Sword Art・Online alternative〜   作:Mr.bot-8M6N

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【重要】
ここは、最新話ではありません。
目次からの小タイトル末から(NEW!!)表記を探してお読み下さい。
読者の皆様にはご迷惑をおかけします。




久しぶりのこっち更新。

それにあたって前回のラストを変えました。レストランでナナシはシーナからの逃走に成功しています。


EP-nf④ 本日の迷宮区。モンスター時々地震。つまり平和だ(錯乱)

 アインクラッド第56層迷宮区。

 

「ッッシャオラァア!!!」

 

 という女の子にはあまりして欲しくない雄叫びと共にアインクラッド最前線である迷宮区にて、今日何度目かの激震が走った。

 その原因がいる迷宮区の一角でモンスターが断末魔の悲鳴をあげることさえ許されず絶命した。いや、もしかしたら悲鳴を上げていたかもしれない。だが、そうだとしてもシーナの圧倒的な怪力(STR)によって振り下ろされた圧倒的質量を持つ両手剣《ラージ・ジョー》が地面に炸裂する大音響によって掻き消されて誰にも届かない

 

 彼女と行動を共にするパーティメンバー達は怒れる獅子……いや、鮫に顔を青くさせていた。

 しかし、そのパーティメンバーにも2人程例外がいた。

 

「……………随分と怒っているな。珍しい」

 

「タハー!こりゃ、アネサン随分とおかんむりじゃねーですかい」

 

 一人は寡黙で口数の少ない男。ギルド《memento mori》のギルドマスターであるゴドウ。

 もう一人は、随分と軽薄で年下のシーナをアネサンと呼ぶ男。同じくギルド《memento mori》の最古参メンバーであるフラットだ。

 

「………あの娘は今日の迷宮区攻略を休むと言ってなかったか?」

 

「言ってやしたねぇ……」

 

 心配気なゴドウに対し、何故かしみじみと答えるフラット。彼女は、自分が提案した迷宮区攻略に今日になって急に休みたいとメッセージを送ってきたのだ。だというのに、蓋を開けてみれば不機嫌さを一切隠しもしないで攻略メンバーの集合場所にいたのだ。そして、迷宮区に入ってずっとあの調子だ。

 

「…………やはり休ませた方がーー」

 

 彼女の事を実の娘のように可愛がっているゴドウとしては彼女の異常に気が気でないようだ。

 

「いやいや、アレはアレで良いんですよ。ストレスは発散出来る時に発散させとかないと。……寧ろ、溜め込まれた場合、後が怖い」

 

 それに対し、フラットはどこまでも自然体だ。

 

「………………ストレス?」

 

 少々、ゴドウは言うべき内容が足りていないが、付き合いの長いフラットは彼が言いたい事を全て理解している。

 

「あー……。多分違うんじゃないですかね?ギルドのサブマスターとしての役割にストレス、とかじゃあねーでしょう。恐らく……いや、十中八九アネサンが最近ご執心のナナシのアンチャン絡みでしょうね」

 

 おそらく、シーナ嬢はあの少年と今朝出会って彼の為に時間を作ったが、案の定逃げられたのだろう。もうそういう場面を何度も目撃している。

 

 フラットから見て、あの少年は何というか色々とおかしい。このSAOという世界でタガが外れた人間というのは一定数いるが、アレはその中でも極め付けの部類だ。言ってしまえば社会不適合者。それが無理矢理社会に溶け込んでいるような違和感を覚える。それが悪いとは言わないが、どことなく危なっかしい姿が他とは浮いて見える。

 そんな彼を、実は根っからの世話焼きでお姉さん気質のシーナ嬢が執心するのは目に見えていた。特に《memento mori》のメンバーで彼女は最年少。サブマスターを担っているが、メンバー全員から可愛がられる存在だ。悪い言い方をすればあの少年はそんなシーナ嬢の世話を焼く相手として格好の的だったのだ。

 しかし、ソレをある意味一人で完結しているあの少年は受け入れないだろう。受け入れていたら色々と楽だったが、実際、半ば拒絶されている。それに対して……まぁ、このようにストレスを溜めて現在発散中という所だ。あの少年にとってはいい迷惑だろうが、もうちょっとオブラートな対応をお願いしたい。

 

「………………ぬう?」

 

 そういう年頃の乙女心とは無縁だったであろう我らがギルドマスターは、やはりよく分かっていないようだった。

 それにフラットは苦笑する。

 

「ま、その辺は出来る限り俺がフォローしますよ。………………それはそうとあのアネサンの背後とっているモンスター拙くないですかね?」

 

 シーナ嬢は目の前のモンスターの集団を一匹づつ……いや、時々二匹まとめて叩き潰していて背後の一体には気付いていないようだ。

 

