南方海域 深層部
「着いたね。じゃあみんな一回集まろう」
艦隊は時刻通り 南方海域の深層部へと到着した
メンバーは今回の作戦を見直し 目的について話し合うことにした
「ねぇ提督、いつまでこの作戦は続くの?」
「……本当かどうかはわからないけど、この島に何かわかるかも」
「あと一つ残っている島か、提督」
清霜が地図に指を指した島 それがここの海域で見る最後の島だった
「まだ先の島かぁ。何も起こらないと良いけど」
「そう言うと起こっちゃうんだよ、蒼龍」
「……」
「どうしたのよ、リシュリュー。まさか怖気付いたのかしら?」
「……さぁね」
「よし、じゃあみんな行こっか」
清霜の合図で艦隊はまた海上を走り始めた
残りの島を探索すれば終わる 誰もがそう思った
鎮守府 執務室
「しれーも古鷹もいないと静かだし、ひまひまー」
「じゃあ、衣笠さんと書類整理でもする?」
古鷹と提督がいないとなった執務室では いつものように時津風が居座り 代理として衣笠が執務をこなしていた
「えー、さっきやったばっかりじゃん」
「それはまだ一部だよ。ほら、次はこれね!」
時津風がしぶしぶと書類に手をかけようとした時 ノックの音が聞こえた
「はーい、どうぞ」
「あ、今大丈夫ですか……?」
入ってきたのは工廠担当の明石だった その手には報告書らしきものがあった
「明石さんいらっしゃーい。その手に持っているのは?」
「そうなんです。アレについて報告しに来たんです」
南方海域 深層部
「見えた!あの島で最後だね」
「よし、みんな急ごう」
島を見つけた瞬間 清霜は一人その島へと向かった
「待て提督!一人では危険だ!」
長門に続き 他の艦娘も追いかけようとした瞬間 後ろから砲撃が艦隊を襲った
「後ろから砲撃!?……やばい!深海棲艦だ!」
「もう!どうしてこうなるの?!私達も提督を追いかけて合流するしか――」
「……その必要はないわね」
リシュリューが諦めた顔をして指をさすと 目の前にもいつの間にか深海棲艦の群が来ていた
姫級クラスの深海棲艦も来ており まさに危機という状況であった
「くっ……!提督はどうしてる?!早く倒して合流するぞ!」
その頃 清霜も同じように深海棲艦に囲まれていた
こちらは姫級クラスはいないものの ヲ級やリ級 そしてレ級などで編成されていた
「ンン?艦娘、オマエ一人ダケカ?」
(……大丈夫、私は強くなってる。こんな奴らなんか一瞬でやっつけちゃうんだから)
(夢で貰った……。この力さえあれば……)
「オイ、何黙ってルンダヨ?ビビッテンノカ?」
挑発するレ級に対し 清霜は冷静に返した
「……あなたなんか一瞬でやっつけちゃうよ。逃げるなら今のうちじゃない?」
「……上等ジャネェカ。殺シテヤルヨ」
南方海域 深層部 長門サイド
「駄目!何度も沈めても次から次へとくるよ!」
「くそっ……。ここで姫級とは厄介だな!」
「長門!こっちはあらかた片付いたわ!」
「ビスマルク!そうか!こっちの姫級が手強い!協力してくれ!」
「ええ!リシュリュー!早く行くわよ!」
「……そうね」
ビスマルクの声に リシュリューも冷静に返した
「……どうしたのよ、何か策でもあるの?」
「どうかしら、今はこの戦況にどう耐えるか。って考えてただけ。いくわよ」
リシュリューの発言に 首を傾げながらも共に移動をした
南方海域 深層部 清霜サイド
「はぁあああああ!」
提督兼航空戦艦の清霜も凄まじい力を発揮し 次々と深海棲艦を倒していった
しかし数も多く 強敵でもあるレ級とも苦戦を強いられていた
「オオ、ナカナカ強ェジャンカ」
「まだまだ、かかってきてよ!怖気づいたの?」
「言ウネェ……ヤッテヤルヨ!」
(何回か砲撃を受けたけど……これくらい痛くも痒くもないんだから!)
(……コイツ、マダ動ケルノカ)
(アレダケ砲撃ヲ受ケテ、傷ダラケノハズナノニ……アイツノ体ハドウナッテヤガル?)
