何ですか、何かメイドのアニメの二期が決まった様ですね。めでたいです。(すっとぼけ)
横須賀 某商店街
商店街なんてものは大型商店の出現で絶滅危惧種にまで追い詰められた。しかし、深海棲艦の侵略で一度はシーレーンを滅茶苦茶にされた影響は大きく今では生き残っている大型商店の方が珍しい。
その辺の理由は諸あるが‥‥
今はそれよりも重要な事がある。
「~♪」
そんな商店街にメイド服に身をつつみ、少し上機嫌で買い出しに出掛けて来た深海棲艦(ナギサ)の姿があった。
東田からメイド服をもらって以降、買い物も彼女がこなすようになっていた。
(今日は何を作りましょうか~♪)
ここ数日、急速に料理の腕を上げたナギサは昨日とうとう西野から美味しいの一言を貰ったのだ。
「フフフ♪もっと誉めてもらえるようにもっと努力しますよ~」
さーて‥‥今日の献立は何にしましょうか。ここに来ながら決めようと思いましたけど、結局何も思い付きませんでした‥‥
恐怖の象徴とされる深海棲艦がまさかこんな商店街の中をこんな事を考えながら歩いているとは誰も思いもしないだろう。
それだけ彼女は自然に人に紛れていた。いや、自然ではない。
「相変わらず少し視線を感じますね‥‥」
それもそのはず、白黒メイド服を着た顔を隠した少女がいたら注目を集めるのは自然であろう。
なのでそんな彼女に興味を持つ者は多く‥‥
「やあナギサちゃん。少し見てかないか?」
「あ!お肉屋さん、こんにちわ。」
声をかけたのは少しガタイの良い肉屋の店主。
「今日はいいひき肉とか鶏が入ってるけど、晩ごはん何にするかとか決まってる?」
「いえ、まだ決めてなくて‥‥」
ナギサはふと悩んで見せると肉屋の店主は
「それなら今日は肉にしてはどうだい?肉はいいぞ~、疲れた時に食べる肉の味は最高だよ。」
疲れた時に食べる!
そういえば最近西野さんがお疲れの様子だった。なんかノウキとかこのままだとデスマとか言ってたような‥‥
「特に鶏肉は唐揚げにでもして酒と飲めばそれはそれは‥‥」
お酒!確かに西野さんはお酒は好きだ。
これは決まりですね。
「ではその鶏肉を‥‥」
「ちょっと待った!!」
肉屋にその鶏肉をくださいと言いかけたのに待ったをかけたのは肉屋の向かいの魚屋の眼鏡店主だ。
「魚屋さん、こんにちは。」
「おうナギサちゃん!話は聞いてたぜ。それなら肉より魚が一番だぜ。」
「こらテメェー魚屋!」
「魚に含まれる成分は疲労回復には持ってこいなんだぜ?それに酒の共は魚って相場が決まってるんだぜ!」
何?そうなのですか?
確かにこの国の人間は他の人間どもと比べて魚を好むと聞いた事がある。もしかしたら西野さんも魚派かも‥‥
「はぁ?何寝ぼけたことを!肉がいいに決まってる!」
「いいや!魚だぜ!」
「あ、あの‥‥二人とも喧嘩は止めて‥‥」
「だとこら!?」
「だぜ!?」
あ、駄目だ‥‥聞いてないなこの人間ども。ホントに愚かだな。
しかし、一方でこの人間どもがいい物を勧めようと善意があるのは知っているので無下には出来ない。ナギサは人間的な判断で考えた。
仕方ない‥‥他所で買うとしよう。
ここでどちらかを買うとまた喧嘩になりそうなのでこのすきに去る事にした。
「結局魚にしましたけど西野さんって肉派と魚派のどちらなのでしょうか?」
買い物の帰り道、西野さんが喜びそうな魚が手に入り少しウキウキなナギサ。もう既にこれから用意する料理で誉められる様子を想像している。
「えへへ~♪」
彼女はただでさえ目立つのこの深海棲艦特有の顔の歪み(本人は少し微笑んでいるだけ)である。
「うわ‥‥ナギサちゃんまた笑ってる?」
「なんか、怖いよね‥‥ホントに笑顔なの?」
色々な意味で目立つ彼女の存在はもう商店街の住民にとって慣れたもので今ではさほど奇異な視線を集めていなかった。
だが、そんな中‥‥
一つだけ他とは異なる視線が自分に向けられているのにナギサは気付いていた。
(またか‥‥)
ここの所、これまで人間達から向けられたものとは違うまるで私を値踏みしているかのような視線を感じていた。
(これまでは無視をしていたが今日は少し仕掛けてみよう。)
ナギサは商店街を出てしばらくこれまで通り何も気にして無さそうに歩いた。
相変わらず視線、視線の主は等間隔で尾行しているようだ。おそらく私でなければ気がつかない位の完璧な尾行だった。
ナギサはいつもなら入らない路地裏に入った。
その後を追うように黒い影が路地裏に入った。
フードを被っており顔は見えない。
暗い小道の路地裏を音を立てずに進む追跡者‥‥
しかし、この道はすぐに行き止まりとなった。
追跡者は明らかに戸惑った。
