バイオハザード〜とある警官の奮闘記〜   作:零崎極識

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 気長に書いていきますが、文章等拙い点が多々あると思います。駄文ですが、読んでもらえれば幸いです


第1話 遭遇

 1998年 9月30日

 

 アメリカ北西部に位置するラクーンシティはまさに地獄絵図と化していた。街の中は呻き声と腐臭に溢れかえっており生存者などはほとんどいなかった。だが、それでも生き残っている人は明日を求めて懸命に生きていた。

 

 1998年 7月28日

 

 遡ること2ヶ月前。ラクーンシティ市警の特殊部隊『S.T.A.R.S』がアークレイ山脈に位置する謎の洋館の調査から命からがら(・・・・)帰ってきた。彼らが報告書で挙げたのは、ゾンビや大型の化け物らと交戦したということだった。

 

 もちろん、そんな話は誰も信用せず日に日にその生き残りたちは署内からハブられるようになっていた。

 

「よう、クリス。今日も荒れてるな」

「なんだよジャック、俺を笑うつもりか?」

「そうじゃないぜ、ただ……そうだな与太話にしちゃやけに信憑性があると思っただけだ」

「……俺の話をまともに取り合ってくれるのは、お前とマービン巡査だけだよ」

 

 その日の夜、俺こと『ジャック・ノリス』と空軍時代からの親友である『クリス・レッドフィールド』は行きつけのバーで1杯引っ掛けてた。俺は他の署員と違い、命からがら帰ってきた親友の話を本気で信じ、万が一に備えて対処法も教わっていた。

 

「ジャック、俺達はこれからアンブレラが他にも何か企んでないかを調べる。お前はどうする?」

「そうだな……付き合いたいのは山々なんだが、俺は一署員だ。そう簡単に行くもんじゃない」

 

 俺はクリスとは違いアンブレラに対して憎しみを持っている訳では無い。まぁ持つことになったら手遅れなのだろうが。

 

「まぁそれはそうだろうな……でも俺の話しをきいてくれてありがとう」

「なんせ親友だからな」

 

 そしてその後も他愛のない話をしてそれぞれ家に帰ったのだった。

 

 翌日、俺はいつも通り出勤すると何やら署内でトラブルが起きていた。

 

「どうしたんだ?」

「おお、ジャックか……実はな……」

 

 同僚が指で示す方に目を向けるとそこではクリスがジルとバリーに諌められており、その横では少年課のエルランが頬を殴られたように腫れ上がりながら治療を受けていた。

 

「やぁクリス、どうしたんだ……お前らしくないな」

「ジャックか……今日はそんな気分じゃない」

「おいおいなんてこと言うんだよ、俺とお前の仲だろ?」

「…………」

 

 クリスは無言で立ち上がるとそのままどこかへと立ち去っていった。俺はやれやれと肩を竦めながら自分の持ち場へと座る。

 

「はーい、ジャック」

「よう、ジル朝から大変だったな」

「まったくよ……でもまぁ暴れたくなるのは分からなくもないけど」

 

 確かに命からがら帰ってきた彼らの話を誰も信じることなくむしろ、馬鹿にするぐらいだもんな。それは怒るわ。

 

「とにかく……クリスをよろしく頼むぜ」

「親友のあなたがやった方がいいんじゃない?」

「……そうしたいのは山々なんだが、俺はその現場とやらを見てないからな」

 

 心苦しいことにいくら話を聞いたところで信じられないものはまた事実だ。だからこそ迂闊なことは言えない。そんなことを考えているうちに朝礼が始まり、俺は殺人課の課長に呼ばれた。

 

「お前とアーノルドでここの殺人事件を調べてきてくれ」

 

 隣にはデスクが正面のアーノルドがいる。俺との仲はそこそこいい方でたまにランチなどに行くレベルだ。

 

「分かりました、行ってきます」

「了解ー」

 

 やる気に満ちた声と面倒そうな声を上げた2人組は事件の捜査へと向かうのだった。

 

□□□□□□

 

 事件が起きたのはアークレイ山脈の麓、バーグという地区だった。なんでも被害者はあちこちを食いちぎられた跡があるというらしく、ラクーン市警は猟奇的殺人で捜査するらしい。

 

「それにしても……先輩が捜査に当たるなんて珍しいですね」

「まぁな、仕方ないがな……人手が足りないしな」

 

 ラクーンシティでは最近妙な事件が増えていて警察もかなり仕事が多くなっていた。そのためか、実働勤務である俺がこういう聞き込みに駆り出されるハメになっているのだった。

 

「それにしても……聞き込みなのにそんなに武器いりますか?」

 

 アーノルドはトランクと俺のホルスターに目を向けながらそう言った。俺は俺で、ホルスターには私物の『H&K USP』を右腰に装備し反対側には『デザートイーグル』を装備し前と太もものポーチにはUSPのマガジンを4つ入れ、トランクには『ベネリM3』のポンプショットガンとその弾薬を4ケースほど詰めていた。

 

「先輩は強盗犯でも捕まえに行くんですか?」

「まさかそんなわけないだろ」

 

 ただ、俺がここまで武器を用意したのはクリス達が遭難したこの地で、現実には想像つかないような体験をしているのだ。その話を聞いていた俺が備えないはずない。

 

「そろそろ着きますよ」

 

 車でかれこれ3時間も揺られてようやくたどりついたのは見た目には普通の一軒家だった。

 

「すみません、誰かいませんか?」

「…………」

 

 アーノルドの声に誰も反応しないのを訝しみ俺はホルスターからUSPを抜いてスライドを引き弾を込めるとゆっくりと扉に手をかける。鍵はかかっておらず押すと力がそのまま伝わり開いた。

 

「……なんだこの匂いは……」

「妙な腐臭がしますね」

 

 アーノルドも遅れて正式採用されているSIGPROを抜いてスライドに弾を込めた。部屋に漂う腐臭は奥の方から来ていてそこへ向けてゆっくりと歩みを進めていく。

 

 そしてその源と思われる部屋に入っていくとそこに居たのは死体とそれに食らいつく人型のモノだった。


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