一体誰が梨子ちゃんをサキュバス化させたのだろうかぁ…←
ちなみに今は梨子ちゃんの寝そべりをポムポムしています。
※本編時系列は無関係です。
「梨子~」
「んっ、どうしたのかな悠くん?」
音楽室でピアノを弾く梨子の頬を後ろからぷにぷにと触る。
「ゆ、悠くん…?///」
「今度のさー、土曜って空いてるかー?」
「え、えっと……空いてはいるけど…というか、なんでほっぺを…?///」
「じゃぁ、出かけよっか!」
「い、いいけど…どこに?///」
「それは当日のお楽しみ!話はそんだけ!」
梨子の答えも聞いて音楽室を後にする。
「…な、なんだったのかしら…///」
梨子は呆然としながら触れられた頬を撫でるだけだった。
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「あっぶね……自然に話しかけたつもりだけど…怪しまれてないかな…?」
次の週末…9月19日(土)は梨子の誕生日である。
曜から教えてもらったが…その際…。
【梨子ちゃんも悠くんからお祝いして欲しいって呟いていたよ?】
と教えてもらったのだ。
(とりあえず…OK貰えたし…準備色々とするか!)
本人にバレないように着々と準備を進めるのであった。
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「とは言ったが~…プレゼントどうしよ?」
曜の時はネックレスにして喜ばれたけど…。
「梨子のイメージ…梨子……」
「悠くん?」
「わあああああ!?!?!?」
隣の家から俺の名前を呼ぶ声がした。
「なんか私の名前を呼んでる気がしたけど…気のせい?」
「あ、あー!リコー通りの門の大きさはどんくらいかなーって!」
「えっ、急にどうしたの…?」
「いや、ほら…昔から気になってたから?」
「昔って…悠くん内浦に来てまだ半年くらいしか経ってないような…」
「あ、あははーそうだっけー?」
……なんとか誤魔化しきれた…かな?
話を続けつつ、梨子に似合うプレゼントを模索する。
「ゆ、悠くん…そんなに顔をジロジロ見られると…照れちゃうんだけど…///」
「あっ、ご、ごめん…」
「何か考え事…?」
「んーん、梨子って可愛いなぁって」
「そ、それほどでもっ…!!///
……あ、あるかなぁ……?///」
「あらら、本音出てる出てる」
「…!
そうだ!」
「ひゃっ!///…も、もぉ…急にどうしたの?///」
「なんでもないっ!もう寝るね!おやすみーっ!」
閃いた顔をしたまま俺はそのまま勢いで眠りについた。
「お、おやすみなさい…?」
梨子はぽかんとした顔を浮かべていた。
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次の日の金曜日…。
俺は部活を早上がりさせてもらった。
というのも商店街に用があったからだ。
「えーっと……あっ、ここか…」
行き着いた場所は…楽器屋さん。
「…んーーーー…あっ、あった…んー、やっぱりそうかぁ…」
値段を見ながら自問自答。
「さすがに高いなぁ…梨子に送ったら凄い申し訳ない顔されそう…」
プレゼントに妥協はしないが…さすがに楽器、どれも値は張る。
「…あっ、これ…20000円…でもどうなんだろ…音と値段って比例するからなぁ…」
結局、数分ほど悩んだがその楽器を買うことに。
自室に置いて明日の朝持って出かけることにした。
「…あっ、どうやって隠そう…」
自室に戻った俺は今更ながら隠し場所に困った。
そのまま明日もって梨子と出かけたらさすがに怪しまれる。
「えーーーっと……あった!」
物置からスポーツバックを取り出す。
中に入れるとちょうどサイズ的に入り切った。
「よしっ…じゃあ明日の朝は少し早起きして…っと」
隣の部屋に目を向けると梨子はまだ起きていたが俺は一足先に寝ることにした。
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pppppppppp………
「んん…もう朝かぁ…」
7時にセットしたアラームを確認し、部屋を出る。
「んーーーっ…久々に作るけど大丈夫かなぁ…」
昔はよく作っていたが…作り方も曖昧で正直心もとない。
が、やると決めたからには途中で投げ出したりなんかしない。
ちなみにら事前に志満さんには朝使わせてもらうと許可をもらって置いてある。
「…よし、じゃあ作りますか!」
パン、卵、マヨネーズ、ソーセージ等とりあえず買っておいた食材を取り出す。
まだ誰もいないキッチンにカチャカチャと料理する音だけ響く。
「ふぁ~ぁ…志満姉…おはょ……って、悠くん!?」
「ん、千歌おはよ…って、寝癖凄いぞ?」
「わ、わわっ!///
直してくるー!」
恥ずかしそうに髪の毛を抑えながら千歌が洗面所に向かった。
「…あとは盛り付けて…っと…」
「うう…お恥ずかしいところを…///」
