落ち零れの異能力者たちの学園戦争   作:シドラ

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04.合同クラス0組

【2045年 4月10日  帝王国際学園  合同クラス0組教室】

 

「はい、新入生のお二人さんこんにちわ~」

 無駄にぽわぽわした担任に迎えられ、俺とアスラ(同じクラスだった)は席に着いた。

 広いとは言い難い教室にある机と椅子の数は5つ。

 前列3つ後列2つの台形をひっくり返したような形で並んでいる。

 俺は後列窓側、隣にはアスラが座っている。

「何でテメエと同じクラスで、しかも隣なんだ?新手のイジメか、これは」

 俺は恨みがましい目でアスラを見ながら言う。

「私とて好きで貴様と同じクラスになった訳でも、ましてや貴様の隣の席を望んだわけでもない」

 アスラも無表情ながら不機嫌そうな目でこちらを睨んでくる。

「はいはい、喧嘩しないでくださいねー。あ、申し遅れました。私、この0組の担任をやっている神楽坂彰子です。よろしくお願いしますね~」

 ぽわぽわした先生――いや、神楽坂先生がやんわりと注意してくる。

「じゃあ、上級生の皆さんもご挨拶して下さいね~」

 上級生、前列にいる、右から黒髪眼鏡男子、金髪外人女子、赤髪の見るからに暴力的そうな男子の事だろう。

「霧島俊哉だ。国籍は日本。苗字はあまり好きではないので、呼ぶなら下の名前で呼んでくれ」

 黒髪眼鏡の男子生徒は俊哉というらしい。

 だが、名前以上に気になっていることがあった。

 アスラも、その部分を凝視している。

「ああ、これか?別に病気とかじゃないから気にしないでくれ」

 俊哉の足は包帯で隠され、本人は車椅子に乗っている。

 本人の肌が日本人にしては白く、体も細いので、どこからどう見ても病人にしか見えない。

「俊哉くんは去年の授業でちょっとあったから車椅子で生活してるの。もし困っていたら助けてあげてね」

 先生、今恐ろしいこと言いませんでした?

 『授業』で『ちょっと』?

 ちょっとで両足が動かなくなるのか?

 俺は今後の不安から、顔を真っ青にしながら、次の人の自己紹介を聞いた。

「リナ・フェルミンです。国籍はイギリス、日本語はちょっと苦手ですが、お願いします」

 金髪の女子生徒――リナ・フェルミンはそう言って頭を下げた。

 俺の主観だが、いい人そうだ。

 美人だし、礼儀正しそうだ。

 俺の隣に座っている見た目はいいが、性格も礼儀もダメな奴とは大違いだ。

 そんな事を考えていると、アスラが俺の脛を蹴ってきた。

 なんでわかるんだよ、エスパーかお前は…って、いや異能力者なんだろうけどさ。

「カミラ・ロックバードだ。国籍はドイツ。専攻してるのは戦闘学」

 うわー、また不穏な単語が出てきやがった、何だ戦闘学って。

「あ、秋雨くんには戦闘学って分からないですよね」

 是非知らないままでいさせて下さい。

 しかし、そんな俺の願いは届かず、神楽坂先生は説明を始めてしまった。

「本校は異能力者を育成及び管理することで、異能力者が犯罪に加担、実行しないための教育を行っています」

 何か話が不穏な空気を帯び始めてきた。

 冷や汗を流し始めた俺に、神楽坂先生は説明を続ける。

「育成の方針は様々で、カミラくんが専攻している戦闘学の他にも、リナさんの専攻している医療学、俊哉くんの専攻している戦略的異能戦闘学とか、色々あるんですよ~」

 リナさんのはともかく俊哉さんの戦略的異能戦闘学って何ですか、戦略的って、戦略的兵器とかそんなのしか浮かばないんですが。

「ちなみに俺の専攻している戦略的戦闘学とは、文字通り『戦略的兵器並み』の異能力を用いた戦闘を教える授業だ。面白いぞ」

 俺の顔から、サーという音と共に血の気が引いていくのが分かった。

 戦略的兵器とは、核ミサイルや原子爆弾クラスの強力兵器の事だ。

 戦争に勝つための兵器と同レベルの力を持った少年と、俺は同じ部屋にいるのである。

「ああ、心配しなくていいぞ、俺はそんな無闇に力を使ったりはしない」

 俺の顔が真っ青になっているのに気づいた俊哉が微笑みながら言ってくる。

 安心させようとしてくれたのだろうが、その笑顔にすら恐怖を感じずにはいられない。

「せっ、先生!他の所はどういうことを教えてくださるのでしょうか!」

 取り敢えず戦略的戦闘学の話から逃げたかったので、そんな事を神楽坂先生に聞いた。

「あ、はい。リナさんの学んでいる医療学はその名の通り、怪我を直したりすることができる異能力者たちが、怪我の治療や看病を勉強してるんですよ~。カミラくんの勉強してる戦闘学は、戦略的異能戦闘学のような大規模なものではなく、格闘術や銃の扱いなどを交えた対人戦闘を教えているんですよ~」

 何かもう、リナさん以外にまともな勉強していないのは分かった。

 俺は、戦闘に関係ない勉強しよう。

「あ、それと、専攻する勉強は学校側が異能力の特性や、本人の能力を考慮して決めるので、希望している勉強ができるかどうかは分かりませんよ~?」

 神様仏様イエス・キリスト様、今まで全然信じてなくてすみませんでした、これからは目一杯信仰しますんでどうか俺の専攻する勉強を戦闘系にしないでくださいお願いします!!

 そんな事を頭の中で念じていたら、一瞬、言葉が聞こえた。

 神が仏が、キリストが、俺の願いに答えてくれたか!?

 『無理』

 『無理』

 『無理っ☆』

「最後のなんだこらあああああああ!!」

 俺はいつの間にか叫んでいた。

「はっ!」

 叫んでいる俺に向かって、怪訝な目を向けるアスラとカミラ。

 可哀想な人を見るような目を向ける俊哉、優しげな慈愛の目を向ける神楽坂先生とリサさん。

 俺の高校生生活は、クラスの人間全員に残念な人間認定され、始まった。

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