…涙腺崩壊注意されたし!!!!!!
「…よしっ」
深呼吸を1つし、部室の扉を開ける。
そこには、学園祭用のライブ以上に身を包んだAqoursのメンバーが揃っていた。
「えへへっ、悠くんどうどう?♪」
「似合ってるよ、千歌も…みんなもね!」
「こうして、悠さんと一緒にライブが出来る日が来るなんて…」
「ダイヤ、感極まるのは早いよ…ライブを成功させてからね!」
「はいっ、これ悠くんの衣装!」
渡されたのは1枚のTシャツと上着。
他のメンバーはへそを出したり、スパッツを履いたりとかなり動きやすさ重視のようだった。
「これは…Yと…星?」
「Yはもちろん、悠くんのイニシャルだよ!
星マークは…Aqoursのリーダーって意味!♪」
なるほど、梨子のスカートにもRの文字があった。
「AqoursのペアTシャツか…ライブが終わっても大事にするよ」
「もっちろん!♪」
「…さっ、そろそろライブの時間だよ!♪」
果南の一言でAqoursのメンバー全員で手を重ねた。
もちろん、そこには俺の手も重なっていた。
「…悠くん、なにか一言♪」
「えっ…それはいつも千歌が……………」
「今回は悠くんも参加するんだよ?…だったら悠くんが言わないと♪」
その言葉に他のみんなも頷いた。
「こりゃあ…責任重大だな…
…よし、じゃあみんな……今日もたくさんの輝きと…笑顔と…勇気を届けよう…!
学園祭…盛り上げていくよ!Aqours!」
「「「サンシャイン~!!!」」」
──────────────────
体育館に並べられた椅子には生徒を始め、保護者の方もたくさん見えた。
「…なんかあの時と似てるな」
「あの時…?」
「初めて講堂でライブした時…やっぱり満員の観客の前でライブするのは…いいな」
「…その時から…悠くんがAqoursのみんなや…千歌を引っ張ってくれてたんだよ」
「…そうですわ、それがあったからこそ」
「地区大会も勝ち進めたし」
「Aqoursのpowerも高まったわね♪」
「悩んだ時も…」
「落ち込んでいた時も…」
「悠さんが励ましてくれたずらっ♪」
「だから悠さんも一緒に…ガンバルビィっ!♪」
「今回は…リトルデーモンのお膳立てをしてあげるわ♪」
「…みんな……………うんっ!行こう!」
こうして、俺とAqoursのみんなでの最初で最後のライブが始まった。
各パートそれぞれの個性を発揮し、歌声を響かせる。
もちろん、俺のパートもある。
歌には自信があった、それは梨子の折り紙付きだし。
(やっぱり悠くんがいることで…ライブが自然と盛り上がってく…!)
(この歌声を…もっと聞いていたい…!)
千歌と梨子が背中を優しく押してくれた。
こんな振り付け…予定にはなかったんだけど…。
そして、いよいよサビに入る前に…最大の見せ場…。
バク転にさしかかろうとしていた。
…正直いえば…怖い。
出来るかも半信半疑だ。
…だけど、やると決めたからには…腹括ってやるしかない…!
Aqoursのみんながうつ伏せになる。
覚悟を決めて目線を一点に絞る。
助走をつけて…体を横に回転させるっ!
…たしか…果南がロンダートって言ってたっけな…?
そのままの勢いで…!!!
(あれ…っ…俺今…宙に浮いてる…?)
