Fang of No Face〜Sword Art・Online alternative〜   作:Mr.bot-8M6N

8 / 10
皆さんの中で今回の話を読んで、
「おい、コイツら……実は仲が良いだろう」思ったらって"お気に入り""高評価"お願いします。(嘘です。冗談です。面白いと思ったらで良いです。)


因みに、俺は思ったので自分の作品を"お気に入り"に登録しましたw


EP-nf② ANOTHER RED(仮)

「……驚いた」

 半端、無理矢理連行(ドナドナ)されて食事処の席についた俺の第一声はそれだった。

 

「何よ、唐突に……」

 

 対面の席に座るシーナさんも少々困惑気味だ。

 そりゃ、席についていきなり「驚いた」などと言われたら困惑するだろう。

 

「いえ、シーナさんって『怪人ビックハンドグランマ』では無かったのですね」

 

 我ながら滅茶苦茶失礼である。

 

「何よ、唐突にッ?!」

 

 お怒りのシーナさん。さっきと同じ事を言っているがそこに孕んだ怒気が違う。

 すみません、わざとです。貴方に嫌われたくて、わざと火に油を注ぎました。それでも、根も葉もない悪口というわけではない。

 

「シーナさんっていつも籠手が大きいじゃないですか。だから、手もきっと大きいんだろうなぁ、とずっと思ってたんですよね」

 

 シーナさんの扱う武器は、片刃の両手剣《ラージ・ジョー》。モンスタードロップで得られる武器の中でも最高級。数多のプレイヤー鍛治士が羨み妬み、目標とするオーパーツ。所謂《魔剣》クラスの武器の一つだ。その《ラージ・ジョー》は、名前に『Large(大きい)』が付くに相応しい巨体だ。 彼女の身長は、目測で165cm程度。女性の平均身長よりも高い。そして、《ラージ・ジョー》の全長は、その彼女の身長の約1.5倍はあるのだ。当然、一撃の重さも異常の一言。威力重視の両手斧プレイヤーも裸足で逃げ出すこと必至だ。バケモノである。武器も、それを軽々と振り回す彼女も。 

 

 閑話休題。

 

 そんなドデカイ武器は当然柄も長く太い。普通の手では掴んで持ち上げることさえ難しいだろう。だから、彼女の腕はちょっとアンバランスな程デカかった。いつも、籠手を装備しており、その籠手ごしからしか見たことは無かったが、それでも異常なレベルで大きいのだ。時々、その大きな腕のせいでフラフラと揺れている彼女を見て『ヤジロベエ』を連想したことは一度や二度ではない。

 だったのだが、

 

「あのデッカい腕は籠手だったんですね」

 

「当然じゃない?!」

 

 流石に料理を食べる時は外す。籠手をアイテムストレージにしまい、剥き出しになった彼女の手は……あら不思議。普通の人間サイズの手だ。寧ろ、いつもの着物やローブのような広く大きい袖のせいで隠れて見えない。

 

「何ッ?ナナ君、貴方……まさか、私の腕あの籠手と同サイズだと思ってたの?!」

 

「てっきり」

 

 テヘペロリンコ(尚、死んだ魚の目)。

 

「そんな訳無いじゃないッ。そんなバケモノ居てたまるかッ!貴方の目って昔から死んだ魚みたいな目をしてるけど、本当に死んでるんじゃないの!!」

 

 酷い言われようである。俺の目が死んでるのは事実だけど、人には言ってはいけない事があるのではないだろうか?とは、対面に座る女性に「怪人」「ビックハンド」「グランマ」と言ってのけた男の言葉である。

 

「……………ていうか、『ビックハンド』はともかく『怪人』って何ッ?!『グランマ』って何?!私をババアって罵りたいの?!」

 

 …………山姥(やまんば)的な?

 

 しかしここはナナシ、「人には言ってはいけない事がある」ことを学んだ彼が華麗に黙殺する。

 

「そうなると、逆にシーナさんの籠手がどうなってるか気になりますね。あの籠手、絶対指が籠手の指先に入ってないでしょう」

 

「無視?!無視するっていうの?!」

 

 その通りです。

 

「一度、籠手の中身見せてくれません?俄然、興味が湧いてきました」

 

「……見せる訳ないでしょ。バーカ、バーカ。あとバーカ」

 

 おっと、シーナさん。叫び疲れたのか静かになったが、逆に拗ねてしまわれた。

 まぁ、強引にドナドナした仕返しには丁度良いだろう。

 

「あ、店員さん。この一番上のセットメニューのヤツお願いします。シーナさんは、どれにしますか?」

 

「……貴方って、ホントマイペースよね。いいわよ、もう。……すいません、私も彼と同じのお願いします」

 

 恨めし気に睨んでくるシーナさん。それも数秒の事。さっきまでの事をスッパリと切り替えて注文していく。

 

「店員さん、やっぱ一個下のヤツでーー」

 

「何でよッ!?」

 

 別に、シーナさんと同じヤツが嫌だったとかそういうのじゃないよ?ホントだよ?

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

「それにしても意外だったわ」

 

「何ですか?唐突ですね」

 

 先程、いきなりの「驚いた」発言への仕返しだろうか?

