千歌ルート① ~貴方との将来 貴方の想い~
「………………………」
俺は千歌の部屋の前にいる。
ドアをノックするのを思わず躊躇う。
(こ、ここに来て怖気ついてる…)
いつも通りに話しかけようと深呼吸しリラックスをする。
普通に…普通に…。
コン……コンっ。
「はーい?」
「あ…千歌?俺だけど…」
「あ、悠くんっ♪
入っていいよ~っ」
逆に千歌の方はいつも通りの対応をしてくれた。
「…ごめんな、夜遅くに」
「ううん、大丈夫だよっ…それで…どうしたの?」
ベットに座ってる千歌の横に腰掛ける。
首を傾げながらこちらを見つめる千歌。
「…あの…さ…」
「………………???」
「…その…お、お腹空いちゃってさ~!」
「あははっ、悠くん変なの~っ♪」
ケラケラと笑いながら千歌はミカンを取り出した。
「はいっ、ミカン食べる?♪」
「……その……っ」
しかし、その手をこちらに引っ張り千歌を抱き締める。
「わわわっ!!///」
「その───俺は…''千歌…お前が欲しい''」
「……ふぇっ?///」
何事かわからない千歌は、顔を真っ赤にさせてこちらを見る。
「…この意味…分かる?」
「え、えっと……気分が舞い上がっちゃったとか…?///」
「…いや、そうじゃなくて…千歌の事が…欲しい」
「…悠…くん…っ…///」
思わず抱きしめる力が強くなる。
「────好きだ…千歌…俺と、付き合ってくれ」
「──────────っ!!!!///」
目を大きく見開いて言葉を失う千歌。
俺の言った事を理解するのに時間がかかっているようだ。
「悠……くん…っ…///」
ポロポロと千歌が涙を流した。
「これからは…ずっとそばにいてくれ
絶対に…千歌の事、離さないから」
「悠…くんっ…!!///」
嬉しさのあまり俺の胸元で泣き叫ぶ千歌。
それを優しく諭す。
「うんっ…!
私、も…悠くんの事…っ…大好き…っ!!///」
「…へへっ、やっと言えた…」
「その…悠…くん…なんで…千歌が…いいの…?///」
「やっぱり一番近くにいたのが…千歌だったからな
辛い時も嬉しい時も…悲しい時も、楽しい時も…いつだって千歌はそばにいてくれた。
それが何よりも嬉しくて…幸せだった。
だから…もっとそばにいたい…千歌と色んなことを…共有したいって」
「悠くん…///」
「答えを出すのに…時間がかかって…ごめんな」
「ううん…これから、2人で幸せな時間…
作っていこうね…♡///」
静かに瞳を閉じ…唇を重ねた俺と千歌。
これが…恋人として…初めてのキス。
「…不思議……なんだか、くすぐったい感じがするよ…///」
「奇遇だな…俺も」
「悠くん…///」
幸せそうな顔をしながら、千歌が擦り寄ってくる。
「…千歌…」
頭を撫でると千歌が満面の笑みを浮かべた。
……これからも、この笑顔を守っていこうと…俺はこの時固く心に誓った。
────────────────────
「…と、言うわけで…私、高海千歌は…悠くんとお付き合いすることになりました…///」
次の日の朝、千歌が志満さんと美渡さん…そして千歌のお母さんに報告をした。
「あらあら~、今日はお赤飯かしら~♪」
「なんだ、やっと付き合ったのか…じれったくて仕方なかったんだぞ~?」
「悠くんっ、不束者の千歌を…よろしくお願いしますね♪」
「…はい、必ず幸せにさせます」
「悠くん…♡///」
「これは部屋の換気の回数も増えるかしら~…♪」
「えっ、し、志満姉…?///」
「あら、やだ…しいたけが鳴いてる気がするわ~♪」
どうやら…筒抜けだったらしい。
俺と千歌は顔を見合わせおもらず苦笑いを浮かべた。
「…あ、そうだ…」
懐から携帯を取り出す。
連絡するのはただ1人…。
「……もしもし、母さん?」
