曜ちゃんお泊まり回でございます!
「さっ、どうぞ♪」
「お、お邪魔します…」
曜に手招きされ、家の中へと案内される。
お母さんとお父さんに顔合わせしたがニヤニヤしながら口裏合わせて部屋へと消えていった。
曜も苦笑いしつつ自室に案内した。
「あんまり綺麗じゃないけど…どうぞ♪」
「いやいや…綺麗じゃん」
物がきちんと整理されている白を基調とした女の子らしい部屋。
カモメ…?のようなぬいぐるみや船に乗ってる幼い時の曜の写真などが飾ってあった。
「小さい頃から曜は可愛かったんだな」
「あっ、それは見ちゃだめ~!」
手をブンブン振りながら俺の目を遮る曜。
…そんなに見られたくないのだろうか?
「もー…あんまり女の子の部屋とかジロジロ見るものでもないよ?」
「あはは……ごめん」
「まだ、悠くんだから部屋にも入れるし許すけど…」
「何か言った?」
「なんにもない!…あ、そうだ。
ちょっとまってて?」
「?」
「いーから!目を隠して!」
曜に手を捕まれ、目を隠される。
奥の方でガサゴソと音がする。
布が擦れるような音もしたが何をしているんだろうか?
「えへへ…悠くん、目を開けていいよ♪」
「ん…曜、一体何を──────────」
目を開けると、ライブ衣装を身にまとった曜が居た。
「その服って…あの、講堂でライブした時の…」
それはAqoursになる前、スクールアイドル部として認めてもらう時にやったライブの際に使用した衣装だった。
「あんまり、悠くんに見てもらってなかったから…どう、かな?」
どうもなにも可愛すぎる。
これを曜を作ったと思うと改めて感心する。
次のライブも衣装は曜が作るのか…。
「…あ、そうだ
曜にお願いっていうか…」
「もう…悠くんにお願いされると弱いんだよね…」
…聞き方によると意味深に聞こえるがそこは素通りしよう。
「…この衣装、さ
3年生の3人分って…作れる?」
「…?
作れるけど…どうして?」
「あのライブでやった青空Jumping Heartを…9人で改めてやりたいなって」
「…9人で?」
「うん、あの曲もダンスも…9人でやったほうが絶対にいいなって…もちろん、ラブライブの予選が終わってから…だけど」
「そっか…悠くんの考えなら、私も協力するよ!
じゃあ、悠くんにも手伝ってもらおうかな♪」
「うん、任せてよ!」
「………ただ」
突然抱きつく曜。
いきなりの出来事に受け身が少し遅れた。
「…よ、曜…?」
「…今日は…私だけをずっと見ていて…欲しい、なって…」
「…曜?」
「…あはは、私らしくないって言うのは分かってるんだけど…」
「まぁ…曜がそう言うなら、いいよ…?」
「…うん、ありがとう…悠くん」
曜が抱き着いたまま時間だけがすぎていく。
心無しか、2人の鼓動が早くなっているのがわかるような気がした。
…曜も…ドキドキしている、のか?
でも…俺もしている…のか?
「…ありがとうね、悠くん
悠くんといるとね…すごく落ち着くの」
「…そ、そうなんだ」
「多分、私だけじゃなくて千歌ちゃんや梨子ちゃん…みんながそう思ってるはずだよ」
「…そ、そうなのか…」
自覚がなかった。
むしろ、みんなそんなことを言わないから気がつかなかった。
「…だから、悠くんもこれから私たちを…支えてね?」
「もちろん、当たり前じゃん」
「悠くん…ありがとう♪」
ぱっと離れるといつもの曜に戻った。
「さっ!ライブ衣装のアイデア出そうよ!♪」
「おいおい…もう11時だよ?」
「今日は寝かさないよー!♪」
ライブに向けた衣装作りが始まった…のはいいのだが。
「…なんで、衣装のままで居るの?」
「…悠くん、こういうのが好きなのかなーって」
「好きだけど…目のやり場に困るからやめて…」
「ほらほらー…こういうのがいいの~?」
子犬のように腕にすりつく曜。
しかし、自分がやった行為に恥ずかしくなったのか顔を赤くしたままライブ衣装のアイデア計画が始まった。
──────────結局、ライブ衣装を着替えたのは案がまとまった時だった。