今回は戸塚と葉山との会話シーンがメインです。
それでは、今回もよろしくお願い致します。
役作りのための彼氏・彼女の関係となってから数日が過ぎた金曜日。今後のことだが、とりあえず明日の土曜日、10時に役作りのためにデートをすることになったのだが...俺には荷が重いのではないのかと後になって思えてきた。何故なら女の子とデートとか、一度たりともしたことないからだ。こんな俺に本当に務まるのか...不安である。
「どうしたもんかな...」
「どうかしたの?八幡」
戸塚が俺の呟きを聞いていたのか、そう問いかける。
「ちょっとな...」
「僕で良ければ相談に乗るよ」
「じゃあ、昼休みの時でいいか?」
「うん!でも、今日は昼練があるから昼練の前ならいいよ」
「わかった」
「それじゃあ、昼休みにね」
そう会話した後、午前の授業をこなし昼休みになった。
場所は変わって、俺のベストプレイスであるテニスコートが見渡せる所にいる。
「はちま〜ん!お待たせ!」
そして、体操服姿の戸塚が俺の所に来る。
「おう」
「それじゃあ、朝の話だけど...八幡、話してくれる?」
「ああ...それはだな...」
俺は戸塚にこの前の事を全て話した。そして、俺はどうすべきなのかを戸塚に相談した。
「そっか...この事は雪ノ下さんや由比ヶ浜さんには相談したの?」
「いや、してない。色々面倒なことになりそうだしな」
由比ヶ浜とかに言うと、もしかしたら葉山グループに口を滑らすこともあるしな。雪ノ下の場合は口は堅いとは思うがこの相談には乗らないだろう。俺同様、知識がないからな。
「それじゃあ、小町ちゃんには話したの?」
「いや、まだだ。家に帰ったら相談しようと思う」
「そうなんだ。僕もそういうデートとかの経験はないけど、普通に買い物とかすればいいんじゃない?デートだったらショッピングとか、一緒に手を繋いたりとかじゃないかな?」
「マジか...」
非リア充には難しい案件だ。葉山がこういうのに慣れていそうだな...葉山は、こういう時...どうするのだろうか。
「役に立ったかな?」
「ああ...十分だ。ありがとな戸塚」
「うん!また何かあったら言ってね。相談に乗るから」
そう言って戸塚は昼練に向かった。さてと、俺がするべきことは決まった。とりあえず...小町には家で話すとして、まずは恋愛に関してのスペシャリストさんにご教授頂こうかな...貸しもあることだしな。
俺は素早く昼食を食べ終え、恋愛のスペシャリストさんがいるであろう教室へと向かった。
案の定、教室に1人でいたので俺は話しかけた。
「葉山、ちょっといいか?」
「珍しいな。比企谷が俺に話しかけてくるなんて...」
「まぁな」
ボッチの俺がリア充のイケメン君に話しかけるなんてものは珍しいものほかない。
「急ぎの話か?」
「ああ、葉山にしか相談できない案件だ」
「じゃあ、屋上にでも場所を変えようか」
「ああ。それよりも三浦達はいいのか?」
「俺の方からLI○Eしておくから大丈夫だ。......じゃあ、屋上に行こうか」
「わかった」
俺と葉山は屋上へと場所を移した。
「相談の内容は?」
「その事だが、他の奴には内緒にしてくれ」
「余程の相談って事か...分かった。他言しない事を約束しよう。話してくれ」
「分かった...」
俺は葉山に戸塚同様、新人女優の子の彼氏役をやることになったこと、役作りのためにデートをすることを説明し、戸塚にもある程度助言を受けたのだが、心配なのでセカンドオピニオンとして葉山(恋愛のスペシャリスト)の意見を聞きたいという旨を伝えた。
「恋愛のスペシャリストは言い過ぎじゃないか?」
「そうか?俺はそんな感じを受けるけどな」
葉山は学校1のモテ男子だからな。高1の時からかなり噂になってたりしてたしな。
