コイゴコロプラグイン
きっかけは恋愛漫画を読んでいて思い付いたことだった。
ヒロインの女の子がヒーローの男の子と目が合うと、恥ずかしくなって目を逸らしちゃって、男の子は嫌われたと勘違いしてショックを受けるってやつ。
それを見て、実際に起きたら面白そうって思って。
それで、指揮官に好意を持ってることを条件として発症するウイルスを作ってみた。名付けて『コイゴコロプラグイン』。効能は指揮官と目が合うと自動的に目を逸らしますってだけのジョークウイルス。なーんの危険性もございません。
ただ、パパっと作ったものだったし、完成したらなんか満足しちゃって、テキトーなファイルに突っ込んで凍結して放置してた。
してたはず、なんだけど。
「……ん? どうしたアーキテクト、何かあったのか?」
「んにぇ!? なっ、何でもないよっ!?」
「……本当に大丈夫か?」
「ダイジョーブダイジョーブ!! あたしすっごい元気だから!! あっ急用を思い出したからちょっと行ってくるねそれじゃ!!」
「お、おう……」
指揮官の困惑したような声を背中に受けながら、あたしはたたたっと小走りでその場を離れる。廊下の角を三つくらい曲がって、周りに誰もいないことを確かめてから、物陰に隠れてふにゃふにゃぺたんと座り込む。
――なにこれなにこれなにこれ!? あたしが作ったウイルスってこんなのだったっけ!? 変な機能追加されてない!?
混乱の二文字が頭をぐるぐる廻ってる。きっとあたしの目もぐるぐる渦巻いてる。そう思ってしまうくらいの大混乱。
認めます。あたしは自分が作ったウイルスに自分で感染してしまいました。指揮官と目が合わせられない原因はそれです。あたしにゴメンナサイ。よし許す。
――でもでもでも! すっごい胸がドキドキするのはなんで!? 目が合えば逸らしちゃうのに指揮官の顔をじーーーーっと見ちゃうのはどういうこと!? というか暖房効き過ぎじゃないすっごく顔が熱いんだけどはーこれだからグリフィンは!! でも指揮官を雇用してる点はイイと思うよナイス!! あれ待てよウイルスに感染してるってことはつまり指揮官がヒーローであたしがヒロインってことだよねつまりあたしたちは結ばれる運め何を考えてるの落ち着けあたしこういう時は素数を深呼吸で数えるんだ!! すーはー、すーはーすー、すーはーすーはーすー、すーはーすーはーすーはごぶふぇごほっごほっ!!」
思いっきりむせた。だけどおかげでちょっと冷静になった気がする。
そう、ウイルスが原因なら除去しちゃえばいいのだ。とってもかんたん。そんなことも気付けなかったあたしってほんとバカ。でも気付いたので結果的にはオーケーです。
ということで、さっと自己診断ツールを走らせる。そして見つかったハートマークウイルスをバスター! これで元通りのあたしに戻った。その証拠として、胸のドキドキも、謎の発熱もすっかりなくなってる。ヨシ!
良かった良かったと立ち上がり、とてとて歩いて指揮官の所に戻る。あたしがこんな変なことになったんだから、グリフィンの子たちが感染したのを見たら面白いだろうなー、とか考えているうちに目的地に到着。指揮官はさっきと同じところに座ってる。よしよし。さっき逃げちゃったから、今度はちゃんとお話したいな。
「たっだいま~! いやー大変、だった、よぉー……」
「おかえり、アーキテクト。……ん、どうした? 顔が赤いぞ?」
「……ナンデモナイヨ?」
……あれ? あれあれ?
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
恋はバグだとよく言われますよね。
良く分からない感情に振り回されるアーキテクトちゃんはかわいいと思います。
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