欲望の代償   作:NAKYU

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戦艦になった清霜は戸惑いもありながらも演習や訓練、出撃をこなし普通に生活を送っていた

朝霜も夕雲型の一員として何か手助けしてやりたい 戦艦になっても清霜は清霜

その思いを胸に残し 彼女も吹っ切れた様子で過ごすようになった



7話 記憶

戦艦となり、数ヶ月が経った今、清霜は戦場で活躍した。

 

敵艦隊の撃破数も徐々に伸びていき、鎮守府内でもトップクラスの成果を挙げるまでと成長した

 

更に変わったことといえば、清霜は夕雲型の部屋から出ていき、戦艦寮に部屋を持つようになった

 

姉妹たちは戦艦の人達がいるから大丈夫だろうと思うこともあったが 心配する姉妹もおり、順番で世話をする姉妹もいたとか

 

生活面でも戦艦の艦娘と過ごすようになり、離れて過ごすことも多くなった

 

――鎮守府 食堂

 

「清ちん、今日も戦艦の人と一緒だね」

 

「いつも楽しそうに喋ってますね」

 

遠目で戦艦グループの輪の中で楽しそうに話している清霜を見ることも当たり前のようになった

 

「ほら、よそ見してないで早く食べなさい。遠征に行く娘もいるんでしょ」

 

「そうだった!アタイ、今日は遠征グループだった!」

 

言われて気づいた朝霜はせっせと白飯と惣菜をかきこみ 飲み物を一気飲みした

 

「かーっ!美味い!」

 

「ちょっとやめてよ、行儀悪いじゃん」

 

「悪ぃ悪ぃ!じゃあな!」

 

朝食をいち早く食べ終えた朝霜は 颯爽と食堂を出ていった

 

「あ!おい!まだ遠征の時間じゃね―だろ!……ったく」

 

「ふふっ、いつもの朝霜に戻ってよかったわ」

 

 

 

「なぁ、あいつどうしたンだ?」

 

「前とは違って、元気になってるけど」

 

食堂から出ていった彼女を見た時雨と江風が夕雲に問いかけた

 

「何でも?いつもの朝霜に戻っただけよ」

 

「でも前までは深刻だったぞあいつ、考え事もしてたし」

 

「ま、いいじゃねーか。それよりもあたしたちも早く飯食おーぜ!」

 

長波の一声で食事を再開し 二人は不思議そうな顔で見合わせながらその場を去った

 

朝食後 清霜を含む西方海域に出撃するメンバーが集められ 作戦内容の確認を行った

 

メンバーは作戦の内容をしっかりと把握し 清霜も何度も確認を行った

 

ミーティングが終わり 出撃する時間もまだ先ということで清霜はあるところへと向かった

 

鎮守府 岬

 

「よいしょっと……本日も晴天なりっと」

 

この海が見える丘は 清霜にとっての思い出深い場所である

 

落ち込んだときや嬉しかったことがあったとき そうでもないときでもここに来ることが多かった

 

その場所には戦艦武蔵がいつも座っていることもあり 度々訪れては相談や話し相手として来ている

 

「武蔵さん……私、戦艦になってから日が経ってすっごく強くなったよ」

 

「これでね、みんなを護ってあげるんだ。すごいでしょ」

 

「だから……早く帰ってきてね」

 

 

「あ!いたいた!清霜!そろそろ出撃の時間だぜ!」

 

しばらくすると 長波が駆けつけてきた

 

どうやら清霜を探していたらしい

 

「お前またここにいたのか、好きなのか?」

 

「うん、私の憧れの人がよくここで座ってたんだ」

 

「それでね仲良くお話したり相談に乗ってもらったりしてた」

 

「……とってもとても優しかった」

 

清霜が俯くと 長波はそっと肩に手を置いた

 

「きっと会えるさ、その時になったらあっと驚かせてやれよ」

 

「……うん!」

 

清霜は笑顔を見せ 長波とともに鎮守府へと戻った

 

 

 

西方海域 海上

 

海上の上を6人の艦娘が走っている

 

戦艦清霜を中心とした空母飛龍 蒼龍 重巡プリンツオイゲン 軽巡ゴトランド 駆逐艦時雨

 

