西南航路 深海前線基地
西方の航路を塞ぐ形に展開する深海棲艦の拠点の1つである。ナギサの所属する艦隊はここを基点に南の島々を支配している。
元々は後方の基地だったが戦線を押し上げられて前線基地の分類になってしまった。
この日はナギサの事を基地司令と南方方面司令に報告する為にリ級が訪れていた。
「いや~。ここはいつ来てもものものしいですね。」
南西航路封鎖の最大にして最終の防衛ラインだけあり、通常は一人でいたら凄い鬼、姫クラスが何人もいる。その配下の艦隊も日本近海にいた奴らとは比較にならない性能の精鋭だ。
抜けるものなら抜いて見ろ艦娘ども!
「止まれ。所属と用件を。」
司令達がいる深部に近づくにつれて警備がきつくなる。
「南方方面独立強襲群のものです。基地司令に報告を。」
「独立強襲群?あの壊滅した‥‥」
「それ以上言ったら直衞だろうと容赦しないぞ。」
「‥‥も、申し訳ない。」
「わかってくれれば良いです。」
「姫様に取り次ぐので少しお待ち‥‥」
「いえ、許可はあるのでこのまま行きます。」
「え、しかし‥‥」
「細かいところはいいから‥‥仕事熱心でいいけどこれでも食べて休んでて。」
リ級は直衞の手を握りその手にあるものを握らせる。
「こ、これ!?」
その手にはチョコレートがあった。
「よよよよよろしいので!?」
「うん。バレないうちに食べてね♪」
「はい!エヘヘヘ~♪」
直衞はその場を離れた。本当にバレないように食べに行ったのだ。
「はい、人払い完了。やっぱり賄賂に使えるね。」
いつくか持って来て正解ですね。
姫のいる施設は入り口の直衞以外基本誰もいない。誰にも会うことなく姫のいる部屋に到着した。
「基地司令、私です。」
「リ級?人払いは?」
「出来てます。おそらく後一時間は戻らないです。」
「そう‥‥入って。」
ガチャ
「失礼致します。」
一礼して中に入る。
中に待っていたのはここのボスである基地司令、港湾棲姫だった。
「全く。毎回どうやって仕事に忠実な直衞を行かせているの?」
「あはは‥‥ノーコメントで‥‥」
「もう‥‥まぁ知っていますからいいけれど。」
流石にこの人にはバレてたか。
「それで?軽巡棲姫は元気かしら?」
「はい。それはもちろん。」
リ級はナギサからの伝言やその他の観察報告を行った。一通り話し終えた辺りで姫はふとした事を聞いた。
「確か、向こうではナギサって名乗って人間と一緒なのよね?何か人間についてわかったことはあるかしら?」
「はい。姫様によると人間は我が軍の駆逐艦並みの働き者と称しておりました。ただ楽観思考が強く救いがたい点も確認できたとか。」
「ふーん。後者は分かりきったことよね。でも前者は初耳だわ。そのままでいいから何か分かり次第伝えるように伝えてちょうだい。」
「かしこまりました。」
「それと。」
「まだ何か?」
「次は賄賂だけでなく私と南方司令にもお土産を期待してますよ。私はともかく南方司令はカンカンですよ。最近直衞達が自分より甘そうなモノを食べてるって。」
「は、はい!分かりました!」
これはもうしばらくバイトをする口実ができた。
「他に報告がなければ行っていいわよ。」
「で、では。失礼しました。」
「用は済んだか?」
「ええ。引き続き仕事頑張って下さい。」
リ級が出る頃には直衞は戻って来ていた。少し口元に茶色いものがついたままなのに気づいた。
「ここ。」
バレて他の艦にしばかれるのも可哀想なのでリ級は教えて上げた。
「あっ!これはこれは‥‥」
直衞はお辞儀をして口元を拭いた。
「さてと、では潜入に戻りますか。」
「あら?そこのリ級ちょっと。」
「?‥‥私でしょうか?」
突然後ろから呼び止められた。
振り返り見てみると彼女を呼び止めたのは黒一色の和服に身を包んだ姫クラスの少女だった。
