Aqoursな日々   作:A×K

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せつ菜可愛い!!!!!


善子ルート② ~危機回避~

「うん、右足首の骨折だね

…というか、何をしたらこんな風になるの?」

 

「…えっと…」

病室で横になりながらブラインダーを持った医者がそう告げた。

診断の結果は───────骨折。

全治2~3ヶ月…との事。

………………善子はと言うと…。

 

「………………」

俺に突き飛ばされて尻もちをついてすり傷を負ったが

大事には至ってない。

 

「…とりあえず、先方の人と話してくるよ」

「あぁ…ごめん、母さん」

 

そう言うと医者と共に病室を後にした母さん。

…部屋には俺と善子の2人。

 

「……ふう」

「…………………………」

 

原因は…縛っていた縄の腐敗だそうだ。

間一髪、善子を突き飛ばして…俺の右足はそのまま倒れてきた木材の下敷きに。

 

「…いやぁ、この先寝たきりかぁ…体なまりそうだよなぁ…」

「……………なんで……」

「…ん?」

「なんで…………助けたの…」

「助けない理由がないだろ?」

「でも…貴方の足が…………」

衝撃で覚えてなかったが…救急車を呼んだのは善子だったみたいだ。

…激痛すぎて覚えてなかったんだけど…。

「…こんなので済んだだけマシだよ…痛いけどな」

「…ごめん…なさい……」

俯いて泣きそうな顔をする善子。

…やれやれ、これじゃあ余計に治りが悪くなるな…。

 

「…そんな顔すんなよ、善子」

「……あっ……………」

抱き寄せた善子が驚いた顔をしたまま…俺の腕に収まった。

「……無事でよかった」

「……悠……………」

「…なんで、上の空だったの?」

「…その…考え事してて…」

「考え事?」

「…うん……なんで…貴方と一緒だと…私の…不幸体質が…そこまで…感じないのかな…って…」

「…善子……」

「…でも、これじゃあ…一緒に居ても…貴方を不幸に…」

「ばーか、何言ってんだっ」

「いたっ…!」

 

デコピンをすると目を瞑り、おでこを押さえる善子。

「な、なにするのよ…っ!」

「たとえお前がどれだけ不幸体質だろうが…そんなの関係ねぇよ

お前が不幸体質でも…俺が幸運体質なら…プラスマイナスゼロ…だろ?」

「そ、そんなこと…分からないじゃない…っ」

「分からないからこそ…全部俺に任せてみろよ

どんな不幸も…受け止めてやるからよ」

「なんで……なんでそこまで…っ」

「……わかんね、けど………善子のことが…好きだから…かもな」

「…っ……こんな、時に……ずるいわよ…っ!」

「ずるいったって…事実、善子の事は心配だし…

…いや、ぶっちゃけ…好きだし…」

「……なによ…こんな時に…っ…

そんなこと言われたら…私…どうしたら…っ…!」

「…だから言ったろ?…全部受け止めてやるってよ」

「…バカね……本当に…」

「馬鹿でもお前の事、守ってやるよ」

「…ありがとう…悠…私…少しだけ…心が軽くなった気がするわ…」

 

ニコッと笑った善子。

いつもの堕天使ヨハネとしての笑顔ではなく…一人の女の子善子としての笑顔だった。

 

 

「あー!悠くんの病室ここだよー!」

「千歌ちゃんっ、病院では静かにだよっ」

「およ?みんなお見舞いに来たのかな?」

「…っ……こ、こほん…っ!

…飲み物、買ってきてあげるわ」

 

「あ、善子…っ!?」

「あれっ、善子ちゃん居たの?」

「ええ、先にお見舞いに来ていたわ」

「やっほ、悠くんっ!」

 

「…千歌ー、病室では静かにな?」

「えへへ…つい………って、なんか凄い光景だね…」

「だろー?…これ、すごい痛いんだぜ…」

「というか、悠くん…結構いつも通りな感じなんだね…」

「んー、痛いけどな……というか、横になりっぱなしなのが退屈っていうか…」

「あはは、悠くんらしいね♪」

 

 

───────────────────

 

 

「…………………」

自動販売機で購入した飲み物を抱きしめる。

 

正直、逃げるように病室を出てきたのは確かだ。

あんなこと言われたら……どうしていいか分からない…。

 

(好き……か……悠が…私の事…を………)

返事が出せずに…病室を出てきた。

多分、本人も気がついているだろう。

 

(ごめんなさい…悠…返事は…まだ…返せない…

けど……私も…あなたのこと…)

…少し…私も…変わってみよう…かな…。

彼の…気持ちに…答えられるように…。

 

 

 

 

─────────────────

 

数日後……

 

 

 

「んー……携帯をいじるのもさすがに何日も経つと飽きるなぁ…」

外で思い切り走り回りたい…。

と言うか浦の星の教室が恋しい…。

 

「…ん、善子から連絡だ……この後お見舞い来る、か…」

なんだかんだ言いながら善子は毎日お見舞いに来てくれてる。

…そう言えば…告白…?の返事がまだ聞いてないな…。

…まぁ、急ぐものでもないよな…本人にも考える時間が必要だし…。

 

 

ガラガラ…っ

(ん………来たかな?)

 

「…おじゃま…します」

「…よ、善子…???」

コンビニの袋を持って善子が病室に来たが…

なにか様子がおかしい。

 

「…どうした?」

「何が…ですか?」

「いや、ですかって……」

口調というか……立ち振る舞いというか…。

 

「…なにかあったの?」

「…いえ、何もありませんよ…♪」

「…だあああ、調子狂うよ!!

どうしたの、ヨハ子!」

「ヨハ子ってなによ!……うぅ、せっかく変わろうって思ってたのに…」

「…え?」

「…その…なりたいのよ…あなたに相応しい彼女に…///」

「…え?」

「…ダメ…かしら?」

「…何かと思えば…そんなの、もうなってるよ

俺の最高の彼女に……」

 

抱きしめると、善子が抱き返して来たのが背中越しに伝わった。

「……いつも貴方には…適わないわね…」

「ふふん、これでも年上だからな」

「…その……完治するまで…ずっと待ってるわ…」

「おうっ、頑張って治すからな」

 

 

早く治して…善子の隣を歩きたい。

その一心で俺は治療に向き合った…。




次回、善子ルート最終話!

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