レジャーヨット部隊   作:ブルーな雛菊

12 / 14
終盤にむけて急ぎ足…(申し訳
次回は2話纏めて更新


天使とダンス

[戦艦金剛行方不明事件]

 

彼女は演習へ行くといったきり戻ることはなかった

相手の艦娘は自身の艤装は損壊しており航行は不可能と供述している

彼女の証言の通り艤装は当時修理しており動かせる事は不可能と思われる

 

また全艦娘の使用した弾薬を確認したが

その日発砲された形跡はない

 

以上の事から

戦艦金剛は演習地点に向かう際に敵勢力と遭遇し撃沈された可能性が高いと判断する

 

相手の艦娘は演習を受けることに承諾していない事が後に判明したため今件に対する罰則は行っていない

 

引き続き周辺の捜索を行うものとする

 

 

 

[とある噂]

「ねぇねぇ~最近 怪奇現象起こるって聞いた?」

「それ、知ってるぽい~」

「え?なになに?」

 

「何でも青白い鬼火がでるらしいよ~」

「その鬼火は深い憎しみの中沈んだ艦娘の魂で近くに寄った艦娘や深海棲艦を無差別で海底に引きずり込むんだって」

 

「深海棲艦は深海に引きずりこまれても大丈夫なんじゃないの?」

 

「さぁ?二度と上がって来れないくらい深いんじゃないの?」

 

「私の聞いた話とは少し違うぽい~」

「おぅ?そっちはどうなの?」

 

「何か言い伝えみたいな感じだったよ

月明かりの無い夜に青い光を見たら気をつけろ

その光が足元くらいしか照らし出せない壊れた探照灯の物だったら戦闘を止めて息の続く限り逃げろ

そして……もし……耳元で鈴の音が鳴ったら全てを諦めて神に祈れ

その音色は空気とは別のものを通して音を伝える」

 

「「きゃー」」

茶化す様な無邪気な声が響く

 

 

~鎮守近海~

[沿岸戦線異常なし]

 

意味の無い報告だ

きっとこの言葉を報告するのも最後になるだろう

 

 

 

寮に戻った私は自身の少ない荷物をバックに詰める

提督からの任務を受けた魚雷挺達が行う儀式の様なものだ

 

ある日 主要艦隊と共に魚雷挺が一人だけ随行するようにと命令がおりた……艦隊帰還後その娘を探したが見つかることはなかった

 

それから時折妙な命令が降りてくる

[艦隊と共に出撃せよ]と

 

1人目は知らなかった2人目は気付けなかった3人目が消えたとき私達は全てを悟った

 

危険度が日に日に増していく鎮守近海

毎回損害を受け撤退してくる状況に業を煮やした提督は私達を[盾]や[囮]として使う事で艦隊の生存率を上げようとしていた

 

4人目からは提督からの呼び出しがあった時は自身の荷物を一つに纏めて出撃するようになった………残された者達が己の荷物を整理するとき悲しまないですむように

 

今日、私にも呼び出しがあった

   ・

   ・

   ・

~執務室~

「知っているとは思うが、現在この海域周辺は深海勢力によって包囲されている

物流、情報共に外部からは完全に寸断されており危機的状況だ

今回の任務は夜間に行う。 

敵の包囲網を突破して、外部にこの状況を伝えることだ

食料、弾薬共に備蓄は少ない

仲間達の命運は君達の肩にかかっている

心して任務遂行するように!」

   ・

   ・

   ・

兵糧攻め…海上封鎖……

四方が海に囲まれたこの島ながらの攻略法だ

敵はただ、包囲して逃げ出さないようにすればいい

 

感情をつい最近手にいれたばかりの艦娘達が飢えと、何時襲撃されるかわからない恐怖に耐えて、秩序を保つ事が出来るとは思えない

後は勝手に内部崩壊するだけだ

 

一度誰かが引き金を引けば、たちまち狂気は伝染し暴徒と化す

 

 

荷造りが終わり部屋をでる

 

(この部屋も随分と広くなってしまった)

皆がいた昔が懐かしく感じる

部屋の扉に軽くお辞儀をし、お世話になった寮を去る

 

「私には何も言ってくれないのかい?」

「今晩は、リーダー……」

 

建物の壁に背中を預ける彼女の表情は見えない

 

「悪いことは言わない共に行こう」

 

魚雷挺達もただ死を待つつもりはなかった

深海棲艦を解体した際の燃料を無人島に備蓄しており

その島で補給後本国へ逃亡する手筈だ

常に夜間任務をしていた身だ、他の艦娘に比べ成功率が高い

 

 

「いえ……ここで任務を抜けて怪しまれる訳にはいかない」

 

「そうか…今まで世話になった」

 

「これ……良ければ持って行って…私にはどうしても捨てれなくてね」

 

艤装を渡す、金剛との戦闘で使用した艤装 妹の形見を

 

「大事に使うよ…健闘を」

 

「貴女も……先に逝って待ってるけど、急いで追いかけなくていいから」

 

それじゃ、と笑顔で別れる

背後で嗚咽が聞こえた気がした

 

    ・

    ・

    ・

 

~近海 夜間~

 

夜の闇を無言で進む

誰も言葉を発せず唯、波を切る音だけが聞こえてくる

 

軽巡1 駆逐3 魚雷挺1の寄せ集めの速度重視の艦隊

臨時のチームでちゃんと編隊行動出来るのか怪しいところだ

 

(………懐かしい音が聞こえる)

遠方で微かに聞こえる音 

心に刻み込まれて決して忘れる事が出来なかった音が……

 

無言で巡洋艦の真後ろにぴっちりと詰める

(狙いも信管の時間もあの時は正確だったな…)

 

10m先で炸裂 遅れてキャニスター弾が周囲一面に降り注ぐ

計20発の榴散弾の雨が降りやむ頃には、立ってる者は私一人だけだった

 

盾にした巡洋艦の影から離れる

(この人達は私を盾にするつもりだったのだろうけど…

まさか自分がなるとは……皮肉ね)

 

「オマチシテイマシタ」

 

いつかのゴスロリ達……また、わざわざ会いに来てくれたのだろうか

 

「お逢いしにきました」

(この子達が此処にいるということは皆は無事に脱出できそうね)

 

首を傾げるゴスロリ……何だか可愛らしい

 

「モット イヤナカオサレルト オモッテマシタガ」

 

(確かに妹の仇ではあるけど憎いとは思わない)

 

「貴女となら…悪くないと思いまして」

 

クスクスと笑い合う

 

「デハ ハジメマショウカ」

優雅なカーテシーを行う離島に面を食らう

(敵ではあるけれど友人の様に思える)

 

「お手柔らかに」

此方もカーテシーを行う

 

 

 

まるで舞う様な戦闘が始まる

どちらか一方が燃え尽きるまでダンスは終わらない




戦死者13名
消息不明9名
生存者8名

今回は戦闘はカットです(笑)

一姉の殺意は全て、妹の名誉を踏みにじり存在した事実すらもみ消した提督に向いてます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。