欲望の代償   作:NAKYU

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9話 疑惑

南方海域前面

 

出撃メンバー

 

清霜

衣笠

加古

天龍

瑞鳳

江風

 

南方海域へと出撃を初めた清霜率いる艦隊は海上を走っていた

 

清霜を先頭に 保護役として衣笠が監視をしていた

 

「ふわぁ……衣笠ずっと清霜の後ろにいるよね」

 

「まぁな、提督が保護役として任命したんだし。仕方ねぇだろ」

 

「みんな!この清霜に付いてきてね!」

 

「しっかし何だって急に南方海域に出撃するってなったんだ?西方海域の作戦、まだ残ってるんでしょ?」

 

「それはわからねぇけど……何かあるんだろ」

 

「それよりも、早くしないと清霜に置いてかれるっすよ」

 

「へーい」

 

江風の声により天龍と加古は清霜の後を追った

 

進撃していく艦隊は深海棲艦と戦闘をいくつも開始し見事に敵主力艦隊を撃沈することができた

 

「あーやっと終わった……帰ったら寝たいねぇ」

 

「あ!ごめん!後ちょっとだけみんなで探索してみない?」

 

「なンでだよ?もう主力艦隊は撃破しただろ?」

 

「何かあるの?」

 

「ほ、ほら!敵の残党がまだ残ってたりしてるかも知れないし!」

 

「どうするんだ?衣笠」

 

「提督も言ってたし……ちょっとだけしよっか!ただし、日没になる前に帰還ね」

 

「ありがとう!それじゃいってみよー!」

 

清霜の掛け声で探索を開始することになった

 

衣笠は引き続き 清霜の監視を続け 瑞鳳は艦載機で周囲の敵を索敵 江風は清霜と共に進んだ

 

残りの天龍と加古もしぶしぶと手伝うことにした

 

数時間後...

 

「そろそろ日没だよ、鎮守府に戻るよ」

 

(何もなかったかぁ……ここじゃないのかな?)

 

「だめだ……マジで眠い……布団がほしい……」

 

「深海棲艦との戦闘はあったし、疲れたぜ……」

 

「資源も見つけたしね」

 

探索を終えた艦隊は 少しの資源も手に入れることができたが疲弊しきっていた

 

日没となる前に 艦隊は鎮守府へと帰還することにした

 

鎮守府 執務室

 

「そこの海域に資源があったから取ってきたんだね」

 

「とはいっても少しだけどな」

 

執務室に戻った艦隊は出撃した海域であったことを提督に話した

 

主力艦隊の撃破 資源の獲得 そして清霜の行動について全て話した

 

「にしてもよぉ いきなり探索しようよって言われてびっくりしたぜ」

 

「それで清霜はどうだった?」

 

「艦載機も飛ばせて航空攻撃もできて、とっても頼りになるね!」

 

「た、頼りに……えへへ」

 

「顔とろけてンぞー清霜」

 

「けどねぇ、いきなり探索しようっていうのもどうかと思ったよ……」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「また明日、もう一度南方海域前面に出撃してみようか。それで何もなければ次の海域に進もう。今日はこれで解散」

 

 

鎮守府 廊下

 

「江風ちゃん!江風ちゃん!頼りになるだって!」

 

「それ何回も聞いたって、喜びすぎだろ」

 

先程の言葉で嬉しさが溢れんばかりに出ている清霜と呆れている江風が歩いていた

 

清霜は嬉しさを表すかのようなスキップでトーントーンと歩き

 

逆の江風は疲れた様子で歩いていた

 

「お前、そんなにはしゃいでたら余計に疲れるぞ」

 

「そんなことないもーん、戦艦だし」

 

「へいへい……ところでさ、駆逐艦のみんなで飯食いに行くンだけどお前も来るか?」

 

「あ、ごめん!その後ね、長門さん達とご飯食べる約束をしてるんだ!」

 

「あー、なら駄目か。じゃあな!」

 

「うん!またね!」

 

鎮守府 食堂

 

「あ!江風!おかえりっぽい!」

 

「おーただいまー。あー疲れた……」

 

江風が席に座ると 目の前にあった水を一気に飲み干し 一息ついた

 

「江風、疲れてない?大丈夫?」

 

「大丈夫だって海風の姉貴、ちょっと清霜に付きあわされてただけだ」

 

「付き合わされてたって?」

 

「出撃した海域で頼りになるって褒められたんだと、それが嬉しかったらしい」

 

「初めて言われたんだっけ?」

 

「恐らくな、今までの清霜は危なっかしいところとかあったけど……」

 

「あ、清霜ちゃんっぽい!」

 

夕立の目線の先には戦艦勢とともに食堂に来た清霜の姿だった

 

「清霜も立派な戦艦だね」

 

「けどあの娘、英語とか話せるの?」

 

「海外の言葉なンて、ハローとグッバイだけでいいだろ」

 

