メンタルモデルになってネギ魔の世界に転生するお話 作:照明弾P@ハーメルン
今回の話は色々言われるでしょうが…まぁこういった方向で進んでいきます。
徐々に短くなってきていますがご勘弁ください。
前回のあらすじ! エヴァと顔あわせがしたいので、学園長にお願いしてエヴァと会うことが出来た私は、学園長の余計な一言によって彼女と別荘で戦う羽目に! お互いに本気で戦い、辛くも勝利する事が出来た私は、彼女とお話をして、此方の情報をある程度渡す事でそれなりの友好を深める事が出来たのだった! その後は、私としても確認しておきたかった侵食魚雷や超重力砲の試射をエヴァに披露しながら確認し、エヴァと有意義な時間を過ごすのだった! そして今は、島に戻って茶々丸の後に着いて行き、修復された別荘へ案内されるのだった!
以上でこれまでのあらすじお終い!
そんな訳で別荘まで連れてこられた私だが、目の前には如何にも大富豪が持っていそうなリゾート地によくある白木の別荘があった。別荘での感想は私の語彙力ではなんとも言い表せないが、とにかく凄かった。もしかすると、何百年も生きている長寿種ってのは資産運用が途轍もなく上手くなるものなのかと考えてしまうぐらいに凄かった。
別荘の中に入った私とエヴァは、大部屋に備えられたテーブルに座ると、別荘に入った所で別れた茶々丸が手にワインとワイングラスを持って来た。私とエヴァの前にワイングラスを置くと、茶々丸はそこにワインを注いでいく。どうやら赤ワインのようだ。
「これからお食事をご用意致します。マスターとキリシマさんは暫しごゆっくりなさっていて下さい」
そういって茶々丸は私とエヴァに頭を下げると、部屋を退出した。
「さて、明日の朝まで此処にいる事になるんだ。艦内でもてなされたし、今度は此方がもてなす番だ。好きに飲め」
「そうさせて貰うよ。……美味いな」
エヴァの言葉に素直に頷きながら、注がれたワインを飲む。うっわ。めっちゃ美味い。前世ではあんまりワインとか飲まなかったけど、それでもこのワインが美味い事だけは明確である。私はワインに対しての知識が全くもって知らないので変な事はいえないが、恐らくかなりの上物なんだろうなぁと思いながら味わって飲む。
それから茶々丸が食事を持ってくるまでの間は、エヴァと他愛のない話を続けた。その会話で分かった事といえば、やはり長く生きていると、資産運用が上手くなる事が分かった。あとはエヴァには今は眠っているが、もう一体従者がいるとの事だった。名前は聞かなかったが、恐らくチャチャゼロの事だろう。
そんな会話を暫く続けていると、茶々丸が食事を運んできた。
「マスター。お待たせいたしました」
「ああ。ご苦労だったな茶々丸」
エヴァに一礼してから、茶々丸は私とエヴァの前に運んできた食事を並べていく。私とエヴァの手前に置かれたのは、海老と貝柱のトマトソーススパゲティと、イタリアンサラダ。エヴァは並べられた食事を見てから茶々丸に尋ねた。
「これで全部か?」
「はい。別荘が倒壊時に、食料の大半が駄目になってしまい簡単なものしか作れませんでした。申し訳ございません」
「あー……仕方ないか。茶々丸、気にするな」
エヴァの質問に茶々丸は頭を下げながら理由を述べる。それを聞いたエヴァは苦笑しながら茶々丸を許した。それを眺めていた私だが……うん、もの凄い罪悪感が生まれてきたわ……
「まぁ、此処を出て家に戻れば本格的な食事も出来る。むしろこのぐらいの量が丁度いいか。キリシマも食べるといい」
そういって自身を納得させた様子のエヴァが私にそう声をかけると、茶々丸が用意がいつのまにか置いておいたフォークとスプーンを手に取り、食事を始めた。
「ああ。戴くよ。いただきます」
エヴァに頷いてから、私も目の前の料理を食べ始める。食べた感想はズバリ、美味い。この一言につきる。流石茶々丸。流石ガイノイドとでもいうべきか。調理レベルがとんでもない。前世がアマチュアレベルの調理しかできない私では到底再現できないレベルの味だった。それによく考えてみれば、たしか茶々丸って、料理以外にも家事全般がとんでもないキャラだったはず……なんというパーフェクト従者だと私は戦慄してしまう。そしてエヴァが羨ましい。
「どうだ? 料理の方は?」
「目覚めてから食べたもので一番美味かったよ。エヴァ」
「そうだろう。なんせ茶々丸は私の従者だからな。これぐらいできて当然だ」
「羨ましい限りだ。本当にな」
私の感想を聞いたエヴァがドヤ顔で茶々丸のことを自慢する。ぐぬぬ……ほんと羨ましい。そんなやりとりをエヴァとしていると、なにやら茶々丸がじっと私の事を見ている。私はそれが気になったので、茶々丸に声をかけることにした。
「茶々丸だったか? 私について気になる事でもあるのかい?」
「!……はい。もしよろしければご質問してもよろしいでしょうか?」