【朝から連絡なんて珍しいわね…どうしたの?】
「…いや、大したことじゃないけど…千歌と付き合うことになったから…報告を…」
【あー、やっとーーー?…んー、じゃあ千歌ちゃんと代わって?】
「千歌、母さんが電話したいって」
携帯を差し出すと千歌が電話に出た。
「は、はいっ、高海千歌ですっ」
【ウチのバカ息子の事、よろしく頼むわね】
「こ、こちらこそ…私なんかで良ければ…よろしくお願いしますっ」
【あははっ、千歌ちゃん可愛いし大丈夫よ~♪
…それで、式はいつ挙げるのかしら?】
「な、なななっ!///
また気が早いですよっ!///」
顔を赤くしながら電話越しの母さんに向かって猛反論する千歌。
…多分ろくなこと言ってないんだろうなぁ…。
────────────────────
学校に向かう途中…。
「…ねっ、悠くん♪」
「ん、どうした?」
「その………手、繋ご?///」
すっと千歌が手を握ってくる。
「…うんっ、もちろん」
「えへへ…なんか幸せすぎて…夢見たい…///」
「夢じゃ困るけどな」
「だ、だって…千歌は絶対に恋人なんか出来ないんだろうな~…って思ってたし…///」
「そんなことないよ…千歌、可愛いし」
「ゆ、悠くんだってカッコいいもん!///」
「……押し倒したくなってきたわ」
「い、いくら千歌のことが欲しいって言ってたけど…朝からはダメだよぉ……///」
「…なんか、これは…」
「梨子ちゃん、それは胸に留めておこうよ…!」
((バカップルみたい…!!))
曜と梨子の考えてることは見事に一致していたようだ。
────────────────────
「おぉ~…千歌ちゃんと悠さん付き合ったみたいずら~♪」
「お似合いだよねっ♪」
「ある意味お似合いすぎて周りまで恥ずかしくなるわ…」
「そう言えばねっ♪
鞠莉ちゃんに言ったらお祝いしてくれるって!♪」
「ホントに?じゃあ、せっかくだしお言葉に甘えようか?」
「うんっ!///」
千歌は結局、教室に入ってからもずっと俺の傍にくっついていた。
周りからは…。
(子犬みたい…!)
(幸せそうだなぁ…)
((バカップル…))
と、羨ましそう?な目で見られていた。
───────────────────
放課後、淡島ホテルで鞠莉がお祝いのパーティを開いてくれた。
果南からは幼なじみの事、よろしく頼むね♪と言われ
千歌も思わず嬉し涙を流していた。
ダイヤからは順序はちゃんと守るように釘を刺されていたが…。
もちろん、俺と千歌の間ではそんな忠告も素通りで…。
「…悠くん…一緒に…寝よ?///」
「…千歌…おいで」
パーティーも終わり、十千万に帰ると、千歌が俺の部屋に訪れた。
もちろん、一緒に寝るからだ。
「…えへへっ…お邪魔します…♡///」
嬉しそうにベットに入る千歌。
そのまま俺の腕に頭を乗っける。
「…ねぇ…悠くん?」
「…ん、どうした?」
「んーん…呼んだだけ///」
「なんだ、この可愛いやつめっ…」
「きゃー///」
顎の下あたりをくすぐると千歌は可愛らしい悲鳴をあげた。
「…もっと…していいんだよ?///」
「…誘ってるのか?」
「だって…悠くんに…全部あげるって…私も思ったんだよ…?///
千歌が欲しいって言われた時…すっごく嬉しくって…悠くんになら…頭の先から…足まで全部全部…悠くんの物だよって…///」
「千歌……」
「だから……沢山…愛して…?///」
「…ああ、もちろんだ……大好きだよ、千歌」
「私も…悠くんの事…だぁい好き…///」
優しく引き寄せると千歌が目をうるわせて俺の服を掴む。
重ね合わせた体の温もりは…ほのかに温かく…お互いの鼓動が分かるようだった。
千歌ルート②に続きます!
評価・感想・お気に入り登録よろしくお願いします!