突然で悪いが、転生って信じるか?よく二次創作やラノベでありがちなヤツだ。トラックやらなんやで死んだ奴らを異世界に転生させる、あれだ。
なんで急にこんなことを、と思うかもしれないが簡単な話
「俺が転生したからなんだよな」
俺は前世では、凡人だった。何をしても途中で投げ出してしまう。勉強もそうだし、習い事だって……。
やる気はあったよ、どんなことだって努力した。
でも、やってる途中で気付くんだ。いつも、何も努力していない人間が努力している俺より上にいる。
努力が足りないのかもしれない……そう思って諦めずにやった。でも、無駄だった。誰だって努力する。才能のない奴も才能のある奴も、天才と呼ばれる奴も……。
でも、才能があると言われた……いや、当時は天才とまで言われていた、それがソフトボールだった。
なんで野球じゃないかというと小学校のクラブでは野球はなく、ソフトボールだったから、ただそれだけだ。当時の俺は、なぜかソフトボールが輝いて見えた。サッカーでもなくバスケでもない。もしかしたら兄貴がやっていたからだったのかもしれない。
ここまで長々と話してしまったがもう少し付き合って欲しい。
小1でソフトボール部に入部した。人数が多く、二軍からのスタートだった。二軍の練習はランニングから始まる。グラウンドを十周、約4キロ。たかが4キロだと思うかもしれないが小1に毎日4キロはキツすぎる。最初の頃は泣きながら走った、目を真っ赤に腫らしながら。走り終わればキャッチボールをして終わり。それを1年間、只々繰り返した。
2年になり、根性だけは認められて1軍入り。正直ビックリした、まだ上がっていいレベルに達していないのに。
1軍の練習は二軍とは比べ物にならない程、キツくて辛いものだったが二軍よりずっと楽しく、輝いて見えた。試合には出られなかったが、それでも良かったが、2年の冬になると俺はスタメンになっていた。
8番ライト、嬉しかった。努力を認めてもらえたようですごく泣きそうになったのを未だに覚えている。
この頃から周りからは『才能』の塊だと言われていたそうだ。
3年になってもスタメンは譲らなかった。体格差があるから努力して補った。負けたくなかったから。
4年になり、6番セカンドになった。また、嬉しかった。努力が実った気がして。それでも体格差や『天才』には負けるかもしれない、そう考えると居ても立っても居られなくなった。色々なポジションを守れるように頑張った。ピッチャー以外は出来るようになった……いや、なってしまった。
この頃には既に『天才』だと言われ始めていたようだ。中学生に上がった兄貴は野球を辞めた…。あまり話さなくなった。それでも努力は辞めなかった。
小5になり、変わらずスタメンだった。苦手だったバッティングも克服した。守備も職人のようだと言われた。肩も強く、まるでレーザーのようだと言われた。まだ、俺は満足していなかった。チームメイトが俺と張り合おうとしていた、俺は嬉しかった、ライバルが出来たようで。
だが、監督やコーチは
「アイツの様な選手はこの地方、いや日本にほぼいない。お前達と『天才』は違うんだ。だから、諦めろ……それがお前達の為になる」
その言葉が悔しかった、いままでの努力を『天才』という単語で片付けられるのは……だからまた、努力をした。しかし、努力をすればするほど周りは変な目で見てくる。まるで「なんで努力するんだ?」と言わんばかりに。……ナンデだよ
6年になった。キャプテンになれと言われたが断った。もう、ソフトボールは輝いて見えなかった。でも、努力は続けた。チームメイトからは距離を置かれ始めた。活躍すればするほど………ナンデ?
兄貴は逃げる様に県外の高校に行った………。
地元の高校の監督にスカウトされた。甲子園に出るような名門校だったが断った。もう、続けたいとは思えなくなったから……。大会で優勝すると必ず
「『天才』がいるから当たり前だよなぁ」
そう言われた。悔しかった、悲しかった。誰も努力を見てくれない、認めてくれなくなっていた。そして卒業と共にクラブも引退。
そして俺は……才能がなくなった。努力も出来なくなった、いや続けれなくなった。
何となく中学生活を送り、何となく高校生活も終わった。何となく生きていたら24歳で、事故死。ただ何となく道端でバンドリ!をしてたら車に轢かれた。
神様に会い、「せめて生きた証をみつけなさい」と言われ、何となく転生した。
でも、今は違うんだ。色んな事をして楽しみたいと思った。せっかくもらえた人生、無駄にはしたくないから……。だからまずは
「この世界は何の原作なんだよ……」
転生先の世界を調べる事だった。
ど、どうでしたか?(ど緊張)
次の話からはコメディ感がでてくると(いいなぁ)思います。ありがとうございました。