「それは置いといて.....だ。俺から言えることも、戸塚君の言う通りでデートとかなら普通に買い物とかすればいいんじゃないか?」
「そうか...」
デートといえば買い物デートってのかお決まりのようだ。俺には分からない世界だ。
「それよりも比企谷があの新人女優の紫之宮さんと知り合いとはね。この前も戸塚君一緒に歩いてる所を見かけたけど、どうやって知り合ったんだい?」
「見られていたのか...まぁ、いい。簡単に説明するとだな...」
簡単に俺と紫之宮の出会いのことを話す。(※詳しくはEpisode1を参照)
「なるほどね...でも比企谷が彼氏役を引き受けるとは意外だな。君ならこういうことには疎いから断ると思ってたんだが」
「俺も最初は断ろうと思ったが、紫之宮に真剣にお願いされてな。だから引き受けた」
「そうか...なら俺も出来る限り協力しよう。比企谷にはチェーンメールや職場体験のこととかで借りもあるしね」
「それは助かる」
葉山の力を借りれるのは大きい。俺はあまり流行とかには詳しくないし。リア充の頂点に君臨する葉山なら百人力だ。
「とりあえず、買い物においてで大事なことを教えようか....」
キーンコーンカーンコーン♪
葉山が何かを言いかけた際に、ちょうどチャイムが校内に鳴り響いていた。
「もう時間か。この話の続きだが、放課後は部活があって話せそうにないから比企谷のLINEとかメールで連絡をとりたいから連絡先を交換しないか?」
「分かった。でも、連絡先交換のやり方が分からんからやり方を教えてくれると助かる」
「分かった」
葉山にやり方を教えてもらいなんとか連絡先交換を終えた。
「それじゃあ、教室に戻ろうか。授業に遅れるからね」
「おう」
俺と葉山は屋上を後にし、教室へと戻った。
そして、午後の授業も消化し放課後。俺はいつも通りに奉仕部の部室にいる。
「」ペラッ...
「」ペラッ...
「」ポチポチ...
いつものように俺と雪ノ下は読書をし、由比ヶ浜は携帯をいじっている。今日も依頼人は来ないみたいだ。
「今日も依頼人が来ないようだから、ここまでにしましょうか」
「うん!」
「そうだな」
「じゃあ...また月曜日ね、ヒッキー!」
「おう」
俺は鍵を返しにいく雪ノ下達と別れて昇降口に向かう。その際に...
『you got mail♪ you got mail♪』
メールの通知音がスマホから流れた。差出人を確認したら葉山からだった。
『昼休みの話の続きだが、デートの際の注意事項としては待ち合わせ場所には30分から1時間前にいた方がいいのと、お金は極力女性には払わせない方がいい。後、女性の服装を褒める事。それと比企谷自身もオシャレな服装をしておいた方がいい。最後に女性に好まれる店もリストアップしておくからまた夜にでも送っておくよ』
内容は昼休みの続きの話だった。非常にありがたい。葉山のアドバイスをしっかりと心に留め、明日に生かそうと思いながら帰路についた。
「ただいま〜」
「おかえりお兄ちゃん!」
「おう。あ、そうだ小町」
「何?」
「相談事があるんだがいいか?」
「お兄ちゃんの頼みならば小町はなんでも力になるよ!あっ!今の小町的にポイント高い!」
「そうだな。それで相談事なんだが...」
小町にも戸塚と葉山に話したことを話す。
「それ本当なの!お兄ちゃん!」
小町は興奮気味になっている。まぁ、それもそうだろう。紫之宮の大ファンみたいだからな。雑誌もよく見てるしな。
「ああ」
「凄いね。そういうことなら小町にお任せ!小町はデートに着る服装を考えればいいんだね!」
「ああ。デートプランとかのアドバイスは葉山とか戸塚に聞いたからな。あと小町」
「なに?」
「この事は他言無用な。雪ノ下や由比ヶ浜にもな」
「分かってるよ。それよりも彼氏役、頑張ってね!お兄ちゃん」(小町に新たなお義姉ちゃん候補が...小町は嬉しい!)
