ところでCHASE!…いい曲ですよね…
ある日のこと……校内放送で理事長こと…
鞠莉から呼び出された。
授業中もお構い無しに呼び出すのはさすがに勘弁してくれ…
周りからはパパとか呼ばれるし…(主に千歌から)
「鞠莉~…どうした~?」
「あ、悠♪
久しぶりだねっ」
「果南…!…それにダイヤも…!」
「卒業式ぶりですわね…悠さん」
そこには果南とダイヤの姿があった。
「…鞠莉…どうしたの?」
「まだこの2人には報告してなかったから…今しようかなって♪」
…………え?
「……それって………………」
「果南…ダイヤ…実はね…………………」
…………………………
「えええええええ~っ…!!??」
「はああああああ~!?!?!?」
「えへへ…報告が遅れて…sorry…♪」
「ゆっ、ゆゆゆゆっ、悠…が…お父さんに…!?」
「…えーーっと………」
「ど、どういうことですか…っ!!?
あれほど秩序を守ってと…!///」
「ど…………どういうことだろう……?」
「2人ともリラックス、リラックス…まぁ、悠も意図的に…って訳じゃないんだし…」
「そ、それにしても…!」
「……まぁ…確かに…結婚はできる歳ではありますが…」
「ええっ、ダイヤ納得した……!?」
「…それで、鞠莉さん…これからどうするのですか?」
「それを悠に伝えるところよ♪」
そういうと鞠莉が俺の手を掴みにっこりと笑った。
「行きましょ?♪」
「………どこに?」
「ふふーん、そーれーはー♪」
…なにやら校庭が騒がしい。
手を引かれ…校庭に着くと…そこには…。
「なっ──────────」
「このhelicopterに乗れば分かるわ~っ!♪」
自家用なのだろうか…ヘリコプターが着陸していた。
「ど、どこに行こうって言うの…っ…!?…うわああ!」
ずいずいと押されるようにヘリコプターに乗せられた。
後を追うように鞠莉も乗ってきた。
「じゃぁ、行きましょ!♪
いざ、イタリアへ……シャイニーっ!♪」
「はあああああああああああ!?!?!?」
驚きの声も空へと消え…ヘリコプターは離陸してしまった…。
「…悠って、絶対尻に敷かれそうだよね…」
「ええ…鞠莉さんが相手なら…尚更そうなりそうですわ」
「あっ、果南ちゃん!それにダイヤさんも!
…なんかヘリコプターの音がしたけど…あれは…?」
「…えぇっと…悠が鞠莉と一緒に…イタリアに…」
「…………………………え?」
ええぇぇえええええ…!!!…………と今度は千歌の声が校庭に響き渡るのであった…。
─────────────────
「ちょ、ちょっと!イタリアってどういうこと!?」
「wait…wait…順番に説明するわ」
空高く外の風景を見ながら…鞠莉がゆっくり話し始めた。
「…これから…ママの所に行くわ」
「……えっ……鞠莉の…お母さんのところ?」
「そうよ、イタリアの家を飛び出して…内浦に来て以来の…顔合わせよ」
「…そ、そうだったの…!?」
「…まぁ、あんまり良くは思われてないし…顔を合わせたら何を言われるかもわかんない…ましてや、私のお腹に…なんて、言えないし…」
「……鞠莉」
「…あっ…sorry……マリーも…少し、怖くって…」
俯いて唇を噛み締める鞠莉。
……いつかは、こうやって報告しなきゃいけない日が来るって…鞠莉も分かってたんだろう。
「…大丈夫…月並みな事しか言えないけど…俺がついてるよ」
「…悠……ええ、ありがとう」
「…でも、イタリアに行くのに手ぶらって…」
「あ、それなら平気よ♪
既に悠の衣類や使いそうな物は持ってきてあるし♪」
「…用意周到なことで…」
─────────────────
なっがいことヘリコプターに乗ること…13時間。
イタリアに着いた。
とりあえず、今日はホテルに泊まり…明日、鞠莉のお母さんと顔合わせをするようだ。
「…ふふっ、まさか悠とホテルで一緒に過ごすなんてね♪」
「計画してヘリに乗り込ませたのは鞠莉だろ……
ってか…その格好…」
「あら、嫌いかしら?…ネグリジェって言うのだけど…」
「…いや…薄すぎない…?」
もはや下着とか全然見えてるんだけど…。
「もぅ、そんなこと…気にするような間柄じゃないでしょ?///」
「そ、そうだけど…っ」
「夜はまだ長いわ……今日はマリーと一緒に…ね?///」
………据え膳食わぬは男の恥…ってか。
「…寝かさないからな?」
「きゃーっ…///…マリー…悠のこと本気にさせちゃった…♪」
色っぽい声とともにどこか体をくねらす鞠莉だった…。
結局、俺と鞠莉は夜更かしをした…。
恋人として…する、初めての交わりだった。
──────────────────
──────────次の日。
「…さっ、悠…準備出来たかしら?」
「出来たけど…なんでスーツなんだ?」
それも3年生の3人からプレゼントしてもらった時の…。
「あら、スーツはジェントルマンの嗜みよ?
