これからまた少しずつ投稿を再開します。
「通学カバンも買ったし……準備万端だね。」
「もう行けるの?」
古姫が学校に行きたいと言い出して早くも一週間が経過した。
西野はその週の休みを返上して必要な物を買い揃えた。
「いや、書類の都合上古姫が学生になるのは2週間後かな?」
「そっか…」しゅん
まだ待たなければならないので少し落ち込む古姫。その頭を西野はゆっくり撫でた。
「まぁそれまではいきなり転入しても置いていかれない様に勉強でも教えてあげるから。」
「うん♪」
「……。」
「うん?どうしたのナギサ。そんな顔をして?」
「いや……色々ツッコミたいのですが…学校って小中って順番あるのにいきなり中学に入れるものなのですか?いや、それ以前に入るための書類もそうですがその為の戸籍とかなんとかは一体……」
「ああ、それなら一昨日くらいに東田さんがなんとかしてくれたよ?」
「え?なんとか?」
「うん、なんかこれくらいなら朝飯前だって。」
確かに、偽装書類やその手の工作なら彼女の得意中の得意だろう。その気になれば一晩でこなせるだろう。
「飛び級に関しては古姫は海外から来たって事にするから問題ないよ。」
「こんなご時世に海外からね……」
「アナタがそれを言う?」
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「全く…古姫ったら。」
あまりにも嬉しかったのかカバンと一緒に寝てしまった。西野さんも今日の買い物で休めなかったからか夕食の後すぐにお休みになった。
「さてと……」
ナギサは二人がよく眠っているのを確認すると音を立てずに部屋を後にした。
彼女が向かったのは前にリ級を追い詰めたあの路地裏だ。
ナギサが来ると奥からすっと黒い影が出てくる。
「こんな夜中になにかしら?リ級?」
「夜分に申し訳ありません。しかし、我々が人目を避ける意味では闇夜に隠れるのが宜しいかと。夜戦が専門の我々ならこのくらいで十分かと。」
「そうね。ただ、早く終わらせてね。あんまり遅いともし西野さんが起きたときに心配されるから。」
「分かりました。それでは本日は最重要事項のみで……あの方が失踪しました。」
「あの方?ま、まさか角の奴じゃないでしょうね?」
「………そのまさかです。」
「なんかその流れどこかであったかも…それで?」
「はい、先日あの方に姫様の事をお知らせしたのですが突然、私のライバルが死ぬわけない、と仰せられて……。」
「部下やアナタの制止も聞かずに行っちゃったと。」
「はい……」
「はぁ……私、アイツには伝えなくていいって言わなかった?」
「申し訳ありません。司令達がうっかり漏らしたようで…それが私に飛び火して…」
「あー、何となく察したからもういい。」
また面倒な事になった。古姫の時みたくここに気づかれると厄介極まりない。
「海岸の痕跡は?」
「はい、駆逐古姫様が手掛かりにしたと仰られたものはすべて抹消しておきました。」
しかし、これでも安心できない。
「司令達は?何か言ってましたか?」
「捜索隊を出しました。見つけ次第取り押さえると。もし、仮に、そちらに現れる事があれば処分は任せると。」
また面倒な事を押し付けられたものだ、と思いたい所だがこうなった要因は自分にあるし言えないかな。
「分かりました。必要ならば私の方で始末します。」
「かしこまりました。その様に伝えておきます。それでは。」
「もう行くの?」
「はい。姫も早く戻りたいでしょうし、私もバ…次の任務があるので。」
「そう……ではまた。」
そう言ってリ級とは別れた。リ級は次の任務がそんなに大変なのか、猛スピードで帰ってしまった。
「私も帰りますか…」
西野の元へと夜道を歩くナギサ。するとふと嫌な予感がしてしまった。
「そう言えば前回も報告を受けてすぐトラブルになっていた気が……。西野さん!!」
ナギサは大急ぎで家へと戻った。
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「ハァハァ…西野さん!」
少し息を荒げてマンション前に帰って来た。するとマンションの前で伸びている二人の人間がいた。
「つ、つえぇ……」
「兄貴……」
「スキンヘッド!?」
そして、マンションの正面玄関の扉が強引に空いていた。(文字通り穴が)
「ま、まさか!?に、西野さん!!」
ナギサは部屋まで慌てて戻った。
しかし。
「オラっ!!死ねよ人間が!!」
「うわ~ん!?な、なんなのさ!?」
手遅れだった。部屋から格闘する音が聞こえる。
「あ、あーー。これはもうダメかな~」
この後の事を考えて頭を抱えるナギサだった。
一方で…
「すー、すー…」Zzzz
この夜、古姫が起きることは無かったのであった。