「ああ。あれほど美味しい食事を食べさせてもらったんだ。構わないさ」
「ありがとうございます」
茶々丸から私に対して質問があるといわれて、私は内心驚きながらも、笑顔で対応する。茶々丸は私に感謝の言葉を述べてから質問の内容を述べた。
「先ほど、キリシマさんが船体を銀の砂に変えてしまいましたが、あれは一体何なのでしょうか?」
「あー……ナノマテリアルの崩壊現象はあれが初めてだったか」
「ナノマテリアル? 崩壊現象?」
茶々丸が聞いてきたことはさっき二人についていく前に見せた船体の展開解除によって発生した崩壊現象やらについてだった。私はどう説明したもんかと考えを少しまとめてから、説明を始めた。
「まず、ナノマテリアルだが……我々が持つ特殊な資源だな。私達のみが使える資源で、どんなものにも物質を変化させることが可能な万能資源だ。食材にするもよし。鋼材にするもよしの正に万能なものさ。私のこの身体やさっきの船体も、そのナノマテリアルを使って構成してる。」
「それが……ナノマテリアル……」
「でだ。そんなナノマテリアルだが、使えなくなるとその存在は崩壊して見た目が銀の砂のようなものになるのさ。そしてナノマテリアルは再利用が出来なくてな。崩壊後の銀の砂はどう頑張っても、元のナノマテリアルにはなれない。万能だが、面倒な一面を持つ資源なんだ」
「……」
「まぁ、あの状態のナノマテリアルだが、人体や環境に影響はでないから、心配はいらないさ。ああなったナノマテリアルは言葉通り銀色の砂でしかないのだからな」
「……質問に答えてくださりありがとうございます」
茶々丸が私に頭を下げて感謝するので私は苦笑しながらもそれに答える。エヴァはそんな茶々丸の様子を見ながらワインを楽しんでいた。
◆
エヴァとの食事後、茶々丸に案内された個室で私はのんびりしていた。なんせ、
確認してみた結果、ナノマテリアルは神様が言っていた通りの量が消費されていた。ただし、その量は船体分のものだけで、砲撃やミサイルなんかは別だ。初めての船体での戦闘のことでかなりぶっ放した為にナノマテリアルの消費量に頭が痛くなるほどだった。また、戦闘ログを確認して思った事は、魔法使いという存在に対して慢心は許されないという事だ。
幾らメンタルモデルとして、もしくは霧の艦隊として魔法使いに対して圧倒的なアドバンテージがあるとしても、慢心や油断をすればエヴァにやられたような奇策からの一撃で危機に陥りかねない。魔法使いに安全に勝利するには、接近させずに遠距離から叩き潰す方法を取らなくてはならないことを痛感した。
せっかく第二の人生を歩んでいるのだ。慢心や油断で第二の人生を終わらせてしまうわけにはいかない。そんな事を私が再確認したときだった。
「……ッ!? 概念伝達の受信だと!?」
視界に映る突然の出来事に私は声を上げた。戦闘ログを見ていた画面に映る概念伝達の受信の文字。
概念伝達は、アルペジオの世界でいうメンタルモデル同士の情報交換に用いられる通信手段だ。つまり、これを送って来ている相手は私と同じメンタルモデルという事になる。つまり、私以外のメンタルモデルが存在する事になるのだ。それはつまり、私のような転生者の可能性が出てきた。
少し考えた後、私は概念伝達の受信を許可し、そこで私の意識は飛んでいった。
◆
「お久しぶりですね」
「へ? ……神様?」
概念伝達を受信した結果、目の前に現れたのは私を転生させた神様とみたことのないもう一人の人物だった。
「はい。神様です。ただし、あなたが今いる世界の神様ではないですが」
「……あー、ちょーっと。頭を整理させてほしい」
「どうぞ」
神様のカミングアウトに色々ツッコみたいが、なによりも概念伝達を受けたら神様に会ったということはつまりはそういうことなのだろう。
「……神様が、私を此処に呼んだんですよね? 他のメンタルモデルが呼んだのではなく」
「そのとおりです。貴女にお話があるため、私が呼びました」
「……では、そのお話とは一体なんなのですか?」
「ええ。実は貴女に謝罪したいというものがいまして。ほら、さっさとしなさい」
「ふぇぇっ!?」
神様に確認を取ると、神様が頷き、もう一人の人物を私の前に押し出す。私の前に押し出された人物は女性で、顔立ちも美人というよりは幼げを感じさせる可愛い部類に入り、低身長な為か、小動物のようなイメージを彷彿させる愛らしさを私に与えた。しかし、その胸元は身長や顔立ちからは考えられない胸を持っていた。所謂ロリ巨乳の人物が私の前で慌てると、勢いよく頭を下げて謝るのだった。
「ま、間違えて死なせてしまってごめんなさいーーーー!」
「……」
目の前で頭を思いっきり下げて謝罪する女性から視線をそらして、神様の方に視線を向けて訴える。これは一体どういうことか。神様は私の視線から私のいいたいことを理解したのか、はたまた理解していたが私が訴えるまで待っていたのかは定かではないが、私に対して頷くと、説明を始めた。