回転してる感覚とともに目線が床を向いていたのがわかった。
──────回ってるはずなのに…時間がゆっくりと感じる…。
あっ…これって…''ゾーン''入ってる…。
次の瞬間、足はしっかりと地面に着地していた。
「…っ……!!」
嬉しさを爆発しそうになった千歌がなんとか思い留まって歌うのを続けた。
他のみんなも、やった!という喜びの顔を浮かべていた。
(あっ…やった…成功した…)
当の本人は驚きを隠せない様子だが……………。
学園祭のオリジナルライブ
MIRACLE WAVEは
大きな盛り上がりのまま大成功を収めた。
ライブ後はみんなからハイタッチやハグ攻めにあったりと大変だったが、こうやって成功できたのも…Aqoursのみんなのおかげかもしれない。
──────────────────
ライブが終わり、着替えて部室に戻った。
打ち上げすると千歌が言ってたので、その準備をするためだった。
…しかし。
「…ん、あれ…誰もいない?」
部室は誰もおらず静まり返っていた。
「…おっかしいな…俺が最後に着替えたからみんな先に戻ってるはずなんだけど…」
すると、携帯にメッセージ通知の音がした。
差出人は千歌だった。
【大変大変!体育館に今すぐ来て!】
「…ん?」
体育館?もう片付けしたし誰もいないはずなんだけど…。
部室を後にし、体育館に向かうことに。
──────────────────
体育館の扉を開けると…中は暗かった。
「…千歌居ないじゃん…」
「ここにいるよ」
声は舞台の方からしてきた。
「…悠くん、そこに座って?」
舞台の前には椅子がひとつ、置いてあった。
…ここに…座れってことかな?
というか、千歌の姿が舞台の幕があって見えないだけど…。
「…座ったけど…一体どうしたの?」
「……悠くん、これから…悠くんにだけに…届ける…スペシャルライブを…開催するよ!」
「…えっ?」
…スペシャルライブ…?
……俺だけに…?
言ってる意味がちんぷんかんぷんだった。
すると、舞台の幕が徐々に開いていき…そこには、先程とは違う衣装に身を包んだAqoursのみんなが立っていた。
「みんな…!」
「…いつもは…たくさんの人に、私たちのライブを届けてきたけど…」
「…今日は、悠くんだけに…私たちの気持ちを」
「日頃の…感謝と、お礼を込めて…」
「ライブを…披露しようと…思ってますっ」
「マリーたち、AqoursのShinyでpowerfulなライブを」
「ぜひ…悠さんの目に…焼き付けて欲しいですわ」
「みんな…どうして…」
「…発案者は、千歌ちゃんだよっ」
遡ること…1か月前…。(52話参照)
──────────
「あっ、そうだ…曜ちゃん?」
「ん?何かな果南ちゃん?」
「実はね……ひそひそ……」
「えっ、悠くんに送るライブ?」
「しーっ、悠にはまだ内緒だよ?
千歌がね、悠にだけオリジナルのライブを…見せたいって」
「…千歌ちゃんが、考えそうなこと、だね♪」
「もちろん、私も大賛成なんだけど…曜ちゃんは?」
「ヨーソロ!♪了解であります!」
「うんっ、じゃあ悠に気付かれないように内緒で計画進めようね♪」
─────────────────
「……だから、今日…学園祭が終わったら…悠くんにだけ…見て欲しかったの…」
「…千歌…………」
「これが…私たちAqoursの気持ち…
聞いてください……''No.10''…」
「…っ……!」
10番…それは、俺の番号だった。
昔…千歌が言ってたな…。
俺もAqoursのメンバーなんだから…掛け声は10番だよ、と……。
「あいつ…あの時の言葉…覚えてたのか…」
彼女達の歌声とダンスが体育館に響く中…静かに聞いてた俺の目には…自然と涙が流れていた。
「…ここまで来れたもの…全部、悠くんが居てくれたおかげです」
「支えてくれて…ありがとう」
「そして…これからも…Aqoursのそばにいてください」
「私たちが1番輝いてる姿を見せたいのは…」
「リーダーである…悠さん、ですわ」
「マリーたちの気持ちは…」
「これからも、ずっとずっと…変わりませんっ」
「まる達は…悠さんの…事が…」
「ずっとずっと…大好き、なんだからねっ」
千歌…梨子…曜…果南…ダイヤ
…鞠莉…ルビィ…花丸…善子…みんなの想いと、歌と、ダンスは…俺の心を確かに奪った。
一生忘れることは無い…Aqoursのみんなが…歌ってくれた…このライブは…絶対に忘れたりしない。
俺はこれからも…Aqoursのリーダーで居たい。
そう強く願った…スペシャルライブだった。
たまには感動系もいいよねぇ…!
(この話は52話目位からずっと温めていた←)
悠くんも涙流しちゃうの、男の子だもん←
評価・感想・お気に入り登録よろしくお願いします!