「やっぱり、アナタは姉様のところのリ級でしょ!」
「あああ!これは駆逐古姫様!確か豪州にいたのでは?」
「うん。粉々にしてきた。」
「流石ですね。」
「そんな事より!姉様は!姉様の部隊が壊滅したって聞いたけど嘘だよね!?」
あ、そういえば古姫様には伝え損ねてた。
「古姫様、ご安心下さい。」
「何を安心したらいいの!姉様が!姉様が!」
「お、落ち着いてぐほっ!」
少し取り乱し始めた古姫の拳がリ級にヒットした。
「あ!ごめん‥‥」
「い、いえ‥‥お気になさらず‥‥ここだけの話です‥‥姫様はご健在です。」
「!!?ホントに!ホントにホントなの!」
「はい、私はこれから姫様に定期連絡‥‥おわっ!?」
「どこ!?姉様はどこなの!!」
「ひ、姫様は‥‥‥‥です‥‥」
「そこに姉様が‥‥私、行く!」
「あ!古姫様危険です!せめて私と一緒に‥‥行っちゃった‥‥ど、どうしよう‥‥」
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「と、言う事がありまして古姫様が行方不明です。」
「‥‥色々突っ込みたいけどまずは前置きが長い!」
定期連絡でいつもの路地でリ級とナギサは会った。どうやらナギサの所にまだ駆逐古姫は現れていないようだ。
「まさかそんなに心配をかけてたなんて‥‥」
「ど、どうしましょう‥‥古姫様に何かあれば、私!基地司令達に殺されます!」
「はぁ‥‥とりあえずアナタは戻って下さい。彼女の捜索は私がしますので。」
「しかし姫様。」
「私の方がここに詳しいですし、私の所に現れる可能性が高いので。」
「‥‥分かりました。」
とりあえずここでリ級と別れた。
「さてと、まずはこの買い物袋を置いてから探しに行きますか。」
今日は休日ですので西野さんが家にいます。なので今日はいつもより夕食の時間が早いのであまり時間がありませんね。
「はぁ‥‥全くあの子はどこにいるのやら。」
一方その頃‥‥
「ぎゃあああああ!!」
「あ、兄貴!?」
人気のない公園で不良の二人が子供を襲っている‥‥のではなく、一方的に打ちのめされていた。
本当に彼はその少女に何かするつもりはなかった。
ただこんな人気のない公園で一人でいてキョロキョロしてたのを見て迷子か何かと心配して声をかけたら次の瞬間子分が吹き飛ばされて、兄貴にキツイ一撃が入っていた。
少女は倒れた兄貴の元に寄り、
「あの‥‥この辺りで顔が隠れてる女の人見ませんでした?」
丁寧に尋ねてきた。
「あ」
「あ?」
「あ、あああそこです。」
不良が指したのは西野宅のある建物だった。
「あれですか。ありがとうございます。」ペコリ
少女は不良達にお辞儀をすると真っ直ぐそこに向かっていった。
「あ、兄貴。大丈夫っすか?」
「俺‥‥もう女が怖いかも‥‥」
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「あ~♪幸せ~♪」
久しぶりのフル休日を満喫した西野はソファーで横になりこれまで読めずにいた本を一気読みしていた。
そんな日頃お疲れな彼女の為といつも以上にナギサからの良くして貰った彼女は最高の休日を謳歌したのだった。
「あ、もうこんな時間!こんなに本を読んだのは久しぶりだね。ナギサは‥‥買い物かな?」
流石にそろそろ一息入れようと本に栞を入れた辺りだった。
ピンポーン♪
「あれ?何だろう。東田さんは‥‥忙しいはずだから来ないし、宅配便かな?はーい!」
とりあえず出てみるか。
「はい。ってあれ?」
扉を開けても誰も立っていない。いや、少し視線を下げると見覚えのない女の子が立っていた。
「ええっと‥‥どちら様?」
「カエセ‥‥」
「えっ?今なんて‥‥」
「姉様を返して!」
西野に黒衣の少女が襲いかかった。
西野さんの運命はいかに?
次回、なるはやで投稿!