「お、いつもの千歌だなっ」
「ところで悠くんは早起きしてどうしたの?」
「弁当作り…ほれ、味見っ」
「はーーーむっ…♪
んー、美味しい~♪」
味は好評らしい。
「じゃあ、私しいたけの散歩に行ってくるね~♪」
「えのき茸とまいたけも忘れるなよ~」
「もー!悠くんがそんなこと言うから2匹とも唸ってるよー!」
騒がしく千歌は十千万をあとにした。
「…そんじゃ、シャワー浴びてきますか…」
出かける前に体を綺麗にして…と。
別に怪しいことは何もしないけど………多分。
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そして約束の時間。
十千万を出ると既に梨子が居た。
「悠くん、おはよっ♪
…って、どうしたのそんな大荷物で…」
「ん、まぁ少しな…じゃあ行こうか?」
「え、っと……どこに…かな?」
あぁ、そう言えば場所言ってなかったっけ…
「たまにはピクニックでもしようぜ、のんびりとさ」
「あ、いいね♪
…その為の荷物?」
「そんな所、ほらバス来たよ」
「あ、待ってよー!」
そのバスの中でも中を傷つけないように…そしてバレないように気を使っていた。
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「んー!いい天気だね~♪」
小高い草原に着いた梨子が背伸びをする。
「ほら、シート広げたから座ろ?」
「うんっ♪」
「それと…これ、お昼ご飯」
「えっ、悠くんの手作り…!?///」
「口に合うか分からないけど…」
「そ、そんなことないよ!いただきます!///」
勢いよくフタを開ける梨子。
「あっ…サンドイッチ…っ!///」
「いつも食べていたの知ってたからな
…ちなみに具はもちろん…」
「美味しい~…!♪」
説明の途中だったが既に梨子が口に運んでいた。
「あはは…それは良かったよ」
「…思えば、悠くんの手料理初めて食べたかも♪」
「喜んでもらえて良かったよ…早起きして作った甲斐があった」
「わ、わざわざそんな……でも、なんで?」
「ん、特に理由はないさ
…ただこうして、のんびりするのもいいかなってさ」
「うんっ、そうだね♪」
……………なんて言うのは建前である。
本当はプレゼントを渡すための……。
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お昼を食べ終わった俺と梨子。
シートの上で女の子座りをしてる梨子に膝枕をしてもらっている。
「……平和だな」
「ふふっ、そうだね♪」
「……なんか…眠くなってきたな…」
「そうだね…心地、良くなって陽気だから…ね…」
「膝枕したまま寝るのは…辛いだろ?
横になれよ……腕で枕してやるから…」
「じゃあ…お言葉に甘えようかな…///」
横になった俺と梨子は静かに寝息を立て眠りについた。
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「───────っ!!!」
目が覚めると既に日が暮れていた。
「どわあああああ!梨子起きろぉ!」
「んん~…なーにーぃ…?///」
「寝過ごした!」
「えっ…?
…あっ、私ったらつい…!!///」
焦ってキョロキョロする梨子を見て俺は思わず吹いてしまった。
「ぷっ……はははっ…!」
「も、もー!笑わないでよー///」
「ごめんごめん…じゃあ、そろそろ…あっ…」
「…?
帰る、んだよね…?」
「空、見てみろよ」
「えっ…?」
梨子が上を見上げると…暗くなった空に星が輝いていた。
「わぁ……!」
「今日はよく晴れてたからな…星もよく見える」
「綺麗……///」
「…あの、さ…」
「…どうしたの?」
「…そのまま、上を見上げてて…10秒でいいから」
「???…こう…?」
ガサゴソとスポーツバックの中に入れた楽器ケースを取り出す。
「悠くん、一体どうし………」
「…………これ」
「…えっ…ゆ、悠くん…これって…!」
「…その…誕生日…おめでとう」
「し、知っててくれたの!?」
「その…なんだ、もっとカッコよく…プランとか考えたかったんだけど…ごめん、なんか不器用で…」
「ううん…っ、すっごく嬉しい…っ!」
受け取ったケースを大事そうに抱きしめる梨子。
「ねぇ…開けても…いいかな?」
「…お、おうっ」
中を開けると…そこに入ってたのは…。
「あっ……ビオラ…!」
「…ごめん、プレゼント何がいいかなって…色々考えてたんだけど…」
「これ…まさか、昨日早上がりしたのって…!」
「うん、そう…必死にプレゼント探しをしてて…」
「嬉しい…っ…ずっと大事にするからね…っ!///」
目にうっすら涙をうかべながらにこやかに笑う梨子。
それはどんな星よりも輝いていて…俺の目を釘付けにさせた。
梨子ちゃんはかわいい。
梨子ちゃんはAqoursのヒーリング。
梨子ちゃんは地味じゃない可愛い。
誕生日おめでとう!!