ちょっと角度を変えた分岐ルートになればいいなぁーって思ってます
ダイヤルート ① ~宣戦布告は突然に~
【ダイヤ 視点】
───それは…突然の出来事でした。
浦の星女学院を卒業後…
鞠莉さんに呼び出され、私は淡島ホテルに向かいました。
(なんでしょう…また、突拍子もない提案とかで無ければ良いのですが…)
こういう時は大抵聞いてる人を悩ますような提案をするのが鞠莉さんのいいところでもあり、困ったところでもありますが…。
幼なじみながら、昔からそういうところは本当に読めない人であった。
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ホテルに着き、部屋の前でノックをする。
「鞠莉さん?入ってもよろしいでしょうか」
「ええ、大丈夫よ」
いつになく、神妙な声で返事が返ってきた。
「……?
失礼しますわ……」
中に入ると……そこには果南さんも居た。
「果南さんも呼び出されたのですか?」
「うん…要件はなんだか分からないんだけど…」
2人で鞠莉さんの方を見る。
じっと目を閉じたまま…一向に口を開こうとしない。
「あの、鞠莉さん…?
要件はなんですの?」
「…………………改めて…言わせてちょうだい」
「……?」
真剣な目付きに………変わった。
「ダイヤも果南も…昔からの親友だし…今もこうやって…仲良しでいられるのは…凄く嬉しいし幸せだわ」
「…あ、うん…?」
「…それが一体どうしたのですか…?」
「……でも……恋になったら…話は別、よ…」
「…………………」
「…………鞠莉さん……」
当てはまるワードは1つしかない……''悠さん''であると。
「私は全力で行かせてもらうわ…例え、幼馴染がライバルだとしても…」
「…聞き捨てなりませんわ、私も最初からそのつもりです!!」
「ちょ、ちょっと!喧嘩はダメだよっ!」
「…………………」
「……………………」
バチバチと目線を合わす私と鞠莉さんを見て果南さんがすぐに止めに入った。
「……まぁ、いいわ…私たちが張り切っていても仕方ないわ
…でも、私はそのつもり…って、ある意味宣戦布告…かしらね」
「…受けて立ちますわ…」
結局…そのまま、話はお開きとなってしまいました。
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シャーーー………………。
湯気が立ち込める中…一日の疲れを取る。
(…あんな真剣な鞠莉さん…初めて見ましたわ…)
それほど心を許し…一緒にいたいと思える人物なのでしょう…悠さんは。
もちろん、私も例外ではありません。
(……悠さん…貴方は…貴方から見て…私は…どう映っているのでしょうか…)
聞いてみたい…が、怖い気持ちと…不安な気持ちと…様々な感情が入り乱れる。
「……私には…そんな度胸…ありませんわ…」
小さく呟いた言葉は…シャワーの音でかき消された。
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【悠 視点】
「ん、電話…?
…果南からだ……もしもし?」
【あ、悠…今、大丈夫?】
「大丈夫だよ…どうしたの、夜遅くに電話なんか」
【…うん、ちょっと…聞いて欲しいことがあって…】
「………うん?」
……………………………………
「…なるほどねぇ…ダイヤが悩んでる…ねぇ…」
【うん…ちょっと、元気がないって言うか…考えているって言うか…(ホントは、口論した事が頭から離れないだけなんだろうけど…)】
「…ん、わかった。本人に聞いてみるよ」
【うんっ、ありがとうね…。
ダイヤも喜ぶと思うから…そうしてあげて…?】
「お礼なんて大丈夫だよ
俺に出来る事なら何でもしてあげたいしさ」
【……ねぇ、悠】
「…ん?」
「…真剣に…向き合ってあげて?」
「………………え?」
【ううん、それだけ!
夜遅くにごめんね!おやすみっ♪】
そう言うと果南からの電話は切れた。
(……向き合う…?……何に?)
俺にはその言葉の意味が…分からないままでいた。
次はダイヤと悠くんのお出かけ編!
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