これまでこの道は一方通行で曲がる所なんてなかった。では先ほどまで追っていた彼女は一体どこへ‥‥
そこで追跡者はようやく気がついた。
「ふふふふ‥‥今さら気付いてもアナタの帰り道はもうないのよ!」
追跡者の後ろ‥‥路地裏の入り口側にナギサはいた。ここは一方通行、つまり逃げ道はない!追跡者は彼女に嵌められたのだ。
「さーて、私の事をつけてたみたいですが、アナタは何者ですか?」
ナギサは追跡者に尋ねたがおおよその見当はついていた。なのでナギサは艤装を展開する。
「まままま待ってください!」
いきなりの事に驚いた追跡者はついにそのフードを脱いだ。そこから表れたのは‥
「なんだ、味方の方が‥‥」
彼女をつけていたのは深海棲艦の重巡リ級だった。これにナギサは安堵した表情で艤装を解除した。
彼女の推測はこうである。相手は既に自分が黒(深海棲艦)だと気付いて監視しているのではと。我々の人型は人間と大して見かけは変わらない。なのでこうも簡単に私を見つけ出せるとしたらそれは同族、つまり味方か敵である艦娘どもぐらいだろう。
なので味方であってよかった‥‥
「それで?どうして私のことをつけてたのですか?」
「どうして、ですか?それはこちらのセリフでございますよ姫様!心配しておりましたのですよ!姫様達強襲部隊が壊滅したと聞いて!」
「アナタは‥‥もしかして‥‥」
「はっ、はい!私は貴女様の直属部隊の後衛にいたものです!」
驚いた、まさか自分以外にも残っていたとは‥‥
「後衛は無事だったというわけね。」
「はい、姫様のご指示通り奇襲に失敗を確認した時点で後衛及び支援部隊は転進をしました。ただ‥‥姫様を見捨てて逃げる事に最後まで支援部隊の旗艦殿が反対なされてました。」
アイツか‥‥
「そう‥‥でもならどうしてアナタはここにいるの?私の命令を聞かなかった?」
「うっ‥‥その点につきましたは如何様にでも‥‥」
「冗談よ。私の事を心配してくれたのでしょ?」
「はい!私は姫様は必ず生きていると信じておりました。」
私が生きていると信じたリ級は作戦終了後に部隊を離れて単身で戻ってきた。そして、あの浜で私の残骸を見つけた彼女は私が陸にいると確信し自分も揚がってきた。ちなみに、今着ている服は適当にそこらから調達したとのことだ。
「姫様!帰りましょう!我ら配下一同は勿論のこと姫様方も貴女の安否を‥‥」
「ごめんなさい‥‥それはできません‥‥」
「わかりました!では行きましょ‥‥えっ?今なんと?」
「私のことはまだ誰にも伝えないで下さい。」
「‥‥それはご命令でしょうか?」
「いえ、今の私に偉そうに命令できるわけないわ。だからこれはお願いよ。」
「‥‥わかりました。」
「ありがとう。そしてごめんね。アナタの立場的には私の事を伝えないといけないのにね。」
ナギサは少し申し訳なかった。ホントは早く戻って部下や仲間を安心させるべきなのに。
「いえいえそんな!私は姫様の直属部隊でございます!なれば姫様のご意志に従うのは道理でございます。」
「あ、でも流石にそれだと心配かけるから‥‥総司令‥‥はまずいから基地司令と古姫には伝えておいて。」
「あの方にはなんと?」
「アイツは‥‥黙ってて。ばれたらうるさいから。」
「かしこまりました。では名残惜しですがさっそく‥‥」
リ級は再びフードを被ると走り去っていく。
「さて‥‥帰りますか。帰ったらさっそく料理してそして‥‥うふふふふ♪」
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「それで?どうしてアナタはまだここにいるの?」
三日後
また買い物の帰りにリ級に遭遇した。
「いや~それがですね。姫様のご指示通り基地司令にはお伝えしたのですが」
「あれ?古姫は?」
「あの方はオセアニアで豪海軍をボコってます。」
「そう、話の腰を折ってごめんなさい。続けて。」
「基地司令にお伝えしたまではよかったのですが丁度総司令が来ておりまして話を聞かれてしまいました。」
「‥‥それで、総司令はなんて?私を連れ戻せとでも?」
「いえ、それが‥‥」
『彼女がそう言うのなら好きにさせてていいわ。』
「との事です。しかし、たまに生存確認と意見を聞きたいからと私に連絡役を命じました。」
「ホッ。良かった。流石に総司令には逆らいたくなかったわ。」
「ただしあくまで黙認しているだけなのでくれぐれも他の者にはバレず面倒は起こすなとの事です。」
その後は今後どのようにして会うかなどやリ級に街で活動する際の注意事項を確認させてその場は解散となった。
とりあえずは西野との生活を続けられる事に安堵しつつ、リ級が何か問題を起こさいか不安なナギサだった。