Fang of No Face〜Sword Art・Online alternative〜   作:Mr.bot-8M6N

7 / 10
【重要】
あらすじに書いておりますが、現在2つのエピソードを同時並行で作っているため、ここで新しいエピソードが新しくなっております。急に話がブツ切りになっております。
読者様にはご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。


我ながらタイトルがひっどいw
これは修正案件ですなw


修正を入れました
シーナのギルド内での予定を攻略から調査に変更しました………というのはやっぱ無しで。

………もうちょいプロットを練って挑むべきだったわ……


2024年3月13日 顔無しの髑髏は今日も今日とてーー
EP-nf① ソロプレイヤーナナシさん(仮)


 俺たちがVRMMORPG《SAO》に囚われてから一年以上が過ぎた3月。

 冬の寒さがなりを潜め、日中は温かい季候を取り戻し始めているが、まだ日が昇り始めたばかりの今は未だ肌寒く、冷気が男の肌を貫く。

 その男ーー線が細い華奢な出で立ちで、どこか正気の抜けた目をした少年は、腰にそこそこ強力な長剣を吊り下げ、ここから一番近い街に歩を進めていた。

 

「あー……寒。春先だつってもマジで寒ぃ。もう《転移結晶》使っちまうか?……いや、高価な命綱をこんなとこで使っちまうのはなぁ……それに、寒いの我慢して歩いてきた努力が無駄になる……あぁ、寒ぃ。クソ寒ぃ……」

 

 意識的か無意識的か、そう独り言を呟きながらわざわざ日陰を選んで歩いていく。

 

 ここは、月初めからボス攻略が停滞したアインクラッド第56層。その迷宮区から一番近い街への道程。

 そして、彼の名はナナシ。アインクラッドクリアを目指す《攻略組》の一人だった。

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

「取り敢えず、こっからここまでのアイテムは全て売却。……回復ポーションが切れそうだな。じゃあ、ポーションと5日分の保存食を売ってくれ」

 

 雑貨屋でアイテムストレージの中を確認しながら、売却物と購入物の確認をとる少年の姿がある。ナナシだ。

 

『まいどありぃ!』

 

 と、商店のNPCから小気味の良い声が店内に響く。日が昇り始めてから間もないこんな早い時間から商売を始めてくれるのは朝帰りが多い彼には有難い話だ。

 

「あ、おはよう、ナナ君。今からダンジョンへ出発?」

 

 女の声がナナシの背中を叩く。若干、言葉の端々に上ずったような響きが残る声に、彼は溜息と共に振り返った。

 

「いいえ、違いますよシーナさん。迷宮区への行きではなく、その帰りです。」

 

 振り返るとそこには、思った通りの女がいた。自分より1〜2歳程年上ーーおそらく18歳の女性だ。着物か魔法使いのローブのようなゆったりとした服の袖から、彼女の肢体と比べてアンバランスな程大きな籠手を覗かせている。

 彼の言葉は固い。彼はシーナと呼んだ彼女のことを嫌っているからだ。別に彼女が何かした訳でも、彼女が悪い訳でも無い。ただ、どうしても……受け入れられないのだ。それに初対面の時にも失敗した。これに関しては……いや、彼女との事は全てこちらに問題がある。彼女の声の上擦りは、彼の声から分かる煩わしさを感じ取っているからだろう。

 彼女には悪いと思っている。それでも、こうやって何かと話しかけてくる彼女には申し訳なさで一杯だ。

 それでも………受け入れられないのだ。何故ならーー

 

「ちょっと、聞いてるの?私、ちょっとだけ怒ってるんだけど」

 

 怒っているのか……。それは不味い。

 

「えぇ、勿論聞いてますよ。で、何の話でしたっけ?」

 

 聞いてませんでした、とは言わない。誰とは言わないが、こういうふてぶてしいところが似てきたなぁ、と思う。誰とは言わないけども。

 これには、彼女も呆れを隠さない。ついでに遠慮も無くなった。

 

「あのねぇ……。私は貴方の事を心配してるの!どうせ、何時ものように保存食か武器の耐久値が無くなるまで迷宮区で野宿してたんでしょ。そんな余裕の無い生活をしてたら本当にふとした時に死んじゃうよ」

 

 何なんだろう、この女。嫌われている事は分かっているのだろうに、毎度こうして話しかけてくる。

 

