「………えっ、ラブライブの予選が、ですか…?」
「えぇ…奇しくも、浦の星の学校説明会と重なってしまいまして…」
放課後、部室に集めまれたメンバー。
そこで話されたのは浦の星女学院の学校説明会とラブライブ二次予選の日程がぶつかったという事実。
「……………………」
昼休みにあった出来事で善子は顔すら合わせない。
「雨で学校説明会が延期になってね…
そもそも、生徒会長とか理事長がいない学校説明会っていうのも変でしょ?」
「…た、確かに…でもラブライブ二次予選は…?」
「…問題は…そこですわ」
机に地図を広げるダイヤ。
「浦の星の場所は…ここですわ」
「そして…ラブライブ二次予選の場所は、ここ」
「よりによってこんな辺地に…」
明らかに場所は離れていた。
「ま、鞠莉ちゃんのお父さんのヘリコプターで~!」
「OK~♪……な、訳ないでしょ?」
「…あはは…やっぱり…?」
「それなら~…善子ちゃんの堕天使の翼で」
「……えっ!?……あ、そ、そうね…っ
ヨハネのくらい翼で……!」
「…コホン…唯一、方法があります」
腕組をしながら淡々と話すダイヤ。
「ラブライブ二次予選の順番は、抽選で決められますわ
…そこで1番目を出せば…なんとか学校説明会には間に合いますわ
…かなり、タイトにはなりますが」
「……4人と、5人で分ける…とかは?」
曜が提案をする。
「…でも、それでAqoursって呼べるのかしら?」
すぐさま善子が反論する。
「「「………………」」」
部室に重い雰囲気が流れる。
「…千歌ちゃん、どうする…?」
「…ううーん………」
珍しく難しい顔をする千歌。
結局、この日に結論までは至らなかった。
────────────────────
…ダメね…アイツの顔、まともに見れない。
昼休みが終わろうとしてるのにズラ丸が帰ってこないから心配になって様子を見に行ったら…。
「それなら~善子ちゃんの堕天使の翼で」
「……えっ!?……あ、そ、そうね…っ
ヨハネのくらい翼で……!」
…ズラ丸…アンタはなんでそんなに普通で居られるの…?
…あの男の本性…見たんじゃないの?
──────────男なんて…所詮そんなことしか考えてない。
「…確かめなくちゃ…」
「えっ?善子ちゃん…何か言った?」
「何でもないわ、リトルデーモンルビィ」
────────────────────
「……それで、なんで俺をこんなところに呼び出したんだ?」
公園に連れてこられた。
連れてきた相手こそ……善子だった。
「…単刀直入に聞くわ
今日の昼休みの件…どういうこと、かしら」
「……どうもこうも…俺はただ単に…」
「ただ単に…何かしら?」
「花丸が俺の事好きって言ってくれて…その気持ちを受け止めようとした…だけ、だよ」
「…っ……なによ…それ…それが癪に障るのよ…!」
────────────────────
公園に私の大きな声が響いたのが感じた。
言われた方も吃驚とした顔を隠せなかった。
言った私も何故こんな言い方をしたのか分からなかった。
……何を…焦っているんだろう…。
…どうして、こんなに他の人と関わってることが気がかりになるんだろう…そんな思いばっかり頭を巡っていた。
…私も…彼のことは好き。
もちろん、襲うなんてしないと思ってた。
だけど…あんな場面見たら…。
「……羨ましいって…私の事も見て欲しいって…思うでしょ…!」
────────────────────
──────羨ましい、私の事も見て欲しい。
それが善子から聞いた本心だった。
花丸にヤキモチ妬いていたのだろう。
ただ、自分はそれが言えなかった。
言いたかったけど、勇気がなかったのだろう。
「…善子」
「……うぐっ…ぅ…な、なによ…っ…」
…善子が泣いている姿を見たのはこれが2度目、だった。
…そう言えば…1回目も…同じような内容、だったっけな…。
「…すまん、気がついてやれなくて」
「…ばか…ほんとにばか…っ…」
「何度でも言ってくれや、それで善子の気が済むなら」
「……ホントのバカなのに…なんで見て欲しいなんて…思うのかしら…っ…」
「……そういう気持ちは…もっと俺に伝えて良いんだからな?
…別に恥ずかしいことでも間違ってる事でもないんだからさ?」
「……なによ…リトルデーモンのくせに…生意気よ…っ」
泣きじゃくっていた善子が顔を拭き、舌を出した。
「これはこれは…堕天使様に無礼を与えてしまって…申し訳ない」
「ひゃっ…!」
こちらに寄せ、抱きしめる。
まだ公園にいる人が見ていたが、そんなの気にしない。
「…り、リトルデーモン…!?
貴方…何を…!」
「…善子、こういう時は普通名前じゃない?」
「…うっ……ゆ、悠…」
「あはは、一応先輩なんだけどなぁ…まぁ、その方が善子らしいかっ」
「…ごめんなさい、取り乱して…」
「ううん、悪いのは俺の方だから」
「…ほんっと…ばかでお人好しよね…悠って」
「そうかなぁ?」
「自覚なし…か…
はぁ…なんか1人でモヤモヤ考えてたのが馬鹿みたい…」
「これからは1人でなんか考えるなよ…な?」
「…分かったわ…これからは…悠に頼る…わね?」
「おうっ!
…それじゃ、帰ろうか?」
「……………待って!」
カバンを持ち帰路に就こうとしたが、善子に止められた。
「…ん、なに?」
「……その……大好きよ!//////」
その一言を言った後、逃げるように公園を後にする善子。
そこで見せた夕陽のように真っ赤な顔は俺の脳裏に鮮明に焼き付いていた。
…たまにはこういう展開も良いだろぉ~?
ワイルドだぜェ~←
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