「...おう」
そんな会話をしながら今日の夜は更けていった。
そして、次の日。
「おはよう小町」
「おはよう、お兄ちゃん!服は用意してあるよ」
「ありがとな」
「それと、はいこれ」
「眼鏡?」
「うん。伊達メガネだよ。これを掛ければ目の腐り具合も和らいで完璧だよ」
「そうか。ありがとな小町」ナデナデ
「えへへ...」
「ご飯食ったら着替えて行くわ」
「うん!頑張ってね」
そして俺は朝食を摂り、小町の用意した服に着替えて家を出て待ち合わせ場所である時計塔に向かった。
「やっぱりいないわな」
時刻は午前8時45分。待ち合わせの75分の前だから当然か。それよりも...
「あの人、カッコよくない?」ヒソヒソ
「声かける?」ヒソヒソ
「でも、待ち合わせとかしてるんじゃないの?」ヒソヒソ
「だよね?」ヒソヒソ
周りからの視線が痛いな。俺なんかしたか?そんな事を考えていると...
「ひ、比企谷くんだよね?」
紫之宮がこちらにやってきた。
「なんで疑問形?」
「比企谷くんかどうか分からなくて 」
「そうか」
「それと今日は眼鏡掛けてるんだね」
「妹につけるように言われたから、掛けてるだけだ。変か?」
「変じゃないよ!似合ってるよ」(眼鏡掛けてる比企谷くん。すごくカッコいいなぁ...)
「そうか?紫之宮もその服、似合ってるぞ」
葉山に言われた通り、服装を褒める。これだけでも女性は嬉しいらしい。葉山の助言は為になるな。
「そうかな?ありがとう」
「それよりも紫之宮は来るの早いな。まだ1時間前だぞ?」
今の時間は朝の9時。待ち合わせ時間の1時間前である。
「それを言うなら比企谷くんもでしょ?」
「まぁな。待ち合わせに遅れるよりはマシかと思ってな。それに大事な約束に遅れたら紫之宮に申し訳ないだろ」
「...ありがとう」(やっぱり優しいなぁ...比企谷くん)
「それで今日はどうするんだ?」
「その事なんだけどね。お願いがあるの」
「お願いって何だ?」
「これなんだけど...」
「原作本か?」
「うん。でも...ドラマの時は色々、原作改変するみたいなんだけど、原作にあるデートシーンを元に今日のデートをしようかなって。これが私からのお願い」
葉山には申し訳ないが葉山のプランは必要ないかもしれない。まぁ、時間が余ったら葉山のプランを採用という形にしようかね。
「そうか。いいんじゃないか?原作本見せてもらっていいか?」
「うん」
そう言って、俺は原作本を受け取り本を開く。
「やばいな」
何がやばいのかというと原作本にはビッシリと書き込みがある。もの凄い熱意が感じられる。これは俺も心してかかった方がいいな。
「それで、最初は何をするんだ?」
「最初は待ち合わせ場所でかえでが、花岡さんに抱きつくシーンからね。比企谷くんはそこに立ってて」
「は?」
えっ...抱きつく?
「あっ!先輩!来てくれたんですね!嬉しい!」ギュッ
紫之宮はかえで役になりきり、今日限りで俺が務める花岡さん役に向かって抱きつく。
「うっ....」
俺は突然のことで固まってしまう。ヤバイな。主に俺の理性とか。抱きつくにあたり紫之宮の胸が俺の身体に当たって、役どころではない。心臓がバクバクして寿命が縮まる思いだ。
「......はい。このシーンはこれぐらいでいいかな」(き、緊張した)
紫之宮の方も俺の状態を理解したようで離れた。
「なぁ、この後もこんな感じてやってくのか?」
「そうなるかな?」
マジか。そうなると俺のHPはゴリゴリに削られるだけなんだが...
「ちなみに紫之宮はどんな役柄なんだ?」
「好きな人を射止めるために身体張って頑張る、恋愛に積極的な女の子の役だよ」
「マジでか?」
「うん...やれそうかな?」
これはかなりの覚悟が必要となるが、その覚悟はあの彼氏役を引き受けた時にしているので俺は...
「大丈夫だ」
そう紫之宮に言った。
「そっか。それじゃあ、次の場所に行こ?比企谷くん」
「ああ...分かった」
俺と紫之宮はそう言って、次の場所に向かうのだった。
...続く
ここまで読んでくれた方々ありがとうございます。
それでは、次回もよろしくお願い致します。
ヒロインは誰がいいですか?
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