「大丈夫ですよ。俺はこの生活をもう一年以上続けているんですから。……それでは俺は行きます。」

 

 こういう時は、とっとと撤退だ。昼まで寝た後にやる事はまだあるのだから。

 だが、彼女はそこで問屋を下ろさないようだ。

 

「あー、もうっ!待ちなさい!これから私、朝食だから付き合いなさいっ!奢ってあげるから」

 

「いや、良いですよ別に。俺、これから寝るんで」

 

 勘弁してくれ、と言いたいが彼女にその意思は伝わらないようだ。

 

「嘘ね。どうせ、この後またすぐに迷宮区に潜るつもりなんでしょう。いいから、付き合いなさい」

 

 いや、寝るつもりなんですけどぉ?!と言っても信じてはくれまい……。なんせ、自分は《攻略組》の中でも結構危ないレベルでストイックに攻略している人間と認知されているからだ。別にそんな事ないのに……。安全圏外で数日間野宿するのは?普通、普通。少なくとも俺の中では当たり前だ。

 

「出発前にポーションの買いに来たんだけど、今日はキャンセルね。……まったく。ゴドウさんたちとの迷宮区攻略の予定があったんだけど、お断り入れなきゃ」

 

 …………………………ゴドウ。

 

 ーーいや、そんなことよりもだ。

 どうやら、彼女は俺のために完全に一日開けるつもりのようだ。これは彼女に感謝の言葉を述べなければならないようだ。マジで何なの、この女?!余計な事しやがって有難うございますだ、クソッタレッ!

 

「い、いやいや!いいですって、シーナさんにも予定があるんでしょう?そちらを優先しまーー」

 

「はい、送信。これで、今日はフリーね。……何か言ったかしら?」

 

「…………いいえ、何でもありませんよ。」

 

 いつの間にか、彼女はフレンドかギルドのメッセージ機能で「今日は攻略休みます」という旨のメールを送ってしまっていたようだ。

 時々見せる彼女のこの強引なところには、お手上げだ。

 

「……分かりましたよ。食事でも何でも付き合いますから、今度からもう少し相手の事情を聞いてからにして下さいね」

 

 そう脱力気味に言って、俺はシーナさんに白旗を上げた。

 

 ふと、背後で雑貨屋のNPC店主が笑いを噛み殺しているのを見て、殺意が湧いてきた。二度とこの店は利用するものか。

 

 

++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

「どうしたんですかい?ゴドウの旦那」

 

「………いや、あの娘が今日の攻略を所用で休むそうだ」

 

「…………へぇ。じゃあ、多分ナナシ君の所ですかねぇ。シーナ嬢は、最近随分とご執心のようですからねぇ」

 

「…………………」

 

「おっと、どうしたんですかい、お、と、う、さ、ん?」

 

「……………私は、あの娘の父親ではない」

 

「誰も、お嬢の父親が貴方とは言ってませんぜ」

 

「……………………………」

 

「クックックッ、冗談ですぜ、旦那ぁ」

 

 何処かで、男の噛み殺した笑いが響いた。

 




今回の登場人物

・ナナシ(Nanashi)……アインクラッド攻略組の一人。ソロプレイヤーで、かなり危なっしいと他攻略組のプレイヤーに認知されている。

・シーナ(Sina)……同じくアインクラッド攻略組の一人。ギルド《memento mori》のザブマスターを務める紅一点でもある。

・ゴドウ(Godo)……ギルド《memento mori》のギルドマスター。口数が少ない。

・フラット(Flat)……ギルド《memento mori》の古参メンバー。結構軽薄。


〜SAO未読者の為の基本知識②〜
・ナーブギアとは
VRMMORPG《SAO》のハード。世界初の《|仮想現実(ヴァーチャルリアリティ》を現実の物とした夢の機体。
ヘルメットのような形をしており、使用者はそれを被り「リンクスタート」と呟くと、意識を仮想世界へと旅立たせることが可能となる。

ナーブギアの3割は大容量のバッテリセルであり、特定の条件でナーブギアから高出力マイクロウェーブが発射され、使用者の脳を破壊する仕組みになっている。

マイクロウェーブ発射条件は以下の通り
①SAO内でプレイヤーアバターのHPが0となった時
②十分間の外部電源切断
③二時間のネットワーク回線切断
④ナーブギア本体のロック解除または破壊の試み
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