…と言うのは建前で…本当はマリーが一番先に…悠のスーツ姿を見たかったって言うのが…本音よ♪」
「…鞠莉……でも、俺ジェントルマンじゃないけど…」
「日本で言わない?…変態紳士って」
「誰が変態紳士だ!!…………って、間違ってないのか……???」
むむむ…?と考え込む姿を見て鞠莉が思わず吹き出す。
「ふふっ…良かった…いつもの悠ね♪」
「鞠莉こそ、いつもの鞠莉だな」
「ええ、悠のおかげでね?…行きましょ?」
鞠莉と一緒に来た所は…いかにも高そうなレストランだった。
通された部屋は……VIPルーム。
(さすが……小原家…)
扉を開くと…そこには、赤いスーツを着た。
正しく、貴婦人が座っていた。
「……久しぶりね、マリー」
「…ママ……」
「…と、そこに居るのが…御相手?」
その質問に鞠莉が頷く。
「…立っているのも疲れるでしょ?座りなさい?」
その言葉に俺と鞠莉は鞠莉のお母さんと向かい合うように座った…ものつかの間。
「…困るわ、お見合いの話が最終段階に進んでるって言うのに」
…お見合い?
「ママ…それは…っ!!!」
何か言いたげだって鞠莉だが…隣にいる俺を見て…言葉を飲んだ。
「小原家に相応しい人を見つけたのに……家を勝手に飛び出して…それで見つけた相手が…メインディッシュに添えられた野菜のような男デスか?」
……む、なんか俺も癪に障る…。
「ママ……この人は…そんな人じゃない!
マリーが心から愛した人なの!…高校生活も…最後の3年生としての1年間をすごくかけがえのないものにしてくれた人なの!
…それを…そんな風に言うなんて…ママでも許さない!」
語気を強めに鞠莉が言う。
しかし、母親は断固として表情を変えない。
「…そもそも、貴方は日本に何をしに行ったの?
幼なじみと仲良しこよしをするため?」
「…っ…そんな…!」
「──────────あの」
手で鞠莉を制す。
……しっかり鞠莉に結んで貰ったネクタイを解いた。
正直、ネクタイ…首元キツくて嫌いなんだよな…。
「お言葉を返すようですけど……貴方は鞠莉が本当に日本で無駄な時間を過ごしたと思ってるんですか?」
「……YES、と言ったら?」
「だとしたら…それは大きな間違いです。
見当違いも甚だしいです
……鞠莉は本当に幸せそうな顔をしてました。
1番近くで見てきたから俺は分かります、誰よりも
そんな子が…自分から連絡もしなかった母親とこうやって顔を合わして…自分の好きな人を見つけたと報告したんですよ……親として…応援してあげるって…思わないですか?」
「……小原家の問題に首を突っ込まないで欲しいわね」
「……っ……いつまで…そんな意地張ってんだ……
親なら親らしく!!
自分の子供の幸せを願ってなんぼだろうが!!!!
可愛い子には旅をさせよって言うだろーが!!
今はまだ俺の事認めてねぇのかもしれないけど絶対に認めさせてやる!!」
「ゆ、悠…っ…?」
「…はぁ…はぁ……こっちだって…本気で好きになった女……簡単に諦めてたまるかよ…!」
「…っ………!///」
「……………………………」
小さくため息をついた鞠莉のお母さん。
「…分かったわ…ただ、まだ認めては…いないわ」
「ま、ママ…っ?」
「貴方…高校三年生…だったかしら?」
「……はい…」
「卒業したら…大学に行って経営学を学びなさい」
「…経営学…?」
「小原家に相応しい男性になるのだったら…ゆくゆくはホテルの経営などに携わってもらいます」
「…………………」
「マリー」
「…う、うんっ…」
「あなたも物好きね…こんな情熱的な人を好きになるなんて」
「……あっ…………」
「私と…小さな生命を…失望させないようにね」
「…気づいてたんですか…」
「マリーがお腹を何度も摩るのをみて…もしや、とね
…あなた達が本気で愛し合ってるのであれば…どうこういうつもりは無いわ」
「…………………」
「…じゃあ、私は行くわ…あとは2人でゆっくりランチでもしてゆっくりしてなさい」
そう言うと鞠莉のお母さんは部屋をあとにした。
「…これで…良かったのかな?」
「…分からない……けど…………」
ふふっと微笑む鞠莉。
「きっと…伝わったはず、よ…♪」
─────────────────
時はめぐり…12月。
「予定日はいつなの~?」
「んー、24日とかになりそうかしら?」
「クリスマスが誕生日~?いいなぁ~♪」
大きくなったお腹を擦りながら千歌が呟いた。
産まれてくる子供の名前…鞠莉も千歌に付けさせるのを了承した。
「…それで、千歌?
どんな名前にしたの?…男の子だけど」
「ふふーん、じゃじゃーん!」
筆で書かれた半紙には…''悠哉''と書かれていた。
「とっても良いわぁ~千歌っちに頼んで正解ね♪」
「…しかし、なんで悠って字を使ったんだ?」
「そりゃぁ、悠君のように誰かを引っ張って元気づける明るい子になって欲しいからだよ!」
「…親の名前を取って付けると親よりも大成しないって昔から言われてるんだけど…」
「………へ?…そうなの?
じゃあ、亜久亜(あくあ)とかの方が良かったかなぁ~?」
「…いや、悠哉でいい…」
千歌が十千万の手伝いで家に戻り…俺と鞠莉の2人きりになった。
「…悠哉…かぁ……となると…マリーも冴木鞠莉になるのかしら?」
「気が早いよ……せっかく大学受かったのに…」
あの後、猛勉強の末…名門大学に受かることが出来た。
…とはいえ、まだスタートラインにたったばかりだ。
「…期待してるわ、あなた♪」
…でも、鞠莉と2人で………いや、3人か。
千歌が言ったように鞠莉と…俺と鞠莉の子供を引っ張っていけるような存在になりたいと心から思う…俺だった。
鞠莉ルート
Fin
鞠莉のお母さんの口調が変ですがお許しください!!
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