「………問題無いだろう」

 

 だが、ゴドウはそれに対して何の危機感も覚えていない様子。

 

「え?でもですよ?…………って、マズ!アネサンっ!背後のモンス…………たー………を握り潰しちゃいましたね……」

 

 シーナ嬢は、背後からジリジリと近付いていたモンスターに気付いていたのか、手の届く範囲にまで近付いてきた瞬間その顔面を左の巨腕でひっ掴み、片手で背負い投げをするように地面に叩きつけた。そして、一拍遅れてグシャと頭が潰される音を捉えた。……捉えてしまったというべきか。

 

「フラットさん、何か言いました?」

 

 フラットに話しかけるシーナはさっきまでの鬼神の如き大立ち回りが嘘のように普段通りに話かけてくる。

 それにフラットは、何故か背筋が冷えた。

 

「い、いや。何でもないっすよーアネサン」

 

 幸いと言うべきか、言葉に震えが乗らなかった。

 

「……ふむ、シーナは仕方ないにしてもこれでは他のメンバーの為にはならんな」

 

「ゴドウの旦那?」

 

「……二手に別れる。私とシーナ、お前と他3人だ。其方の先導は任せる」

 

「…………へい」

 

 それだけ言って、ゴドウはシーナの下に歩いていく。

 

「シーナ!余所見をするな!まだ、モンスターは残っているぞ!!」

 

「は、はい!すいません!」

 

「今日は二手に別れる!シーナと私!フラットとガゼルとキリハとサルヒコだ!いいな!!」

 

「「「「は、はい!」」」」

 

 ゴドウの堂に入った指示に、他のメンバーは顔を青くしたまま、若干でも気分の持ち直したシーナはゴドウと二人っきりだという事にどこか嬉しそうにしながら了解の意を示す。

 

 そんな5人を少し離れた所から見ながらフラットは呟く。

 

「………いやホント、大物だなぁ」

 

 あの戦闘に全く動じないゴドウもだが、シーナ嬢から逃げて平気で怒らせるナナシにもだ。

 

「フラット!聞いているか!」

 

「へーい、聞いてますよー」

 

 今日も最前線は程よく命の危機を隣に平和に過ぎていった。

 

 




という、とあるアインクラッド攻略組の風景でした。次回は裏方(と書いてメインと読む)の《無貌》サイドにするかねぇ?もしくは、ナナシ視点かな?


今回の登場人物
・フラット……ギルド《memento mori》の最古参メンバー。斥候(スカウト)役を担っており、偵察、罠発見解除など様々な点でギルドに貢献している。使用武器はダガーと投剣。毒の扱いに長け、様々な状態異常をモンスターに与える。性格は軽薄。しかし、思慮はそれなりに深く。際物のギルドリーダー2人のサポートに徹していたりする。

・ゴドウ……ギルド《memento mori》のギルドマスター。昔、とある一件から他人との会話を避けていた為、寡黙なイメージを持たれている。今でもイメージ通りだが、ギルドマスターとして行動する時は力強い声でメンバーを導く。使用武器は両手斧。豪快な戦闘スタイルのシーナと違い、一撃の重さを求めつつも堅実に立ち回る。

・シーナ……ギルド《memento mori》のサブマスター。戦闘面では豪快、強烈、一撃必殺の超パワーアタッカー。だが、ギルド運営の事務能力も高くギルドの屋台骨をほぼ単独で支えているやり手でもある。ゴドウには好意があるが、それは異性としてでは無い。あくまで「命の恩人」「尊敬」「父親のような存在(血縁無し)」である。…………ファザコン?(←作者、今気付く衝撃の事実w)

・ガゼル……ギルド《memento mori》のメンバー。使用武器は両手用長槍。豪快反面スキが大きいシーナをフォローするために長い射程で敵モンスターを牽制するの事を目的にしているが、シーナが自力で何とかしているため日の目をみることがあまり無いもよう。シーナに気があったりなかったりしないこともない。

・キリハ……ギルド《memento mori》のもう一人の女性メンバー。年下で同性のシーナがほぼ一人でギルドを切り盛りしている事に心配と不安を覚えているが、比較的新しいメンバーの為口には出せていない。片手剣を使っているが、最近はフラットの下で偵察(スカウト)や投剣の手解きを受けている。

・サルヒコ……ギルド《memento mori》のメンバー。結構惚れやすく、色んな女性に声をかけてアッサリと袖にされる。最近、《血盟騎士団》の副団長に告白して断られている。その生き様に、少なくない最前線メンバー(男限定)に尊敬の目を向けられている(という事は本人は知らない)
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