 

「7日前の事よ。この層のフィールドボス討伐会議の時に、貴方あの《黒の剣士》君に食ってかからなかったでしょ」

 

「………俺、あの人に喧嘩売った事ありましたっけ?」

 

「……何で、貴方が知らないのよ。私が知る限りではそんな事ないけども……。でも、彼の発言は、一秒でも早くこのデスゲームから解放されたい人たちにとっては到底受け入れられない物じゃなかったかしら?」

 

「………………」

 

 俺は、ゆっくりと記憶を探り、思い出す。その日の事を。たった一週間前の事だ、忘れる筈がない。寧ろ、こうやって思い出そうと努力する必要だってない筈である。なら、何故時間をかけるのか……。

 簡単だ。ほとんど聞いてなかった。それに尽きる。

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

 7日前。3月6日のボス討伐会議。それは、《血盟騎士団》副団長の《閃光》アスナによる前代未聞の提案から始まった。

 

 曰く、この層のフィールドボスを倒すのは中々に困難だ。

 

 曰く、事実、我々《攻略組》は長期間このフィールドボスに足止めをくらっている。

 

 曰く、フィールドボスをパニの町に引っ張っていき、フィールドボスがNPCを襲っている間に討伐してしまおう。

 

 というものだった(筈だ……あんまり覚えてないけど)。

 

 そこに食ってかかったのが、件の《黒の剣士》様である。

 

 曰く、NPCたちは生きている

 

 曰く、《閃光》様のやり方には従えない

 

 というものだった(………………気がしないこともない)

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

 

 なんとなく、フワッとした記憶だが思い出した(多分)。

 しかし、これは……

 

「……シーナさんは俺のことをかんじがいをしている。俺は別に攻略が多少遅れる程度の事は気にしない。……というか、攻略自体そこまで急いでいる訳ではありませんよ」

 

 ………………………寧ろ、とっとと攻略されたら困る。

 

「……へぇ、そうなの。フィールドボスをやっとこさで倒したー、って喜んでる私たちを尻目に一人迷宮区に向かって行ったっきり今日まで街に帰ってこなかった人が?」

 

 た、確かにぃ!?

 こ、これは否定できない……だとッ

 

「実際の所どうなの?何割くらい攻略したの?お姉さんに教えてみなさいな」

 

「…………もう、攻略自体は済んでる。隠し部屋がある事も考慮しめマッピングは9割五分。……当然、ボス部屋も見つけた。今は、《狩場》を探している所……かな?」

 

「……………………」

 

 深妙な顔になるシーナさん。

 

「ねぇ………本当に大丈夫?身体壊したりしてない?」

 

「………………………別に、大丈夫ですよ。体がどうにかなる前には帰ってきてますから」

 

 う、嘘はついていませんよ。実際、こうやって五体満足で帰ってきていますし。

 

「……………………」

 

 俺は、シーナさんの疑り深い視線を煩わしそうに顔を晒す。

 

「……ま、良いわ。信じてあげる」

 

 俺の真意を見抜くのを諦めたのか、彼女はカラッとした笑顔を作っている。

 

「それでも、気を付けなさいよ。最近は、何かと物騒なんだから」

 

 物騒……?

 

「あの噂の殺人(レッド)ギルドの事ですか?確か、大晦日に小規模のギルドの皆殺しにしたっていう。」

 

 殺人(レッド)ギルド《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》。通称、《ラフコフ》。SAOサービス開始初期から攻略の妨害などの暗躍を行なっており、存在が噂されていた殺人集団。去年の大晦日、2023年12月31日に1つのギルドを皆殺しにし、翌日の2024年1月1日に存在が公表された集団だ。

 

「……大丈夫ですよ。少なくともシーナさんが気にする必要はありませんよ。アレは自分より弱い者を殺して悦に浸るゴミクズ共の集団でしょう。」

 

「ナナ君……?」

 

 急に人の名前を呼んでどうしたんだろうか?

 

「少なくとも、プレイヤーの中で最も高いレベルの俺たちには手を出してきやしません、って話ですよ」

 

 あまり、気分の良い話でも無い。とっととこの話は終わらせようか。

 

「そう……そうなんだけどね……」

 

「………まだ何か?」

 

「ナナ君知らない?実は、噂でもう1つ危なそうな集団があるそうなのよ……」

 

「…………もう1つ……ですか?」

 

 流石に、それは知らないな……。

 

「ナナ君はさーー

 

 彼女は言う。もう1つの殺人を旨とするであろう狂気の集団の名を。

 

 

 ーー《無貌(No Face)》って知ってる?

 

 

 

『お客様、お待たせしました』

 

 NPCの店員が注文したメニューを届ける声をどこか遠くで聞こえた。




今回の登場人物

・ナナシ(Nanashi)……《攻略組》の中で標準的な片手用直剣を扱う。立ち回りも割と基本に忠実。彼が、攻略にストイックなイメージを持たせているのは、彼のスケジュール管理である。

・シーナ(Sina)……魔剣《ラージ・ジョー》という巨大な片刃の両手剣を担ぎ、突っ込むパワーファイター。しかし、スピードもなかなかで「コイツのステータスどうなってんだ」と全攻略組プレイヤーから全力の疑問を持たれている程の常識外の筋力値と敏捷値を兼ね備えている。


☆それはそうと

「身体」とは、物理的な肉体とは別に。精神、心を指すことがあります。
つまり、そういうことです。



〜SAO未読者の為の基本知識③〜
・SAOプレイヤーの代表的な活動パターン

①モンスターが出現せず、他者からのダメージが一切除外された《圏内》に引き篭もり、救助を待つ

②《軍》と呼ばれるSAO内最大勢力に所属し、様々な恩恵と義務を与えられながら生きていく

③プレイヤーを襲う、あるいは殺すことで他人の物を奪って生活する(いわゆるPK,PKer)

④クリアは最終的な目標としているが、その日の生活の為に攻略済みの階層でモンスターを狩り生活している

⑤SAOクリアを目指し、上層へと登っていく者《攻略組(フロントランナー))
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