この6人が西方海域の作戦遂行メンバーとして出撃していた

 

「静かだねぇ」

 

「たまにはこういうのも良いかもね」

 

 

 

「よーし……どっからでもかかってこい!」

 

「清霜、張り切ってるね」

 

「時雨ちゃん!あったりまえだよ!いつ敵が出てきてもおかしくないからね!」

 

のんびりしている空母二人に対して 清霜はシャドーボクシングをして気合を入れていた

 

その後ろで深く観察しているプリンツの姿もあった

 

「……」

 

「どうしたの、そんなに観察して」

 

「ビスマルク姉さまからお願いされたんだ、清霜の成長の秘訣を探ってきてねって……」

 

「ここでするものじゃないと思うけど……」

 

移動していく中 発艦していた艦載機が戻り 飛龍に報告をした

 

「……この先に深海棲艦がいるって!」

 

「そうこなくっちゃ!みんな準備して!」

 

この後に複数深海棲艦と会合し 戦闘を行った

 

度重なる砲撃の末 複数の艦娘にも被害が及んだが 最小限に留め勝利した

 

疲労のことも考慮し 近くの岩場で休憩を取ることにした

 

「まさか連戦になるとはねぇ」

 

「平和に行けると思ったんだけどなぁ……そうは行かないかぁ」

 

「ふぅ……」

 

「清霜、大丈夫かい?」

 

張り切りすぎたせいか 清霜はいつものように疲弊しきっていた

 

戦艦のため 多少な傷はあるものの まだ動ける状態ではあった

 

「えへへ……なんとかね」

 

「でもあれだけ動けるってすごいよね。流石ビスマルク姉さまのライバル!」

 

「どうする?キヨシーを守るように陣形変えてみる?」

 

「あっ大丈夫!まだまだいけるよ!後もうちょっとだよね!みんながんばろー!」

 

清霜の掛け声で全員も元気を取り戻し 再び移動を始めようとした――

 

「……え?」

 

その瞬間 清霜の頭の中にある出来事が思い浮かんだ

 

数ヶ月前 南方海域

 

――清霜!無事か?!

 

――う、うん!まだ大丈夫!

 

――無理はするな!危なくなったら私の後ろに隠れろ!

 

 

西方海域

 

「……」

 

「清霜、どうしたの?」

 

「あっ!ううん!何でもないよ!」

 

(今のって……武蔵さん……だよね)

 

(たしかあの時って南方海域に一緒に出撃してて……)

 

(もしかして……武蔵さんが消えたヒントとかありそうかも……!)

 

悩んでる清霜を5人が心配そうに見つめ 時雨はもう一度問いかけた

 

「疲労が溜まってるのならもう少し休憩したほうがいいじゃないかな?」

 

「ごめんね、心配させて。さ!改めていっきましょー!」

 

 

鎮守府 執務室

 

「……」

 

一方の執務室では提督が不安げな顔を浮かべながら心配をしていた

 

「提督、大丈夫ですよ。時雨さんや飛龍さんたちが居ますし……」

 

「いやでも……長門たちと離れて出撃だよ?心配だよ……」

 

今回が初めて清霜と付添しない出撃だった

 

今までは榛名か長門 どちらかが清霜と出撃するようにしており

 

練度も十分ということで試しにしてみようとなった流れで編成を組んだ

 

その時 扉が開き 出撃艦隊が帰投した

 

「司令官!ただいま!」

 

「お疲れ様、みんな無事かな?」

 

「うん、ちょっと中破した人もいるけど……作戦は成功したよ!」

 

「そっか!それは良かった!やっぱり清霜は頼りになるね!」

 

「もっと褒めて良いんだよ!」

 

(さっきまで心配していたんですけどね……)

 

「それとね司令官、少し話がしたいんだ」

 

「話?いいけど……」

 

話をしたい そう言うと清霜を除く他のメンバーは入渠や部屋に戻ろうと執務室から出た

 

執務室には提督 秘書艦の古鷹 そして清霜の3人となった

 

「それで、話って何かな?」

 

「えっとね司令官」

 

 

「南方海域に行ってみたいんだ」

 

(もしかしたら……武蔵さんが消えた理由もわかるはず……まずは司令官にお願いしてみなきゃ!)

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