落ち零れの異能力者たちの学園戦争   作:シドラ

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15.異能力者たちのスポーツ大戦

【2045年 5月9日  帝王国際学園  体育館】

 

「は?」

 俺が一分を要して理解した言葉に対する返答が、それだ。

 DQNにしか見えない少年が物凄いいい笑顔で「ドッジボールやろうぜ!」とか言い出したら、こんな反応にもなるであろう。

 一体このDQNもどきは何を考えているのだろうか。

「交流会だろ、この集まりって。だから何か適当に遊ぼうぜ」

 だからって、何故にドッジボール。

「楽でいいだろ、ルールとか」

 確かにドッジボールは複雑な反則とかは特にない。

 だからって、会って一時間も経ってないのに喧嘩になって睨み合いになって、直後にドッジボールとか、訳が分からない。誰か説明してくれ。

「あの阿呆の考えは理解しようとしても無駄だ」

 呆れるように吐き捨てる俊哉さんが、片方の松葉杖を壁に立てかけ、首を回す。

 その眼には、青白い炎が宿るような錯覚すら見せるほどの闘志に満ちていた。

「潰す潰す潰す潰す潰す潰す・・・・・・」

 闘志というより、呪詛のようにも見えるが。

 ともかく、既に戦闘態勢に入っている俊哉さんはともかく、他の人たちの様子はどうだろう。

「・・・・・・」

 相変わらず何も考えていなさそうなアスラはスルーするとして、残りの二年生組だ。

「ドッジボールか、相手の臓物、全部ボールで潰しても自己だよなあ、中崎・・・!」

 殺す気満々である。

「おーおー、やれるものならやってみやがれ!」

 目つきが悪い者同士がにらみ合うと、本当に怖いので是非やめていただきたい。

 マフィアの子と、古き良きDQN(もどき)が睨み合いを続けるなか、俊哉さんが松葉杖を投げ捨ててウォーミングアップを始める。

 親の仇でも討つような目で、壁に向かってボールを投げている。

「頑張れよー、お前らー」

 のんびりとした調子で寮長がエールを送ってくる。

「というか、いつからいたんですか。全然気づきませんでしたよ」

 寮長は影が濃い方なのだが、今回は全然わからなかった。

「ん?ああ、いま来たところだよ。可愛い寮生の学校行事なんだから、保護者として」

「あ、俊哉さん。練習混ぜてください」

「最後まで聞こうよ!」

 後ろから寮長がギャーギャーと騒いでいるが、完全に無視する。

 そういえば、寮長で思い出した。

「カミラさん、寮長ってなんで0組にいたんですか?どちらかといえば二種組の方が合っているような気がするんですが」

 対異能力者戦闘を得意とする、大した異能力を持っていない奴が大半の集団。

 それが二種組なら、寮長とかぴったりじゃないのだろうか。

「当初は、二種組に配属される予定だったんだが・・・弱すぎて除外された」

 ああ、それは納得だ。

 俺は寮長に憐みの視線を向ける。

 在学当初は雑魚の烙印を押されていた寮長である。

 二種組からお払い箱にされるのも無理はない。

「さて、と。時間もあんまりねえし、さっさと始めようぜ」

 指の先端でくるくるとボールを回しながら、中崎が告げる。

「おう、お前の両手両足をぐちゃぐちゃにする準備なら、こっちも整ってるぜ」

 完全に据わった目で中崎を見つめながら、左目を蒼く輝かせる。

 異能力の発動、準備万端だ。

「おうおう、やれるもんならやってみろっつーの。で、ルールだが、細かいルール抜きのお遊びルールでいいだろ。ほら、ジャンプボール」

 体育館の真ん中で、0組と二種組のメンバーが向かい合う。

 こちらは5人しかいないため、俺とアスラと俊哉さんとリナさんとカミラさんのフルメンバー。

 対して、二種組は、中崎に宮居さん、黒宮さんに優作さん、それに加えてシガの計5名。

 クイーン先輩はベンチのようだ。

「始めますよ~」

 神楽坂先生が、ボールを真上に放り投げる。

 ジャンプボールには、こちらのメンバーで最も身長の高いカミラさんが、あちらからは宮居さんが前に出る。

 神楽坂先生の動きに合わせて、同時にジャンプする。

「ぶっ潰れろ!!」

「させるかっての!!」

 俊哉さんの重力制御が発動すると同時に、中崎が異能力を発動させる。

 青い光を発しているのは、俊哉さんと同じ左目。

 発動した異能力は、傍目にはよく分からないのだが、俊哉さんの重力制御を相殺できる、かなり高レベルの異能力であることは確かだ。

「もーらいっと!」

 宮居さんが、ボールを自チームのコートに放り込む。

「ナイスだ、敦哉!」

 それを受け取った中崎が俺に向かってボールを投げる。

 かなり速いが、避けられないレベルじゃ。

()()()()()()()()!」

 中崎が俊哉さんのような叫びを上げると共に、俺の体が地面に叩き付けられた。

 体が鉛になったように重く、見えない巨人に体を押さえつけられているように、強く押さえつけられる感覚がある。

 俺が地面に倒れている間に、中崎が放ったボールが俺に当てられる。

「秋雨!」

 俊哉さんが相殺してくれて、ようやく圧力から解放される。

「げほっげほっ!俊哉さん、あれって・・・」

 俺が咳き込みながら、俊哉さんに言う。

 もう0組に入って一ヶ月以上経つのだ。

 間違えるわけがないのだが、それでも一縷の望みにかけて俊哉さんの答えを待つ。

「重力制御・・・俺と同じ異能力だ、奴のは」

 聞きたくなかった俊哉さんの言葉で、俺は絶望する。

 ドッジボールなど、相手を俊哉さんが押さえつけて、俺たちがボールを投げれば終わると思っていた。

 しかし、現実はそう上手くはいかない。

 俊哉さんは中崎の重力制御を相殺するために力を使い続けて、攻撃の余裕がない。

 そして、一度でも中崎に捕まれば、身体能力でアドバンデージを持っている二種組に袋叩きにされる。

 このままじゃあ、絶対に勝てない。

「まだまだゲームは始まったばかりなんだぜ?もっともっと楽しもうや」

 悪魔のような笑みを浮かべながら、俺の前に現れた二人目の重力支配者は、そう告げた。




 本当に更新ペースが落ちて、申し訳ありませんでした。
 新しい生活が始まり、戸惑っている間に、時間だけは無情にも過ぎて行ってしまい・・・って、言い訳重ねても意味有りませんね。ごめんなさい。
 こんな駄文書きの駄文をお気に入り登録してくださっているユーザー様方、ネタ出しを手伝ってくれた友人たち、なによりこの作品を読んでくださっている読者様方に最大級の感謝を。
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