「彼女は貴女を転生させたときに話に出した私の同僚です。変態上司というか馬鹿な先輩の神様達にむりやり酒を飲まされてから泥酔状態で残った業務を行ったもので貴女のほかにも何人も起きるはずのない死を引き起こしてしまったものでしてね」
「あー……彼女が」
「まぁ、この問題に関しては馬鹿神共に責任ありと判断されてこの娘は許されたのですが、本人は気にしてまして。こうやって転生させた者に謝罪したいといいまして」
神様の言葉を聞いて、目の前の彼女の行動に納得がいった。もし私が間違いで管理していた人の命を奪ってしまいましたとしたら、罪悪感でまともにはいられないだろう。そして、ただの自己満足だとしても、殺めてしまった相手に謝りたいと思って目の前で謝罪しているのだ。
「……」
「あー……頭を上げてください。仕方なかったんだと思います」
「え……」
そんな相手に、私は文句を言う事が出来なかった。私の言葉に驚いた目の前の神様は困惑した表情で顔を上げた。
「神様をこう……人のように扱うのはあれですが、誰だってミスする事はありますし。確かに死んだと聞かされたはじめは思うところがありましたが、こうやって私は第二の人生を歩ませてもらっていますし。これで神様に文句を言ったら、私は人でなしになってしまいますよ」
「……」
「――だから気にしないで下さい。今は今で神様には感謝してますし」
私は思った事をそのまま言葉にして神様に言うと、神様は感極まった様子で顔を手で覆って泣き出した。ええっ!?なんか泣かせるような事いったかな!?
「暫く放っておけば戻ります。にしても……殺された側なのに簡単に許してしまいますね」
「はぁ……。今言った事が本心ですよ。」
「実に聖人な発言ですね。まぁ構いません。それよりもお話が一つ」
「お話ですか?」
「ええ。本来は彼女から話す話でしたが、今はあの状態ですので。実は転生者を2人程、貴女に面倒を見て欲しいのです」
「え゛っ」
神様泣かせたことにあたふたしてたら、もう一人の神様に放っておけといわれてから嫌な話を聞かされて私は顔をしかめながら声を上げた。
「貴女と同じ彼女が死なせた者達の一部でしてね。その多くを転生させたのですが、その二人は特典が貴女と同じ世界のものでしたので一つの世界で一括で纏めたほうが良いと考えましてね。勿論、その二人には貴女があの世界で平穏を得るために活動していることを告げているので、協力的でしょう」
「……まぁ、拒否権はないんでしょうから構いませんけど」
「貴女は実にもの分かりが良くて助かります。此方からの要請ですから、それを引き受けてくれる貴女には少し融通して差し上げましょう」
「具体的には?」
「貴女の要求を聞き、許せる範囲でその要求を呑みましょう」
神様からの要請なので私はその話を受ける前提で話を聞いていくと、神様の融通の内容に驚く。もはや話を受けるのは決定事項なので、私は頭をフル回転させて要求項目を上げていき、神様に述べた。
「私からの要求は3つですね。1つ、非転生者として重巡洋艦マヤが居てほしい。一つ、霧の艦隊のアドミラリティ・コードの内容変更。最後は私のコアをユニオンコアからデルタコアへ更新」
「ほう……理由を聞いても?」
「あの世界の住人に本物の霧の艦隊の艦艇として説明する為の看板として又、戦力としてもマヤがいてほしいのがひとつ。もうひとつはわたしも含め4体も霧の艦隊がいれば、アドミラリティ・コードの件について聞かれるだろうし、その件は私がでっちあげたもので、他の面子は私とは違う事を言うかもしれない。そういった事で麻帆良側に不信感を与えない為の措置としてひとつ。もうひとつは単純に演算力の強化によって指揮通信系統の強化。余剰の演算はマヤや他の転生者のサポートに当てられたらという考えからですね」
「……いいでしょう。では、この概念伝達が終了次第、貴女の要求を履行しましょう。それと同時に、他の転生者も貴女と同じ麻帆良の地に転生してもらいます」
神様に一通りの説明をしていいという返事を貰った所で私はホッとしたのも束の間、その後に続いた言葉に私の思考が停止する。え、この通信終了後、転生者を麻帆良の地に?
「は?」
「では。お話は以上です。概念伝達も終了します。あぁそう、次に目覚めたら直ぐに概念伝達を行う事をオススメします。それでは」
「え!? ちょっとまtt」
さらっと言葉を述べながら手をふる神様にツッ込もうと声を上げた瞬間、目の前がブラックアウトし……。
「ちょっと待て―――――ぃ!?」
「……」
大声をあげて飛び起きた私の前に居たのは、私の言葉を聞いて静止した茶々丸の姿だった。
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