「フランスの人とかロシアの人とかどうするっぽい?」

 

「ンなもん一緒だろ!」

 

 

「江風、少しいいか?」

 

白露型が話をしてる最中に 陽炎型の磯風が横に入ってきた

 

「磯風じゃね―か、どうした?」

 

「いや……前まで西方海域で作戦をこなしてる最中に司令が急に南方海域に出撃すると言ったことでな」

 

「あー、清霜が提案したんだろ?南方海域に出撃したいって」

 

「なにか理由でもあるのか?」

 

「腕試しとか言ってたみたいだぜ?」

 

「そうか……それだけならいいが」

 

「どうも清霜に考えがあるとしか考えられん、腕試しとはいえ十分な練度はあるはずだ」

 

「たしかにそうだけど……今は提督の指示通り、南方海域の作戦遂行に励むしかないよ」

 

「……そうだな。すまない、飯の途中で邪魔をして。ではこれで失礼する」

 

磯風がその場から立ち去ると 白露型は話を再開し始めた

 

「清霜の考え……ねぇ」

 

「明日は夕立が清霜ちゃんと一緒に出撃だから聞いてくるっぽい!」

 

「夕立の姉貴が?大丈夫かよ……」

 

「江風、今日はお疲れ様だよ!明日は夕立、頑張ってね!」

 

「ぽーい!」

 

 

翌日

 

南方海域前面にもう一度同じメンバーで出撃したものの特に何も見当たらず

 

その海域での出撃は終了となり 艦隊はさらなる次の海域へと足を運ぶことにした

 

珊瑚諸島沖

 

出撃メンバー

清霜

夕立

プリンツオイゲン

龍鳳

翔鶴

瑞鶴

 

「今日もがんばっていこー!」

 

「おー!」

 

「ぽーい!」

 

清霜の掛け声と同時に夕立とプリンツが声を上げた

 

一方で空母龍鳳、翔鶴、瑞鶴の三人は艦載機を飛ばしながら海上を進んでいた

 

「今日も元気ね」

 

「そうね、元気なことはいいことじゃない」

 

「あの……敵艦隊を発見しましたので戦闘準備をお願いします」

 

「あ、うん。任せて!龍鳳さん!」

 

―――――

 

「ふぅ……疲れた」

 

「流石にここまで来ると敵の攻撃も激しいね」

 

「でもあと一息っぽい!」

 

「あんた達二人は砲撃受けてるんだし、あまり無茶しないでよね」

 

瑞鶴の言う通り 清霜と夕立は敵艦隊から砲撃を受け 艤装にもダメージが入っていた

 

「大丈夫!戦艦は簡単に沈まないよ!」

 

「とは言っても、さっきから清霜さん一人で突撃しすぎです。少しは自重して下さい」

 

「龍鳳さん……ごめんなさい」

 

「まぁまぁ!"終わりよければ全てよし"って言うし!またがんばっていきましょー!」

 

プリンツの掛け声と共に艦隊は再び進撃を再開した

 

敵主力艦隊と交戦し なんとか撃破に成功した

 

艦隊一同は島に上陸し 探索を行ったが 特に何も見つからず 鎮守府に帰還した

 

その後、提督に成果を報告 中破した清霜と夕立は共に入渠することとなった

 

鎮守府 入渠 脱衣所

 

「んん……今日も疲れた」

 

「疲れったぽーい……ところで一つ聞いてもいい?」

 

「どうしたの?」

 

「提督さんが西方海域から南方海域に出撃指令を出したのって清霜ちゃんがお願いしたから?」

 

「え?う、うん……そうだけど」

 

「それはどうして?」

 

「え、えーと……ほ、ほら!戦艦の腕試しってことで!」

 

突然の質問に清霜は焦って答えたが 夕立は更に質問してきた

 

「でも、清霜ちゃん。練度も十分だし試すこともないんじゃないの?」

 

「あ……そ、それは……」

 

何も言い返せなくなった清霜はただ黙るだけだった

 

「言えない理由があるっぽい?それなら夕立も深くは問い詰めないよ」

 

「うん、ごめんね……」

 

「気にすることないっぽい!それよりも清霜ちゃん本当に頼りになるっぽーい!」

 

「そ、そう?えへへ……ありがとう!」

 

夕立の言葉を聞き 清霜は嬉しさと同時に希望を持つようになった

 

(まだ手がかりは見つからないけど……きっと見つかるはずだよね!)

 

 

夕方 鎮守府 某所

 

「清霜が南方海域に出撃したい理由?」

 

とある駆逐艦が長波と話していた 清霜が何故提督にお願いしてまでそこへ出撃したいと言うのか

 

「うーん……わかんねぇなぁ。私も急に知ったことだし……」

 

「あ、でも。"誰かを探してる"っていうのは前から言ってたな」

 

「………」

 

「まぁそれが理由になるかどうかわからないけど……一応推測ってことでな」

 

 

 

「"人探し"……か」

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