(……コウナリャトコトンヤルシカナイナ)
南方海域 深層部 長門サイド
長門達は 引き続き深海棲艦の殲滅に励んでいた
ツ級やネ級などは撃沈に成功したが 残る姫級の戦艦棲姫や空母棲姫といったクラスがまだ残っており
また苦戦を強いられていた
「ぐっ……流石は姫級といったところか……」
「ごめん長門さん……やられちゃった……」
「飛龍!……ビスマルク、飛龍を守っていてくれ。私一人で片付ける」
「何言ってるのよ!あなた一人じゃ無謀よ!」
「そうね、あなた一人じゃ駄目よ。このリシュリューにも頼りなさい」
「それと――」
このリシュリューの発言のあとに 遠くから砲撃の音がした
砲撃は複数の深海棲艦に命中することに成功した
「砲撃?!どこから?!」
「……ようやく来たみたいね」
「支援艦隊旗艦古鷹、援護に来ました!」
「古鷹?!何故ここに……?!」
「すみません、実は提督に内緒で支援艦隊の参加を進めていたんです」
「それを発案したのが私よ」
「リシュリューが……じゃあ早く言いなさいよ!」
「それはそうと、提督はどこでしょうか?」
「古鷹……私達は一人で走った提督を追いかけようとした時、深海棲艦と遭遇してしまいそこではぐれてしまった」
「この先にいるんだが……」
この言葉を聞いて支援艦隊に来た一人の艦娘が真っ先に走り出した
「お、おい待て!一人では危険だ――」
「追いかけないと……その前に先にここにいる深海棲艦を倒してしまったほうが良いわね」
「そうですね、皆さん。ここを切り抜けて、提督と合流しましょう」
「そうだな。行くぞ!」
鎮守府 港
「……」
「こンなとこにいたのか」
「……江風、どうしたの?」
港で水平線を眺めていた時雨の隣に江風は座った
「任せて良いのか?あいつに」
「あんな必死な顔でお願いされたらね」
「そンなに必死だったのか……」
「にしても時雨の姉貴、良かったのか?提督のこと心配なんだろ?」
「まぁね。でも大丈夫だよ、磯風もいるし」
「その前に提督が無事で合流できてたらいいなぁ」
「……」
南方海域深層部 清霜サイド
「まだ行ける!まだまだ!」
長時間 一人で戦闘を続けた清霜はまだ戦い続けていた
しかし本人は感じてはいないが 外傷が多くなり 出血も多量に出ており
誰がどう見ても危険な状態に近い状態だった
(コイツ……一体ドウナッテヤガル……?アンナ状態ジャ倒レテモオカシクハナイハズ……)
(ワケワカンネェ……コノ艦娘ッテヤツハ……スコシハナレテ様子見デモ――)
レ級が撤退を考え込んだその時 清霜はすぐに近づき レ級に砲塔が向けられた
「……これで終わりだね」
「コイツ……イツノマニ!?」
「これで私の勝ち、さようなら。これ以上邪魔を――」
その時 清霜に体から力が抜けたかのような感覚に襲われた
(あれ……何で……どうして?)
(痛みも……疲れもないのに……)
自分の体を見てみると 血で真っ赤に染まった両手 体の多数からの出血
これだけあって平然といられるのは無理だと言われてもおかしくないくらいの状態だった
(嘘……!?私……動けないの……?)
(そんなはずない!立って!私は強くなったんだよ!動いてよ!私の体!)
「……?」
海上に膝を着いてしまった清霜 力も入らず 意識も朦朧とし始めた
(目の前が……霞んで見えちゃう……)
「……ドウヤラオマエノ体モ限界ッテコトダナ」
「ジャアコレデ オ別レだな」
レ級の砲塔が至近距離で清霜に向けられた
(せっかくここまで来たのに……こんなところで……あと少しなのに……)
目の前が真っ暗になり 気を失ってしまった
―――――
あれからどうなったのだろう 私 撃たれちゃったのかな 撃沈して海の底にいるのかな
そっと目を開けてみると 空が見えていた
「……まだ沈んでなかったんだ。それじゃ……あの後どうなったの?」
力を振り絞って体をゆっくりと立ちあげると
目の前には夕雲型駆逐艦 朝霜が力尽きて倒れていた
「そんな……どうして朝霜ちゃんがここに!?」
「クソガ……!コレデオ終イニシテヤルヨ!」
「そうはさせん!」
掛け声とともに砲撃がレ級に命中した
「ガッ……!仲間ガイタノカヨ!クソッ……ココハ逃ゲルシカネェカ!」
レ級が戦線から離脱すると 残った深海棲艦も続いて離脱した
「どうする?このまま追撃するか?」
「待ってください、今は提督と朝霜さんの救助が有線です」
「古鷹さん……どうしてここに?」
古鷹は事情を説明した
リシュリューが支援を要請して 清霜率いる艦隊の援護に入ること
朝霜が必死にお願いして 時雨と変わったこと
そして最後に 重要なことも聞かされた
この南方海域深層部で見つけた主砲等の艤装は大和型の物ではないことも